東方共作録   作:戌眞呂☆

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この物語も、いよいよ終わりを迎えました。
光様とのコラボも、これが最後です。

最後まで、お楽しみください。


あ、そうそう。
一緒にコラボをしている光様の作品「幻想郷の出会い」では、琳さん側の視点から描かれた物語を読むことができます。
視点が変わるだけで、同じ展開でも雰囲気がガラッと変わります。
そちらもぜひ読んでください。
 


海風光様とのコラボ part.6

 

俺と琳が握手をして、皆の歓声が止み始めた頃…魔理沙さんが「これから博麗神社で宴会をしようぜ!」と言ってきた。

 

宴会か、いいね!

異変や大きな戦いの後は、皆で集まって宴会をすることがよくある。そう言えば永嵐異変の時だって博麗神社で宴会があったっけ。その時に文と初めて交わしたキスが今でも忘れられない。

…コホン。琳と一緒に酒を飲むことができるのはとても嬉しかった。

 

 

でも、移動中に魔理沙さんがもの凄い「やっちゃった。」って顔をしていたけど、どうしたんだろう。

まあいいや、みんなでワイワイ楽しもう。

 

 

 

 

 

 

―博麗神社―

 

 

この状況、いったいどうすればいいんだ!?

琳と霊夢さんが睨み合って、険悪なムードが辺り一帯を覆っている。

そう言えば琳は霊夢さんを「貧乏巫女」呼ばわりしていたから仲が悪いなとは思っていたけど、これほどまでだったとは…。

 

 

「…俺とした事が…“博麗神社”って聞いた時に気付いておくべきだった…」

 

 

「―まさかあんたまで来るとはねぇ…まぁいいわ、あんたがその気ならこの場で仕留めてあげる!」

 

 

琳は剣を、霊夢さんはお祓い棒とお札を構え、今にもとびかかりそうな雰囲気だ。

 

 

 

「おっ、おい…霊夢も琳もそのくらいにしておけって…折角の宴会なんだしよお…。」

 

 

「そうだよ琳、霊夢さんも落ち着いて。折角皆でワイワイしようとする時に…。」

 

 

険悪なムードに耐えきれず、俺と魔理沙さんが2人を制止する。

しかし、2人は聞く耳を持っていなかった。

 

 

「「その為にも今この場で蹴りをつけるっ!!」」

 

 

同時に叫び、斜め前に飛び上がった。

 

 

「「これで…」」

 

 

「くたばれっ!」「くたばりなさいっ!」

 

 

あれ、魔理沙さんがミニ八卦炉を構えている。

…いや、魔理沙さんだけじゃない。レミリアさんに咲夜さん、ヤマメちゃんまでスペルカードを構えて…。

 

なるほど、力づくっていうわけね。わかった。

 

 

「恋符『マスタースパーク』!」

 

 

「神槍『スピア・ザ・グングニル』!」

 

 

「メイド秘技『殺人ドール』!」

 

 

「細綱『カンダタロープ』!」

 

 

「聖光『ビックバンファイナル』!」

 

 

今にも衝突しそうな2人に向けて、同時にスペルカードを発動した。

極太のレーザーと、紅い槍と大量のナイフと、先端が団子結びになった蜘蛛の糸で作られたロープと、まぶしく光り輝く光弾が一斉に2人に襲いかかる。

 

勿論避けられるはずも無く、琳と霊夢さんに命中すると、そのまま地面に落ちた。

 

 

 

 

 

―数分後―

 

 

「すごい剣幕だな…。」

 

 

少し離れた縁側から、咲夜さんから説教を受ける琳と霊夢さんの様子を眺める。

まさか咲夜さんがあれほどまで血相を変えて説教しまくるとは思わなかった。

意外な一面を持っていたんだね。

 

 

「あれは、ネタになりますかね?」

 

 

「焼き鳥にされるからやめた方がいいよ。」

 

 

隣に座って苦笑いを浮かべながらそう呟いた文を、同じく苦笑いを浮かべながら宥める。

流石に今写真を撮ってしまえば、咲夜さんの怒りの矛先はこちらに向く。そうなればナイフで串刺しにされ、怒りの炎で焼き鳥の一丁上がり…。

 

