誰ってならないように一応書いときます
泡瀬洋雪:ヒーロー名ウェルダー
鎌切尖:ヒーロー名ジャックマンティス
凡戸個次郎:ヒーロー名プラモ
取蔭切奈:ヒーロー名リザーディ
「視界は三つ、いつもよりちょっとやりにくいけど、出来ることも多い。」
取蔭の体が五十に分割していく。佐々木と
「見つけた。四人全員まとまって動いてる。場所はそこから二時の方向に三百メートル」
取蔭の声が取蔭の耳を通して伝達される。
「おっけ、俺は撤退のフォローだから待ち伏せする。」
「作戦通りにはまればプラモは上で待機、ジャックと僕は遊撃、ですね。」
そう言って二人と別れ鎌切とA組四人に接近していく。
「先に仕掛けろ。俺が合わせる。」
粗野な言動のわりに相当気遣いができるみたいだ。人は見かけによらない、この個性社会では特に。だけれどその気づかいは佐々木には必要ない。
「大丈夫、あなたに合わせます。貴方と視界を
自分の右目と鎌切の右目を
「お前それ大丈夫なのかよ。取蔭と俺とで三つの視界が写ってるんだろ?」
「大丈夫。解除は任意なんでタイミングだけ見極めたらすぐに切ります。」
「分かった。速攻で切り刻んでやるぜェ…!」
四人をプラモとジャックで囲うように場所をとった。
「止まれッ!いる!!」
「全員近くにいるはずだ探れッ!」
それから一分と立たないうちに爆豪が気づいたのだろう。どなり声が響く。それが合図だった。取蔭の攻撃が始まる。
(索敵を逆手に取るのはうまくいってる。そうして攻め込めば)
「爆豪!こっちだ!」
鎌切の目から瀬呂がバリケードを張ったところが見える。そこはプラモの射程内。ジャックが接着剤まみれになったパイプを瀬呂達三人に落とすところを確認して
「佐々木も来たッ!」
「こっちは俺に!」
一瞬爆豪と砂糖の視線が交わる。それだけで理解したのだろうか。鎌切の攻撃を爆豪に任せ佐々木の対応に砂糖が来る。
「遅いっ!」
パワーはある。それを補強するだけの肉体も。でも素早さはわずか劣る。その動きは視えてた。
「パワーなら負けらんねえぞ!」
「うわっ!」
だから今捕縛布を掴んで引っ張られているのは砂糖を両腕事簀巻きにできず片腕をフリーにしてしまった僕の練度不足だ。相手は片腕でこっちは両腕、なのに圧倒的だ。
「おぉぉらあぁぁ!」
捕縛布を離すが既に引っ張られて宙を舞った後だ。
「ヤバッ!」
何とか体を捻って無理矢理砂糖の拳を受け流すが着地した場所は瀬呂と耳郎と砂糖にちょうど囲まれるど真ん中。
「流石に積みかな。」
イヤーマフを外して捕えられることを伝えて仲間と耳の
「でもただではやられません。」
だがそう言い切るのが精一杯で攻撃に入る前に捕まる。
「いや、普通諦めね?」
瀬呂に簀巻きにされて、テープを切られる。
「個性分かんないからさ、ちょっとトんでてね。」
おでこのあたりにプラグが触れたかとと思うと一瞬で意識がなくなった。
*
「まさか奇襲したこっちが崩されるなんてね。」
「まあ佐々木君が時間稼いでくれたおかげでまた奇襲仕掛けられるから最悪ではないけど。」
「次は失敗しねェ!」
「そうだね。爆豪が暴君じゃないことも分かったし、まあ弱点が消えた完璧なチームってことが分かっちゃったって言う喜べないことでもあるわけだけど。」
「切奈、次はどうする?正直、実践だったら間違いなく時間稼ぎ一択だったんだろうけどさ。」
相手は自分達よりも強い敵なのだ。応援を待つのは正しい選択ではある。
「一人捕まってるから時間稼ぎは負けだ。もう一回仕掛ける。私を起点に撹乱するとこは同じだけど、次は撤退を考えない。泡瀬も攻撃に加わってもらうよ。」
音もなく索敵出来る取蔭の個性は索敵に最も適していて、さらには耳郎の個性と相性抜群だ。先に見つけることはそんなに難しくない。
「囲むように陣形組んで責めたいところだったけどネタ割れたし奇襲はもう無理だね。見つけたら速攻だ。勝つよみんな!」
*
「仕切り直しか、うざってえ!」
「まあまあ、こっちは奇襲受けたけど損害無いし、今の形を維持してりゃまけないでしょ。」
「違えよ馬鹿!向こうはもう奇襲なんて悠長するわけねえだろが!居場所バレたらすぐ来るに決まってんだろ!」
