やはり俺が吸血姫の弟だったのは間違っていない。 作:東雲 那音
ハーメルンを久々に開いてみれば、嬉しい感想に高評価が着いていたので、嬉しくて続きを書きました!
評価をくれた皆さんありがとう!
「ユエさん。本当に紹介するんですか?」
「……当たり前。ちゃんと紹介しないと」
遊園地でハジメの嫁ぇ〜ずに会ってから数時間。八幡はユエ達に連れられてユエの住む家に向かっていた。シアが何処と無く心配そうに尋ねるもユエの意思は変わらない。雪ノ下と由比ヶ浜、それと優花は既に帰っており、千葉駅でお別れをすませている。
「俺、嫌な予感がするから会いたくないんだけど……」
「……大丈夫。ハジメに会えば魅力が分かる」
「なんかその言い方、BLに目覚めるみたいな感じがするから魅力とか言わないでくれ」
「……ハジメは渡さないけど?」
「要らねぇよ!?」
「え、八幡くんはそんな趣味が……」
「やめて!そんな趣味なんてないから!そんな目でみるなぁ!」
シアの蔑んだ目が八幡の心に突き刺さる!冤罪だ冤罪だ!と無罪を主張する八幡。必死に弁解するも近ずけば後ずさり距離をとるシア。八幡の心にさらに追い討ち!やめて!八幡のライフはもうゼロよ!
「まぁ、冗談はさておき」
「冗談で俺のライフをザクザクと削らないでくれ……。俺はかき氷機に削られる氷じゃないんだぞ」
「八幡くん、例えが凄く微妙よ。せめてアイスピックで砕かれる氷にしなさいよ」
「雫ちゃんも例えが微妙だよ?と言うかなんで氷で例えるの?他でもいいと思うけど」
「お主ら、楽しく話し合うのは良いがもう着いたぞ」
楽しく?話していると家に着くのなんてあっという間。八幡達はユエの住む家に着いていた。普通民家よりも少し大きめの家で裕福なのが伝わってくる。表札に南雲とかいてあり、八幡はそれを見て何か懐かしい感じがした。
「……ただいま」
「ただいまですぅ!」
ただいまとユエ達が玄関から入って行くのを後ろからついて行く。ふわりと香る女の子特有の匂いに少し恥ずかしさを感じるも、気を切りかえて南雲家へと入る。
「お邪魔します」
「……ん。いらっしゃい八幡。我が家へようこそ!」
「ささ、リビングでハジメさんを待ちましょう!」
「……八幡は先頭」
背中を押されて進み、扉を開けるように促された八幡はそのまま扉をあけ……
「八幡くんいらっしゃい!ユエちゃんから話は聞いてるわ!さぁ、今日はハジメが帰ってきたら祝明かしましょう!」
「……」
ユエ達の歓迎で迎え入れられ、リビングに案内されると一人の女性がソファでジョジョ的な香ばしいポーズをとっているのをみて……
ーーパタン
扉を閉めた。
なにかの見間違いでは?ともう一度扉をあけると……
「ふっ。君が八幡くんか……。ユエちゃんの弟らしいね、歓迎するよ。なんせ我らは既に……」
「……」
ーーパタン
八幡はまた扉を閉めた。
だってジョジョ的な香ばしいポーズの女性から変わってジョジョ的な香ばしいポーズの男性に変わってるんだもん!しかも厨二っぽいし!意味もわからず扉を閉めるのだって悪くない!
