内通者   作:三軒過歩

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さて、物間くんは脳無基本スペックの個性とコピーした個性の併用はできるという設定で行きます。なので再生しながらジェットで飛びながらワープできます。ですがワープしながら抹消は出来ません。


内通者の切り札2

「フィィィクサァァア!!」

 

物間がそう叫びながらAFOが呼び出した敵達の前に大量のワープゲートを開いていく。

 

「仲間を呼ばせないための保険はかけてきたつもりだったんだけど、そう来るか。でも僕達の前にワープゲートを使うのはリスキーじゃないかな。そのゲートは途中で閉じればどんな超人でも真っ二つだよ?」

 

AFOがそう言う言葉の先には佐々木がいる。佐々木が共有(リンク)した個性の中には抹消がある。佐々木が目線を物間に移せばヒーローは半壊する。

 

「はーはっはっはっはあ!」

 

一番最初に物間がワープさせたヒーローはイレイザーヘッド。全面戦争からのわずかな時間でワープゲートの大量同時使用に、イレイザーヘッドを佐々木の前にワープさせるコントロールができるまでに鍛え上げた。オリジナルを超える練度を、身に着けた。全ては佐々木が物間を視るよりも早くイレイザーヘッドが佐々木を視るために。

 

「今度こそこっちが奪う番」

 

イレイザーヘッドの宣言と共に誘導檻が起動する。一瞬で破壊される程度のものでしかないけれど、その一瞬が必要だった。散らして嬲り殺す、USJで黒霧がやったことを今度は物間がやる。大半の敵を散らし、イレイザーヘッドを空飛ぶ雄英高校に飛ばした。

 

「さて、僕が打倒すべきは…ああうんやっぱりそこだよね。」

 

通信を受けて物間自身がワープゲートで移動する。覚醒した死殻木、敵の親玉のAFO、そして個性を全面戦争でかたっぱしから共有(リンク)した佐々木、彼等三人をどう抑え込むかがこの戦いのカギになる。死殻木はOFAが、AFOはNO.1ヒーローがそれぞれ受け持って、そして佐々木を止めるのは

 

「き…」

 

「君の相手は僕だよ佐々木過渡君」

 

彼の切り札だ。イレイザーヘッドの抹消が残っているうちに自身も佐々木の個性をコピーした抹消で消す。その時点で勝敗はほぼついてる。

 

「…脳無」

 

佐々木がそう言葉を発すると佐々木が近くに侍らせていた脳無が三体それぞれ襲ってくる。

 

「来ると思ってたって顔だね、数ヶ月ぶりに再会したんだ、少しは会話に応じてくれてもいいじゃないか。」

 

脳無の個性を抹消で消す。抹消が使える五分が勝負だと、気を引き締めなおし筋肉増強で目の前の一体との鍔迫り合いを制し、筋肉の盾で脇二対の脳無の攻撃を受ける。すぐに筋肉を張り直し、

 

「ッ!」

 

変態で体をあらぬ方向にまげて佐々木の蹴りを躱す。

 

「君は抹消の前では脳無のようなパワーをだせないでしょ。そんな蹴り技効かないよ?」

 

洗脳を警戒しているのか、物間に対して答えることはない。抹消を使わなければ三体を相手できないため洗脳など使うわけもないが反応は帰ってこなかった。抹消が解かれたとき、佐々木は何体もの脳無の個性を重ね掛け出来るために、そのパワーは物間やハイエンド脳無をはるかに凌駕する。

 

(こっちの基本スペックはハイエンド一体分しかないんだから、無茶言うよね。)

 

ヒーロー側の戦力が圧倒的に足りなかった。五分以内に片づけられなければ間違いなく殺される相手に物間が単身勝負を挑むようなことになっている。でもそれは当然勝算があるからだ。脳無の一体をジェットの噴射で吹き飛ばし、他二体と佐々木を置き去りに肉薄する。

 

「スーパーヒーローにしてくれたことだけはッ!」

 

ジェットによる加速と筋肉増強で強化してさらに変態の伸縮性を利用して振りぬく右拳で脳無の一体の脳みそを潰す。

 

「感謝してるよ。」

 

嫌な感触が右手に残る。屍といえども生ける者を殺した感触。その余韻に浸る余裕なんてない。置き去りにした二体の脳無が襲ってきたから。

 

「例えそれが一時的なものに過ぎなくても。」

 

疲労の蓄積した筋肉を張りなおして、脳無の攻撃を受けとめる。個性無しに常人よりはるかに強いパワーを持っていてもあくまで常人基準。異常な強さに両足突っ込んだ脳無の個性群を共有(リンク)した物間なら個性を使えない脳無なんて五分あれば十分だ。

 

「…下がれ」

 

二体目を殺そうと動き出す前に佐々木が脳無を引かせた。佐々木を主軸にした陣形にしていくその様を見て物間に疑問符が出る。佐々木にとっては一度攻撃がかするだけでも致命傷、なのに脳無を主軸にしない理由が分からない。

 

「手加減はしないよ。無事では済ませない。降伏宣言なら受け入れるけど。」

 