「そうか?一度失敗したとはいえ奇襲って有効だと思ったんだが。」
「そこの耳が二度も同じ手に引っかかるんだったらそうだろうな。おい、分かってんなお前!?」
「流石に次は大丈夫だよ。囲む前に全員見つける。」
「爆豪おめえ、ちゃんと評価してたんだな。意外~」
「うるせー!それくらいは最低条件だってだけだ!無駄話してねえで警戒してろ!」
*
「見つけた。行くよみんな!」
「ぶっ潰す!」
取蔭がA組たちを見つけるのを皮切りに再び乱戦になる。爆豪の動きを妨げるように飛ばされる破片を爆豪は爆破で高速機動を展開しながらよけ、あるいは爆ぜさせる。
「~~~!こいつスロースターターだ!」
「ヒッヒィ!爆豪、俺と勝負してもらうぜェ!」
「ウザッてえなモブが!」
Bomb!Bomb!
「ぐぇっ!」
先ほどよりも早い爆破の連撃。防ぎきれるはずもない。一人だけならば。
「早業着工」
「次から次へとウザッてえなあ!」
「ウェルドクラフト、竣工ッ!」
鎌切に攻撃して吹き飛ばしたその隙に泡瀬が動く。
「シュガー!」
舌打ち一つ、頭に血が上っているようで、周りは見えてる。だから気付ける。
「シュガーラッシュ!」
その叫び声と共に泡瀬が付けた拘束が破壊され、それと同時に彼は武器を構えて臨戦態勢の泡瀬を放置して先ほどから防戦一方の耳郎と瀬呂を助けに行く。
「あいつ止めとけッ!」
砂糖には泡瀬の相手を任せる。彼の新しい成長の証。仲間を助ける、守る、そして自分も仲間を頼る。
「何なのこれ、目がバグる…!」
「こんなんじゃ迂闊に動けねえ、どうなってんだ!?」
凡戸と取蔭相手に防戦一方、テープのバリケードは相手に利用されるのに、それでも構わず張り巡らせていく。混乱しているのだ。
「てめえら何やってんだ!」
テープを爆破で燃やして二人に合流する。取蔭の破片を相手しながら凡戸の接着剤による広範囲攻撃から二人を蹴飛ばして躱させる。
*
(ようやく戻った。)
一人牢の中にいる佐々木は邪魔にならないように両目を閉じて右目で取蔭の視界を見る。
(個性割れてないからって意識を刈り取るとか、取り返しがつかなくなる前に意識戻せてよかったよ。)
捉える時に触れてくれたのは瀬呂と耳郎の二人、戦闘に優れた爆豪や砂糖にかけたかったがあの状態なら一人にかけられるだけで御の字だった。充分なできだろう。
(非情になり切るべきだったんだよ耳郎さん。その甘さが命取りだ。)
「オープン!」
個性を使ってで耳郎と瀬呂と右目を共有した。そして今ゴーグルで覆っていた右目を開放する。今の佐々木には耳郎の視点と瀬呂の視点と自分自身の視点、三つの視点が混在している。そしてそれは耳郎と瀬呂も。こんな状態でまともに動けるわけがない。
*
「目がまともに機能しない!きっと
爆豪が耳郎から状況を聞かされる。4-0無傷の完全勝利、それを目指していた彼にとって無視できない事態。負ける可能性がある、受け入れがたい事態。
「クソがッ!シュガー虫投げろッ!離脱する!」
「ハァ!?」
泡瀬の相手をしていた砂糖は急に鎌切を投げろと言った意図に気づかない。砂糖が気絶している人間を投げ飛ばせば、地面に落ちて普通は死ぬ。驚いて目線を爆豪に飛ばしたからこそ、彼が指している方向に気づける。
「逃がしゃしねえっ」
泡瀬がそう言って自分と砂糖の腕を溶接する。だがそれは悪手、合わせにとって怪力を武器とするシュガーマンは最悪の組み合わせなのだ。くっつけてしまえばはなれられない。
「おらぁ!」
「うごぉ…」
シュガーマンのドーピングされた一撃が泡瀬の意識を奪う。泡瀬の溶接を引きはがして投げ飛ばす。投げた先にはバリケードテープ、それに凡戸の接着剤がたっぷりとかかっている。それにからめとられて、泡瀬が地面に激突することはない。けれど。
「泡瀬ッ」
投げられたら咄嗟に動いてしまう、それがヒーロー科だ。
「めちゃくちゃやるなあもう。」
分割していた破片を集めて泡瀬を受け止める。砂糖の攻撃をモロに食らったんだ。意識が飛んでいるが責められない。
(そう考えると佐々木君って実は物凄い超反応を見せたのかな?)
