魔界のオグマ   作:三流FLASH職人

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キン肉〇ン、スーパーフェ〇ックスチームのノリでw


第69話 黒頭巾(くろずきん)集団、見参!

 -大変お待たせいたしました。只今より本日のエキシビジョンマッチ!あの大戦十傑と

  魔界よりの使者の決戦を執り行います!-

 

 場内アナウンスに、うおおぉぉっ!と沸き揺らぐ満員の会場。いよいよお目当ての決戦、

あの勇者ダイの、そしてかの大魔王バーンとの最終決戦に赴いた英雄たちの登場、彼らが

恐るべき魔界からの使徒と戦う姿が目の前で見られるとは、なんという贅沢か。

 

「大盛況じゃのう、ロモス王。」

 世界の王たちが鎮座する王室席で、ベンガーナ王が羨ましそうにそう話しかける。なにせ会場の

収容人数は世界のあらゆるイベント会場を凌駕しており、それが立見席までぎゅうぎゅうである。

その外には多数の露店が立ち並び、さらに会場内には中継用の悪魔の目玉が多数配置され、

それこそ世界中に配信されているのだ。

 ここロモスのコロッセオが、今後十数年にわたって”聖地”と認定されるのは想像に難くない

だろう。

 

「ところで・・・観衆の安全に関しては大丈夫なんですか?」

 フローラ王女の言葉にほっほっほ、と笑って返すロモス王。彼曰くあの(リング)の淵には

強力な防御結界が掛けられており、中でいかなる爆発や衝撃、斬撃が直撃しようとも即座に

その威力を散らして無効化する能力を持っている。

 それを可能にしたのは、今までの武術大会で培ってきた観客保護の為の結界術の

ノウハウに加え、パプニカ3賢者の成した技術、あの”黒の核晶”をも無効化した魔力、闘気、

物理エネルギー全てをまとめて拡散させる技法が応用されていた。

これで観客は安全に観戦でき、参加者は心置きなく必殺技を繰り出せると言う訳だ。

 

 ・・・最もその為に、ロモスはパプニカに莫大な謝礼を支払うことになったが、

その価値は充分にあるだろう、この大盛況を見れば。

 

 -さぁ、まずは先の大戦十傑の入場です!-

 

 アナウンスと共にラッパが高らかに鳴り響き、ハーブが美しい音色を奏でる。だがその

入場曲は、通路から人影が見えた瞬間に大歓声にかき消される。

 -どおぉぉぉぉっ!!!-

 まるで唸り声を上げるように響き、振動するコロッセオ。その視線の先は入場してきた

戦士の先頭にいた勇者ダイの姿に降り注いでいた。

「来たーーっ!勇者ダイだーーっ!!」

「いよっ、次期テラン王ーー!」

「魔界の使者をぶちのめせーーーー!!!」

 

 -ダーイッ!ダーイッ!ダーイッ!ダーイッ!ダーイッ!-

 

 会場に鳴り響くダイコール。もちろん国王席ではレオナ王女も満面の笑顔で声を重ねる。

際にいるバダックはやれやれ、と頬を掻いて呆れ汗を流す。

 だが無理もない事だ、全ての人類にとってダイはまさに命の恩人なのだから。彼が大魔王を

撃破したからこそ今の人類の繁栄があるのだ、その彼の勇士に熱狂するなと言う方が

無理な話だろう。

 

 ダイに続くのはポップ、マァム、ヒュンケルの”アバンの使徒”。その後ろにアバン本人、

さらに後ろにヒムとラーハルトの2人が続き、最後に巨体のクロコダインが肩にチウを乗っけて

入場してくる。

 かつて大魔王バーンとの最終決戦に臨んだ”大戦十傑”。ビースト君ことブロキーナ老師を除く

9人がリングの脇の、まるでお立ち台のような待機スペースに到着し、居並ぶ。

 ダイやポップ、アバンやマァムが観客に手を振ると、会場のボルテージは最高潮に達した。

最もヒュンケルやラーハルトは馬鹿馬鹿しい騒ぎにあまり乗り気では無さそうな顔を見せているが。

 

 -続いては、魔界からの使者、9人の入場です!-

 

 ドロドロドロドロ・・・と低めのドラムロールに続き、重低音を奏でるホルンの響きに乗って

反対側の通路から姿を現したのは・・・なんと黒ずくめの集団だ!

