思ったより長くなってしまったので前後編に分けます。
そしてもう9月中旬なのにお祭りかよーと思ったそこのあなた!
現実ではまだ暑いので実質夏です。(暴論再び)
〜前回のあらすじ〜
彩、つくし、七深の提案で海にやって来た透哉、一斗、彩、ましろ、花音、七深、つくしの7人。
ボール遊びをしたり砂でお城を作ったり、楽しい時間を過ごす透哉一行だったが、海の家にて七深は、海に来た本当の理由を思い出す。
そのことを伝えられた彩とつくし、そして七深は、本格的に『透哉を1000%の恋愛脳にしちゃおう大作戦』の実行に移り、その第一段階として透哉とましろを二人きりにすることに成功。
そこまでは良かったのだが、透哉とましろのすれ違いにより、作戦は大失敗してしまう……。
【ファミレス】
彩「今日は集まってくれてありがとね、友希那ちゃん、紗夜ちゃん。」
友希那「本当に驚いたわ。事務所から出たタイミングで丸山さんから連絡が来るんですもの。」
紗夜「まるで見計らったかのようなタイミングでしたよね……。分かっていたんですか?私達があの時間に事務所から出てくることを……。」
彩「……ふっふっふ。その通りだよ紗夜ちゃん。私は2人のことを、いつでもどこでも監視して…「ふざけてる場合じゃないよね、彩ちゃん♪」ニコッ な、なんて!たまたまだよたまたま!あはは……。」
紗夜「……ですよね……。」
友希那「仮に本当に監視していたのだとしたら、驚きを超えて恐怖よ。」
彩「あ、あはは……。いや!笑ってるけど本当だからね!?本当にたまたまだからね!?監視なんて全くしてないからね!?」
紗夜「分かりましたから落ち着いてください。疑ったりなんてしていませんよ。」
彩「……ほんと?」
友希那「ええ、本当よ。……それで?急に私達を呼び出した理由は、何なのかしら?」
花音「それが……透哉くんとましろちゃんのことについてなんだけど……」
紗夜「鑑さんと倉田さん、ですか?」
花音「うん。実はこの前ね……」
友希那「……なるほど、話は分かったわ。」
彩「! じゃあ…「待って。」?」
友希那「"話は分かった"とは言ったけれど、"それを引き受ける"とは言っていないわ。」
彩「そ、そんな〜!」
友希那「……確かに、透哉には反吐が出るくらい呆れるわ。彼が鈍感なのは知っていたけれど、まさかここまでとは……。はぁ……。」
花音「そこまで……。」
紗夜「大きなため息ですね……。」
彩「でも、あれはため息もつきたくなるよ!あれだけ意味深な喋り方してたのに、結局それは全部仮面ライダーのことでしたーなんて。それは誰だって呆れもするよ!膝から崩れ落ちそうだったし、流石の私も幻滅したもん!」
紗夜「丸山さんにそこまで言わせるとは……。恐るべし鑑さんですね……。」
彩「ねぇ友希那ちゃん、どうしてダメなの?やっぱり、友希那ちゃんも透哉くんに幻滅したから?」
友希那「……じゃあ、逆に聞くわ。」
彩「え?」
友希那「どうして私がそこまでしなくちゃいけないの?これは透哉と倉田さんの問題でしょ?そこに深く関与しなくちゃならない理由が、どこにあるの?」
彩「うっ、そ、それは……」
紗夜「……」
花音「……理由なんて、決まってるよ。」
彩「! 花音、ちゃん?」
友希那「……」
花音「二人を……応援したいから。勇気を出して告白したましろちゃんと、告白されたけど鈍感な透哉くん。一見合わなそうに見える二人だけど、お互い心の中ではすごく信頼しあってる。ましろちゃんは透哉くんのことを本当に尊敬してて……透哉くんはましろちゃんのことを、本当に後輩として可愛がってて……。それは、第三者の私達から見ても分かるでしょ?」