火が燃え尽きるまでそっとしとく方がいいな、うん。

 

 

「―全く、今回はこれぐらいにしておきますが次は手加減しませんからね。いいですね。」

 

 

あ、燃え尽きたみたいだ。

 

 

「「は、は~い…」」

 

 

長時間の説教を受け、琳も霊夢さんも毒気を抜かれてしまったようだ。

形はどうあれ、2人の弾幕ごっこが勃発しなくてよかった。

 

 

「…まぁ、せっかくの宴会だし、俺も程々に楽しんだら帰るわ。」

 

 

「そうね…今日ぐらいゆっくりしていきなさい。」

 

 

これで仲直りができたわけではないが、気を取り直して宴会を楽しもう。

 

 

 

 

 

―数十分後―

 

 

「おい天狗!一緒に酒を飲もうよ!」

 

 

文と2人で酒を飲んでいると、2人の前に萃香さんが姿を現した。

…いや、そんな露骨に嫌な顔をしなくても。

 

 

「い、いえ、私は欧我と飲みたいので。」

 

 

「なんだい、私の酒が飲めないのかい?」

 

 

語気を強め、低めの声で言った萃香さんに、文の顔から血の気が引いて行った。

 

 

「いえいえ、そんなわけじゃ。」

 

 

萃香さんは小さくため息をつくと、隣でニヤニヤと笑みを浮かべている俺の方に向いた

 

 

「欧我。」

 

 

「はい。」

 

 

「文をちょっと借りるけどいいか?」

 

 

「はい、どうぞ。」

 

 

笑顔でそう返事をした俺の顔を、文は驚きと絶望が混じったような表情で覗き込んだ。

いや、そんな顔で覗き込まれても。

 

 

「楽しんできてね。」

 

 

「欧我…。」

 

 

「じゃあ行くよ。今宵はぱあっと楽しもうよ!」

 

 

そして文の腕をつかむと、半ば強引に引きずっていった。

 

 

「欧我!絶対に酔わせてあげるから覚悟しなさい!」

 

 

「その前にあんたが酔いつぶれるのかもな。」

 

 

おお、怖い怖い。

 

 

 

「…隣いいか?」

 

 

文と入れ替わる形で、琳が俺の隣に腰を下ろした。

 

 

「普通返事を言う前に座るか?」

 

 

笑いながらそう言ったが、琳に元気はなかった。

 

 

「まぁ、そう言わんでくれ…。しばらく説教は聞きたくない。」

 

 

そう答える琳の声に元気はなかった。

まあ、仕方ないか。

 

 

「凄かったよね~。あんな咲夜さんは初めて見たよ。」

 

 

俺はそう言いながら苦笑を浮かべた。

でも、どうしてそんなに怒るのだろうか。

…もしかして琳を?ふふっ、隅に置けないねぇ。

 

「師匠~琳さ~ん!」

 

 

明るい声と共に、俺たちの前に小傘が駆けてきた。首から提げたカメラを構え、可愛い笑顔を浮かべている。

 

 

「突然ですが、師匠と琳さんの写真を撮ってもいいですか?」

 

 

写真か、いいね。

っていうか写真屋が板についてきたじゃん。なんか嬉しいな。

 

 

「写真?俺は良いけど…琳はどう?」

 

 

でも、琳はどうだろう。

写真が嫌いだったらどうしようかな。

 

すると、琳は笑顔でこう答えてくれた。

 

 

「俺も別に構わんぞ!」

 

 

「本当!?ありがとう!いいよ小傘。」

 

 

「ありがとうございます!それでは…はい、チーズ!」

 

―パシャッ

 

お互いに肩を組み、カメラに向かって笑顔でピースをした。

 

 

「ありがとうございます!では早速現像してきます!」

 

 

小傘はそう言いながら神社の中に入っていった。

これで2人が出会った思い出ができた。

 

肩を組んで笑顔を浮かべる。

そのことによって、俺の中に湧いてきた感情。

 

 

「ねぇ琳。」

 

 

「ん?…どうした欧我?」

 

 

「改めて言うけど、今日は琳と戦えて本当に良かった!」

 

 

