「今までお世話になりました。」
「何言ってるのよ。家族なんだからそんな他人行儀でなくていいのに。いつでも帰ってきていいからね。」
そう言ってくれているけど多分ここに戻ってくることはないと思った。孤児院の弟妹達の面倒はあれからほとんど見なかったから、きっと子供たちから歓迎されない。
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「こんにちは、先生。こんなところでお会いできるとは思いませんでした。」
十八になるまで会っていた僕を形作ってくれた恩師。孤児院を出てお別れになる前に最後に挨拶をしてからあっていなくて、会うのは五年振りだった。社会人として働くのにもようやく貫禄が付き始めてきた頃。新しい取引先の会食の場だった。
「僕も驚いたよ。名前を見た時にもしやと思ったんだけど、会ってみるまで確証はなかったからね。」
知り合いなのかと聞いてきた先輩に首肯し、先生と久々の再会を喜び合った。先生が多芸でいろんな顔を持っていることは孤児院にいた時から感じていたことではあるけれど、それでもここまでのキャリアを持った人だとは思わなかった。
「これからは先生としてではなく、対等な関係としてよろしくね。長い付き合いになるだろうし。」
取引もうまくいった別れ際先生にそう言われてすごく嬉しかった。憧れの人に認められたようだったから。
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偶然を装った仕組まれた再会、志村の唯一の血縁にして、オールマイトへの嫌がらせの一つ。
「少年だった君ももう結婚か、早いものだねえ。」
再会したときから続いている志村の息子との付き合い。
「へえ、僕の会社の社員か!世間は狭いね。」
白々しくも驚いて見せる。彼の価値観を塗り替えないような人を僕があてがった。出会ったあの時から彼のオリジンを僕の都合のいいようにした。彼は何一つ自分で選んでいない。自身の伴侶でさえも。
「是非結婚式に招待させてください。僕の…」
言葉を飲み込んだ。そのおかげで噴出さずに済んだ。ああ確かにそうだ。君を新たに生まれ直させた。そう言う意味では僕は君の親としてふさわしい。あまりにも皮肉が効きすぎている。
「君が少年だった頃からの付き合いだ。もちろん出席するよ。奥さんとも縁がないわけじゃないしね。」
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事あるごとに彼は僕に報告してきた。娘が生まれたこと、会社を辞めて独立したこと。事業がうまくいって義両親と一緒に住み始めたこと、息子が生まれたこと。
「へえ、この子が長男、名前は転弧君か。いい名だね。」
無個性は個性の耐性が優れていることは知っていたから、裏から経済的に支援した。おかげで二十代の若さで相当の資産を手に入れて、第二子が生まれるのも早くて、正直四人くらいまでなら産ませるよう仕向けるつもりで、うまくいかなくても仕方ないと割り切っていたが第二子にしてあたりが生まれてくれたことに僕は歓喜する。
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「転弧君もそろそろ個性が出てくる頃かな。どんな個性か楽しみだね。」
「別にどんな個性でも構いませんよ。どんな個性でも大切な息子、ヒーローになるわけでもないんですから。」
志村家にお邪魔して、転弧君の様子を確かめに来た日のこと、そして、彼を僕の後継にする始まりの日。
「そうだね、この子にはちゃんと親がいるのだから、
順調にヒーローに対する険悪が育っていることに微笑みながら、彼に崩壊を与えた。
正直この話と前の話を分ける必要なかったかなって今にして思ってしまいました。