魔界のオグマ   作:三流FLASH職人

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第4章 きらりん~冥竜王に導かれし新たな魔王
第30話 ドラゴンの大陸


パパとママが大好きだった。

 

おじちゃんやおじいちゃんも、すごくそんけいしていた。

 

だって、みんな、このせかいをすくった、ゆうしゃさまなんだもの。

 

 

だれかが、ひどいことをいった。

 

パパもママも、ほんとうはゆうしゃなんかじゃない、って。

 

そんなことない!って、わたしはおこった。

 

でも、そのひといがいのひとも、おなじことをいった。

 

おまえのパパやママは、わるものなんだって。

 

たまたまそこにいたから、せかいのやくにたっただけなんだ、って。

 

パパもママも、おじさんも、おじいちゃんも、ほんとうはどろぼうで、わるいひとなんだ、って。

 

 

 

ねぇ、パパ、ママ、うそだよね。

 

パパはゆうしゃだよね、わるものなんかじゃないよね。

 

ママはけんじゃなんだよね、どろぼうなんかじゃないよね。

 

おじさんはりっぱなせんしで、おじいちゃんはいだいなまほうつかい・・・だよね。

 

 

だって・・・そのこどものわたしは、こんなにまほうがじょうずなんだから!

 

 

 

 

少し、おとなになった。

 

私のお父さんとお母さんは、わるものだった。

 

本当のゆうしゃさまは”ダイ”っていう人。

 

本当の賢者さまは”レオナ”、戦士さまは”ヒュンケル”、まほうつかいさまは”ポップ”。

 

みんな、いだいな親をもつ、りっぱな一族の人たち。

 

 

わたしの親は、わるもの。

 

みんな私にうしろゆびを指す、ばかにする、どろぼうの子供、と。

 

だからわたしは、勇者にはなれない。魔法使いにも、賢者にも。

 

どんなに魔法がじょうずでも、わたしはわるもの、勇者にはなれない。

 

 

勇者さまはそんけいされ、賢者さまはあがめられ、戦士さまはみんなに語りつがれ、

まほうつかいさまはみんなにあこがれられる。

 

 

でも、お父さんとお母さんは、おじちゃんとおじいちゃんは、いつもばかにされる。

 

お父さんとお母さんは下をむいて、その言葉にはんろんもしない。

 

ああ、やっぱり私は、わるものの子供なんだ。

 

こんなに上手に、まほうを使えるのに・・・

 

こんなにつよい力があるのに・・・

 

 

だったら

 

 

 

わたしは、勇者の、敵になる!

 

いつか勇者をやっつけて、わたしに、お父さんやお母さんにゆびをさした奴らを見返してやる!

 

 

だからわたしは・・・

 

 

 

 

 -勇者の敵、”魔王”になってやる!-

 

      ◇           ◇           ◇    

 

「来たぞ!」

 砂丘の丘を越えて姿を現すリヴィアス、飛翔呪文(トベルーラ)で地面すれすれを飛び、まっすぐ

こちらに向かって来る。

 次の瞬間、砂丘の稜線にずらりと現れる野生の竜族”ドラゴンマッドナマズ”の群れ。

このあたり一帯をテリトリーとする、凶暴で危険な魔竜の大軍!

 

「おう!」

『ぬかるなよ!』

 オグマがキンッ!とナタルコンを抜く。彼らが居るのは稜線から坂を下った地点、本来なら

敵が一気に駆け下って来る最悪の位置取りなのだが・・・

 

「ドラゴンマッドナマズは翼を持っていますが飛行能力は高くありません、飛ぶのは高所から

低い所に移動するのに限定されます。坂の下に位置すれば間違いなく滑空してくるでしょう。」

 

 ミールが館の書物で調べたドラゴン族の様々な特徴、それを頼みにこのルオウ(ドラゴンの)大陸を

攻略し、ここまで進んできた。

 リヴィアスの偵察でここら一体が奴らのナワバリであることを知った彼ら。凶暴で肉食の

ドラゴンマッドナマズとの戦いが避けられないことを確信したオグマ達は、あえてこの地に

おびき出し、殲滅戦を挑むことを決意したのだ。

 

 そしてミールの予習通り坂を駆け下りつつ、一匹また一匹とグライダーのように滑空する。

よし、手はず通り。

 

