内通者   作:三軒過歩

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必ずお読みください!

この話は重要なネタバレが含まれていてこの話を読むと今後の展開がありきたりでつまらなくなること間違いないので読まないことを強くお勧めします。本来ならこの話は下手したらあと十話以上先のしかるべきタイミングで公開するべき話です。ですがこの話を今誰もが読めるような状態にすることに意味があるのでこのタイミングで公開します。この話を本来読むべきところまで進んだらタイトルから★マークを消してその時点での最新話に移動させることでお知らせします。その代わりといっては変ですが内通者と文化祭も同時投稿されてますのでそちらをお楽しみください。

サーナイトアイ、本名佐々木未来です。忘れてる人もいるかもしれませんがこの作品では佐々木過渡の伯父さんという設定です。


内通者と伯父さん

「未来兄さんに会いたい?」

 

夏休みに導入された寮生活もひと月以上たち、今は九月下旬。AFOと関係を持ってからこれまでサーに会うのを避けてきた。彼に会えば僕の目的を達成することなく犯罪者として捕まってしまうだろうから。でも今、新たな個性を持った今、絶対に会っておきたい人だ。

 

「二週間前に話したこと本気だから。僕はもう一度ヒーローを目指す。」

 

ムーンフィッシュに襲われて印照才加とバンブルの未来を奪ったその日からヒーローを避けていた。サーに関してはヒーローだからという理由が主ではないが、それを間近で見てきた父さんや母さんからすれば直ぐには信じられないだろう。寮生活の都合上その話をしてから直接会ったわけでもない。

 

「だから会って知りたい。僕とよく似た真逆の能力を持つサーがどうしてヒーローになったのか、どうやってヒーローになれたのか。」

 

「…分かった。出来るだけ早く会えるように兄さんに話を通しておく。具体的な日付を決めたいから都合のいい日を教えてくれ。」

 

一瞬の間があったが受け入れてくれたらしい。会えるならばこっちが強引に予定を空けるからいつでも構わないと伝える。ヒーローはいつ何があってもおかしくない仕事だから。まあヒーローとして極めて優秀で未来視をもつサーに何か起こることなんてそうそうないと思うけど。

 

 

父さんにサーとの面会を依頼してからわずか数日、僕はサーの事務所に足を踏み入れていた。

 

「こんな早く時間を作ってくれるとは思いませんでした。ありがとうございます、サー。」

 

「弟から話は聞いている。お前が再びヒーローを目指すとな。」

 

最後に会ったのは中学二年の正月頃、その時はヒーローを目指して、彼女と最高のヒーローになるものだと思っていた。

 

「目指すところは同じでも、最後に会った頃とは変わってしまったか。」

 

慈しむような表情で頭を撫でられる。目線が交わる。事務所の応接室に通される。

 

「どうして私がヒーローを目指しそれになったかを知りたい、と聞いている。」

 

だがそれが目的ではないのだろうと言外に語る。

 

「ええ、未来と過去、個性の方向性は違いますけど僕とあなたの個性は同じ類のもの。人の汚い部分を覗き視る個性。それを知りながらヒーローを目指すなんて正気じゃないと思います。」

 

「だがお前は自身がヒーローを目指す理由を見つけたからヒーローを目指しているのだろう。私がヒーローである理由など聞く必要があるのか?」

 

「ええ、必要ですよ。今後くじけそうになった時にその理由が諦めない理由になるかもしれない。」

 

「諦める可能性を考えるような半端な覚悟で目指す物ではないことくらいお前は知っていると思っていたが。人払いはしてある。目的を話せ。」

 

逃がしてくれたりはしないようだ。二年前の時点で相棒だったと聞いているセンチピーターがいない。解雇したということも考えられるがこの事務所を見れば彼でなくとも相棒が二人はいるだろう。この人の相棒とはこれから大変だろうな。

 

「すいません、それ口実です。」

 

観念して両手を上げる。

 

「だろうな。直接見て確信したが今のお前がヒーローを目指す理由を求めているようには思えん。」

 

「お気遣い感謝します。流石ですね。未来視の個性なんてなくてもあなたは未来を高精度で予測できる。」

 

「結果を知る個性を持ったために予測能力が発達したというのは皮肉だがな。」

 

「ええ、ものすごい皮肉だと思います。ユーモラスでしょう?」

 

