魔界のオグマ   作:三流FLASH職人

123 / 136
第123話 神々の悲願

 -天界-

 

「我が主神イヴノウン様、この天の8行輝きのシア、お伺いいたしたく事ありて参りました。」

 シアは人間の神(イヴノウン)に拝謁するなり、今までにない程の険しい表情でそう申した。神に仕える

精霊として長きを生き、その使命に何一つ疑問を持たなかったシアは、今初めて神に対し

疑念の意志を示していた。

 

 ”魔界を閉じる”

 その勅命を受けた時、シアは魔界そのものを消滅させる事であると確信していた。神々の

御言葉で「閉じる」というのは、「終わらせる」「消し去る」という意味を持つからだ。

だからこそ水脈を操作して地上を緩やかに沈下させ、地上への影響を最小限にして魔界を

埋め立てるという方法を取り、なにより神々もそれに反対しなかったのだと思っていた。

 

 しかし、魔王を自称するあの少女の言葉により彼女は気付いた。そも神が魔界を閉じる目的は

強者を生む過酷な土壌を無くすことであり、それを我ら”天の8行”が自らの聖名の力を

持ってすれば、それを実現できるという事に。

 もしそれが本当の目的であるならば、何故神は今まで私たちの行動を黙認して来たのか。

殺めなくても良い命を殺め、動かさなくても良いものを沈め、平穏に過ごしている者たちに

無用の不安を与えた。それを実行した自分たちに、何故神々は天罰を与えなかったのか、と。

 

 だがイヴノウンは穏やかな表情を崩さずに、こう返した。

 

「神は見守るのみの存在、手を下すのはあなた方使徒に一任しています。ですから・・・」

そこで一度言葉を切り、ふふっ、と笑って言葉を続ける。

 

「貴方が良いと思うようになさい、それこそが神の意志なのです。」

 

 

 シアは神の神殿を後にすると、その手に魔力を灯す。それは天界固有の魔法であり、

彼女らにのみ使える召喚、集結魔法。かつてサルトバーンの泉に仕掛けていたものと同じ

特定の精霊を呼び出す呪文。

 

 -転送呪文(コルセルーラ)

 

 天界の一角に、再度”天の8行”全員が集結する。今度こそ真の”魔界を閉じる”計画を

実行する為に。

 

 

     ◇           ◇           ◇    

 

 

 魔界の各地、町や村や集落。そこに住む魔族やモンスターの幼子たちが見た夢を親たちに

伝える。消滅しつつある魔界を守るべく動くべしとの意思と、その方法を。

 

 地上の国々、その城勤めの夜勤組。仮眠をとっていた彼らは等しく夢を見る、それは神の天啓。

崩落しつつある地上を救う為の、わずかな希望。

 

 

 それは精霊”天の8行”サナとシルが持つ能力。夢によりお告げと言う形で不特定多数に

メッセージを送る混乱の推進(カオス・リード)の能力。だがこの状況で使用されたそれは、混乱を

招くのではなく、正しくカオスを収めるための天啓であった。

 

 

     ◇           ◇           ◇    

 

 -魔界-

 

「目指すは世界樹の森だ!行くぞーーーっ!!」

「「おおおおーっ!」」

 サルトバーンの中央広場、そこに集った者たち全員が手にロッドを持ってそう叫ぶ、

その杖はケートスによって巨大化呪文(メガロ・ゴリア)の能力を備えている特注品だ。

 先日、6本目の柱が転送不可能になった時、代替案のひとつとして”自分たちで柱を作る”

というアイデアが出ていたのだが、それを実現させるために魔法具(マジックアイテム)職人達が作り上げた

天の大地を支えるための巨大化可能なアイテム。大魔王の破壊柱(ピラァ・オブ・バーン)ほどの強度は無いが、

そのぶん数で勝負だと、都合30本以上の杖を作り上げていたのだ。

 

 そして今、子供たちが夢で見たお告げにより、ついにこの杖が真価を発揮する時が

来たのだと意気上がる魔界の住民たち。仮にそれが精霊の罠であったとしても、やるべき方針が

見えたなら動くべきだ・・・いや、動かなくてどうする!