彩・紗・友「「「……」」」
花音「この前、ましろちゃんに聞いたんだ。"透哉くんのこと、好きなんだよね?"って。そしたらましろちゃん、"透哉先輩は私のヒーローなんだ"って。いっしょにいると楽しくて、時間が経つのも忘れて、カッコよくて、面白くて、優しくて……って。すごく嬉しそうに話してたの。」
紗夜「鑑さんが、倉田さんのヒーロー……。」
彩「そんなこと言ってたんだ、ましろちゃん……。」
友希那「……」
花音「そんなましろちゃんを見て私、改めて思ったの。……幸せになって欲しいって。透哉くんのことを好きになってくれたましろちゃんのことを、心から応援したいって。」
彩「花音ちゃん……。」
花音「……それが、私が二人の問題に関与する理由。」
紗夜「……湊さん。」
友希那「……」
花音「……だからお願い、友希那ちゃん。二人を、恋人……とまではいかなくても、そこに近しい関係にするために、力を貸して。その日も私が行ければ良かったんだけど、バイトが入っちゃってて……。だから、これを頼めるのは、あのとき……クリスマスのあの日に同じ場所にいた、友希那ちゃんと紗夜ちゃんしかいないの!」
彩「……私からもお願い!元はと言えばつくしちゃんと七深ちゃんと私の三人で始めたことだから、最後まで力を尽くしたかったんだけど、その日はパスパレの仕事があって……。でも、私からしたら透哉くんとましろちゃんのことも同じくらい大事なの!だから……二人に、私の想いを託したい!」
友希那「……」
彩・花「「お願い!友希那ちゃん!!」」
紗夜「……」
彩・花「「……」」
友希那「……
全く、私達にも仕事があったら、とは考えなかったのかしら。」
彩「! そ、そっか……完全に忘れてた……。」
花音「私も……。ごめん友希那ちゃん、自分のことばかりで、考えも…「何か勘違いしていないかしら?」ふぇ?」
友希那「私は"仕事があったら"、とは言ったけれど、"仕事がある"、とは言っていないわ。」
彩・花「「……!じゃあ……!」」
友希那「ええ。引き受けるわ、その役割。ちなみに紗夜は……」
紗夜「右に同じです。」
友希那「だそうよ。」
彩「〜〜!!ありがとう〜二人とも…「やめなさい。」テノヒラガード ぶへっ!」
紗夜「嬉しいのは分かりますが、時と場所をわきまえてください。」
彩「うぅ、紗夜ちゃん辛辣〜……。」
紗夜「当然の反応です。」
花音「(確かにこんなところで抱きつくのは、危ないし、恥ずかしいよね……。)アハハ……」
友希那「(紗夜が止めてくれて良かったわ……。)」
彩「……そ、それじゃあとりあえず、作戦会議しよっか。」
花音「! そうだね。この前の二の舞にならないためにも、しっかりと話し合いをしておかなきゃ。透哉くんを、恋愛脳にするために。ましろちゃんを……悲しませないために。」
友希那「(……承諾しておいて難なのだけれど、作戦名もう少しどうにかならなかったのかしら……。)」
紗夜「……湊さん。」
友希那「何?紗夜。」
紗夜「今回二人からお願いされた役割……最初から引き受けるつもりだったんじゃないですか?」
友希那「……何のことかしら。」
紗夜「ふふっ。」
〜数日後〜
ワイワイガヤガヤ
ワイワイガヤガヤ
……すげえ人の数だな……。
混むんだろうなとは思ってたけど、これはちょっと予想以上だ……。
一斗「いやー、まさか海だけじゃなく祭りにも誘ってくれるなんてな〜。ほんと、つくしちゃんと七深ちゃんに感謝だよ!」
透哉「ああ、そうだな。」
