投稿が遅くなって申し訳ありません。
ビツケンヌさんが書いた手に汗握る弾幕ごっこのシーンを、欧我君視点にかっこよさや緊迫感を残しつつ書きなおすことができたのか非常に不安です。
それでは、どうぞ。
上空で小櫃と向き合う。
実を言うと、小櫃との弾幕ごっこはこれが初めてだ。だから、相手が一体どんな弾幕を展開してくるのか、それが全く分からない。唯一分かること、それは右腕に装備されたアームキャノンから様々な効果を持つ弾を弾幕として発射する。それ以外に弾幕を放つ手段が無いと言う事だけだ。
「激符『ウォーズ・オブ・ピースメーカー』!」
そのアームキャノンを作動させ、無数のミサイルを打ち出した。
確かそのミサイルには相手を自動で追尾する機能が搭載されていると言っていたな。その言葉を体現するかのように、放たれたすべてのミサイルが軌道を変えて俺を目がけて突き進んでくる。
だったら、それを返してやろう。
首に下げているカメラを構え、ズームを調整。ミサイルがすべて収まるように目の前に現れた銀色の枠を調整し、シャッターを切った。
「撮符『激写封印』!」
眩いほどに焚かれたフラッシュ諸共、目前まで迫っていたミサイルは忽然と姿を消した。
今撮った写真をすぐさま現像し、小櫃に向けて平手で叩く。すると、その写真からついさっきまで目前に迫っていたミサイルが発射された。
猛スピードで飛んで行くミサイル。しかし、小櫃はその場を一歩も動かなかった。
その様子を見て頭に疑問符が浮かぶ。どうして小櫃は避けようとしないのか。…まあ、ミサイルの強力な爆発に巻き込まれ…
「なっ?!」
何故爆発しない!?
ミサイルは小櫃に触れたはず。それなのに何故!?
「驚いているようだな。」
という、小櫃の声が聞こえる。
「マルチロックオンマイクロミサイルシステムに使用する超小型ミサイルは、爆薬の代わりに圧縮されたバイオエナジーを積み込んでいる。接触を感知すると信管が叩かれ、圧縮状態にあったバイオエナジーを一挙に解放、爆発現象を起こすものだ。先の貴様のスペルカードは、写真に撮った相手の弾幕を再度実体化させるものだろう。貴様の撃ったミサイルに、バイオエナジーは入っていない。バイオエナジーがそういった形で干渉されないことは、今までの経験則で実証済みだ。」
小櫃の説明を受け、ようやく理解することができた。
つまり、俺の放ったミサイルには何も入っていないため爆発を起こさなかったというわけか。
くそっ、俺の代名詞とも言える自慢のスペルカードがこうも簡単に突破されるのはショックだな。
「ぼさっとするな。戦いはまだ始まったばかりだ。遺恨『フューリアスパスト』。」
2つ目のスペルカードを宣言し、アームキャノンから大量の銃弾が打ち出される。
「っと!」
次々と迫ってくる銃弾を紙一重で避けて見せる。
今までいくつもの弾幕ごっこを潜り抜けてきた。幻想郷に住む実力者とも拳を交え、経験を積んできた。それに比べたら、こんなの弾幕を避けるのは簡単だ。そう言えば、ギリギリで避けて得点を得るのを「グレイズ」とか言っていたな。
ただ、一瞬たりとも気を抜いてはいけない戦いの中で俺は調子に乗ってしまった。
弾幕にばかり集中しすぎてしまい、小櫃の姿を見失ってしまったのだ。
その直後、背後から「後ろがガラ空きだッ!」という小櫃の声が聞こえた。
「えっ!?」
慌ててこの場を離れようとしたが、もう遅かった。
「急襲『ブラインドサドンアタック』。」
その宣言とともに脇腹に一撃を叩き込まれ、強烈な痛みに襲われる。その直後、それ以上の激痛が脇腹を、いや全身を駆け巡った。内臓にまで響く、えぐられるような重い一撃を食らい、意識が飛びかける。
しかし、ここで倒れては正邪を護ることができない。
絶対に負けてたまるか!
こうなったら数で!
「素人に毛が生えた程度の実力で戦場に立つなど言語道断だ。幼稚なガキが踏み込んでいい領域ではない。」
確かに、いくつもの死戦を潜り抜けてきた賞金稼ぎと、平和な地でのほほんと生きてきた写真屋との実力には雲泥の差があるだろう。でも、俺には護りたいものがある。そのために、俺は全力を尽くす!
