魔界のオグマ   作:三流FLASH職人

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読者「更新は、どうしたアァァァッ!!!」

スイマセンスイマセン・・・


第103話 魔界皇ヒュンケル

 -魔界-

 

 誰もが固まっていた。魔界を救う希望である大魔王の破壊柱(ピラァ・オブ・バーン)、その最後の一本がたった今、

目の前で縦斬りにされ、砂塵を巻き上げて倒れた、その絶望感に。

 そして、その人物があの伝説の”魔界皇ヒュンケル”だという精霊の言葉。かつてその

恐るべき実力で魔界を牛耳ったといわれる伝説の剣豪、それが現代に蘇ったなど、普通なら

一笑に伏す所だろう。だが、その傍らには神の使徒である精霊が佇み、魔界の戦士オグマを

一突きにし、サルトバーンの豪傑マヌガンとクラックを一蹴し、この巨大な柱を真っ二つにして見せた。

 

 力こそが正義の魔界。なればこそここまで明確に力を示した伝説の英雄は、彼らにとって

敵なのかどうか誰もが判断に窮していた。もしかして彼はこの滅びに瀕した魔界を救いに

蘇ったのではないか、とすら思える。

 

 だが、その期待は、砂塵に佇むその剣士が発した言葉によって吹き飛ばされた。

 

「さて、シアよ。()()()へ向かうとするか、どっちだ?」

 

 -びりいぃぃっ!!!-

 その場の全員の意識が張り詰める!もう間違いない、コイツは魔界を閉じようとする天界の

(イヌ)でしかない、いかに恐るべき力を持っていようとも、俺達の敵だ!

 

「させるかよおぉぉぉっ!」

「ざっけんなコラあぁぁっ!!」

「くたばれぇっ!」

 

 周囲の男たちが一斉にヒュンケルに襲い掛かる。戦士は武器を手に、武道家は拳を握りしめ、

建設職人までもがツルハシやスコップを掲げて一矢報わんとする。ここまで穴を掘り、

測量を重ね、地脈を探って泥だらけになりながら建てようとした柱を無駄にされた事が、

彼らすら駆り立てる。

 

 -ズバババババババッ-

 

 その全員が同時に吹き飛んだ!ヒュンケルを中心にして放射状に。どどどどどっ、と地に

倒れ伏す数十人、やがて彼らの胸板から、腹から、腕から鮮血が噴き出す。戦士たちの怒号は

あっけなく、悲鳴と苦痛と怨嗟の声に置き換わった。

 

「な・・・何だ?何をした・・・?」

 クロコダインが驚愕の表情でそう吐く。今確かにあのヒュンケルは全く動いていなかった!

にもかかわらず襲い掛かった20人近い猛者たちを一瞬で斬って捨てた・・・なんだあれは!

 

真空呪文(バギ)かよ、面白ぇ!」

 そう言って両手に閃熱呪文を灯したのはサルトバーン随一の攻撃魔法の使い手、魔族パパオだ。

両手から頭上に半円の熱流を生み出しヒュンケルを睨む。たかがバギことき、この極大呪文で

飲み込んでくれるわ!

極大閃熱呪文(ベギラゴン)!」

 

「ほう・・・。」

 迫りくる閃熱の大砲を見て、ヒュンケルは慌てる事もなく手にした覇者の剣を地に立てると、

懐からナタルコンを取り出して構える、”懐刀(こっち)”で十分だな、という顔で。

三界分断(トライ・スラッシュ)。」

 そう言って鋭く、だが静かにナタルコンを縦に振るう。目前まで来ていた閃熱砲は、

その航跡になぞられるように分断され、二つに分かれてヒュンケルの両脇をかすめて通過する。

 逆にナタルコンによって放たれた斬撃は、遅れてくるベギラゴンを両断しながらパパオに

直進し、ついには彼の両手をぶち抜いて正中線に縦斬りを入れる。

「がはぁっ・・・!」

呪文が途切れ、あお向けに倒れるパパオ、その体から斬撃の血が噴き出す。

 

「バギじゃねぇ・・・アイツ今、魔法力を使って無ぇぞ!」

 そう叫んだのはでろりんだ。一応勇者の肩書の彼は剣と魔法の両方を(たしな)んでいる、その

彼から見て、今の一刀も、そして先程の大勢を吹き飛ばしたのも、魔法力によるものでは無いと

察する事が出来た。

 

 その声を聴いたヒュンケルがでろりんに向き直りにやり笑って睨みつける。瞬間ビビッて

一歩引いた彼だが、そのそばに呆然としたままへたり込むきらりんを認識し、彼女の前に

立ちはだかって構える、娘だけは守らねば!

「よく気付いたな、人間よ。」

 ナタルコンをかざし、それをゆっくりと上段に構える。

「我が闘気は斬撃の形を取る、例え剣を振るわずとも、このようにな!」

 

 -ヒュンっ-

 でろりんが「何かが来る!」と察し剣を前に構える、その瞬間に彼の剣に衝撃が走り、

体ごと吹き飛ばされる・・・これは、見えない斬撃?

 辛うじてきらりんへの激突は避けられたが、そのまま後ろにすっ飛ばされるでろりん。

地面をごろごろ転がって止まった時、彼の剣は音もなく中ほどから折れ、地面に落ちる。

 

 誰もが言葉を失っていた。何故ならヒュンケルはその腕を、ナタルコンを高々とかざしたまま

動いていなかったのだ。なら、今でろりんを吹き飛ばしたのは・・・?

 

「これが我が闘気、剣気(オーラエッジ)だ。」

 

 クロコダインをはじめとする闘気の使い手数人は理解した。あれは闘気を圧縮して刃にし、

それを飛ばしているのか!しかも初激で見せたように、あの多人数に対してああも正確に

当てるとは・・・何という練度!