こいつの言った通り、俺達は今夏祭りに来ている。
海のときと同様つくしと七深が誘ってくれたのだが、本人達はまだ来ていない。
理由は単純、待ち合わせをしているからだ。
今俺と一斗がいる、『夏祭り』と大きく書かれた看板を目印に、あと5分後に待ち合わせをしているのだが、どうやら俺達のほうが早く着いてしまったらしい。
一斗「なぁ透哉、やっぱみんな、浴衣着て来んのかな?だとしたらマジテンション上がんねえか!?」
透哉「いや、俺は別に…「はぁ〜!?浴衣姿でもなんとも思わねえのかよ!?周りにこーんないっぱい浴衣着てる女の子がいるのに!?」そういうこと大きな声で言うなバカ!!だから思わねえって。浴衣着てるなーぐらいにしか。」
一斗「……俺、お前が本当に男なのか疑うレベルで心配になるよ。どんなやつでも、ほんのちょっとは浴衣良いな〜とか思うもんだぞ?」
透哉「そういうものか?」
一斗「そういうものなんだよ!はぁ……。そんなんだから前みたいにましろちゃんに引っ叩かれたりするんだよ。」
透哉「!!」
一斗「しかし、あのましろちゃんにあそこまで強く引っ叩かれるなんて、相当だぞ?どうしたらそこまでの超鈍感男になれるのか……って、聞いてるか透哉?……透哉?」
透哉「……」
一斗「……もしかしてお前、落ち込んでんのか?」
透哉「そう見えるか……?」
一斗「あ、ああ。」
透哉「……あのことがあってから、ましろのことを思い出すたびに頭によぎるんだよ。……あのビンタ、痛かったなぁって。」
一斗「……まぁ、誰だってビンタは痛…「いや、そういうことじゃないんだよ。」は?じゃあどういうことだよ。」
透哉「物理的な痛みももちろんあった。でも……あれからずっと続いてる痛みがあってさ……。」
一斗「……それって……」
透哉「……こ…「おーい!透哉先輩!一斗先輩〜!」!?」
一斗「お、ようやくご到着か……って、おぉ〜……!」
つくし「遅れてすみませーん!」
七深「しろちゃん、大丈夫?どこか痛い?」
ましろ「……ううん。大丈夫……。」
紗夜「……「夏祭りって聞いて予想はしていたけど、それ以上ね……。」! そうですね。はぐれないよう、気をつけて行動するようにしましょう。」
一斗「み、みんな浴衣だ……。可愛い……あと美しい……。」
透哉「それ、友希那と紗夜の前では言うなよ?絶対変態扱いされっから。」
一斗「何でだよ!」
つくし「ふぅー、疲れた〜。」
透哉「お疲れ。」
七深「いやー、まさか先輩達のほうが早かったとはー。」
友希那「よほど楽しみにしていたのね、夏祭り。」
透哉「そういうことにしといてくれ。」
今回夏祭りをいっしょに回るのは、俺と一斗、そしてつくし、七深、ましろ、友希那、紗夜の7人だ。
本当は友希那と紗夜は来る予定はなく、前に海に行ったメンバーで回る予定だったのだが、彩と花音が仕事やらバイトやらで来れなくなったため、代わりにこの二人が来ることになった。
しかし、よくこいつらが来る気になったよな……。
彩と花音、いったいどんな裏技を……。
一斗「紗夜さん……その浴衣、すごい似合ってますよ。」
紗夜「あ、ありがとうございます……。」
あ、こいつ、言ったそばから……。
友希那「一斗、そんなジロジロ見ていると変態みたいよ。」
一斗「ガーン!! お、俺、そんなつもりじゃ……」
やれやれ、言わんこっちゃない……。
……あ。
ましろ「……「よ、よぉ、ましろ。」!ササッ!」
七深「あ、ちょっとしろちゃーん。」
ましろ「……」
今、完全に無視された……。
透哉「……はぁ。」ガクッ
つくし「……元気出してください、透哉先輩。」