 

 

有機宿魂化呪文(オーガ・ニール)

「・・・は?」

 シアのその呪文を見て思わず固まるきらりん。つい先ほど去って行ったと思った精霊が

舞い戻って来たかと思えば、ヒムや、ザン、マルタ、そしてでろりんとずるぼんを石から

元に戻してくれた・・・何なのこの人?

「あ、あのー・・・」

 全員が頭にハテナマークを浮かべるが、シアはそんな彼らに向き直り、きらりんを見据えて

一言こう告げる。

「魔王、ですね、貴方はまさに。」

 

 

     ◇           ◇           ◇    

 

 -地上-

 

「や・・・ヤベェぜ、こいつぁ・・・」

 死の大地の上空、トベルーラで浮いているマトリフが真下の光景に愕然とする。死の大地が

陥没し、そこに周囲の海の水が怒涛の如く流れ込んでいく。

「地上が・・・魔界に沈みます!」

 そうこぼしたのはアバンだ。周囲にはポップやロモスの魔法使いフォブスター、パプニカの

賢者アポロとマリンも飛びながら下を見て冷や汗を流す。世界を襲う地震の震源地が

ここである事を突き止めて集結した彼らは、その絶望的な状況に思わず固まる。

 

(なんて・・・こった。このトシまで生きてきて、人生最大のドジを・・・)

 臍を噛みまくるマトリフ。この地上崩落が天界の”魔界を閉じる”計画と、それを阻止

すべく動いた自分たちのせめぎ合いが生んだ、最悪の結末である事をは明らかだ。

 あえて口にはしないがアバンもポップも想いは同じだった。魔界の為によかれと思って

やった事が最悪の結果になって返ってきている・・・なんてこった。

 

 -ビッキィィィギィィィ・・・-

 

 その時だった、下に落ちる海水が、なんと瞬時に凍り付いたのは!

 

 凍った海面の上に、ひとりの少女が立っていた。白い雪のような髪と服装を纏った

雪の精霊を思わせる娘が、両手を広げて佇んでいた。

 

「もしかして・・・お前さんが”レム”さんかい?」

 思わず声をかけるマトリフ。精霊の中に、自分たちに力を貸してくれた雪と気温を操る者が

いた事を弟弟子のまぞっほに聞いていたが・・・この娘か!?

 

「はい・・・お願いがあります。今私が凍らせた範囲を、一気に魔界に落としてください!」

マトリフたちを見上げてそう叫ぶレム。

「何だって?ンなことしたらせっかく止まった崩落が、また始まっちまうじゃねぇか!」

ポップの抗議に、首をふるふる振ってレムが返す。

「止まってはいません・・・止めるには地上を落としている水脈そのものを凍らせる必要が

あります・・・その芯となる空間を得るために・・・」

 

 一度俯いて、それから天を見上げて決意の言葉を繋ぐ。

「地上から魔界まで、トンネルを通します!」

 

 

「行くぜ師匠!」

「おうよ!」

 状況を理解したポップとマトリフが、上空から凍った海に向けて呪文を撃ち放つ!

「「重力呪文(ベタン)!!」」

 -どおぉぉぉぉっ!!-

 大魔導士二人分の重力を食らった凍れる海が、その表面をまるで鍋の底のように変形させて

陥没していく。彼女がここを凍らせたのは、一度固定化させた地上を一気にぶち落として

地上と魔界を結界ごと貫通させる事にあったのだ。

 

 元々の魔界を閉じる計画は、水脈を操って地上を緩やかに陥没させるものだ。つまり地上は

その隙間に流し込まれた水によって落ちて行っている。ならばその水脈を凍らせれば

地上の沈下をピタリ止める事が出来るはずだ。その為に魔界までの穴を抜き、その境に流れる

水脈に直接レムの凍結能力をぶち込もうというのである。

 

 -ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ -

 

 ついに底が抜けるように、凍った大地が下の闇に落下してい消えてゆく。もしすぐ下が

魔界なら、そこに誰かいたら逃れようもないだろう・・・だがこのまま世界全体が落ち込むよりは

ずっとマシなはずだ・・・頼む、誰も居ないでくれよ!

