東方共作録   作:戌眞呂☆

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ゆっくりパルスィ様とのコラボ part.3

 

さっきの一撃を見ただけで分かった。

陽炎は、ものすごく強い。

カーラームブラストが、押されていた。

それに、あんな小さな光弾に相殺されたんだ。

 

それを作り出すとは…。

それに、あの表情。

紅く輝く鋭い目つきで、じっとこちらを睨んでくる。

怒りの中に、まるで獲物をいたぶるかのような、嬉々とした表情が垣間見える。

 

 

頬を嫌な汗が流れ落ちる。

今まで、こんな雰囲気を醸し出す相手と相対したことはない。

これほどまでの恐怖を感じたのは初めてだ。

女性といえども侮れない。

 

ここは、全力で行こう!

 

 

「ウォォォォォ!!」

 

 

陽炎は雄叫びを上げると、右腕を振り上げて猛スピードでこっちに迫ってきた。

頭を左右に激しく振り、恐怖と威圧、殺気を追い払う。

そして目を閉じ、文さんのスピードを自分に投影させた。

 

拳が当たる直前、俺は高速で動いて陽炎の拳をかわす。

 

 

「っ!?」

 

 

さっきまで俺がいたところには、陽炎を中心としたクレーターが出来上がっていた。

たかがパンチ一発でこれほどまで。もし、もろに喰らっていたら…。

 

何なんだよ一体!!

 

 

陽炎は俺の姿を見失い、辺りをきょろきょろと見渡している。

気付かれていない今のうちに攻撃を!

 

屠自古さんの能力を投影させ、右足に雷を集中させた。

圧縮された雷はバチバチと唸り声を上げる。

そして、文さんのスピードでキックを繰り出した。

 

 

「仮剣『ライトニングブラスト』!!」

 

 

「そこか。」

 

 

キックが当たる直前、陽炎はそう呟いた。

そして、がしっと右手で右脚のすねを掴む。

 

その光景に、俺は言葉を失った。

まさか、このキックが受け止められるなんて。

それに…雷は陽炎の体に流れ込んでいるはず。

それなのになぜ効いていないんだ!?

 

 

雷を物ともせず、陽炎は不気味な笑みを浮かべ、右腕に力を込めた。

 

 

「ぐあぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

右脚を襲う激痛に、思わず悲鳴を上げる。

ものすごい力で握りしめられ、その度に激痛に襲われる。

血液の流れは遮られ、筋肉は切断され、骨にひびが入る。

 

何とかここを抜け出さないと!!

 

 

右脚に意識を集中させ、最大威力の雷を陽炎の右腕で一気に放電させた。

 

次の瞬間、陽炎の右腕が粉々に砕け散った。

 

 

その隙をついて陽炎と距離をとる。

解放されたことによって血液は流れ出し、右足の先がじんじんする。

裾をめくってみると、そこには握りしめられた跡が真っ赤になっていた。

 

 

「くそ…。くそっ…。」

 

 

陽炎は吹き飛ばされた右腕の切断面をじっと見つめている。

その表情は、苦痛にゆがんでなどいなかった。喜びを感じているというか…。やけに楽しそうな表情を浮かべ、俺の方を睨んだ。

 

そして再び俺を襲う恐怖、威圧、殺気…。

足がぶるぶると震えているのが分かる。

 

 

「…なに!?」

 

 

次の瞬間、目の前で信じられないことが起こった。

砕け散った右腕の破片が集まりだし、切断面とくっついて右腕が元通りに修復された。

 

まさか、不死身!?

 

 

「フフフ…今度はこっちの番だ。」

 

 

そう言うと陽炎は腰に差した刀に手を伸ばし、ゆっくりと引き抜いた。

全体的に黒色をした巨大な刀で、刀身には「ARES」というアルファベットが刻まれている。

 

 

「行くぞ…。」

 

 

剣を上段に構え、こちらに向かって走り出す。

 

ソードとサーベルの写真を取り出して実体化させ、目の前で交差させる。

陽炎が振り下ろした刀を、両手に持つソードとサーベルで受け止めた。

 

 

「くっ!」

 

 

何という怪力だ…。

受け止めた時の衝撃はすさまじく、顔がゆがむ。

 

剣を振り上げ、今度は真横から剣を叩き込んだ。

その後も様々な角度から剣を叩きこまれ、それらをガードすることで精一杯だ。

剣のスピードと威力がものすごく、ガードしても衝撃が両腕を襲う。

 

陽炎のすきを突いてこちらから斬りかかっても、まるで俺の動きが分かるかのように剣や左腕で防がれる。

斬撃を受けて左腕から出血しても、全く痛がるそぶりは見せない。

 

 

 

ガキィン!!

