やはり俺が吸血姫の弟だったのは間違っていない。 作:東雲 那音
それではどぞ!
デスティニーランドのパンさんカフェにて、八幡は突然の出来事に困惑していた。白い丸テーブルを二つ繋げて並べ、右のテーブルに八幡達、左のテーブルにシア達と座っている。
「……彼女達は、右からシア、ティオ、白崎香織、八重樫雫、園部優香。それで、こっちが比企谷八幡、由比ヶ浜結衣、雪ノ下雪乃」
八幡は自分たちが尾行されていることには気づいていたがそれはユエの知り合い。それもかなりの美少女揃い。何故かその美少女達は八幡をじ〜、と見てくるのだ。何もしてないはずなのに冷や汗が湧いてくる。
「な、なんか顔についてます?」
「何でもないのじゃ。ただ、そうじゃの。お主、目が特殊じゃな」
「初対面で俺の目が腐ってるってディスってきやがった……」
まさかの最初の会話がディスりから入っていくことにちょっと涙目になりながらの肩を落とした。八幡は例え、こんな和風美少女とも見えるティオにディスられたからと言ってMなど目覚めない。というかディスられたことにはさほどダメージもない。でも、ちょっと心はいたんだが。
「ユエさん、この方たちとは友達なのかしら?」
「……友達のようなもの。それと、優香以外はハジメの恋人」
「ブフっーーーー!!」
「ヒッキー大丈夫!でも、気持ちは分かる!」
ユエの問題発言に飲んでいたコーヒーを吹き出してしまった。八幡の頭の中で、恋人という単語を思い浮かべると同時に浮気?一夫多妻制?と色々な疑問が浮かび上がってくる。
「そ、そのハジメさん?だったかしら。えっと、その、恋人が沢山いるのね……」
雪乃でさえ、困惑して恋人沢山いるんだ〜。すご〜い。みたいな返答をしてしまう。
「……シア達の他にあと3人いる」
「何そのハーレム!すご!」
「……ちなみに娘もいる」
「娘ぇ!?」
「……あと、優香は愛人枠」
「ちょっとユエ!私が愛人枠ってなに!?」
「ユエ、それ本当に大丈夫なのか!?てか、ハーレム野郎とかなんなんだよ!?」
「……大丈夫、私は正妻だから」
「何が大丈夫なのか一切わからん!」
恋人が八人もいて、娘がいるし愛人(本人は否定してるけど満更でもなさそう)もいる。八幡はこの場にいないハジメとかいう人物に戦慄した。
「ユエさん、この人達とどこで出会ったんですか?」
ハーレム騒動も落ち着き、みんなが飲み物を飲み一息したところシアがユエに質問を飛ばす。それは他の嫁ぇーずも気になっていたようで興味津々だ。興味津々といっても色恋が気になるというのではなく、ハジメが居るのに他の男と楽しそうにしているのは何事か!理由を述べよ!というものだ。
「……八幡とは夜のコンビニで再会した。雪乃と結衣は八幡に会いに学校に行った時に出会った」
「再会した?ユエは比企谷君と前に会ったことがあったの?」
ユエの言葉に雫が反応した。普通は会った、なのに八幡と再会した、とそう言ったのだ。となれば、前にどこかであったということになる。地球に帰ってきて約3週間。この期間にあっていて、数日後にまた会ったという事。
しかし、たった数日数十日後に会っただけで再会と言うのだろうか?ユエの再会と言う言葉には、長い時間を経て再会したというような懐かしさを感じた。それがシア達に引っかかったのだ
「……ん、再会。名前だけじゃなくてちゃんと八幡の自己紹介をする。八幡は、昔トータスで生きていたの」
「「「「「え?」」」」」
「そ、それって本当なの。ユエ?」
「……本当。八幡は昔……300年前、私の腹違いの弟で、私を助けるために一人でエヒトに挑んで敗れた。そして、地球で比企谷八幡として生まれ変わった」
「300年前!?」
「腹違いの弟!?」
「生まれ変わった!?」
驚きの三連続。まさかのまさかのまさかの展開!八幡はユエの腹違いの弟で転生者だった!この事実に思わずシア達もあんぐり。あまりの声の大きさに周りのお客さんも注目して見てくる。ユエさんすかさず防音、認識阻害を魔法で展開。サッと注目もなくなる。
「あ〜、信じられないだろうけど本当のことだ。俺はユエを助けるためオルクス大迷宮におじ様と封印したんだ。その後にエヒトを倒すために色々頑張ったけど負けた……。ユエ……姉様とはもう会えないと思ってたんだが、まさか再会できるとは思ってなかったな」
「そ、そうなんだ。信じ難いはなしだけど、異世界召喚があるのだから転生もあるわよね」
「ユエさん、良かったですね。再会出来て」
「……ん、良かった。それに、やっと姉様といってくれたから嬉しい」
ユエ、八幡の姉様というの呼称に何ともまあニヨニヨと頬が緩んでいる。確かに会ってからはずっとユエと呼び捨てしていたから、久しぶりの姉呼びは、ユエがお姉ちゃんしてた頃を思い出させてしまう。
「……八幡、やっぱりずっと姉様って呼んで」
「むり、恥ずかしい」
「……そんなこと言わずに。さぁ!さぁ!」
「嫌だ、恥ずかしいんだって!」
「……大丈夫、恥ずかしいのは最初だけだから!」
「確かにそうだけど、その最初が嫌なんだよ!って、おい。なんで大人モードになった?え?ちょっと、なんでジリジリとよって来るんですかねユエさんや」