透哉「……」
つくし「この夏祭りで、ちゃんと仲直りしましょう。私達も協力しますから。」
透哉「つくし……。ああ、ありがとう。」
仲直り、か……。
……とりあえず、タイミングを見つけては話しかけてみるか。
つくし「よーし!それじゃあさっそく、みんなでお祭りを巡りましょう!!」
七深「オー!!……ほら、しろちゃんも。オー!」
ましろ「……お、オー……。」
一斗「変態……。俺は、変態……。」
紗夜「……」
『透哉くんを恋愛脳にする。そのためには、二人きりにするだけじゃダメ。そこに加えてもう一歩……ううん、三歩くらい踏み出さないと。』
紗夜「松原さんはああ言っていたけれど、具体的にどうすれば……。結局作戦会議でも、二人きりにさせるための案しか出なかった……。一歩……踏み出す……。」
友希那「……紗夜、難しく考えてはダメよ。」
紗夜「湊さん……。しかし……」
友希那「私達は、私達に出来ることをする。それは、この夏祭りの中で見つけるのよ。そう丸山さんも言っていたでしょ?」
紗夜「……湊さんは、上手くいくと思いますか?鑑さんを……その……恋愛…「そんなの分からないわ。」……」
友希那「分からないけれど、私はその役を引き受けると約束した。だから……私は私のやり方で、二人をくっつけてみせるわ。だから紗夜、あなたも、あなたのやり方で二人をくっつけてみなさい。それが難しいとしても、二人の背中を押すくらいのことはできるはずよ。」
紗夜「……二人の、背中を……「友希那、紗夜、早く来ねえとはぐれちまうぞー。」! い、今行きます!」
友希那「……共に頑張りましょう、紗夜。」
紗夜「……ええ。」
【射的】
つくし「えいっ!えいっ!」
七深「あちゃー、見事に全部外れちゃってるねー。」
つくし「うぅ、難しい……。」
一斗「……はぁ。」
透哉「いつまで落ち込んでんだよ……。ほら、元気出して射的やろうぜ。」
一斗「……ああ。」
紗夜「……「倉田さんは、何か欲しいものあるの?」!」
ましろ「え?あー……じゃあ、あのお菓子でも、取ろうかな。」
友希那「お菓子ね。なら私は……二つ隣の猫の置き物にしようかしら。倉田さん、どっちが先に欲しい景品を取れるか、勝負しましょう。」
ましろ「しょ、勝負ですか……!?」
紗夜「……ふふっ♪」
【金魚すくい】
友希那「……ここよ!」
ビリッ
友希那「……」
七深「あー、破けちゃいましたね……。」
一斗「よっ、と。ほい、っと。」
つくし「一斗先輩上手〜!!」パチパチパチ!!
一斗「はっはっは、見たか〜!」
透哉「一斗に、こんな特技が……。意外だよな、まし……あれ?ましろ?」
友希那「倉田さんなら、紗夜といっしょに後ろの屋台にいるわよ。」
透哉「後ろ?クルッ……あ、ほんとだ。あれは……」
【わたがし】
紗夜「倉田さんは、わたがしが好きなんですか?」
ましろ「あ、いや、特別好きってわけじゃないんですけど……お祭りって言ったら、わたあめかなって。」
紗夜「なるほど……。そういえば私も、昔お祭りでわたがしを食べたことがあります。」
ましろ「そうなんですね。……わたあめって、雲に直接触れて、しかも食べることができて……ちょっと嬉しい気持ちになれる、そんな感じがしますよね。」
紗夜「……」
ましろ「……あ、あの……私、何か変なこと、言いましたか……?」
紗夜「いえ、そうじゃないんです。私はそんなこと、考えたことなかったので……それが、いつも桐ヶ谷さんの言う、倉田さん独特の表現、なんですね。」
ましろ「ど、独特、ですかねー……。」