「……ユエ」
「……ん」
「……帰っていい?」
「……ダメ」
変なものを見てとてつもなく家に帰りたくなるが、それを許されない八幡。心做しかアホ毛が元気なく倒れているようだ。ため息と共に変な気分を出したいけど出てくるのは二酸化炭素とちょっとのストレスだけで、よく周りを見れば香織と雫が苦笑いしている。二人は八幡と似たような思いをしつつも慣れつつあるこのカオス。
「……ほら、入って」
「仕方ない……」
覚悟を決めて、さぁ行かん!と扉を開くと……
「全く、せっかく印象に残る登場をしたかったのに。扉を閉めるなんて酷いじゃない!」
「そうだぞ!せっかくポーズまで自分達で考えたのに!」
チューチュートレインをしながら何やら言ってくる中年二人。交互喋りながら奇妙に動き、息のあった連携だ。感心したいが素直に感心出来ないこの状況に何度目か分からないため息を着きたくなる。
「なに、このカオス……。俺、着いてけないんだけど……」
八幡は、この状況についていけなかった。思考を切り離したくなる光景だが、ユエの義理とはいえ親だ。ちゃんと付き合わなければ、と気持ちを奮い立たせる。
「お、お邪魔してます。姉貴……ユエの弟の比企谷八幡です」
「私は菫よ。少女漫画家をしているわ」
「愁だ。ゲーム会社で働いているよ」
八幡はさっきの言葉を聞くにこの2人はユエから話を聞いているのか、弟であることを知っているので説明はいらないだろうと考えていると、キラキラ?いや、ギラギラとした目で菫と愁に獲物をロックオンした獣のように見られていた。
「な、なんですか?」
「いやいや。これは良いネタ……じゃなかった、話が聞けるかもなぁと」
「そうそう。決して漫画やゲームのネタにしようなんて考えてないのよ」
「え、えっと……」
「ほら、ハジメが帰ってくるまで時間あるし八幡君の昔話を聞かせて!」
「い、いや、それは……」
別に話すのは良い。既に雪乃や結衣などに話しているのだから。しかし、八幡ほ中でリンリンゴンゴンと警告音が絶えずになっている。この二人に話したら大変なことになると。
話したくない!と後ろへ下がるが、1歩下がる事に1歩と近ずいてくる!手をワキワキ、顔はニヤニヤ。八幡は逃げ出した!しかし回り込まれた!
「ゆ、ユエ!助けてくれ!」
「……八幡。……強く生きて」
「見捨てられた!」
「ほらほらー。話しちゃいなさい!」
「話せば楽になるぞー」
「あ、そうだ。誰かお使いを頼まれてくれない?飲み物がそろそろ切れそうなのよ」
逃げようとした八幡を回り込みながら逃がさない菫は、思い出したかのようにお使いを頼む。その間も逃げは回り込みを繰り返している。菫と愁のコンビネーションで八幡は逃げられない!
「なら、私が行きますよ」
「私もついて行くわ」
どうやらシアと雫が行くようで、財布を持って出ていった。
「ほらほら!観念しなさい!」
「君はもう逃げられないぞ!」
「なんか話したくないんすよ!話したら後悔しそうで嫌なんです!」
その後、逃げきれないと観念して、ハジメが帰ってくるまで昔話をしたのだった。
八幡よ強く生きろよ!
▲▼▲▼
「いやぁ〜、ユエさん、お父様には話してたんですね」
「それだけサプライズしたかったんじゃない?」
「尾行なんて申し訳ないことしちゃいましたよ」
「そうね。許してくれたけど、ちゃんと反省しなくちゃね」
家を出て、1番近くのスーパーに向かう二人。日は沈みかけていて赤い太陽が二人を照らしていた。
「ここの公園を通るとちかみちなんですよねぇ」
「そうね。早く買い物を済ませましょ」
2人が公園の入口に差し掛かった途端、何やら公園の中から話し声が聞こえてきた。
「見つけた!“お兄ちゃんを守り隊”隊長、小町!」
「うん?あ、“お兄ちゃんを独占し隊”隊長だ。なんの用?」
「とぼけないで!今日、私の仲間をコテンパンにしたのは分かっているのよ!」
「あぁ、お姉ちゃんに手を出そうとした人達ね。あれはそっちが悪いでしょ」
「悪いも何もあるか!私達の目的を尽く邪魔して!許さないんだから!」
どうやら女の子2人が言い合っているようで、会話の中から既視感のある言葉が聞こえてきたせいでシアと雫はそっと身を隠して公演を覗く。いるのは茶髪の女の子とアホ毛の生えた黒髪の女の子で、どちらも中学生くらいだ。
「喧嘩かしら?」
「まだ分からないですぅ。もう少し様子を見ましょう」
茶髪の女の子は相当お怒りのようで、感情に身を任せて叫び散らしてた。そんな女の子をアホ毛の生えた女の子は涼しい顔してそれが何か?としている。
「目的って……。はぁ、お兄ちゃんを周りから孤立させて独占しようって考えがもうダメだよ。そんなことしたらお兄ちゃんが可哀想じゃん。それに、あなた達がそんなことするからお兄ちゃんは友達すら出来なかったし、いじめ寸前のことまでされたんだよ?人の人生を……それも小町の大切なお兄ちゃんを傷つけるようなことをして、誰も止めないと思ってるの?小町はそんなこと絶対に許さない」
「し、仕方ないでしょ!お兄ちゃんは誰にも渡したくないんだから!」
「そのせいでお兄ちゃんの人生を壊しかけてるって言ってるの。いつまでも反省しないでまだ続けるなら…………本気で潰すよ?」
どっ、と当たりを埋め尽くす、恐ろしい程の殺気。普通の人間がまず出せるものでは無い。このアホ毛の生えた女の子は危険だと、殺気を受けただけでわかる。シアと雫はハジメなどの化け物の殺気を知っているのでなんてことないが、それを受けた茶髪の女の子はガクガクと震え出している。
「ぐ、くぅっ……!こ、こうなったら今ここであなたを倒す!やってしまえ!“お兄ちゃんを独占し隊”特攻隊!」
何とか絞り出した声で、仲間を呼んだとたんどこからともかく現れた女の子たち。ざっと数えて四人はいるだろうそれは、一直線にアホ毛の生えた女の子に襲いかかっていく!
