魔界のオグマ   作:三流FLASH職人

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第45話 王の御前で

「そなたが魔界から来たオグマ、そして魔剣ナタルコンじゃな・・・」

 ロモス王国の国王シナナは両脇に槍を抱えた衛兵を従え、オグマを睨み上げてそう話す。

一方のオグマは四方から衛兵に剣を突きつけられた状態で厳しい視線を返す。

「一国の王ともあろう人物が、人に刃物を突き付けて何を問うか!」

 

『ふ、余裕のない事だ。そう怯えずとも、こ奴は不意に躍りかかったりはせぬよ。』

 オグマに続いてナタルコンもその横柄な態度に悪態を返す。兵士たちは無礼者、

王の御前であるぞ、と威圧するが、彼らは意に介さない。

 ロモス城謁見の間、対峙する両陣営の後ろでチウやフォブスター達は、心配そうに

そのやりとりを眺めていた。

 

 

 ベンガーナを後にした一行はとりあえずロモスに飛んだ。ここはフォブスター達の国であり、

デルムリン島に物資を届けた報告もしなければいけなかったから。

 だが、帰ってきた彼らを待っていたのは、何故か魔法の拘束で縛り上げられている遊撃隊の

魔族コンビ、ラバー&ラクーと、彼らを確保する衛兵たちの敵意の眼差しだった。

「な・・・どういうことだっ!」

 無論チウは黙ってはいない、自分の部下が理由も分からず縛られているとなれば当然怒って

然るべきである。

 

「王のご命令です。ご安心ください、危害は加えていません、ただ・・・」

衛兵たちは互いに顔を見合わせ、そして視線をオグマに送る。

「そちらが魔界から来たモンスター、オグマですね。捕縛命令が出ています、願わくば

大人しくして頂きたい。」

そう言って魔法の筒の先を開け、そこから拘束魔法の紐を引きずり出す。

 

「理由を、きかせて貰おう。」

 当然のようにそう返すオグマ。島で会った知人に続き、この国に初めて来た自分をいきなり

捕縛しようとゆうのだから。

 だが衛兵達は、王の命令です、の一点張りで答えようとしない。貴方が捕縛されればラバー達は

開放しますと言われて、止むをえまいと捕縛を受けるオグマ。引く気のない相手に押し問答は

無駄だ、とナタルコンに思念波でアドバイスされたゆえの行動だった。

 

 オグマはそのまま城の地下牢に入れられた。その間も数少ない情報から、この国の人間の

意図を測りにかかる。

「兵士たちの態度、迷いが見えたように思うな。」

『自分たちの行動に確固たる自信のない証拠よな、いきなり害されることはあるまいが

油断するなよ。』

 オグマは頷きつつ先の展開を予想する。チウやフォブスター達は別室に通されたようで、

彼らが自分たちを弁護してくれれば、事態は案外早く動くかもしれない。

 

 

「彼らは悪者ではありません、あのような扱いはどうかと・・・」

「まったくだぜ、どうしちまったんですかい?王様。」

 城の会議室、バロリアとゴメスが上座に座るロモス王にそう問う。チウはと言うと拘束を解かれ

激高したラバー達を抑えつつ、厳しい視線を王に向け、成り行きを見守る。

「うむ・・・実はの・・・」

テーブルにヒジを付き、両手を噛み合わせた状態で話し始めるロモス王。次の言葉にゴメス達は

驚愕せずにはいられなかった。

「あの熊人、魔王の手下の可能性が高い、ということじゃ。」

 

 

 半時ほどの後、オグマは牢から謁見の間に引き出される。そこにいたのは10名にも及ぶ衛兵と

頭上に王冠を抱き、赤いガウンに身を包んだ初老の男、一目でその国の王と分かる人物だった。

そして話は冒頭へと繋がるのである。

 

 

 咳ばらいを一つして、ロモス王が質問を続ける。

「そなた、魔王の手下であると察するが、事実であるか?」

「いかにも、魔王きらりんの配下オグマ!我が腰に有るのは魔剣ナタルコンに相違ない。」

 その魔王、というワードに兵士たちがざわめき、オグマに向ける剣に力を込める。

人間たちにとって、かつての魔王ハドラー、大魔王バーンの残した爪痕はそれこそ

最大のトラウマレベルにまでなっていたからだ。

 

「ならば・・・処断せねばならぬか。」

 その王の言葉にを聞いた兵士たちに緊張の色が走る。当のオグマはぎりっ!と歯を噛み合わせ

王を睨み据える。拘束したまま尋問するのみならまだしも、こちらの言い分に一切の耳も貸さずに

害しようというなら、こちらにも考えが・・・

 