 

絶対低温氷(ダイヤモンド・ダスト)!」

 レムの二度目の冷気により、抜けた周囲の海が再度凍り付く。そうして出来た直径1kmほどの

その氷の穴の下は、彼らがまだ見ぬ世界へと繋がっていた。

 

「まだです・・・これからが、勝負・・・です!」

 穴の中に降り、半分ほど来た所で水脈を見つけ、その高度で両手を広げて3度目の低温魔法を

大地と魔界の天井の境目に撃ち放つ!

氷結硬化呪文(ロック・ヒャダイス)!!」

 

 -ぴきぴきぴきぃっ・・・-

 それを上から見守る彼らには、今まさに地下の水脈が、地上の大地の芯が凍っていくのが

感じ取れた。その力に思わず「すげぇ・・・」とこぼさずにはいられない。

「これは私も手伝わないといけませんねぇ。」

 そう言って穴に降りていくアバンに続いて、マトリフもフォブスターもアポロもマリンも

穴に入っていく。自分たちのヒャドなど彼女の力に及ぶべくも無いが、それでも苦しそうな

表情で必死に地上を守ろうとしている彼女に何も手助けしないなど、人間の矜持がすたるってものだ!

 

 が、ポップだけはそれに同調しなかった。彼はマトリフに「ちょっと頼まぁ師匠!」と告げて

ルーラですっ飛んで行ってしまった。フォブスターはそれを見上げて「あの野郎・・・?」

とこぼすが、アバンとマトリフにはその意図が見えていた。

 

 

「ダイっ!悪いが手ぇ貸してくれ!!」

 テランに到着したポップ、その傍らにはアルキードとロモスでかっさらったヒュンケルと

マァムもいた。ルーラを連発してでも揃えなければいけないメンツ、その4人目がダイだ!

「ポップ!俺、テランのみんなを・・・」

国王と言う立場上ごにょりかけたダイをポップが一喝する。

「いーんだよ!これからレオナもかっ攫うんだから!!」

 国王二人を強制拉致という、平時に聞くとテロリストとしか思えないセリフにダイは

「ああ、成程。」と言う顔をすると、自らルーラを発動させてポップに同調する。

 

 ドォォン!

 パプニカ城に到着した一行が見たのは、今まさに気球で出発しようとしているレオナと

エイミ、そしてバダックであった。

「ダイ君!みんな!」

 浮き上がった気球から颯爽と飛び降り、ダイ達の元に走って来るレオナ。

パプニカ伝統の気球は魔法改良がなされており、ルーラを使える者が乗っていれば自在に

目的地に向かう事が出来るのだが、さすがに普通にルーラで飛んで行く方が早い。

 

「姫!」

「レオナ王女、ヒュンケル!私も・・・」

バダックに続き、エイミが身を乗り出して気球から降りようとする、が・・・

「ダメよ、ふたりは他のみんなと一緒に気球で来て!」

 レオナが一喝して二人を止める。ついさっき当直で仮眠していた城の兵士が見た

天啓により、死の大地に魔導士部隊を派遣すべく気球で向かう所だったのだ。

気球にぎゅうぎゅう詰めになっている魔導士や僧侶たちの中でもルーラを使えるのは

エイミしかいない、彼女まで降りるわけにはいかないのだ。

 

「エイミ!先に行って待っているぞ!」

「あ・・・はいっ!」

 ヒュンケルの鶴の一言であっさり気球に引っ込むエイミ。それを見た皆が思わず笑顔になる、

ポップが手を広げ「おーおー、お熱い事で」と鼻の下を伸ばしてニヤけ、マァムにど突かれる。

 

 

「待たせたな!」

 再び死の大地の上空、空いた大穴の真上でタンコブを作ったポップがそう叫ぶ。

それに反応したレムに、レオナがやや流し目でこう質問する。

「精霊さん、確認するけど、あなたの力は聖なるものなのよね?」

 え?という表情の後、こくり頷くレム。それを見た5人のアバンの使徒は、輪を作って

天界の使徒に強烈な後押しをする。

 

 -大破邪呪文(ミナカトール)!-

 

 5つの輝聖石(アバンのしるし)を輝かせ、魔法陣を真下に輝かせてレムを包み込む。

邪を退け、聖なる力を増幅させるレオナの十八番が、天界の精霊の力を、それが生み出す

冷気を爆発的に増大させる!