真空津波(バギウェーヴ)!』

 オグマが横薙ぎに振るったナタルコンは、その言葉と共に横一文字の真空波を生み出し、

滑空する魔竜に向かう・・・彼らより、やや高い位置を目指して。

 やがて敵の群れの頭上を真空波が通過する。と、同時に滑空していた敵どもは、自らの意思に

反してふわりと高度を上げる。真空波が頭上を通過したせいで上昇気流に舞い上げられ、そのまま

獲物であるはずのオグマやリヴィアス、ミールの頭上を通過する。

 

 -ぷすぷすぷすぷす・・・-

 -ザクザクザクザク・・・-

 

 無防備な腹を晒して真上を通過する人食い獣に遠慮する必要はない、下からコーンランスと

竜の牙で通過する敵の腹に穴をあけていく。

哀れ彼らの正面にいた獣どもは腹に穴をあけられ、内臓を損傷して転がり落ち、そのままうずくまる。

 

 が、左翼と右翼に分かれた10数頭は今だ健在だ、着地と同時に振り向いて、再び襲い来る

アクションを起こす。

「ガルァッ!」

 その直前、オグマは竜の牙を頭のヘルメットの宝玉に当て、中に入っていた

爆裂呪文(イオラ)を取り出し、左右の敵の真ん中に投げつける。轟音を響かせて吹き飛ぶナマズ竜ども。

運悪く(・・・)その爆発から逃れた連中は、飛翔呪文(トベルーラ)で飛んできたリヴィアスによって

次々と頭を串刺しにされていく。

 

『ふむ・・・アレだな。』

 ナタルコンがオグマに指示する。やや体の大きい一匹の個体がむくりと起き上がる、周囲の

傷付いた魔竜どもはその竜に懇願するような声を上げる、ヤツが群れのリーダーで間違い

なさそうだ。

 オグマは正面からそいつに歩み寄る、相手もまた唸り声をあげ、牙をむいて威嚇し、

次の瞬間に大口を上げてオグマに駆け寄ってくる。

 

 が、今のオグマに正面突進を仕掛けるのは自殺行為でしか無かった、知恵ある者なら

いざしらず、食欲しかない獣に身を躱すという思考は無いのだから。

「グルアァァァァァーーーーッ!」

 雄叫び一閃、光の闘気を全開にするオグマ。その力を兜の魔法石が吸い込み、オグマの頭に

光り輝く一本の頭槌を発生させた!

 

 向かって来る魔竜にタイミングを合わせてジャンプ、弓なりに体をそらせ、一気に体を

折り畳む。その頭のハンマーが弧を描き、哀れな竜の脳天に打ち込まれる。

 

闘気激砕槌(オーラ・グラヴィトン)!!」

 

 タテに圧縮され、跡形もない状態で潰されたリーダーを見て、一様に震え上がるナマズ竜たち。

この時点で勝負は決した。

 

 

 

「しかし・・・予想以上に手こずるな。」

「ミールのおかげでだいぶ楽ではあるんだがなぁ・・・」

 焚火を囲み、ドラゴンマッドナマズの肉をかじりながら話し込む3人と一振り。

ルオウ大陸に上陸して以来、彼らは各所で竜の群れと遭遇し、時には戦い、時には逃れて

ようやく目的地の半分という所まで辿り着いていた。

 

 ドラゴンという種族は血の繋がりが強い、どのテリトリーでも同じ種族の竜が固まって

生活しており、混ざり物のいない単一種族は攻略するのに好都合ではあった。

『だが・・・異種交配が無いと種としての力が落ちる。』

「知性の無い、野生化したものが多いのも多分そのせいでしょうね。」

 ナタルコンに続いてそう語るミール。リヴィアスは師匠ロズテナーの話を思い出す。

「ヴェルザーって奴は竜族の知性の落ち込みを憂いていた、って師匠が行ってたよ。」

 

「良い事なのか、悪い事なのか・・・俺達が今抱えている問題を考えたら、な。」

 オグマが胸に巻かれたタスキを撫でながらそう語る。確かに竜族が退化しているなら

ヴェルザーのいる深山まで辿り着くのはより容易になるだろう。

 だが、仮にヴェルザーの協力を取り付けたとすれば、その配下である竜たちが無能だと

それはそれで困るのだ。

 問題は単なる武力闘争ではない、魔界と天界、そして地上を巻き込んだ極めて繊細で

複雑な問題なのだから。

 

「とはいえ辿り着けないんじゃ意味が無い、今はいい方に取ろうじゃないか。」

リヴィアスがそう返し、ミールが笑顔で頷く。オグマもまた胸のタスキに埋められた

カプセルのうち、未使用の物の数を数えながら、だな、と同意する。

 