「はぁ、言っても聞かないかぁ」
ため息とともに1歩前に、手はぶらりと下げたままに、そして目線はしっかりと周りを見て、さぁ、
襲いかかってくる女の子たちを最小限の動きで踊るように避けていく。ただ避けるだけでなく時に受け流し、時に相打ちさせる。まるで歴戦の戦士のようだ!
「あの子、いい動きしますねぇ」
「そうね。というか彼女、本当に人間?」
シアは動きに感心し、雫は人間か疑う。2人の目には圧倒的力差を見せつける女の子の戦いだけが写っていた。
「皆、武器を使いなさい!」
「「「「「「「「ラジャー!」」」」」」」」
「え?あのロープとかガムテープ、どこから出したの!?」
「雫さん、よく見たら、服の下から早業めいたことして出してますよ!凄いですぅ!」
「そんなので勝てると思ってるの?」
アホ毛の女の子がそんなことを言ったかと思いきや、……その場から消えた。いや、消えたと思うほどの速さで動いたのだ!
「彼女は本当に人間なの!?」
「黒の冒険者ともやり合える実力ですよあれは!」
2人は目の前の光景に戦慄する。異世界でもない地球の人間が出来るとは思えない動きで、バトル漫画のような戦闘をみせるアホ毛の女の子は一体何者なのだ!
「まずは一人」
「わっ!や、やめっ、これ恥ずかしい!」
ロープをてから奪い、まるで必殺仕事人のような手腕で亀甲縛り!からの木に吊るすおまけ付き!やられた女の子は恥ずかしそうにイヤンイヤン。だがそんなのお構い無し!
「二人、三人、四人!」
「んーっ!」
「ぅん!」
「むぅ!!」
ガムテープを奪い、手と足を拘束!そしてついでに口も塞いじゃう!これで静かになったね!いぇい!雑音は消すに限るね!
「後は、あなただけだね」
「ひっ!」
「逃がすと思う?」
「きゃっ!くぼっ!」
茶髪の女の子は逃げ出した!しかし、回り込まれた!そして口に何かを入れられた!
「ほら、飲み込むまで手は離さないよ?あ、これじゃ飲み込めないよね。ごめんね?ちゃんと鼻もつまんであげる」
「んんっー!!!」
地面に押さえつけられて身動きが取れず、なんとかして逃げようとするも逃げられない。茶髪の女の子はごくり、と口に入れられたそれを飲み込んでしまった。
「飲み込んだの?うん、えらいえらい!」
「な、ななな、何を飲み込ませたの!?」
「え?下剤だけど。即効性があって強力なやつ」
「なぁっ!?」
途端に青ざめる茶髪の女の子。お腹を抑えて内股になった。
「と、トイレぇぇ!」
公園のトイレを目指して進むも、その足取りはカタツムリの様でゆっくりだ。今の彼女にとって、小さな振動で堤防が壊れてしまう域にあるのだ。
「行かせると思う?」
「お、鬼ぃ!」
そこに追い討ちをかける!堤防破壊まですぐそこだ!このままでは死んでしまう。主に社会的に!
「公園のトイレは使わせないよ?他のトイレならいいけど。そうそう、1番近いトイレはこの先のスーパーだよ?急いだ方がいいよ」
「お、覚えてろぉ!」
茶髪の女の子は内股でゆっくりとその場を去っていった。
「……雫さん、遠回りはやめましょうか」
「そうね……」
2人は、その場で起きたことをなかったかのようにスーパーに向かったのだった。途中で内股の女の子を見かけたが、気にしないったら気にしない。きっとあれは最近の流行りの歩き方なのだ。だから、気にしないったら気にしない。
次回はいつかは分からないけど、ついにハジメが登場(予定)!
長くお楽しみに!