魔界のオグマ   作:三流FLASH職人

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51話にして、ついに原作主人公登場!


第51話 勇者ダイのその後

「ふぁ・・・おはようございま~す。」

 テラン城の一室、けだるそうに欠伸をしながら少年が入って来る。

「おはようございます、ダイさん。」

 兵士長のカナルがやや緊張した感じで挨拶を返す。

「あれ、今日はカナルさんだけ?じっちゃんやラーハルトは?」

「え・・・っと、所用で席を外しております、今日は私が外交と統治の授業を担当させて

いただきます。」

 その言葉に思わず顔を歪める少年ダイ。

「うぇ~・・・苦手なのが来ちゃったよ。」

 

 

 勇者ダイ。

 かつて大魔王バーンとの激烈な戦いを制し、地上を救った真の勇者。だが彼はその直後に

魔王軍生き残りのキルバーンの狡猾な罠にはまり、起動した”黒の核晶”を抱えたまま

天高く舞い上がり、己を犠牲にして皆を救い、そして・・・消えた。

 

 仲間たちを先頭に、世界中が国を挙げて捜索したが彼は見つからなかった。ただ彼の

愛剣”ダイの剣”の宝玉が光を失わないことが、彼の生存を証明する唯一の希望だった。

地上の誰もが彼を待ち続けていた、いつかまた彼が愛したこの地上に帰る事を信じて。

 

 そのダイはテラン国の湖の中にある”竜の神殿”にいた。そこを守護する竜水晶、

かつての聖母竜(マザードラゴン)の精神の一部であるその水晶は、己の本体である

マザードラゴンが融合したダイの危機をいち早く察し、爆発の直後に合流呪文(リリルーラ)

ダイをこの神殿に召喚していたのだ。

 だが、わずかでも核晶の威力を受けたダイはほぼ即死状態であった。手足はちぎれ、

内臓は激しく損傷し、全身は火傷で1/3が炭化していた。バーンとの戦いで竜闘気(ドラゴニックオーラ)

使い切った状態であの爆発を一身に受けたのだから無理もない事だった。

 幸運だったのは彼が己の物と父の物、ふたつの”竜の紋章”を持っていたことだった。

そのそれぞれに”命”と”魂”を保存した状態でなんとかその存在を繋いでいた。

 

 竜水晶はバラバラになったダイの体を蘇生液に漬け込み、わずかずつ回復していく彼の体の

再生を待ち続けた。だが竜の騎士の肉体の強靭さをもってしても再生は捗らず、彼の体が完全に

元通りになったのは、それから5年の年月を経た後の事だった。

 

 その間、魔法使いのポップを筆頭に、ダイの捜索隊はこの神殿に何度か訪れていた。

しかしこの神殿は竜の騎士以外は入ることが出来ない。正確に言えば”真の神殿の内部に

通されない”というべきか。

 神殿の中は元々がらんどうであり、入り口のドーム状の魔法石に”竜の力と魔族の魔力を

備えし者”が触れた時のみ、奥の隠し部屋に転送される仕掛けになっているのだ。

 普通の人間が入り口から入っても、例えば壁を壊して入っても、ただがらんどうの神殿内に

入る事しかできない、ダイの捜索隊も何度かここに来た後、ここにはいないという結論に

至らざるを得なかった。

 

 そして5年後、完全に再生したその体に命と魂が戻され、彼は復活を果たした。

突如テランに現れたかつての勇者にまず国中が、ほどなく世界中が沸きに沸いた。

 何しろ一部では絶望説も出ていたし、生きていても魔界や天界にいるのでもう

帰ってこられないのではという噂も流布していたから尚更であろう。

 

 特に歓喜したのがパプニカ王女のレオナだ。大戦時からダイに想いを寄せ、彼の無事を

5年間待ちわびていたところに想い焦がれた人が、当時と変わらない少年の姿で現れたのだから

無理もないだろう。

「もう!もう!!ダイ君ったら全然年とってないじゃない、私なんかもう19歳に

なっちゃったわよ!」

 大泣きしながらダイに強ハグし、その豊満な胸に勇者の顔を埋めるレオナ。

「ちょ・・・レオナ、勇者とお姫様の感動的な再会シーンは・・・?」

「いーのいーの、あたしもう王女だもーん。」

「えー・・・そりゃないよ。」

 はたから見たら何とも言えない絵面(おねショタ)ではあるが、ともかくこうして2人は再会した。

 

 後日催された勇者ダイの復活祭、あらゆる関係者や各国の王を招待して開かれた宴の中、

レオナはダイとの結婚を発表する。もちろん周囲の根回しも了承も一切無しで、である。

「というわけで、私はダイ君と結婚しまーす。」

 一国の王女があっけらかんと爆発宣言、だがレオナとダイの仲は周知の事実であったため、

それに反対する者はいないと思われていた・・・だが!