「ブラックだがな。」

 

此方はにこやかに話しているのにサーは相変わらずの仏頂面だ。でもそんな益体もない会話に逃げていたいと思えるほどにこの人との時間は大切で、()()()()()()()()()

 

「あの、一応確認するんですけど、僕のこと視ましたよね。」

 

「ああ、信じがたいことだがな。私は近いうちに死ぬらしい。でもそのおかげでお前の心の内をすべて知ることができる。」

 

ああ、この人は本当に視たんだ。それでいてどうしてこの人はこんなに普通にしてるんだろうか。

 

「死ぬことに対して心当たりがあるんですか?」

 

「ヒーローをしているんだ。心当たりには事欠かない。どうして死ぬのかも、まああたりはついてる。それに私が死ぬ未来が見えたということは私が死ぬ価値があったということが保証されてる。」

 

サーが死に確かな意味があるならばサーはためらわないだろうが、サーが死ぬことに意味が無かったりあるいは薄かったりすればサーは間違いなく死を回避するように動くから死ぬ未来は視えない。だから死ぬ未来が視えたというのはサーが死を受け入れて納得の上で死ぬことを意味する。それが()()()()()()

 

「お前がここに来た目的もそれが既に達せられたことも未来視で視た。であれば二年振りに会ったんだ。お前と談笑しながらどうしてそんな風になったのかを聞くのも悪くない。心配するな。他言はしない。そうしないと話を聞き出す未来は視えないからな。」

 

「どこまで未来を視たんですか。」

 

「お前が私の死を聞かされるところまで。」

 

「…普通はそんなあっさりと受け入れられませんよ。」

 

「私の個性が発現したのは四歳の頃だ。それから今まで、自分の未来を視る力がありながら、それをただの一度も自分に対して行使しなかったなんて、そんな非現実的なことがあると思うか?」

 

「…ッ!」

 

自分の過去を視るなんて考えたこともなかった。当然だ。自分の過去は自分が全て体験していることなんだから。だけれども未来ならば話は全く違う。未来視の個性を持っていながら自分の未来を覗き視ないなんてことができる人間なんて存在するわけない。個性は()()()()()()()()()()()物なんだから。自分の未来を知ってしまう行為がどれだけ恐ろしく空虚なものか、それを理解するころには全てが手遅れだ。

 

(この人はあっさり受け入れたんじゃなくて何十年もかけて飲み込んだんだ。)

 

今ならこの人のユーモアに対する執着も理解できる。終わりを知ってる人生で少しでもそれを忘れさせてくれるようなユーモラスな出来事、それに縋りたくなる。

 

「そ、ん、な…」

 

「お前が共有(リンク)して使おうとしている個性はそう言う個性だ。」

 

共有(リンク)は共有する個性、五感を共有すると先生は言ったが、僕はこうも思ったのだ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と。結果はうまくいった。個性を僕とサーに共有した。今の僕は未来視も使えるしサーは過去視も使える。だけど。

 

「お前はもう突き進むことしかできない。」

 

こんな残酷な真実を知ることになるなんて誰が予想できた?

 

「だから必ず成し遂げろ。お前が目指す社会を必ず実現するんだ。」

 

視線が合わさる。サーの瞳が変色する。僕の過去を全て視れるようになる。

 

「その社会が実現するその時まで諦めることは許されない。その過程で死ぬことになろうとも。」

 

視られたのだろう。僕が人殺しをしたことを。正義のために警官二人とトリオ・セーフティの二人を殺した。違う本当は分かってた。あの時、ステインに会いに行った日から目をそらしてごまかし続けてきただけだ。

 

「お前はもうとっくに一線を超えてるんだからな。」

 

僕は大義を盾に人殺しを強行したただの異常者だってことに。




”未来視の個性を持っていながら自分の未来を覗き視ないなんてことができる人間なんて存在するわけない。”この話を★があるうちに読んでしまったあなたはこれを否定することはできませんよね?

さて後書きでもこれを読んでしまった読者様に追撃します。この話が★があるうちに読めない理由は共有(リンク)が個性にも使えるという点になります。今の佐々木は既に未来視を使えてやばくねってなるわけですがこれを使えばそう、新秩序も抹消も何ならOFAも触れるだけで使える。やばいですね。これを切り札として使った次の話に読んでくださいってする予定です。
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