 

 -キイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ-

 

 世界の大地の”芯”が凍っていく。水脈によって崩落を続けていた大地が固定化されていく。

その手ごたえを実感しながら、レムは己の主神、ガルドリオン様が自分にこの冷気以外の力を

与えなかった本当の理由を心から悟った。

「この力に特化したから・・・私は今、魔界を、地上を・・・そして世界を、救えるのね。」

 最初は地上と魔界の通路を氷で封印し、魔界の反抗を防ぐのが使命だと思っていた。

ルーラや他の攻撃呪文を与えてくれなかったのは、魔界の者にも生存の可能性を残すためだと。

 だが違ったのだ。シア達が計画した地上崩落を止めるためにこそ私はこの力に特化し、

また魔界の者たちに触れ、魔界をいかに処するかを自分に実感してもらう為にこそ

私は魔界の皆と親しくなったのだ。

 

(あのケプラスさんや、ガノイザーさんの分も・・・私が頑張らないと!)

 

     ◇           ◇           ◇    

 

 -魔界-

 

 ドドドドドドドドドドドォッ!!

 

「とっ!とんでもねぇっ!!」

「くっそ、これじゃあ近づけねぇっ!」

 世界樹に到着したサルトバーンの面々が、天から降り注ぐガレキの雨に愕然として吐き出す。

岩が、水が、そして氷が雨あられと振り落ちるその空間に近寄るなど自殺行為だ。あんな所に

どうやって近づいて柱を建てるって・・・

 

「「!!!!!!!!」」

 

 全員が一斉に絶句した、言葉にならない絶叫が一同を包んだ。

 

 なんとガレキが降り注ぎまくるそのど真ん中で、赤毛の剣士と見知った人熊(ウォーベア)

刃と刃を合わせて鍔迫り合いを演じているのだ。顔面を真っ赤にして、崩落の轟音の中でも

聞こえるほどの歯ぎしりをギギギギと軋ませながら。

 その彼らの周囲ギリギリに落下物が次々と着弾する。それでも直撃しないのが何より

不思議だった・・・なんという幸運だあいつら。

いや、そもそもなんでそんな危ない所でガチンコやってるんだ彼らは!!

 

 

 ダダンッ!

 

 崩落が収まったと思ったら、今度はなんと人間が降って来た。

「な・・・あれは、オグマ君・・・」

「い、一体何やってるのよ、こんな時に!」

ダイに続いてレオナが呆れ声を出す。ケンカしている場合じゃないでしょうに・・・

「静かに、声を出すな、気を散らすな。」

 そう小声で囁いたのはヒュンケルだ。今の彼らの鍔迫り合いは、ほんの些細なきっかけで

均衡が崩れ、どちからかが一刀両断される危険が高い、それほどに拮抗している。

 戦う原因が何であれ、第三者の介入でどちらかが絶命する危険があるならそれは

避けるべきだ、と。

 ヒュンケルは知らない。武術会で見知ったオグマと今まさに死闘を演じている魔族が、

彼の名の元となった魔界の剣豪である事を。

 

 

「しゃあ無ぇ、オグマが頑張ってんだ、俺らも引かねぇぞ。」

「だな。」

 魔界の住人たちが覚悟を決めて柱を建てんとした時、そこにきらりん達一行が駆け付ける。

「ああっ!オグマさ・・・むぎゅ」

(馬鹿!大声出すな、今気を散らせたら斬られかねんだろうが!)

 ヒムが叫ぼうとしたきらりんの口を押さえて囁き怒鳴る。戦士たる彼には、今オグマが

薄氷を踏む状態にあるのがすぐにわかった。

「愚息はワシらが見守ろう。魔王殿はこの世界を頼みたい。」

ダルタレクの説得に応じて、崩壊する天の大地に意識を移すきらりん。

 

「見ろよあれ、レムだぜ。」

「なるほど、氷系呪文(ヒャド)で水脈を凍らせてるのね。」

 両親のでろりん、ずるぼんが、かつてのパーティメイトの精霊の活躍を目にして頷く。

ならば及ばずながらも協力せねばなるまいと、ヒャドの魔法力を構える夫婦。

 

