内通者   作:三軒過歩

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一話に半年かけてようやく追いついた。筆休め的な回です。正直面白い展開ではないですね。


内通者2

自分の中にもう一つの人格が再現されているというのはものすごく気持ち悪い感覚だ。強力な意思で抑え込んでおかないとおかしくなりそうだった。しかしふとした拍子にその集中は途切れる。それは例えば、昼休みに食堂から教室に戻る時、職員室に担任の先生に会いに行くとき、はたまた、授業中に集中力が途切れる瞬間に。

 

(あれっ?なんで僕の周りに知らない生徒がいるんだ!?いや、違う、そうじゃないだろ。ここはD組の教室で、僕は佐々木過渡なんだから。)

 

「えっと、佐々木君、大丈夫かな。手が止まってるけれど。」

 

「あっ!はい。大丈夫です、すみません。」

 

黒板の前に来て問題を解いているとき、ふとした瞬間に緑谷出久が降りてくる。調子が悪いのではないかとクラスメイトや教師に心配される。

 

 

「林間合宿はプッシーキャッツが所有する庵木市の山岳地帯です。日程は例年と変わらず。担当はイレイザーヘッドとブラトキング、それにプッシーキャッツの四名です。」

 

「ありがとう。そうそう、なかなかいい個性を見つけたんだ。君さえよければこれを君に渡そうかと思うのだけど。」

 

「それ、僕が脳無になるやつでは…?」

 

「はっはっは。二つまでなら問題ないはずだよ。ワンフォーオールだって無個性の人だけを渡ってきたわけじゃないからね。まあ、オールマイトは無個性だけれど。」

 

「なるほど、でも遠慮しておきます。僕はこの個性をもっと使いこなしたいので、今は二つあると混乱します。」

 

「そうか。ならばそれもいい。それじゃあ、今後も頼むよ。」

 

黒い靄が晴れる。それを確認して息を吐く。気が緩んできたタイミングで緑谷出久の人格が表に出る。

 

「僕はどうしてAFOといや、林間合宿があぶ…!」

 

「出てくるなよ緑谷出久。」

 

無理やり押し込める。この個性を使ってから、緑谷出久の監視を任されてからAFOの前では絶対に人格が出てこないように意識している。しかし、その会話が終わると大抵緑谷が現れる。最近ではこの時間以外は押し込められているが、逆に、AFOとの会話終了時はどうしても気が緩んでしまう。

 

「まだ、全然使いこなせていないんだよ。この個性()が…!」

 

緑谷の人格をトレースするために、佐々木は毎日緑谷に対してこの過去視、思念再現を発動している。だからこそ、緑谷の人格は弱まったりしない。

 

 

「共存できる進化途上の身体でもやっぱり人格が一つの身体に二つ以上あるってのは負担が大きいみたいだね。」

 

内通者(友達)から学校での佐々木の様子を聞いてAFOは、佐々木が自分の前で気を張っていることを知っている。

 

「しかし、人格を自分に宿すってのは対象の動きを監視するには的確じゃのう。ほぼ完璧に緑谷の動きを追える。」

 

「ああ。本当に強力だ。弔にだったら渡してもいいかもね。」

 

「死殻木が相応しい器になったら奪うように言っておこう。しかし、本当に気は変わらんのか。」

 

AFOは近く死殻木弔から離れる意志を伝えていた。

 

「僕は過渡君みたいに完璧に未来を知ることはできないけれど、ある程度は先の展開が読める。きっと弔の成長にはそれが一番なはずさ。」

 

AFOは読んでいるのだ。これから拡大するであろう敵連合、ステインを使って受け皿は整えた。

 

「死殻木は戦力の増強メンバーに不満があるようじゃったが、本当に引き入れるのか?」

 

「弔は感情的だが頭が良い。きっとどうするべきかは分かっているはずだ。だから僕に林間合宿について聞いてきたんだよ。退路を断つためにね。」

 

自分に林間合宿の場所と日程を聞いてきた弔が起こすであろう行動。その結果ヒーロー社会が弔達にどう動くか。

 

「さあ、退路を断って成長しようとしている可愛い教え子に少しだけ後押しをしてあげよう。」

 

「後押しじゃと?」

 

「今の弔には信念がない。だから彼が信念を見つけられるような出来事を起こしてあげようかと思ってね。」

 

そう言うAFOの手元には佐々木が送ってきた緑谷の行動予測。

 

(この男は、やはりわしがすべてを捧げるにふさわしい男じゃて。何手先を読んどるんじゃ。)

 

AFOは緑谷と死殻木を鉢合わせようとしている。彼は何年も生きて膨大な過去を持っている。過去をのぞき見して糧にする佐々木に匹敵する未来予測能力。数週間後、緑谷がデパートに行くと佐々木から掴んだAFOはそれとなく死殻木を向かわせた。




ショッピングモールイベント、本来だったら原作の内通者が絡んでいて必然の出会いだったっていう脳内妄想が私の中でキマっています。
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