 

「王族との結婚など認めん!」

 顔をしかめてレオナの前に立ったのは、ダイの部下であり、かの大戦十傑のラーハルトだった。

彼はかつて義父のバランがアルキードの姫と恋仲になり、そのせいで取り返しのつかない悲劇を

招いたことを思い出さずにはいられなかった、あの二の舞をダイ様に踏ませてなるものか!と。

 

「ダイ様を王室などに入れてみろ、ダイ様を利用しようとする姑息な輩が跋扈するのは

目に見えている!」

「何言ってるの!王女は私なのよ。そんなヤツがいたら地の果てまで飛ばしてやるんだから!」

 

 そこから始まったレオナとラーハルトの猛烈な口ゲンカは、後に”勇者争奪戦”と称されるほどの

語り草になってしまうのだった。

 

「どうしてもダイ様と添い遂げたいと言うなら王族を捨てて野に下れ!ならば何も問題は起こらん」

「えーいいわよ!望むところだわ、そのかわり貴方が私の代わりにパプニカを治めなさいよね!」

「なっ!?・・・無茶を言うな!」

「何が無茶よ!王を民にしておいて後はしらんぷり?革命にもなってないじゃない!

そんな無責任でよくもまぁ竜騎衆だの陸戦騎だの名乗れたわね!」

 

 こんな調子で約半日、声を枯らしての舌戦に当のダイはドン引きし、ベンガーナ王は

「さすが勇者、人気者じゃのう。」と口論を酒の肴にして楽しんでいて、ロモス王が

呑気な事を言っとる場合じゃないぞ、とたしなめる。どうも問題は個人の結婚ですみそうにない。

「あなた、何か言ってあげて。」

 夫をチラ見するカール王女フローラに、宰相のアバンは口笛を吹いて顔を反らせる。

今や他国の問題に発展している以上、宰相の自分が口を出すわけにはいかないのだ。

 だがパプニカの面々・・・3賢者や筆頭家老のバダックは皆一様に頭を抱えている。

こうなったレオナが手に負えないのは彼らが一番よく知っているのだ。

 

「ならばいい案がある、ダイ殿を我が国の王に迎える、というのはどうかな?」

 助け舟を出したのはテラン王フォルケンだった。彼は高齢でかつ息子も後継者もおらず、

このままでは王政の解体の可能性まであった。

「我が国は竜の神を祭る国じゃ。竜の騎士のダイ殿が王位につくのはむしろ自然なこと。」

 

 なるほど、と納得する一同。個人ダイを王室に入れれば、ラーハルトの言う通りに彼を

利用しようとする輩が湧いて出るだろう。事実パプニカには戦争中ドコに行ってたんだという

腹黒そうな大臣や衛兵も舞い戻っていた、彼らにとってダイは己の出世の傀儡にするには

格好のターゲットといえる。

 だが一国の王を婿に迎えたならば、その彼を利用するのはテラン国に対する敵対行為にも

なりかねない。いかに小国とはいえその代表に無礼な扱いをするならこちらも黙っては居ない、

何しろ彼はこの国で崇める”竜の”騎士なのだから。

 

「ええーーっ!俺が・・・王様に?」

 驚いたのはダイだ。なにしろ彼は怪物島のデルムリン島で生まれ育った典型的な野生児だ。

レオナの城に行って、そこでただ座っているだけならできそうだけど、自分が王様になるなど

考えもしなかったから。

「なに、結婚式が終われば時期王に引き継ぎをすれば良い、テラン王になるのはあくまで

一時的ななものじゃ。」

 そうたしなめるフォルケン。国力の差を考えたらダイがパプニカに婿入りするのが自然だし、

それまでにダイ殿の次の王、おそらく衛士長のカナルあたりが候補だろうが、その準備が

整えばテランの王政を繋ぐことも出来るだろう。

 

「なーるほど、さっすがテラン王。あったまいーい。」

 上機嫌でフォルケンの手を取りぶんぶん上下させるレオナ。うん、これで問題解決!

「というわけでー、私パプニカ王女レオナは、テラン王のダイ君と結婚しまーす♪」

 その即断っぷりにダイ含む全員が完全にジト目でレオナを眺める・・・全く変わってない、と

心で感想を述べるダイ。

 

「ただのう・・・我が国にも憲法と言うものがあって、王座につけるのは21歳からなのだ。

よってダイ殿が王座に就くのは3年後ということになる。」

 

 どてーん!と豪快にすっ転ぶレオナ。そーゆーことは早くいって欲しかった・・・早まったー!

「えええー、ま、また・・・3年も、お預け・・・?」

 がっくりと床に伏せるレオナを見て、思わずぷっ!と吹き出すラーハルト。それを合図に

会場に爆笑の渦が巻き起こる。

 

 こうしてダイはそれから2年半、テランで王としての教育を受け続けていた。だた最初は

無理矢理机に向かわされるのに嫌気が差して度々脱走を繰り返していた。そこで王は

ダイの育ての親、鬼面導師のブラスを後見人(かんしいん)として雇い、またラーハルトを

ダイを立派な王にするための後見人(だっそうそしやく)として招いていた。

 

 

 そして現在、半年後に戴冠と挙式を控えて、勉強も追い込みに入っているある日のこと。

今日の担当であったブラスも監視のラーハルトもおらず、授業内容もカナル担当の苦手なものに

変更になっていたのだった。

 

(・・・なんか、城の空気がピリピリしてる、何か・・・あったのかな?)

 

 




説明文ばっかだけど、書いてて楽しい回でしたw
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