 

「そして、その剣気(オーラエッジ)に実際の刃を重ね、さらにそれが生じさせる空気流(カマイタチ)の刃、

その3つが重なる斬撃の3段攻撃、それがこの・・・」

 

 眼光をでろりん一点に絞り、一歩踏み出してその短剣を天から地に振り下ろす!

「我が剣技、三界剣術(トライ・ザンギア)だ!」

 

 -ズシュウゥゥゥ-

 地に、空中にラインを引いてでろりんに迫る斬撃。と、でろりんの隣にズザァッ!と巨体が

並んで止まる、クロコダインだ!

「迎撃するぞ!」

「お、おうともよ!っ」

 クロゴダインがグレイトアックスで、でろりんが折れた刀を左手に持ち替え、その魔族の義手で

向かい来る斬撃に一撃をぶちかます!

「唸れ!爆音っ!!」

「どっりゃあああっ!!」

 

 -どっごおぉぉん・・・-

 

 爆発がおこると同時、クロコダインとでろりんが吹き飛ばされる。転がって倒れた

クロコダインの斧は刃の部分がまるで果物のように切り取られ、でろりんの屈強な義手は

その親指が切断され、二の腕にまで深い切り傷が達していた。

 

 あの斧で、そして地上の勇者の持つあの義手で相殺にかかって・・・コレか!相手は

長剣を使わずに、あの小さなナイフでの涼し気な一撃だというのに。

 

 

「ぐ、ぐわあぁぁぁぁ・・・くそッ!」

 痛みに叫びながらも次撃を警戒して顔を起こすでろりん。今回もまたこの義手に助けられた。

魔界の名医ギド一族には本当に感謝しかない、ならばここで無様を晒すわけにはいかない!

だが、ヒュンケルの興味は、すでにでろりんには無かった。

 

「やはりお前がこの場の一番の強者のようだな、鰐人(リザードマン)よ、名は?」

 クロコダインに歩を進めながらそう問うヒュンケル。その赤髪を炎のようにゆらめかせて

赤い瞳で獣王を値踏みする。

「俺の名は・・・クロコダインだ!見知り置けヒュンケル!」

 言葉を返しつつ、心でほくそ笑むクロコダイン。かつて地上で戦った同士の名を今は

対峙する恐るべき敵に向けて放つことになるとはな、と。

 

「いい貌だ、我が同志のガルドを思い出すよ。」

 そう言ってナタルコンを懐に仕舞い、覇者の剣を引き抜くヒュンケル。

 

(さて・・・どうするか。いかに奴の懐に飛び込んで、俺の”獣王の掌(じゅうおうのてのひら)を仕掛ける?)

 クロコダインには勝算が、奥の手があった。闘気流の激烈掌は通用せず、グレイトアックスも

折れてしまったが、かつての大戦の後、己へのけじめとして身につけた必殺の技が。

 だが、それには相手の懐に食らいつかねばならない。あの斬撃を飛ばす剣士に対して、

また長剣の”覇者の剣”に持ち替えた敵の剣劇を掻い潜り懐を取るという、とてつもない

難題が課されていたのだ。

 

 ヒュンケルが剣を立てて頭の右、八双に構える。その顔は、赤い瞳は、強敵と対峙する

喜びに綻び、同時に油断なく張り詰めていた。

「ぬうぅぅぅん!」

 クロコダインが両の手に、指先に力を込めて対峙する。小細工は抜きだ、幾多の戦いを

耐え抜いた我が体を信じて突き進むのみ!

 

 

(きらちゃん!こっち来なさい、手伝って!)

 するぼんが声を抑えながら、今だへたり込んでいるきらりんを叱責する。赤毛剣士の意識が

クロコダインに向いている今なら、オグマの治療を手伝ってもらえるチャンスだ。

「え・・・お母、さん?」

 光の無い目でずるぼんを見るきらりん。ここまで持ってきた柱が斬られ、魔界を救う計画が

終わってしまった絶望感から未だ抜け出せないでいた。魔王とはいえ彼女はまだ9歳になった

ばかりの少女なのだ。

 

「しっかりしろ、きらりん。大丈夫だ、柱は俺らが何とかする!」

 負傷した左腕を抑えながらきらりんの前に立つでろりん。先程オグマより柱を優先しろと

彼女を叱った父が今、逆の指示を我が子に述べる、謝罪の言葉と共に。

「ゴメンなきらりん、やっぱオグマ優先で良かったわ。あの化け物剣士を倒せる戦士を

助けなくっちゃ柱も何も無ぇからな。」

 そう言ってポン、ときらりんの頭に手を置く。その言葉とアクションに、きらりんの

瞳に光が戻った。

「お父、さん・・・。」

父を見上げる娘、答えて頷く父。

 

 ぱんっ、と自分の頬を叩いて気合を入れ、母のもとに向かう。自分の大事な仲間の命を

繋ぐために、そしてこの場の戦いを勝利に導くために、残り僅かな魔法力をかき集めつつ

魔王きらりんは駆け出す。

 




リヴィアス「ふぅ・・・茶が美味いな。」
バラン「あ、その茶菓子貰うぞ。」
ラーハルト「バラン様、お茶のお代わりいかがですか?」
ミール「物語視点が地上に戻ったらちゃんと戦ってくださいね、モグモグ・・・」
ヒュンケル「なんか魔界で俺の名前呼ばれてるような・・・ズズズ。」
マトリフ「ンだよ、酒無ぇのか、酒は。」

クト(・・・こいつら(怒))

もちろん冗談ですw
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