魔界のオグマ   作:三流FLASH職人

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こってりバトル回。


第46話 オグマ&ナタルコンvs獣王クロコダイン

「唸れ、業火よっ!!」

 クロコダインが撃ち振るうグレイトアックスから放たれた強力な火炎が、オグマに向かって

躍りかかる。

真空喰火(メライーター)っ!!』

 素早く前にかざしたナタルコンが真空のバリアを作り、火炎から酸素を根こそぎ奪うと

業火はただの熱風となり、オグマの肌を撫でて行くに止まる。

 

「ホウ・・・真空呪文を使うのか、魔剣よ!」

『極めている、と思ってもらおう、クロコダインとやら!』

 不敵なナタルコンの返しにクロコダインはふん!と鼻息を荒げる。かつての愛斧”真空の斧”も

今手にあるグレイトアックスも共に真空呪文を備えているが、その威力や効果はあくまで初歩の

バギであり、上位のバギマやバギクロスを備えている訳では無い。

 それでも呪文を備えた武器なら伝説級の武器としての価値はあるものだ、ましてやこの

グレイトアックスは真空、火炎、爆裂と3種の呪文を備えた逸品中の逸品である。

 だがロン・ベルク作のその逸品をもってしても、目の前の魔剣に対しては練度の差を

感じざるを得ない。意志を持つ魔剣が、思考を持って真空呪文を状況に応じて使いこなす

その技量には一歩及ばぬと言わざるを得まい。

 

 どすっ!と地面にアックスを突き立てるクロコダイン。オグマもそれに呼応し、ナタルコンを

ミミックの鞘にカチリ!と収める。ナタルコンのターン中に体内で増幅した光の闘気を

開放せんとする。

「ぬあぁぁぁぁっ!」

「ガルゥアァァァッ!」

 クロコダインの右手が爆ぜる様に太くなる、オグマの全身からまばゆい光が噴き出してくる。

両者ともに闘気を刃として使用せんとする様を見てお互いが心で唸る。が、今は戦いの最中、

感心するのは後の事だ!

 

「獣王会心撃っ!」

 右腕に溜めた闘気を渦にして放つクロコダイン。オグマは目の前で腕を十字に組むと、

光の闘気を防御力に変えて気流の渦に耐える。

 だが、クロスした腕の隙間から敵を見たオグマは、その次のリアクションに戦慄する。

「二発目・・・だとっ!?」

 右手と同じ闘気流を左手に纏い、振りかぶって打ち放つクロコダイン。先程の気流を受けて

動けないオグマに容赦なく襲い掛かる!

「獣王激烈掌!!」

交差した二つの闘気流が乱流となって荒れ狂い、オグマに縦横無尽に襲いかかる。

 

『いかん!身を任せろ、体が引きちぎれるぞっ!!』

 ナタルコンが鞘の中から叫ぶ。いかに光の闘気でガードしているとはいえ、このまま

抵抗を続けては本当に四肢をもがれかねない、それほどの烈風だ!

「くっ!!」

 バックステップし、その勢いで渦に巻かれるまま吹き飛ばされながら、オグマは敵の持つ技量に

感嘆の思いだった。

(なんと見事な闘気の使い方・・・どれほどの戦いをくぐってきたのだ!?)

 オグマは光の闘気を使うがそれを圧縮するのは苦手で、最近はもっぱらハンマーヘッド(どたまかなづち)を使い

相手に直接叩きつけて来た。だが目の前の鰐人は圧縮どころか、それを渦状にして打ち放つ

技まで心得ていた、しかもそれを二つ同時に!!