『出来もせぬことを口にするでない、人間の王よ。』

 激高したオグマをなだめるようにナタルコンがそう返した。兵士たちは何ィ、舐めるな、と

剣を突きつけるが・・・

『やれ!』

「おうっ!!」

 オグマが光の闘気を開放すると、魔法の拘束はまるで藁紐のようにちぎれ飛んだ。”魔”に

属する力は光の闘気に弱い、オグマにとってこの程度の拘束など拘束でもなんでもないのだ。

 

 自由になったオグマに対し衛兵たちは一歩後ずさる。一見警戒して距離を取ったように見えるが

実のところは決定的な行動を取りたくない彼らの心理の表れでしか無かった。

『ふん、確固たる意志を持たぬ者など我らの敵ではない。王よ、むろん貴様もな!』

「ロモスの王よ、一体何を迷っている?言いたいことがあるならはっきりと言ってもらおう!

でないとこちらも行動が起こせん!」

 その言葉に一同、図星を付かれたという顔をする。モンスターと魔剣でありながらその

洞察力の深さに、恐怖とは別種の悪寒が走り抜ける。

 

『それとも・・・我らを処断するのは、そちらの輩か?』

 ナタルコンが向き直ったのは、王の横に垂れている赤いカーテンだ。オグマも同時にそちらに

視線を送る。隠れているつもりだろうが、オグマの鼻とナタルコンの気配察知能力は騙せない。

ゆらり、とカーテンが揺れ、その後ろから登場する・・・なんとも分かりやすい、戦士!

 

「ふん・・・よく気付いたな。」

 なんと現れたのは身の丈3mに達しようかという鰐人(リザードマン)だ!逞しく赤身がかった体を

漆黒の鎧で覆い、手には大振りな斧。片目を刀傷で失っているが、残った隻眼は鋭くオグマを刺す。

「いやぁ、すまぬ王よ。こそこそするのは苦手でなぁ。」

 頭をがりがり掻いてそう言うリザードマンに、王はふっと笑ってオグマ達に向き直る。

「紹介しよう、わしの友人のモンスター、クロコダインじゃ。」

 

 オグマは心で唸っていた。体色や細部こそ違うものの、その存在感や手に持つ武器は彼の父、

ダルタレクにそっくりだったのだ。

 ナタルコンも似たような印象から、ほぉ、と感心する。かつて魔界皇ヒュンケルの側近である

熊人ガルドを思い出すな、と。

 

 クロコダインはオグマの前に立つと、その大きな斧を突き出してこう言い放った。

「表に出てもらおう、魔王の配下の実力とやら、見せてもらおうか!」

 

 オグマは鞘に収まったままのナタルコンをぐっ!と握り、その大きな相手を見上げて

毅然とこう返した。

「見せいでか、望むところだ!!」

 

 

 城の前の広場で対峙する鰐人(クロコダイン)熊人(オグマ)。その様子を城のテラスから見下ろす

ロモス王と衛兵、そしてチウ、フォブスター、ゴメスにバロリア、ラバーにラクー。

「もう・・・回りくどすぎませんか、王様。」

 チウがジト目でそう抗議する、あれじゃまるで王様やクロコダインさんの方が悪者じゃ

ないですか、と。

「やむをえんのじゃ、パプニカからの使者に”彼らの言葉に耳を貸すな”と念押しされておる、

ワシも国王として神の天啓を無視するわけにはいかんからのう。」

 

「で、肉体言語で会話かよ、王様ほんっとにこういうの好きだな。」

 ゴメスの指摘に、ほっほっほ、と笑う王。彼は戦いや競技が大好きで、そのための武器や防具の

収集家という側面まで持っている。大戦時にはその性格を付かれ、魔王軍ザムザに武道大会開催を

そそのかされ、あわや大惨事という事態まで招いたほどだ。

 

「耳を貸すな、とは言われたが、彼らを”見るな”とは言われておらぬ。彼が善か悪かは

クロコダインとの戦いの中で見極めさせてもらうとしよう。」

 そう言って目をキラキラさせながらテラスの最前列にかぶりついて見下ろす王、その様を

眺めながらラバーとラクーは、顔を見合わせてこう嘆いた。

 

「この王様、魔界でもやっていけそうだなぁ・・・」

 




どっかのトク〇ワさんみたいなロモス王w
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