あり得ないはずの最悪が起こってそれを起点にいくつも視えていた未来が一本にまとまった。かと思えば未来が視えなくなった。予知の個性は消えたのだ。きっと風前の灯火だったんだろう。だから最後に未来を確定できて、問題はその確定した未来の先が僕の最も望まない形だったこと。
「ああくそっ!僕が静観してれば上手くいくはずだったろうが!どうしてこんなことになってるんだよ!」
郡訝山荘、そして蛇腔病院での戦いに僕が関与すればなぜだがヒーロー側の対応のほとんどが後手後手になって死殻木が完全体となりAFOが魔王として君臨する最悪の未来が視えた。すべての個性をその身に宿せるようになったのだから僕という戦力はただコマとしての動きだけでも相当強力でそれを利用すればこの全面戦争でヒーローの信頼を地に落としつつ完全体死殻木復活を阻止しAFOを幽閉し続けることは可能だと思っていたがうまくいく可能性は全く視えなかった。だかある日、それがうまくいく可能性を視れた。それを視たときの僕の驚愕は言葉に表せるようなものじゃない。なぜならその未来の実現に僕はいなかったから。僕がこの全面戦争を静観する。それこそが僕の望む社会の実現を為せるマスターピースだったんだ。だったはずだ。
「なんで死殻木が復活するんだ。そんな未来は視えてなかった。ただの一度も!」
全面戦争を静観する未来で死殻木は一度も復活していない。百をゆうに超える可能性を視て一度もだ。
「佐々木君!こんな時にさっきから何を言ってる!そんな力を隠し持っていたなら今は非常時だ、悪いけど力を貸してくれ!」
物間の声に冷静さを多少取り戻す。そうすればぎりぎりと痛む両腕に意識が移った。脳無、ニアハイエンドのパワーは獣化+シュガードープでは抑えられるようなものじゃない。でもこいつに触れた。だから僕の身体強度はこいつに匹敵出来る。
「
脳無の個性因子を僕と共有する。そうすれば僕は脳無の個性を利用できる。ハイエンドには筋肉増強に超再生、飛行能力を含めた機動力を得るためのジェット、そして体をある程度自由に変形できる変態が基本として組み込まれてる。それからはその個体に合わせた個性のコピーを殻木先生が見繕って与えている。それはニアハイエンドも同じ。そして、その基本四つの個性は使うこともあるだろうと想定してきた。
「+筋肉増強!」
「グギャアア!」
オリジナルやハイエンドほどは使いこなせないかもしれないが、思考能力を持たないニアハイエンドよりは格段に使いこなせるぞ。
BAAN!!
一度抑え込んで物間に向き直った。
「詳しく説明する時間はない。さっきも言ったけどありえてはならないことが起こった。だから僕はこれからヒーロー側を全面的に支援する、その手始めに君をスーパーヒーローにする。」
「なに言ってんのさ…?」
僕と脳無に触れてと言うがすぐには受け入れてくれない。けれどきっと大丈夫という確信がある。なぜなら君は
「
言ってたもんな、効果が残るものもあるって。
「三ヶ月程度しかもたない魔法だけど使いこなしてくれ。この場はまかせた。」
君は雄英で僕が最初に認めた本物の内の一人だから。
ちなみに痛覚無効の個性を脳無は持ってません。脳をいじる過程で殻木先生によって痛覚を感じないように改造されているという解釈をしているからです。