紗夜「……私は、良いと思いますよ。倉田さんの大事な個性なので、これからも大切にしてくださいね。」
ましろ「紗夜さん……。あ、ありがとうござ…「紗夜、ましろ。わたあめ買うのか?」!!サッ!」
紗夜「ちょっと、倉田さん!?」
透哉「……なんか、ごめん。」
紗夜「い、いえ。(……こんなとき、私はどうすれば……)」
友希那「……」
【お面売り場】
透哉「……本当に俺達も付けるのか?」
七深「せっかくのお祭りですもん!付けましょうよ〜。」
一斗「いや、でも、流石にちょっと恥ず…「透哉先輩は……これがいいかなー。そして一斗先輩はー……」……」
透哉「諦めよう、一斗。ポン」
紗夜「……やはり湊さんは、猫にしたんですね。」
友希那「そう言う紗夜は、思った通り犬にしたのね。」
つくし「二人とも、すごく可愛くて似合ってますよ!ね、ましろちゃん!」
ましろ「う、うん。つくしちゃんは……ひょっとこ?」
つくし「えへへ〜。面白いかと思って!ましろちゃんは何にするの?」
ましろ「私は……どうしようかなー……。」
友希那「……紗夜。今まさに、あの作戦を実行する絶好の機会じゃないかしら。」
紗夜「ですね。では湊さん、お願いし…「いえ、ここはあなたに任せるわ。」え?な、なぜですか……?」
友希那「ずっと悩んでいるようだったから。さっきも、わたがしに並んでいるとき、一瞬そんな顔をしていたわ。」
紗夜「! み、見ていたんですか?」
友希那「たまたま目に入ったのよ。……この作戦は、透哉と倉田さん、そこに私が入って3人で行動し、私が上手く話を繋ぐことで、少しずつ二人の仲を元に戻す、というのが目的。話し合いでは私の予定だったけど、今、その役は紗夜、あなたのほうが適任だと。そう思ったの。」
紗夜「……ですが……私に、できるのでしょうか……。」
友希那「らしくないわよ、紗夜。最初に言ったでしょう?『私達は、私達に出来ることをする。それは、この夏祭りの中で見つける』と。今のあなたの悩みの答えは、3人で行動する中で見つけるのよ。」
紗夜「……3人で行動する中で、見つける……。」
友希那「ええ。……紗夜、二人をお願い。」
紗夜「……分かりました。湊さん……あなたの役、私が代わりに引き受けさせていただきます。……鑑さん、倉田さん。」
友希那「(……あなたならきっとできるわ。後は頼んだわよ、紗夜。)」
透哉「……」
ましろ「……」
紗夜「……」
倉田さんにぴったりのお面が売っているという情報を入手したので、探しに行くという口実で、なんとか3人になることができた。
すると案の定、みんなで行こうと二葉さんと広町さんが提案したが、そこは湊さんが上手くやり過ごしてくれた。
ここまでは、しっかり作戦通り事が運んでいる。(ちなみに作戦の発案者は松原さん)
ただ……現状は見ての通りだ。
誰一人言葉を発さずに気まずい雰囲気で目的地へ向かうという、周りから見れば異様にも思える光景になっている。
透哉「……」
ましろ「……」
……どうすれば、この雰囲気を打破できるのか……。
ましろ「……やっぱり、みんなで行けば良かったんじゃ……」
! く、倉田さん……!
透哉「そ、そうだな。今からでも、あいつら呼ぶか。スッ」
か、鑑さんまで……!
これでは、作戦の意味が……。
紗夜「ちょ、ちょっと待ってください!今から呼ぶにしても、この人混みの中で連絡をするのは危険です。」
透哉「あ、それもそっか。じゃあ端のほうに…「行けると思いますか?この人混みの中。」……が、頑張れば、なんとか……。」
ドンッ!
透哉「うわっ!」
紗夜「! かが…「透哉先輩!」!」
ギュッ!……グイッ!