 全員が頭から黒フードをすっぽり被って頭と顔を隠し、全身に黒いマントを纏って通路を進む。

その異様な光景に観客は思わず生唾をごくり、と飲み込む、さすが魔界の使者、不気味この上ない!

 

「な、なぁ・・・これなにか意味有るのか?」

「さ、さぁ・・・」

「アタシは助かるけどねぇ、人類の敵みたいな立場で素顔晒さなくて済むし。」

 入場しながらオグマ達はひそひそ声で話す、いかに演出とはいえ観客から受けるイメージは

最悪だし、なにより全身フード姿なせいで暑苦しい。

『ま、いいではないか。ここはいわば敵地、せいぜい悪役になろうではないか!』

 そのナタルコンの言葉にへぇへぇ、と頷くでろりん。目立ちたがり屋の彼の希望とは

真逆の注目にはぁ、とため息をつきながら。

 

 

      ◇           ◇           ◇    

 

 

「いや王様、これはマズいでしょう・・・さすがに。」

 3日前、ロモス城内でそう進言したのはネルソン船長だった。彼は今朝ベンガーナからの

ツアー客を乗せてロモスに到着したばかりなのだが、そこで対面した魔界側の出場選手を見て

開口一番そう告げた。

 

 今大会の売りである勇者一行VS魔界の使者、それは観客にとって絶大なる悪を、英雄たる

勇者が見事討ち取って見せる事を誰もが期待しているのだ。

「魔界側、ドラゴンいるかな、ドラゴン!」

「アークデーモンじゃ物足りないよな、せめて山羊の悪魔(サタンゴート)くらいいるだろ、本場者だし。」

「いやいや、悪の世界樹の実から変化した果物の魔物がいるって噂、聞いたぜ。」

 船で送迎している間、ネルソンはそんな客の会話を何度も耳にしていた。まぁ確かに客にしたら

敵がゴツけりゃゴツい程、それを撃破した時のカタルシスは増すだろう。勇者ダイが

負けるわけない以上、敵も出来るだけ凶悪な存在であるに越したことは無い。

 

 だが、実際に魔界勢に会ってみて驚かずにはいられない。それらしいのは人熊(ウォーベア)位で、

もう一人の魔族は見た目少女だし、残りの6人に至っては普通に人間である。

 これでは観客のガッカリ感はハンパないだろう。いや、最悪このイベントがロモスの

企画したヤラセイベントだと受け止められかねない、そんな事になったら国の信用ガタ落ちである。

 

 ロモス王もその話を聞いてううむ、と唸る。いざ戦いが始まればそんな誤解も

解けるとは思うが、それでもイメージは大事である、このままではあのノヴァが言ったように

地上による魔界勢に対するリンチとも取られかねない。

 

 

 かくして魔界勢一行は、全員が黒い頭巾とローブに身を覆った伊達達で入場したのだ。

リングを挟んで、お立ち台に居並んで向かい合う大戦十傑と黒ずくめ集団に、事情を知っている

マトリフやロンは観客席でけらけら笑い、当のダイは彼らをジト目で見つめている、なんだかなー。

 

 

 -なお、魔界勢が一勝するごとに、彼らの望みを一つ、国王権限で叶える事になっております-

 

 そのアナウンスに会場がええーっ!という悲鳴に包まれる。魔界の者の願いを叶えるなんて、

一体何を要求されるのか・・・生贄?奴隷?それとも侵略?