「切奈、泡瀬は!大丈夫!?」
「だいじょーぶ。意識はないけど大怪我してるわけじゃ無さげ。そっちは?」
「鎌切も大丈夫、こっちは朦朧としてるくらいだからあと五分もあれば動けるようになると思うよ。」
「そっかそっか。大事無くて良かった。」
上手いものだ。あと五分たてばタイムアップ、こっちで近接得意な二人がこのざまでは勝つのは絶望的。
「こっちでまともに動けるのが二人、向こうも実質二人だけど二人とも近接イケるから勝てないだろうね。ここらが引き際…かな。」
言葉にすることで何とか現状を飲み込む。佐々木君が瀬呂と耳郎に
「まあ仕方ないよね。じゃあ時間まで身を隠そうか。」
凡戸が鎌切を背負いなおして動き出す。その瞬間。
「このまま終わるわけねえだろがッ!」
爆豪が単騎で突撃してくる。
「噓でしょ、四人いるところに一人で来るかな普通!」
「たりめーだ!モブ二匹は潰してるんだからなァ!」
Bomb!Bomb!
(こいつ倒せば引き分けにはなるけどっ…!)
なぜ単騎で突撃してきたか、その理由は分かる。足手まとい二人を砂糖に守らせてるからだろう。でもその意味は分からない。このまま時間切れになればA組の勝ちだというのに、ここで返り討ちにあったら勝ちを捨てることになるのに。
「4-0無傷の完全勝利、それ以外の勝ちには意味がねえんだよ!」
いや無理だ。今の私達がこいつに勝つなんてのは出来ない。相性が悪すぎるんだ。私達じゃこいつは止められない。
(やられる)
「こっちだ切奈!」
思考を放棄して諦めてしまっていた。だから凡戸の声に素直に従った。どうせどうにもならないと思って。
「トレドグルース!」
Bomb!Bomb!Bomb!Bomb!
「うぎゃっ」
凡戸の体にまとわりつくように出された急速で乾く接着剤が爆豪にかかる。
「んだこれ!?はがれねえ、くそっ」
凡戸が身を呈して自分と爆豪を接着した。
「僕たちだって負け方くらいは選ぶ。」
せき込みながら何とかそれだけ言って凡戸は気を失った。人間が、それも体格のいい凡戸がついているのだ。強みの機動力は失われる。だから戦いは膠着した。
「そこまでだッ!二十分経過、第四セット終了!投獄数1-0でA組の勝利!」
第三セットよりも大きな声でアナウンスが響く。
「だああああああ!」
それよりも爆豪の叫び声が据え置きプリズンにはよく響いた。
爆豪君が砂糖君のことを何と呼ぶか、これは悩みました。砂糖力道ってまあキン肉マンがモデルだからだと思うのですけど唇が大きい。だからそれ関連のあだ名をつけるような気がするのですけど、砂糖君にとってそれがコンプレックスになっている可能性がある。だとすれば爆豪は砂糖君のことをそう言うあだ名では呼ばないと思うのです。彼は自分よりも先にいると思っているやつ以外は彼の性格が許す範囲の真っ当さで気遣える人間だと思うので。だから原作で明かされているAクラスへの呼び名も緑谷以外はまあまともっちゃまともな気もする。だから爆豪君から砂糖君への呼び名は原作で明かされるまでヒーロー名シュガーマンからシュガーにしておきます。明かされたらひっそりと修正しますね。半分野郎(轟)、アホ面(上鳴)、黒目(芦戸)うーん、まともか?