「それは俺もだよ…久しぶりに強い奴と本気で戦えた!楽しかったぜ!ありがとう♪」

 

 

琳はそう言いながら右手を出した。

 

 

「フフッ…それは俺もだよ。琳のおかげで目標ができたし、俺の今の実力も解った!本当にありがとう♪」

 

 

琳と戦えたことで、大切な何かを手に入れることができた気がする。

勝負では負けちゃったけど、燐から大切なものをもらった。

 

琳の手を握り返し、固い握手を交わした。

 

 

「お二人とも~お待たせしました~!」

 

 

後ろから小傘がやってきて、現像してくれた写真を渡してくれた。

その写真には、まぶしい笑顔を浮かべる2人が写っていた。

 

 

「それじゃあ琳、宴会はまだ始まったばかり、飲もう飲もう!」

 

 

「あぁ…そうだな!」

 

 

2人で笑いあいながら、皆が集まっている所に向かった。

そう言えば、文は大丈夫かな?

 

 

 

 

 

―翌朝―

 

 

「あれ…?」

 

 

かすむ目をこすり、辺りをきょろきょろと見回す。

どうやらあの後寝ちゃったみたいだ。畳の部屋に寝転がり、そばにあった座布団を枕代わりにして…あれ?

 

枕元に置かれた一通の手紙が目に留まった。

差出人は…琳からだ。

外に出てあたりを見回したが、琳の姿はどこにもなかった。

 

そっか、もう行っちゃったんだね。

 

 

縁側に座り、手紙の封を切った。

封筒の中には、手紙と一緒に剣符「風の刃」のスペルカードが入っていた。

それらを取り出し、折りたたまれた手紙を読んだ。

 

 

「なになに…。楽しかったぜ親友!また会える時を楽しみにしてる♪…あ、そうそう、一緒に置いてあるスペルカードは、お前が本当にピンチの時に使うといい。きっとお前の事を守ってくれる!…か。」

 

 

琳…ありがとう。

俺だって楽しかったよ。

今度会ったときは、また戦おう。それまでに文に認められるような強い男にならなくちゃ。

琳、君が俺の目標だから。

 

 

「何を見ているの?」

 

 

懐から小傘に撮ってもらった写真を取り出した。

琳の笑顔も、とても輝いていたな。

写真をじっと眺めていたら、いつの間にか霊夢さんが隣に座っていた。

 

 

「琳と一緒に写った写真です。」

 

 

「ふーん、写真ね。」

 

 

「あの、霊夢さん。」

 

 

「なにかしら?」

 

 

「琳は、今どこにいるのでしょうか。」

 

 

霊夢さんはうーんと唸ると、口を開いた。

 

 

「知らないわよ。琳は幻想郷に吹く風のような存在よ。おそらく、風のように気まぐれに歩いているんじゃないかしらね。」

 

 

風…か。

もしかしたら、幻想郷のどこかでばったりと再会するかもしれないな。

その時が来ることを祈っているよ、親友。

 

 

写真から目を離し、琳の事を思いながら空を見上げた。

そんな俺の頬を、一陣の風がやさしく撫でた。

 




―作者の後書き―
 

これで、無事に光様とのコラボは終了しました。
コラボの依頼が舞い込んできた時は正直驚きましたが、光様とコラボをすることができて本当によかったです。
これでハーメルンでのコラボは2回目でしたが、今回のコラボは長いようで短いひと時でした。

今回のコラボでは光様が書いた物語をもとに、それを欧我君視点に書き換えていくスタイルだったのですが、光様が書いてくれた文章のかっこよさ、弾幕ごっこの攻防、迫力を再現できたのかが不安です。
何度も読み返して理解したつもりでしたが、雰囲気を残しつつただ書き換えることがこんなにも難しいとは思いませんでした。


今回コラボをしたことで、海風光様という親友ができました。
ゆっくり霊夢さんもそうですが、コラボを通じてできたこの“つながり”は俺の宝物です。


最後に、コラボを申し出てくれて、素晴らしい物語を書いてくれた光様にお礼の言葉を送ります。

本当に、ありがとうございました!

それでは次回お会いいたしましょう。
さよならさよなら・・・さよなら!


平成26年6月17日 作者:戌眞呂☆
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