どうしてこの場所が分かったのか、その答えは後ろに控える者を見て氷解する。
「日色、君も内通者だったわけだ。」
「あの人のお気に入りのお前とは違うよ。俺の変わりはいくらでもいた。」
バツの悪い顔で首肯する。
「この戦いは敵側が勝つと思ったんだけどな。雄英に居ながらヒーローを信じられなかった。そんなだから魔王に見初められたんだろうけど。俺に残るのは犯罪歴だけだよ。」
座標の個性、反応を見ればそいつの状態もある程度分かるようで、そんな風に話す。
「お前が悪人になりきれないから、僕の親友になれたし、佐々木過渡にとってはマシな最期を迎えられる。不誠実だけれど感謝してるよ。」
内通者としての佐々木過渡にとっては相応しくない死に様であろうが、少なくともただの佐々木過渡にとって死に際を看取ってくれるものがいるって言うのは救いだった。そんな親友との気兼ねすることのないぬるま湯のような時間に浸かっていたかったけれどもそう言うわけにもいかない。
「死んで逃げるなんて許さないから。」
何を言うべきか見つからなくて、それで何とか絞り出した、そんな声音。何とか気丈に振舞おうとしていたけれど、虚勢を見抜けないほど節穴じゃない。
「心がぽっきり折れている貴方と話すことになるとは思わなかったよ。」
僕の中で絶対的な英雄の象徴として緑谷出久と並ぶ存在、それが印照才加だった。高潔な精神にただの人をヒーローのように動かせるブレインとしての適性。そんな僕に見えていた最強の印照才加は、能力はともかく精神は等身大の少女でしかなかったみたいだ。
「わざわざ虚勢張ってるんだから、つついてこないでよ。」
「理想を演じてくれるのは嬉しいけれど、無駄なことはやめなよ。君は僕の望む
少なくとも今は、と心の中で付け足す。
「あなたはは私の指標だった。
最後の一言が祈っているように聞こえた。その言葉にハッとする。そうだ、そんな自信家で、周りも見えてて、僕なんかに手を差し伸べてくれた、そんな君だから、僕は…
視線を交わして思念を再現する。僕の考えた最強の印照才加の人格を印照才加に送り込む。
「大丈夫だよ印照才加、君は最高のヒーローになれる。」
ーーーその隣に君もいて欲しかったのに。
意識が飛びかけていたからそれが彼女が発してくれたのか、幻聴なのかもう分からないけれど、間違いなくその言葉は自分を救ってくれた。もう時間はほとんどないのだろう、最期に何を言い遺すか考えて、
「さよなら、
そうして内通者、佐々木過渡はこと切れた。
これで本編完結です。ヒーローは敵がいる限り何度だって限界を超えるので、内通者が一人ヒーロー側に加勢しようが大筋に変化はありませんでした。なんなら死者は本編より多くなってますし、そうなるよう意識して書いたわけではありませんが、佐々木過渡君はいない方が良いという結論になって正直満足してます。彼は悪人ですから。私は佐々木過渡君大好きですけどね。
さて、完結しましたのでよろしければ評価感想お願いします。低評価や批判的な意見であっても全然かまいません。次回作の参考にします。
ではではここまでお読みくださりありがとうございました。