 

耳を突く音が響き、ソードとサーベルが真っ二つに両断された。

慌てて後ろに飛んで、ギリギリ陽炎の斬撃をよけたが、よく見ると服に斬られた後がついていた。

反応が遅れていたら…。

そう考えると体が震えだした。

 

はたから見ても分かるほど、俺の体はぶるぶると震えていた。

両手に持つソードとサーベルがカチャカチャと音を立てる。

 

 

 

「そろそろか…。」

 

 

陽炎はそう言うと刀を仕舞い、スペルカードを発動した。

 

 

「禁忌『狂乱』。」

 

 

「あれ?」

 

 

目が、かすんできた。

周りがだんだんと暗くなり、真っ暗な闇に包まれた。

 

 

「ここは?…ああっ!!」

 

 

辺りをきょろきょろと見回すと、目の前に広がる光景に目を見開いた。

陽炎が…沢山いる。

 

頭から2本の角を生やし、右手に真っ赤な大剣を纏わせた陽炎の大軍が、まるで津波のように押し寄せてきた。

 

 

「来るな!来るなぁ!!」

 

 

逃げようにも、あまりの恐怖で腰が抜けてしまい、思うように動けない。

そうこうしている間にも陽炎の大軍が目の前に迫ってきて、右腕にまとわせた真っ赤な大剣を振りかぶる。

そして、それを振り下ろした。

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 

両手で頭を押さえ、目をつむった。

すると、目を閉じているはずなのに陽炎の大軍が見えた。

目を開けると、陽炎が振り下ろした大剣が目前に迫る。目を閉じたら、陽炎が大剣を振り上げる。

 

 

そのあまりにも強い恐怖に襲われ、俺は何度も悲鳴を上げる。

頭を押さえ、足をばたつかせ、身を悶える。

精一杯の大声で叫んだが陽炎の大軍は消滅しなかった。

 

 

「あああああアアアアア!!!!!!!」

 

 

もう、だめだ…。

 

諦めかけたその時…。

 

 

「欧我…。」

 

 

「欧我!」

 

 

俺の耳に、小さいけどはっきりと届いた声。

俺の大好きな人、文さんの声だ。

 

恐る恐る目を開けると陽炎の大軍はなく、そこにはかわいい笑顔を見せる文さんの姿があった。

 

 

「文さん!」

 

 

文さんに駆け寄り、ぎゅっと抱きしめた。

その直後、俺の体に流れ込んできた温もり、優しさ、そして幸せ。

 

それらは、俺の中で激しく渦を巻く陽炎に対する恐怖を吹き飛ばしてくれた。

 

 

 

 

 

闇が晴れ、周りが見えてきた。

 

 

「文さ…ん?」

 

 

「よかった、気が付いた!かなりうなされていたわね。」

 

 

俺は、文さんの腕に包まれていた。

俺はいったい何を…?

 

 

「師匠、立てる!?」

 

 

「小傘ちゃん?」

 

 

ふと小傘ちゃんの方を見ると、目が赤く輝く陽炎に向かって閉じた傘を構えていた。

 

 

「なんだ、もう少しだったのに。」

 

 

陽炎は悔しそうな表情を浮かべる。

 

…そうだ、戦いはまだ終わってはいない。

 

 

「文さん、小傘ちゃん、ありがとう。」

 

 

「「欧我!」」

 

 

「俺はもう大丈夫。危ないから下がっていて。」

 

 

文さんの腕から解放され、立ち上がって陽炎と向き合った。

 

もう、陽炎に対する恐怖は感じてはいなかった。

あるのは、陽炎に勝つ!その気迫だけだった。

 

 

「さぁ、反撃開始だ!!」

 

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