透哉「おっ……と。サンキューましろ、引っ張り出してくれて……。」
ましろ「い、いえ……。」
紗夜「……今のように急にぶつかられることもありますし、連絡するのは諦めたほうがいいと思います。」
透哉「だな……。」
ましろ「……!サッ!」
透哉「あ、そっか手……。」
ましろ「……」
紗夜「……二人とも。」
透・ま「「?」」
紗夜「こうしませんか?」
透哉「……」
紗夜「……」
ましろ「……///」
ギューッ
紗夜の提案で、3人手を繋いで行動することになった。
確かにはぐれたりすると危ないし、こういう人混みの中ではこうしたほうがベストかもな。
……だけど……。
ましろ「……」
ましろと手を繋ぐのは、気まずいな……。
さっきは俺を助けるために、咄嗟に手を握って引っ張り出してくれたんだろうけど、その後すぐに離されたからな……。
それを思うと、今のこの状況も……。
紗夜「(……とりあえず、鑑さんを真ん中に、両側で私と倉田さんがそれぞれ手を繋ぐという手法に出ましたが……これで、良かったのでしょうか……。それにしても、さっきの倉田さんの行動……。)」
ドンッ!
透哉『うわっ!』
紗夜『! かが…『透哉先輩!』!』
ギュッ!……グイッ!
透哉『おっ……と。サンキューましろ、引っ張り出してくれて……。』
ましろ『い、いえ……。』
紗夜「(私より先に反応し、かつ手を握って引っ張り出した。腕を掴んで引っ張ることもできたのに……。そんなことができるということは、倉田さんは……きっと……。)」
透哉「……し、しかし、ましろにぴったりのお面って、どんなのなんだろうな?やっぱりふわキャラとかかなー。」
ましろ「……」
透哉「……はぁ。」
紗夜「(鑑さんも、ことあるごとに倉田さんに話しかけたりしている。気まずいとは思いつつ、やはりこの人も……。)」
透哉「……」
ましろ「……」
透・ま「「(……はぁ。)」」
紗夜「(……こういうとき、私は二人に何て声をかけたら……。)」
『……紗夜、難しく考えてはダメよ。』
『私は私のやり方で、二人をくっつけてみせるわ。だから紗夜、あなたも、あなたのやり方で二人をくっつけてみなさい。それが難しいとしても、二人の背中を押すくらいのことはできるはずよ。』
紗夜「(……難しく考えず、二人の背中を押す……。)」
透・ま「「……」」
紗夜「(……私の……やり方で……。)……鑑さん、倉田さん。」
透・ま「「?」」
紗夜「少し、話しませんか?」
紗夜「どうぞ。」
透哉「いいのか?」
紗夜「たまには私に奢らせてください。」
透哉「……おう、ありがとう。」
紗夜「はい、倉田さんも。」
ましろ「あ、ありがとうございます……。」
人混みの多かった屋台の通路を離れ、近くにあった小さな公園に移動してきた。
私達以外にも浴衣を着ている人が何人かいるのを見るに、どうやら夏祭りを楽しんでいる人の休憩所代わりになっているらしい。
ちなみに今私は、3人分の飲み物をすぐそこにある自販機で買って、ベンチに座っている2人に渡したところだ。
透哉「ゴクコクゴク……ふぅ。紗夜は座らないのか?」
紗夜「ええ、私はこのままで大丈夫です。」
ましろ「真ん中空いてますから、座れますよ?」
紗夜「……ありがとうございます。ですが、すぐ終わるので、お気になさらず。」
ましろ「すぐ……?」
そう、すぐに終わらせる。
こんな気まずくて、寂しそうで……2人にとっては最悪であろうこの雰囲気を、私が。
紗夜「……私は、ずっと悩んでいました。らしくもなく、弱音もはいてしまうほどに。」
透哉「! そうだったのかよ!じゃあすぐに俺達に相談してくれりゃ…「そんなの、できないですよ。特に、あなた達2人にはね。」え?」
ましろ「……もしかして、紗夜さん……。」
紗夜「……あなたの思った通りです、倉田さん。私は悩んでいました。
……どうすれば、鑑さんと倉田さんの仲を元に戻すことができるのか。」
透哉「!? ……紗夜、お前……。」
ましろ「……スッ「逃げないでください、倉田さん。」!」