 オグマの胸に巻かれた一本のタスキ、その中にはいくつものカプセルがはめ込まれている。

これはサルトバーンの呪術師に仕込んでもらった魔法を閉じ込める道具、いわばオグマが

魔法を使うためのストックを帯にして巻いている。使用時にはこれを兜の黒魔晶に吸わせ、

竜の爪で取り出して使用するのだ。

 まるでガン・ベルトだな、とはリヴィアスの弁。なんでも地上にはかつて飛礫を発射する

(ガン)という武器があり、その弾丸をこういう形で体にぶら下げていたとか。

その残量は出発当時の半分以下まで減っていた。そして大陸の中心に近づくほど敵は手強くなる

だろう。

 より厳しい道中になる事を予想しながら、彼らはしばしの休息を取った。

 

 

 翌日、彼らは森の影から新たな竜の様子を伺っていた。

『ギガントドラゴン・・・だな。』

「おいおいシャレにならんな、あれで甘噛みかよ!」

 5匹ほどの巨竜がすさまじい勢いで噛み合い、足の爪を相手に打ち付けている。

他のモンスターなら一撃で即死しそうなそのじゃれ合いを見て、思わず引く一同。

 

「ギガントドラゴン・・・大人しい性格ですが、己のテリトリーを冒す物に対しては

容赦なく攻撃するそうです。知性のある者も多いですが、アレはどうみても野生ですね。」

 ミールが冷静に絶望的な状況説明をする、彼らの察知範囲を迂回して回る道は無いし、

飛翔呪文(トベルーラ)で回避しようにも、空を飛ぶ竜の眼がそれを見逃すはずもない。

 

 打つ手の無いまま足止めを食らう一同。遠巻きにギガントドラゴンの様子を伺いつつ、

対策を話し合うが、さすがに妙案も浮かばない。仕方ないのでその日は少し離れて

野営することにした。

 

「・・・ん、寒っ。」

 木にもたれて眠っていたリヴィアスが目を覚ます。何か妙な冷たさに目を開けて・・・

「なっ!!」

 思わず叫び、慌てて手で口を押える。今のでドラゴンに聞かれなかっただろうな!?

 

「ひっ!!」

「うわ寒ぃ・・・」

『何と!』

 

 オグマもミールもナタルコンも、目を開けた瞬間リヴィアスと同じように叫び、そして慌てて

口を紡ぐ。

 

 そしてドラゴンのいる方に目をやった時、リヴィアス以外の3人はその光景に完全に固まった。

 

「雪・・・だと?」

 思わず漏らすリヴィアス。魔界では初めて見る、辺り一面の銀世界と、天からしんしんと

降り注ぐ氷の結晶。

 その先で数体のギガントドラゴンが体を丸めて眠っていた。その体にも雪が降り積もり、

ちょっとした小山のようになっている。

「雪・・・というのですか?これは。」

「なんか寒くて・・・穴掘って眠りたい気分だ。」

『これも地上の現象か?』

 

「3者3様の反応だな。というかオグマ、冬眠は止めておけ。」

リヴィアスのツッコミに何だそりゃ?と返すオグマ。魔界は基本、地熱とマグマのせいで温かい、

寒さで生命活動を止める、いわば冬眠をする生き物などいないのだ。

 

「でも、これはチャンスです、今ならあのドラゴンに見つからずにここを・・・」

そうミールが言った直後、別の声が森に響いた。

 

彼らの頭上から。

 

「あらあら、人間じゃないの?あなた。」

 

 そこにいたのは純白の衣裳を纏った女性。空を舞い、雪の一部に溶け込むようなその姿を

ひらりと舞わせ、雪と共に彼らの前に降りてくる。

 

 その女性の気配を、雰囲気を、そしてその様々な、不思議な力を知っている。

 

「貴様・・・精霊か!」

 

 コーンランスを構えてそう問うリヴィアスに、女性は嬉しそうな笑顔でこう返した。

 

「はいっ、私は精霊、天の8行”降りのレム”ですっ。」

 

 その態度に思わずぽかんとなる一同。今までの精霊と違い、彼女からは全く敵意が

感じられない。

そして、笑顔のままの彼女の次の一言に、一同はますます狼狽える事になる。

 

 

「ねぇ、よかったら一緒に旅をしませんか?」

 




お待たせしました。ようやくダイの大冒険のキャラの名前が出ました(ヲイ
さぁ、冒頭のモノローグは、果たして誰だ?(バレバレ
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