内通者   作:三軒過歩

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C組はお化け屋敷をやってるのが描写から読めるんですが、D組が何してるかなんてわかるはずもなく…というか描写あったらビビる。D組の文化祭の需要がどこにもないのは理解できるからダイジェストにいきますぞ。5とか6とかはにはいかないようにまとめますね。


内通者と文化祭

「文化祭が近くなってきた。いろいろ騒ぎもあったがおまえ達が主役のイベントだ。一クラス一つ出し物を出してもらうから企画を考えてくれ。」

 

騒ぎ、騒ぎか。それは僕が引き起こしたものだ。だけど。

 

「教師陣も力を貸すがあくまで主体は生徒、ここから企画決めの進行は委員長に任せるからよろしく頼むぞ佐々木。」

 

誰もそれに気づいてない。だから信頼の目を向けてくることはなにもおかしなことじゃない。意識を切り替える。

 

「分かりました。それじゃあみんな、やりたい事がある人は挙手、何もなければ…そうだなあ、公開勉強会にでもしようか。さあ意見を出したまえ!」

 

公開勉強会といった瞬間クラスの雰囲気が引き締まる。みんなやりたい企画を絞り出してくれるだろう。

 

「はいはーい!」

 

「それじゃあ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむふむ、結構出たね。多数決の結果はクレープ屋だったけど、みんなそれでいい?」

 

食べ物系に出し物企画、変わり種では下半期ヒーロービルボードチャートJP予想会など個性的なものもたくさんあったが結果を見れば無難なものに落ち着いた。

 

「それじゃあ、屋台の用意から食材の調達、価格設定など役割を分けようか。」

 

 

 

「ねえ、こういうのよくない?」

 

「確かにー!」

 

「だとするとこれが必要になるな、買いに行かないと!」

 

数日が立ち放課後、活気づいたクラスを見渡して満足げに頷いている佐々木に声をかけた。

 

「ランチラッシュに引けを取らないものなんてできるのかなあ。」

 

教室の隅、会話を聞くクラスメイトはいないだろう。

 

「まあ無理だろうね。学生がプロに勝てるわけないよ。でもランチラッシュはクレープを提供してないでしょ。ランチラッシュに提供されないものが食べられる。勝つ必要なんてないんだよ。」

 

「戦う土俵が違うってことか。なるほどねえ。それじゃ、文化祭をよりよいものにするために頑張ってみますかね!」

 

買い物なら俺行くよーと会話の中に混ざっていく日色を見送っていると今度は他クラスの生徒、心操が来た。

 

「お前、クラス委員長だったんだな。つくづく無個性の極致のような存在だったんじゃないか。」

 

Dクラス内ではと廊下に出る。

 

「はは、それで何用かな、まさか文化祭も偵察?」

 

からかい混じりに言ったが心操は体育祭の頃を思い出したのか照れくさそうに頬を掻く。

 

「そんな暇じゃない。訓練に付き合ってもらいたかったんだけど、忙しそうだからな。改めるよ。」

 

踵を返す心操を呼び止める。

 

「ちょい待て、夜なら問題ない。夕飯食った後、二十時以降なら一時間か、二時間くらいは連絡してくれれば付き合うよ。」

 

「そっか、じゃあ夕飯食ったらそれまでは一人で自主練するか。」

 

「心操は文化祭の準備いいのか?」

 

「俺のクラスはお化け屋敷やるんだけど、本番ほぼぶっ通しで出演する代わりに準備はある程度免除されてるんだ。」

 

「へえ、じゃあ見に行くよ。」

 

「ああ、楽しみにしておいてくれ、じゃあ夜にな。」

 

おう、と手を振って教室に戻ると日色に首を掴まれる。

 

「訓練、訓練ねえ。お前やっぱりヒーロー科狙ってるんじゃないかコラ!」

 

「グえっ、ちょっと痛い痛いじゃなくて熱い!?こらこら個性を使うんじゃない!」

 

日色灯、指に火を灯せる個性。その個性の応用で熱い手で首根っこを掴まれてる。

 

「まさかお前にそんな隠し事があったなんてなあ。」

 

「え、あ、いや嘘ついてたわけじゃないんだよ。あの時は本当に編入する気はなかったんだ。」

 

熱い熱いとこぼしながら弁解を試みる。

 

「委員長になってこのクラスを離れることが迷惑だと思ってんならそれは違うぞ。」

 

「え?そんなことは思ってな…」

 

「えー!佐々木君ヒーロー科行っちゃうの!?」

 

活気づいてるとはいえ日色の声の大きさを考えればクラスメイトに聞かれる。面倒なことになったとそう感じる。だからこそ自覚してしまう。

 

「いやえっと…」

 

自分はこのクラスに愛着があったのだと。雄英を裏切っているこの僕が持っていてはいけない感情なのに捨てることができない。

 

「まだ決まったわけじゃないよ。いけるとも限らないし編入できてもクラスが変わるのは来年度からだ。まだまだ先の話。」

 

「でもその試験みたいなのがあるんでしょ?」

 

「だったら訓練しとけよ。」

 

「文化祭よりもそっちに集中してくれていいから。」

 

「頑張れよ!」

 

クラスメイトが次々に激励していき、佐々木に割り振られた仕事を奪い取っていく。

 

「ほらな、夕飯前と言わず、心操と特訓して来いよ。」

 

肩をたたいてにんまりと笑う日色とクラスメイト達。最高なクラスメイトだと思う。このクラスメイトに囲まれて、幸運だった。でもだからこそこの好意を受け取れない。僕は内通者だから。裏切り者だから。

 

「止めてくれよ!」

 

思ったよりも大きな声が出てしまった。クラスが一瞬静寂に包まれる。

 

「クラスに迷惑かけたくない。これは僕のわがままなんだから気を遣うのはやめてくれ。その気づかいが僕には、辛い。」

 

「いや、俺達はお前のことを思って…」

 

「そうだよ。私達に気を遣わなくていいんだから。」

 

依然納得できないクラスメイトは多い。納得してくれよ。なあ。

 

「それは分かってるよ。でもそれに甘えちゃいけないんだ。」

 

違うんだよ。僕は裏切り者だから、そんな優しさを受け取る資格はないんだ。

 

仕事を奪い返す。雰囲気が重くなる。けれど。

 

「まっいいじゃないか。佐々木がこう言ってるんだ。それならこき使ってやろうぜ、なあみんな。」

 

その雰囲気を壊すように日色が切り替える。

 

「まあ、委員長がそこまで言うなら?」

 

「馬車馬のように働いてもらおうか!」

 

クラスに活気が戻る。日色に目線を送る。

 

(ありがと日色。)

 

僕には勿体ない友人だ。けれど僕の正体を知った後で僕をまだ友人と思ってくれるとは思わない。だから仮初の友ではあるけれど。日色との仲が仮初なんだからこのクラスも仮初だ。それを知っているのに。

 

「さあてと!最高の文化祭にしよう!」

 

異常者な分際で人並みに喜ぶ自分に反吐がでる。

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