「……我慢してたけど、もう無理。八幡が!姉様と呼んでくれるまで!くすぐるのを!やめない!」
「なんでそのネタを知ってんだよ!?あ、まて!ちょ、あは!や、やめ!あはは!く、くすぐったい!」
八幡とユエの仲の良い光景を眺めて、本当に姉弟みたいだなぁと思ってしまう一同。結衣と雪乃はこんなに笑う八幡を初めて見るなぁ、となんだか生暖かい視線を送っている。
「……むぅ〜」
「はぁ、はぁ……」
何とかくすぐりから逃げたし、ユエと距離を取りることに成功した八幡。ユエは不満そうに手をワキワキ、そしてジリジリ。八幡もジリジリと距離を取る。
「せめて、姉貴にさせてくれ。今の俺が姉様って言うとか恥ずかしすぎるから」
「……姉貴。悪くない、むしろ姉御肌っぽくて良い!」
このままじゃ埒が明かないで妥協案を出した。どうやら気に入ってくれたようで、姉貴♪姉貴♪と楽しそうだ。
「というか、こんなご時世に姉様とか言うやつは絶対おかしな奴らだろ」
「そうね、確かにおかしな子たちよね……」
「そ、そうですねぇ。食べ物に下剤を混ぜて渡してきたりしますし」
「雫ちゃん、大丈夫だよ。目の前には同類がいるんだから!」
八幡の言葉は雫にクリティカルヒット!雫をお姉様と呼ぶソウルシスターズが八幡の言葉通りおかしな人達なのだ!それにはシアもフォロー出来ず認めてしまうし、香織に至っては同類がいるから大丈夫!とへんな慰め方をしている。
でも、ユエ達に襲いかかる女の子たちを見ていれば、発言していた言葉と行動を見るとあながち間違いでは無いかもしれない。八幡はどうやら気づいていないのか、同類?と首を傾げている。
「……さあ、八幡。私を姉貴と呼んで!」
「い、今言わなくていいだろ?ほら、日常会話とかで自然に言うから」
「……そんなことで私が満足すると思ったか!」
「いやどこの魔王のセリフだよ!?姉貴、この地球に来て一体何にハマっていた!」
この時、ユエの脳裏に思い浮かんだのは、この地球に来てからの思い出。ハジメの趣味の話を聞き、自分も見てみたいと紹介してもらったアニメ。ハジメの母、菫に見せてもらった少女漫画をはじめとするバトル漫画やスポーツ漫画。そのどれもがユエの興味を燻り、沼へとハマっていく感覚。どれもこれもが初めてのもので尽きない好奇心。それらに突き動かされ続けた毎日。
「……何もかもだ!」
ユエのドヤ顔と共に溢れ出るオタクの気配。こいつ、沼にハマってやがるっ!と戦慄する八幡。このネタにも着いてくるユエに正直引いてしまう。
そんな2人をさておき、ティオが話に入って来ていない結衣と雪乃に話しかけた。
「そこの二人は驚いておらんかったが、知っておったのか?」
「えぇ。でも、知ったのはつい最近よ」
「ほんとに驚いたよね〜」
結衣と雪乃は八幡をみてニッコリと微笑んでくる。ユエとじゃれていた八幡は視線に気づき、恥ずかしそうにポリポリと頬を指で掻きながら目を逸らした。あの日、自分を受け入れてくれた二人には感謝しかない。と八幡は本物を手にしたことを実感した。
「……シア、大事なことを忘れてる」
「大事なことですか?」
じゃれ合いを終え、八幡を解放したユエは席に戻り、何故かゲンドウポーズで話題を出す。どこから出したのか、サングラスもちゃんとつけている。
「……そう、大事なこと。……八幡は生まれ変わったとしても私の弟、ハジメより年齢は一つ下。と言うことはつまり……」
「ハジメさんの弟になる、ということですか!?」
「……そう。もうひとつ付け足すと、シア達の弟ということにもなる」
「「「「!?」」」」
「……今日、この後にハジメに紹介するつもりだった。シア達には尾行されてバレたけど」
「うっ、ご、ごめんないですぅ」
反省しているようで、見えないうさ耳がしょんぼりと垂れた。申し訳ないと思っているのか、ちゃんと自分の罪を認める。
「……別に気にしてない。それよりも、そろそろ帰ろうと思う。ハジメも家にいるだろうし、早く紹介したい」
「ん?ちょっとまて。俺、今からハジメとかいうハーレム野郎に会うの?」
「……ん、会ってもらう」
「ぇぇー」
こうして、八幡はハジメと合うことが決定した。なんか嫌な予感がするなぁと感じながらコーヒーを啜ったとき、シア達が八幡を見ながらうーんと考え込んでいた。
「弟……ですか。何だか、八幡くんをみていると昔のパルくんを思い出しますぅ」
「弟かぁ……。私、弟が欲しかったんだよね!これからよろしくね、八幡くん!」
「私に弟……。弟って、どう接すればいいのかしら?……まあ、よろしくね?比企が……いいえ、八幡くん」
「妾に弟ができるとはのう。よろしくなのじゃ、八幡よ」
「お、おう。よ、よろしく?」
八幡はまさかの弟認定されてしまったことに驚きながら何とか返信を返す。正直、頭のキャパが驚きの連続でもうギリギリで考えるのを放棄したくなったのだった。
八幡のステータスは何とか出来上がりました!天職はオリジナルです。
その天職の名は
賢者!!!!!!
なんか安直っぽいけど、なかなかのチート性能だよ?
ユエの神子にも見劣りしない強さだよ?