 

-ズズン!バキバキメキメキ・・・-

 

 吹き飛ばされたオグマと、それに追随していた激烈掌の烈風が広場の先の森に着弾する。

木が薙ぎ倒され、木の葉が舞い砂塵が上がる、その様を油断なく眺めるクロコダイン。

 

-ぼひゅっ!-

 

 砂塵を突き抜けてオグマが突撃する、タスキにかけた魔法カプセルから飛翔呪文(トベルーラ)を選び、

真っ向から相手に突っ込むと、お返しとばかりに光の闘気の張り手を見舞う。

闘気張り手(オーラ・スタンプ)っ!!」

 -ばっちいぃぃぃん!-

 オグマの右の張り手を両手の平で受け止めるクロコダイン。光の闘気は普通の獣の闘気に比べて

その密度が濃く、威力もケタ違いに高い。彼はかつての相棒、魔剣戦士ヒュンケルの使う

光の闘気で、その威力を良く理解していた。

 

闘気竜牙(オ-ラ・ファング)っ!」

 オグマはすかさず空いた左手で、竜の牙の手甲を打ち込む。両手が塞がった今なら確実に当たる!

 -ガギッ!!-

「な・・・っ!!」

 なんとクロコダインはその手甲を口で噛み止めていた、これが鰐人(リザードマン)の真骨頂か!

 

 -バッチイィィッィ・・・ン-

 

 オグマを高々と吹き飛ばしたのは、クロコダインの股の間から出て来たシッポの一撃だ。

極太のムチにアッパーカットを食らったオグマはトベルーラ使用中ということもあり、

軽々と上空に舞い上げられる。

 

「貰ったっ!」

 見上げるクロコダインはそう吠えると、己の右手首を左手でがっしりと掴み固定する。

同時に闘気を開放し、今度は腕ではなく、己の全身に闘気の渦を纏って身を沈め、

そのまままるでバネのように飛び上がり、闘気の渦に巻かれ回転しながら舞い上がっていく!

 

「な・・・飛び技、だと!あの体で!!」

 空中から、自分にすっ飛んでくるリザードマンを見てオグマは思わず声を上げる、トベルーラも

使わずに回転する肉弾となって、その手の爪を前にかざしてドリルのように抉らんと

突っ込んでくる!

 まして自分のトベルーラは今の一撃で切れてしまった、今からカプセルを使う暇はない、

つまり、躱す術は無い。

 

 だが、動きが固定されているのは相手も同じだ、決め打ちの突進技であるがゆえに

そのベクトルを途中で変える事は不可能だろう・・・なら!

 オグマは素早くナタルコンを抜くと、突進してくるクロコダインに真っすぐにかざす。

意図を察した魔剣はその魔法力を開放する、乾坤一擲なのはこちらも同じだ!

 真空呪文最強の真空十字呪文(バギクロス)を二重に重ねる、今のナタルコン最強の呪文を

接触の寸前に打ち放つ!

 

真空八文字斬撃(バギ・クルス・クロス)!!!』

獣王死転撃(じゅうおう・デスロール)!!!」

 

-ビリイィィィィッ!!-

 

 闘気の渦と真空呪文の激突が、まるで大気を引き裂いたような音と衝撃を生む。

衝突点から舞い上げられるオグマ、地に叩き返されるクロコダイン、果たして・・・どちらが?

 

「ぐあぁぁぁぁ・・・っ!」

 空中で激痛に悲鳴を上げるオグマ、交錯の際のダメージは彼が予想したよりもはるかに

大きかった。

『いかん!オグマよ、我を噛めっ!』

 事態の深刻さを察したナタルコンが手から抜け出し、オグマの口に柄を突っ込む。それを

ぎりりと噛みしめて激痛に耐えるオグマ。

 彼の両腕は完全にあらぬ方向に曲がっていた、左手はヒジから逆に向いており、右手は

二の腕から骨が露出している、血まみれの彼の両手はこの時点で完全に死んでいた。

 そう、これがオグマとナタルコンの戦法の弱点。光と暗黒の闘気を交互に使用し相互に高める

それは、使っていない時にはその闘気を収めなければならない。ナタルコンの必殺技を

炸裂させた時にはオグマの光の闘気はほぼ完全に消えており、その状態でクロコダインの必殺技を

受けた結果がこれだった。

 ナタルコンが柄の翼を使い、オグマを吊り下げたままゆっくりと降下していく。

 

「あれを・・・返すか、魔界の戦士よ!」

 地面にたたきつけられたクロコダインがその上半身を起こす。と、彼の漆黒の鎧にいきなり

亀裂が音を立てて走り、そのままバリィン、と砕け散る。

 

 続けてその胸から、鮮血が猛烈に噴出した!