「めくらめっぽう撃っても意味ねーぞ!」

 そんな彼らの目の前に、全身を黄金色に輝かせる女性が、にゅっ、と現れてそう告げる。

「うわぁっ・・・あ、あんた、確かニカとかいう精霊!」

 

「水脈の走っている地点を私が示します、そこにヒャドを!」

 ニカの背後にいた”落ちのイタ”がそう告げて空に登っていく。魔界を落とすべく

水脈を引いたイタはその流れの全てを当然のように把握していた。

 

 両親がニカに抱えられて舞い上がり、悲鳴を上げながらもイタの示した位置をヒャドで

凍らせ固めていく。よし私も!と意を決するきらりんに、ヒムが「俺らに何かできる事

無ぇのか!?」と声をかける。

「じゃ、ドラゴンでも集めてきて。できれば炎のブレス吐く奴!」

 その無茶振りにぶっ!と吹き出すヒム。だが傍らにいるマルタとザンは、ヒムと出会う

以前の旅の最中、それに心当たりがあった。ヌムーンの溶岩川のほとりで群れていた

小竜蝙蝠(メラリザード)の群れ。一度は二人で蹴散らした後、やたら懐いてきた連中。

 

「ヒム!ルーラ頼む。俺達が知っているトコならその三角翼(スクェアウイング)で飛べるんだろ?」

「心当たりあんのかよ!てか連れてこれるのかそこのドラゴン!」

 ヒムの反論に、にかっ!と親指を立てるマルタとザン。ヒムは「まじかよ・・・」と

ぼやきつつも、アルビナス・ウィングを作動させて3人でその場を離脱する。

 

 

 精霊”流れのシル”、”瞬きのサナ”の天啓を受けた魔法を使える人間たちが、続々と

死の大地から魔界に降りてきて、”落ちのイタ”の示した水脈を次々とヒャドで凍らせていく。

特に遅れて来た北の勇者ノヴァはまさに八面六臂の活躍で、得意のマヒャドを次々と

ぶち込んでいく。

 

 魔界の魔族や亜人、獣人たちが手にした杖を地面に突き立て、巨大化のための仕掛けを

作動させる。まるで打ち上げ花火のように伸び上がったロッドが、次々と天の大地に

突き刺さる!

 

 ほどなくとんぼ帰りしてきたヒム達、彼らが連れて来た100匹を超えるメラリザード達に

天の大地に炎を吐くように指示するきらりん、その真下に反転性魔法(マホリグル)の結界を張って。

 かくして大量のメラブレスはヒャドブレスと化し、天の大地の広範囲を一気に凍結

させる事に成功した。周囲の誰もが、さすが魔王(きらりん)様、と驚嘆の声を上げる。

 

 そして、地上と魔界を繋ぐトンネルの真ん中では、精霊”降りのレム”が、地上の人間

”アバンの使徒”のサポート(ミナカトール)を受け、その能力を存分に発揮して土中の水脈を

凍結させ続ける。

 

 

 とりあえず騒動の中心で鍔迫り合いをしている魔族と人熊は置いておいて、世界の総力を

もって地上と魔界の破滅を食い止めんとする。

 

 

     ◇           ◇           ◇    

 

 

 -天界-

 

「フォフォフォフォフォ・・・見ろ皆の衆、我が使徒レムの活躍を!」

「何を言う若造!我の生み出したニカとイタこそ見事な奔走では無いか。」

レムの活躍に鼻息を荒げる獣の神(ガルドリオン)に、竜の神(ネスカトル)がムキになって反論する。

「ふふっ、どうでもいいでしょう、そんなこと。」

「全くじゃわい、今この光景の前では些細な事じゃ。」

 人間の神(イヴノウン)魔族の神(アグレシル)が二人を嗜める。他の神々もうむうむ、と頷きつつ

目の前に映し出された映像(ビジョン)に、かぶりつくように見入る。

 

 そこに映し出されていたのは、悠久の時の中であらゆる神々が切望し、何代にも渡って

実現しえなかった、夢の光景が広がっていたのだから。

 

 

 天界の精霊、地上の人間や怪物(モンスター)、魔界の魔族やドラゴン。

 

 

 -有史以来初めての、彼らが皆一丸となって協力する、その光景-

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。