紗夜「……お願いです。私の話を聞いてください。これによって、あなたの気持ちを強要するなんてことはしません。ただ、話を聞いてくれるだけでいいんです。」
ましろ「……」
透哉「……ましろ、聞くだけ聞いてみよう。紗夜がここまで言うの、珍しいしさ。最後まで聞いて、それでも耐えられないようだったら、逃げろよ。無論、こんなところから1人で逃げたら迷子になりかねないから、すぐ俺が追いかけるけどな。」
ましろ「……わ、分かりました……。」
紗夜「ありがとうございます、倉田さん。」
……すぅ、はぁ、すぅ、はぁ……。
……では、始めましょうか。
紗夜「長々と話すのも悪いので、できるだけ手短に済ませますね。」
透・ま「「……」」
紗夜「……まずは、2人に問います。……どうしたいですか?」
透哉「え?」
ましろ「……」
紗夜「今のこの関係を、続けたいですか?それとも、前のような関係に戻りたいですか?」
透哉「……俺は……前…「今は答えなくて大丈夫です。」いやお前が聞いたんじゃねえか。」
ましろ「……」
紗夜「……実は、あなた達の関係を進展させるべく、私を含む多くの人が動いていたんです。松原さん、丸山さん、私、湊さん。そして、広町さんと二葉さん。この前海に行ったのも、今日の夏祭りも、そのためです。」
透哉「そ、そうだったのか!?だからつくしと七深が真っ先に提案してたのか……。」
ましろ「……それ、言ってよかったんですか?」
紗夜「……おそらく、みんなが望む方法ではないでしょうね。でも、これが私のやり方なので。」
ましろ「……?」
紗夜「2人とも……今日のお祭り、楽しいですか?」
透・ま「「……」」
紗夜「すぐに答えられないということは……そういうことなんでしょうね。しかし、それもそのはずです。あのときの出来事を、引っ張ってしまっているから。」
透哉「……何が言いたいんだよ?」
紗夜「ああしろこうしろとは言いません。……ただあなた達は、ずっと同じことを考えているのだと、私は思います。」
透哉「同じこと?」
紗夜「その考えがあったから、今日こうして来たのではないですか?あんなことがあっても、あのままで終わるのは嫌だと。今まで……いえ、今まで以上の関係を築きたいと、そう思ったから。」
ましろ「……」
透哉「……ましろ……。」
紗夜「……最後に、松原さんから伝言です。」
透哉「花音から……?」
紗夜「……あなた達2人に、幸せになって欲しいと。心から応援していると、そう言っていました。」
透哉「し、幸せって……あいつ……。」
ましろ「……「私も、同じ気持ちですよ。」!」
紗夜「丸山さんも、湊さんも、広町さんも二葉さんも、新谷さんも、みんな思っているはずです。早く仲直りして欲しい、またいつもの2人に戻って欲しい……楽しそうに笑っている2人の姿を見たい、と。」
透・ま「「……」」
紗夜「もちろん、これは強要ではありませんが。……ただ、これだけは言っておきます。先延ばし先延ばしにすると、かえって悪い結果を招く場合もある、と。」
透哉「!」
ましろ「……」
紗夜「……私も願っています。2人の幸せを。」
透哉「……紗夜……。」
ましろ「紗夜さん……。」
紗夜「では、私はそろそろ行きますね。……みんな待っていますよ。あなた達2人の、元気で、笑顔な姿を。」
透・ま「「……」」
……これでいい。
言いたいことは、全て言った。
後は、私の気持ちが届くかどうか。
……いや、そんな心配は必要ないわね。
あの2人なら……きっと……。
本編と全く関係ありませんが、ガッチャード2話の感想を言わせてください。
OPめっちゃ良かったです。(好き)
あともうガッチャード見慣れたしなんならちょっとカッコいいとすら思ってきましたw……。
最後にみんな思ってそうなことですが、痩せたオドリッパと太ったカマンティスのカードめちゃくちゃ欲しいです。
次回はアッパレスケボーとヴァルバラドが出るということで、二つとも非常に楽しみですね!
あ、あと今日カイザの日ですね。(唐突)