「こんにちは、佐々木過渡君」
「珍しいですね。先生の方からくるなんて。」
佐々木の自室にAFOが自ら出向くのは何なら初めてじゃなかろうか。そう思いながら何の御用ですかとAFOに問う。
「状況が変わってというより、予定通りに進んだからね。君の反応以外は。」
「?」
「こういうことだよ。」
疑問符を浮かべる佐々木に頭にAFOの手がのびる。咄嗟に後ろに下がろうとするが、金縛りにあったかのように動けない。
「君が今の個性を使いこなしたいって言うのを尊重してあげたい気はあるんだよ?でもどうしてもこの個性を扱えるようになって欲しいんだ。」
個性が与えられる感覚がどういうものか、説明するのは難しいが、敢えて言うならば義手が付け加えられたかのような感覚だ。
「個性強制発動」
「な、なにを…」
しかしその新たな個性が発動したわりに変化を感じない。
「君に与えた個性は
「僕は目が見えないから君が不自由することはない。この意味が分かるね。」
つまるところ目を閉じていればリンクされたことに気づかないということ。
「な、なぜそんなことを…」
「必要だからさ。僕はこれから捕まる。けれどそう遠くない未来、僕は再び舞い戻る。この世界の魔王として。」
魔王として舞い戻る。この人が言うならそうなのだろう。それはつまり、ヒーローの信頼が崩れて混沌とした社会が来るということだ。ヒーローの信頼が崩れるのは構わないが彼が魔王として君臨するのは困る。
「その時、文字通りに僕の目となる人材が必要なんだ。君がいれば僕の友達に負担を強いることもなくなるだろうし。」
過去視の個性が使いこなせるようになって欲しくないのではないかという考えが浮かんだ。思考をトレースできるという能力は第二の自分自身が生まれることになる。佐々木過渡には後継者になれないと思われている。
「分かりました。期待に応えて見せましょう。」
そう言って佐々木は覚悟を決めた。彼が捕まるならタルタロスに行くだろう。裏切るならそこだ。脱獄はさせない。必ず先生を幽閉してやる。
*
「ドクター今までありがとう、これからは弔をよろしく頼むよ。」
「ああ、任せておけ、必ず弔を完璧な器にしてやるからの。」
「頼もしいな。それじゃあ、行ってくる。」
ワープの個性を使って脳無の格納庫に向かう。すでにヒーローたちによって脳無は無力化されている。さすがの手際だと思う。ヒーロー達の前に姿を表す。
「これは僕が最高の魔王になるまでの物語だ。」
そのために弔がいる、ドクターがいる、ヴィラン連合がある、そして佐々木過渡がいる。
とりあえず第一部完ということで、これ以降は原作が完結したら書きます。