写真屋を、舐めるなよ。
「くそっ…!禁忌『フォーオブアカインド』!」
スペルを宣言し、分身を作り出す。
しかし、俺の動きよりも早く小櫃が目の前に現れた。
「自己流『柳下惨々』。」
驚きによって一瞬反応が遅れた隙を突き、小櫃は俺周囲を回りながらアームキャノンから飛び出したブレードのような物で次々と分身を切り刻んでいく。
一周して目の前に戻ってくるわずかな時間の間に3体の分身が次々と両断され、そして鳩尾に跳び膝蹴りを叩き込まれた。
先ほど脇腹を襲った激痛とは比べ物にならない衝撃を受け、肺から空気が押し出される。呼吸が止まり、頭がぐらぐらする。体中を襲う激痛によって思考が阻害されたため、その後俺はどうなったのか分からないが、背中が地面に激突した衝撃で思考が回復した。
小櫃は、上空からこちらを見下ろしている。
背後にある太陽の光のせいなのか、重いダメージを受けたからなのか、それともまた違った影響からなのか、小櫃の姿が揺らめいているように見えた。
その姿はまるで、凶暴な化け物のようだ。頬を嫌な汗が流れる。
アームキャノンの銃口を向け、止めと言わんばかりにスペルカードを宣言する。
「爆誕『バイオロジックスーパーノヴァエクスプロージョン』!」
銃口から巨大な光弾が発射される。
懐から本とテレビの写真を取りだし、防御用の立方体の弾幕を大量に実体化させて身を護る。その直後爆発音が響いたが光弾はびくともしなかった。
「…そう簡単にはいかない、か。」
ああ、簡単に負けてたまるか。
今度はこっちの番だ!
ヤマメちゃんの能力を投影し、指先から糸を伸ばして立方体の光弾に繋いだ。
「行け!」
光弾を操り、螺旋を描きながら上空に舞い上がらせた。
小櫃はこの弾幕をかわしていくが、動きに先ほどまでの力強さやキレが見られない。もしかして、疲れているのか?
だったら、この戦法は使えるな。
「まだ終わってない!!」
自分に言い聞かせるように大声を張り上げた。
護りたいもののため、命を懸けて小櫃を止める!
今度はボールと枝の写真を取りだし、球体と棒状の弾幕を展開した。
次に一発でもアームキャノンから打ち出される不思議なエネルギーをゼロ距離で喰らってしまったら、もう意識を保つことができなくなるかもしれない。だったら、もう接近させなければいい。遠距離戦に持ち込んで小櫃の疲弊と戦意の喪失を狙い、動き回らせるために弾幕を展開し続けてきたが、小櫃はすでに蓄積された疲労によって虫の息になっていた。
そんな小櫃を見て、またしてもあの疑問が湧いてきた。
また、この戦い、そして正邪殺害を諦めさせるために弾幕を放つのを止めて声を張り上げた。
「もういいじゃないですか!!どうして正邪を殺すことにこだわるんです!!」
「ここで…引く訳にはいかない…!奴を殺さねば…。」
蓄積された疲労によって息も絶え絶えだが、それでもしっかりとした決意を浮かべた目をしていた。
でも、殺すなんて…
そうしたら彼女の生活は?彼女の人生は?笑顔は?
そんなの…残るわけないじゃないか。
「彼女の笑顔が無くなるんですよ?!死んだら何も残らないじゃないですか!!」
俺の言葉にカチンと来たのか、小櫃は怒りを交えた声で叫んだ。
「齢6で人を殺した!俺にその言葉を言うか!!」
「そんな…。」
叫び声を聞き、自然と口から洩れる言葉。
6歳で、人を殺した?
呆気にとられている隙を突き、小櫃はスペルカードを発動させた。
「これで、終わりだ!!貫義『マイジャスティス』!!」
アームキャノンから巨大なブレードを展開し、猛スピードで迫ってきた。
しかし、溜まりに溜まった疲労によって隙ができている。それだけではなく、この攻撃は俺のイマジネーションによって導き出された動きと完全に一致する。落ち着いて動きを読み、半歩下がってブレードによる袈裟斬りを躱すと、固く握りしめた拳を小櫃の鳩尾に叩き込んだ。
「ぐっ…」
という声を漏らし、小櫃の体は動かなくなった。
どうやら気を失ったようだ。
小櫃の体を優しく地面に寝かせると、その隣に倒れるように寝転がった。
「ふぅ~…」
気持ちを静めるために大きく息を吐くと、脇腹をズキッという痛みが襲い、思わず顔をしかめる。
小櫃から重い攻撃を何度も喰らって、大きなダメージを負ってしまったようだ。
まずは自分の体を休めよう。小櫃さんの手当てはそれからだな。
それよりも、正邪さんは大丈夫かな?
正邪さんの無事を祈りながら、そっと目を閉じた。