「がはあぁぁっ!!」

 激痛に顔を歪めるクロコダイン、我が必殺の闘気で相殺したと思っていたが、貫かれたか!

「バギ・クルス・クロス・・・ダイのストラッシュ(クロス)と同じ原理と言う訳か!」

 ぬかった、と臍を噛むクロコダイン。かつて勇者ダイが大魔王の片腕を奪ったその技も

斬撃を交差させて威力を倍増する技だった。ただでさえそれと同じ効果を生むバギクロスを

2つ重ねて打ち出したのだ、並大抵の防御で食い止められるはずが無いではないか!!

 

 地面に刺してあったグレイトアックスを掴み、辛うじて立ち上がるクロコダイン。

両腕をズタズタにされた状態でナタルコンに吊るされながら、なんとか地面に降りてくるオグマ。

 

 あるいは今この瞬間が、この戦いを終わりにするチャンスだったのかもしれない。城の上から

見ていたロモス王が声を上げようと息を吸い込んだ瞬間、その機会は失われた。

 

「ガルアァァァァァァッ!!!」

 オグマが闘気を開放し、その頭上に光り輝く頭槌を生み出す!そう、例え両腕を失っても

このハンマーヘッド(どたまかなづち)はまだ健在だ、ナタルコンの暗黒闘気で増幅された光の闘気を

最大限に使い、この戦いに終止符を打つ!

 

「ま・・・まだ、やる気か!」

 ロモス王が、兵士たちが、フォブスター、ゴメス、バロリアが、その飽くなき闘志に

驚嘆の声を上げる。両腕をあそこまでグニャグニャにされて、今だ衰えぬその気力・・・これが

魔界の戦士か!と。

 

 だがチウは、そしてラバーとラクーは別の意味で心配していた。クロコダインさんの

事だ、ああも闘志を見せられたら答えずにはいられない、そういう人なんだ。

 だが、そうなると”あの技”を使うことになるかも知れないと、思わず身震いする。

もし、クロコダインさんがその判断をしたら・・・オグマ君は、死ぬ!

 

「グフフフフッ、いいぞ魔界の戦士よ、良き闘志だ。」

 クロコダインはそう笑って立ち上がり、胸の筋肉を絞めて応急止血をする。杖にしていた

アックスを手放すと、両手をぐっ!と握りしめ、そこに再び闘気を集中する。

「ぬうぅぅぅぅあぁぁぁっ!」

 両手に渦の闘気を漲らせ、ぐっと腰を据えてオグマを睨むクロコダイン。

 

「先程の技・・・獣王激烈掌とかいう技か!」

 両腕が死んでいる状態で今の技を食らえば、その腕は確実にもげ取れて飛ばされるだろう。

オグマにとって”詰み”の判断をされたか、と思うが、何故か相手はその技を打っては来ずに、

オグマの方に歩みを進める。

(何を考えている・・・近づけば俺の頭槌の射程に入る。もし一足飛びの距離までくれば

両腕がもげようとも突っ込んで闘気激砕槌(オーラ・グラヴィトン)を叩き込むぞっ!)

 

 だがクロコダインは歩みを止めない、オグマもその行動に答えるかのように歩いて

間合いを詰める。両者の距離が詰まる、10m、5m、2m・・・そして1m。

お互い必殺の間合いに入った状態で対峙する。

 

 

 それを見ていたチウが思わず絶叫する!

 

「まずいっ!獣王の掌(じゅうおうのてのひら)を使うつもりだ!オグマ君、逃げろーーーっ!!」

 

 




戦いの表現に関して、感想やアドバイスを頂ければ嬉しいです。
テンポとか熱さとかのバランスを文章で表現するのは難しいんですよねー。
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