(ぎりぎりだけど予選通過できたし、この競技だったら彼のチームに入れれば間違いない。)
一方佐々木は、普通科、しかも最下位での通過ということで誰に誘われることもなく、気ままに目的の人物を探し出す。
「組みましょう。心操君。」
そうして、三人で固まっている心操の肩を掴んだ。まさか自分に声をかける人がいるとは思わなかったのだろう。少し返答に間がある。
「お前は…佐々木か。意外だな。俺よりももっと強いやつと組もうとするかと思ったんだけど。」
「良いじゃないですか、普通科のよしみで、一緒にヒーロー科の足元掬いましょうよ。」
「まあ、いいか。それじゃあ、何ができるのか、教えてもらうよ。」
洗脳はまだ掛けてこない。二人でも騎馬自体は組めるし、一人でも騎馬が成立するなら二人で参加したいくらいだろうに。自分の個性を知るものは少ないほうが良いのだから。それでも、一蹴しなかったのはやはり、同じ普通科だからだろうか。どちらでも良かった。組んでくれるならこの競技は勝ち確だ。
「対面戦闘能力が高いです。個性無しで一対一なら多分、大半のヒーロー科には勝てる、勝って見せましょう。フィジカルが高いので前騎馬でも戦力になれますが…」
そこで言葉を切った佐々木に言葉を心操が引き継ぐ。
「騎手になって一対一で戦えば大体の相手から鉢巻を奪えるってことだな?」
少し考える。個性を使うとしても、自分が騎手として戦うより、騎馬として戦った方が目立たない。この競技を通過した先を考えれば、まだ目立つべきじゃない。自分が騎馬戦を通過できたのは佐々木のおかげだと舐めてもらった方が良い。佐々木を軸にしたと見せかけるにもこの提案は実に都合がいい。何より、こいつはずっと最下位近辺だったのだから自分の個性を知らないはずだ。にもかかわらず自分を選んでくれたのならば、答えてあげたい。
「分かった、それじゃあ騎手としてやってもらうよ。よろ…」
そう言って、佐々木に手を差し出そうとしたところで、佐々木が遮る。
「一応言っておきますけど、私の対面能力の高さはは私が考えて相手の行動を先読みして戦うことに依存しています。洗脳を施した状態だと、逆に大半の相手に勝てませんのでご注意を。」
「!」
動揺で差し出した手が止まる。どうして俺の個性を知っているんだ、と。だが同様に納得できてしまったこともある。どうして俺なんかに声をかけてくれたのか。二次種目で運命を共にするチームとして選んでくれたのか、その疑問が氷解する。俺はなんて浅はかだったのだろうか。同じ普通科だからってそんな理由で声をかけるやつなんているわけないのに。ここは雄英、最高峰。勝つために全力を尽くすに決まってるのに。
「貴方の個性は把握してます。そしてあなたの目標も。だから次の競技以降、あなたと当たったら負けてあげます。だから引っ込めかかったその手を僕に。」
実際に、一回戦で当たる確率は低い。十六名程度が最終種目に駒を進めるのだ。そして、自分の個性では一回戦勝ちがせいぜいで、奇跡がおこって三回戦進出どまりだろう。心操にとっては佐々木を引き入れるリスクを完全につぶせて、佐々木にとってもリスクの少なく確実に第二種目を勝ち上がれる提案。
「最初から俺の個性が目当てだったのかよ。」
忌々し気にそう言う。これは八つ当たりだ。ヒーローになりたい、みんなを守れるヒーローになる。あつらえ向きの個性が無くても、ヴィランみたいな個性でも。俺に可能性を見出して声をかけてくれたと思ったからこそ、
「ええそうです。でもそれ以上にあなたを見極めたか…。」
「もういい。」
見極める、その言葉に吐き気がする。こいつも俺の個性がヴィランみたいだからと、個性を悪用するような奴だと思っているのか。そう思うと最後まで聞いていられなかった。
「メンバーも決まったし作戦を考えよう。と言っても終盤に俺の個性を使うだけで事足りるけど。」
吐き捨てるように言った。
ー貴方は英雄足りえるか、見極めさせてください。ー
佐々木は内通者。しかし、それ以前に彼はステインの信奉者。彼が見極めるということは、すなわち、佐々木は心操が既に
この心操君闇落ちしそう。