「過去のデータと戦力差を考慮した堅実な策だったな。だがそれゆえに相手の成長に対応できず奇襲したはずなのに逆に戦力を削られた。」
堅実な策で勝てると思ってたんだ。アドリブいれて負けたら申し訳ないから。
「下手したらそこで全滅だっただろうが、
分かってる。焦ってたんだ。彼を勝たせてあげたくて。四対四ならまだ勝てるってそう思って、引いた。それが堅実な策だって、思っちゃったの。その動きが致命的な負け筋だって気づいたときにはもう手遅れだったの。
「ヒーローとして戦うのって大変です。」
違うよ。私が間違ったから負けたの。貴方は捕まって尚フォローしてくれてたのに。勝たせてあげなくちゃなんて高慢だった。
「大事な時だってのに、足引っ張っちゃってごめんなさい。」
こんな謝罪が通るわけない。彼は遅すぎる奇跡の果てにここまで来たのに。そのチャンスを私がぶっ壊した。
「次があったら勝ちましょう。」
次がある保証なんてないのに、どうしてあなたはそんなに笑いかけてくれるの?
*
「物間ごめん。」
ごめんとは、佐々木のことか。佐々木が元無個性という真実を知るのはきっと生徒の中では僕と取蔭だけ。元無個性がここまで来た、どれだけの努力が必要なのか想像もつかない。間違いないのはここにいる誰よりも努力しているということだけ。
「何を謝ることがあるんだい取蔭!!」
「全部押し付ける…」
そうか、君は責任を抱えてしまうのか。佐々木に活躍の場を与えられなかったから。ここで佐々木が活躍しなかったら彼の努力が無駄になるかもしれないもんな。それを思ったら僕が全力で戦えないって思うよな。君は優しいから。でもな。
「それは違う。」
手を抜いたらそれこそ佐々木君に失礼だ。
「まだ終わってない。」
顔を上げた取蔭を見る。虚ろな目だ。
「僕はさ、こう思うんだ。誰もが他人の人生の脇役であり自分の人生の主役なんだって。」
「ましてやヒーロー志望。誰かに人生の責任を被られるなんて腹立つだろ?奇しくも彼の言う通りさ。ヒーローとは苦難を乗り越える者のこと、さらに向こうへ、
伝わっただろうか、責任を感じることが佐々木君にとって失礼ってことに。
「で、どーする?」
キャラじゃないことをした。何か伝わったのか、柳が茶化してくれる。
「”で”って言うなよォ!!」
横目で取蔭を見る。さっきより幾分マシな表情だ。慣れないことをしたかいがある。
「さあ、勝ちに行こうか。」
手心は一切加えないから。
ヤバイヤバイ可愛い女の子が精神的に追い詰められてるの可愛い女の子が超可愛い女の子になって超可愛い。