物間の出せる最大限の譲歩。降伏するのならばまだやり直せるように力を貸すくらいはやっても良い。もちろん贖罪を果たしてからの話だが。でもその言葉に佐々木は応えない。

 

「残念だね。今ならまだやりようはあったのに。」

 

その場にいなかった物間は知る由もないが、かつてホークスがトゥワイスに向けてかけた言葉。彼の持つ超強力な倍化という個性を公安という特殊な環境で生かす道があったから、犯罪者にも手を差し伸べられた。佐々木も同じだ。超強力な個性を生かす道があった。本人にその意志があれば。

 

佐々木が飛び込む。それを正面から叩き潰そうとして、躱される。筋肉増強で面の広い範囲攻撃を佐々木は近接距離で全て紙一重で躱して見せた。速度が足りないのかとジェットを使った高速の攻撃も佐々木は躱す。

 

(おいおいおいおい!)

 

変態を絡めたトリッキーな攻撃も三つを掛け合わせた普通は対応できないほどの攻撃もかわしてしまう。

 

「グギャッ!」

 

人の構造上対応できないような飽和攻撃は脳無が盾になる。飽和攻撃は脳無に致命傷を与えるに至らず、時間だけが過ぎていく。

 

「行け」

 

「ぐっ!」

 

佐々木と脳無を引きはがそうとすればその一瞬の隙を突かれて脳無の攻撃が物間を穿つ。その瞬間に抹消が一瞬綻ぶ。慌てて再び抹消をかけた。

 

「ッ!」

 

(あっぶな…!)

 

ダメージはすぐ再生する。今最も恐れるべきは抹消を逆にかけられること。だが、その現実が刻一刻と迫ってきているのもまた事実だった。コスチュームに付けた時計が残り時間のアラート音を鳴らす。

 

(このままじゃどっちにしろ時間切れで殺されるか。大丈夫、僕には超再生がある。抹消されなきゃ殺されない。大丈夫だ、うまくいく。)

 

自分に暗示をかけるように心の中で呟いて、ジェットで佐々木の視界から外れる。脳無を目隠しにペルソナコードを引っ張ってこようとワープゲートに手を突っ込んで。

 

「ッ!」

 

目の前に佐々木がいた。気づくや否や右腕が引きちぎれるのも厭わず抹消に切り替える。また何とか先んじて抹消を仕掛けられた。

 

「痛ッたああ!」

 

こうも連続して先手が取れることに対する違和感を痛みかき消す。実際にそんな違和感を気にしている暇はないというのも事実だ。再生が始まって引きちぎられた部分から組織が復活し始める。ペルソナコードは第一案、これを囮にした作戦も用意している。短い残り時間で仕掛けなければ、上手くいかなければ勝機はない。痛みをこらえて変態を発動させた。

 

(ずっと、誰かをコピーして生きてきた。真似るという行為は僕の人生そのもの。食らってもらうぞ。佐々木)

 

「佐々木に敵対しろ!」

 

声帯の形を変える。佐々木の声をコピーする。脳無は指示がなければ動かない。佐々木の声をコピーしたことに依って彼我の戦力差は完全に入れ替わる。脳無は物間との指示の奪い合いになって機能しなくなり、脳無の個性を使える物間と、抹消されて個性を使えない佐々木の一対一の構図を作り始める。すかさず佐々木が指示を上書きした。

 

「二分間これ以後の指示を聞かず待機」

 

対策が早いと舌打ちをする。しかしそれでも指示を細かく出せなければ佐々木がさっきまでやっていたような佐々木を主軸とした戦いができない。待機ではなく突撃を命令するかと思ったが意外なことに佐々木は物間が用意した一対一の土俵に上がってきた。願ってもない展開だと佐々木に相対する。

 

「出来れば気絶で済ませたいな!君に言いたい事を抱えてるやつがたくさんいるからさ!!」

 

最後通告、抵抗しなければ力の加減を間違えないで、確実に生かしてこの戦いを終わらせるという物間の慈悲。それを佐々木は受け入れない。放たれた蹴りを増強した腕で受ける。増強しているはずなのに、衝撃が通ってくる。魅了されてる状態だと取蔭から聞いている。こちらに対する反応がほとんどないのもそのせいだろうし合同訓練の頃からの成長を加味しても考えられないほどのパワーが出ているのもそれの力なのだろう。

 

「恨んでいいから」

 

この戦いで今の物間が佐々木を殺してしまわないように躊躇や力の入れすぎによる反動で全力を発揮できないでいるのと全くの逆で、彼にはそう言う躊躇を魅了によって消され、反動を無視したような動きを実現している。身体能力が極限まで極まっているようなそんな動き。生半可な攻撃は通用しないから人間が反応できないような攻撃を四肢を吹き飛ばすような威力をもった攻撃を振るう。もう最後の通告はしたのだから。

 

ドンッッ!

 

戦場に鈍い衝撃音が響いた。




こう、全てがうまくいかない感じ、最高ですー。
ちなみに単純なパワーは
抹消された佐々木<抹消されたハイエンド<物間<ハイエンド<<抹消されてない佐々木
となっております。
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