「さあ挙げてけ
各々の騎馬がお互いに気合を入れるための声が飛び交う中、騎馬が操り人形とかした心操の騎馬は静かなものだった。心操チームの中で明るい顔をしている人は誰もいない。
「Start!!」
プレゼントマイクのコールと共に一斉に動き出す。
*
「いえ、序盤は自力勝負を…」
吐き捨てた一言には洗脳をかけるためのトリガー足りうる。洗脳したら騎手として使い物になら無くなると言っていた、
「俺はヒーローになるためにヒーローらしからぬことをしなければやっていけない。見極められるまでもない。俺はヒーローに向いてない。」
それでも…
「憧れちまったもんはしょうがないだろ。」
その言葉は誰にも届かない。
*
「切奈、私と組んでよ!」
「おりょ?まさか一佳の方から来てくれるなんてね。こっちからしたら願ったりなんだけど、残念ながら今あんまり無茶できないから、期待通りに動けるか分からないよ?」
B組に頼るといいながらも、やはり負い目があるのだろう、自分の状況を素直に伝える。
「うん、それは見れば分かる。体の再生がまだ完全には終わってないみたいだし。でも、それでも切奈をチームに引き入れたいんだ。」
「どうして?」
「私が他の騎馬の相手をしているときに周りを見て指示を出せる人が欲しい。個性は使わなくてもいいんだ。それでも勝算はある。」
拳藤の個性、大拳は近接戦闘で非常に強力だ。鉢巻の取り合いでは優位に動けるだろう。
「願ったりだって言ったでしょ、それじゃあよろしくね。」
「ありがとう!!」
了承の意を聞いた拳藤が顔を綻ばせて礼を言う。
「それじゃあ、あと二人引き入れよう。切奈のことを考えたら四人騎馬の方が良いだろうし。」
「それならレイは絶対引き入れたいね。そうするとあと一人も女子の方がやりやすいかな。まあ、どっちでもいいけど。」
「レイ?別に異論はないけどなんで?」
B組柳レイ子、個性も戦闘向きでなく、体格に優れているわけでもない。絶対というほど推す理由が分からなかった。
「レイの個性は鉢巻に使えば、絶対に失点しない騎馬の出来上がりだよ。」
その質問をいたずらっぽく返す。
「ほんと、切奈を引き入れてよかったよ。」
そう言って拳藤は笑った。
*
「円場、回原、黒色。今回の作戦を伝えるよ。」
「作戦?一千万に群がるA組をカモるんじゃないのか?」
円場がそう返すと物間は頷く。
「それはそうだけど、多分今の僕は、他のB組騎馬には勝てない可能性が高い。」
「えらく弱気だな。らしくもない。」
「悪いね、一次で消耗しすぎてしまったんだ。それでも勝てるように騎馬を組んだけどね。今回は速攻でポイントを取って、あとは防御に徹する。」
「なるほど、だから回原じゃなくて俺が前騎馬なのか。」
円場は空気凝固によるガードの生成、回原は右後方のけん制兼物間の戦力強化、そして黒色は…
「ヒヒ、これも選ばれしものに与えられる試練。壁は任せろ。」
いざというときに騎馬を回原と円場に任せ、物間の作る陰をつたっての緊急ガード。要は肉壁。ただし、黒色ガードの展開速度は群を抜いて早い。連射性は皆無だが。
「さあ、調子に乗ってるA組に、目にもの見せてやろう。」
総勢、12組の騎馬が動き出す。
黒色ガードってなんやねんって方いるでしょう。でも、物間たちが使うことはないのでスルーしてください。