 

 -なので魔界勢は戦いの前に、要求を宣言して貰います。さぁ大戦十傑は魔界の者の野望を

  阻止できるのか!?-

 

 会場のテンションがまた上がる。そう、地上側が勝てば問題はない、っていうか勝って

もらわないと困るじゃないか!とばかりに勇者たちには激を、魔界側にはヤジを飛ばす観客。

「身の程を知れー、魔界の悪魔ども!」

「どのツラ下げて来てんだ、帰れ帰れっ!」

「頼むぞ勇者ー奴らを生かして返すなー」

 

 

「やれやれ、すっかり悪役じゃのう。」

 まぞっほが頬を掻きながら笑顔で囁く。まぁ彼らは小悪党だった時期もあったから、

この程度の中傷でヘコむような神経ではない。

「どうせ目立つならよー、あっち側で目立ちたかったけど、な。」

「いいじゃないお父さん、観客にぎゃふんと言わせてやろうよ!」

 そのきらりんの返しに全員が思わず笑顔になる。それも確かに痛快だ、我らワルモノ軍団が

観客を驚愕させるのもまた一興だろう!

 

 -それでは第一試合、魔界側、前へ!-

 

 アナウンサーがこちらに手をかざして催促する。この対戦はまず魔界側が名乗りを上げ、

それに対して十傑が誰が出るかを選ぶ形式。まずこちらが出る番だ。

 

「じゃあ、行きます。」

「ご武運を。」

『軽くひねって来い。』

 こちらの先陣はもう決まっている。魔界の邪悪なイメージを払拭し、かつ確実に勝ちが

見込める人選。戦いの機先を制するためにもここは彼女しかない!

 

 黒ずくめの中で一番小さな者が一歩前に出て、そこからフードをぶわっ!と脱ぎかざし、

大観衆の前に姿を現した。

 

「私は魔王きらりん!望みはこの地上に6本ある大魔王の破壊柱(ピラァ・オブ・バーン)です!!」

 

「んなっ!?」

 思わずそう叫んだのは、地上側に陣取る金属生命体ヒムだった。先日破邪の洞窟で

珍道中をした少女が今、魔王を名乗って敵側の陣地からリングに上がる光景に愕然とする。

 

 が、当然と言うか他の観客の反応は淀んでいた。魔物には小さいながら強大な力を持った

者もいる、てっきりその類だと思っていたのが、まさか人間の、しかもどこか利発そうな

女の子だったのだから無理もない。

 

「・・・おいおい、マジか。」

変身呪文(モシャス)で変身してるんだろ、油断を誘う作戦だよきっと。」

「魔王・・・だって?あんな可愛らしい子が?」

 

 

 -さ、さぁ、次は大戦十傑の皆さん、戦う方は前へ・・・-

 

 困惑しながらそう続けるアナウンサー。だが困惑は彼だけではない、きらりんを知らない

クロコダインやヒュンケルは「何と!?」という表情だし、逆に知っているアバンや

ポップは、よりによって一番手か、と頭を抱える。

 

「ま、しょうがねぇか、俺が行く・・・」

 そう言いかけたポップの肩をがしっ!と掴む、誰あろうヒムである。

「待ちな!ここは俺に出張らせてもらうぜ。」

 そう言ってポップを後ろに引っ込め、拳をガキン!と合わせてリングに上がるヒム。

 

「魔王だぁ?その名の重みが分かっていねぇらしいな!」

「・・・顔のペイント落としたんですねー、似合ってたのにもったいない。」

 きらりんの返しに、アバンが思わずぷっ!と思い出し笑いをする、いやぁアレはケッサク

でした、と。

 シリアスの腰を折られたヒムはしばし変顔を見せるが、すぐに真剣(マジ)顔に戻って

改めて魔王を名乗る少女に対峙する。

 

「ヒムちゃん!」

「わーってるよ隊長、まぁせいぜいおしりペンペンで勘弁してやっからよ。」

 手加減してあげろ!というチウの意図を組んでそう返すヒム。と言ってもヒムのお尻たたきは

鉄棒で殴っているのとそう変わらないんだが・・・8歳の少女には結構地獄だろう。

 

 と、きらりんが視線をヒムからチウに移して声をかける。

「さっきの大会で優勝したねずみさんですよね。このマネキンさんの上司ですか?」

 誰がマネキンだ!とのヒムの抗議を無視してチウの返事を待つ。チウがまぁね、と

頷くのを確認して、きらりんが続ける。

 

 

「この勝負の判定をお願いします、あなたの判断で試合を止めると。」

 

 




いきなり大一番!さて、きらりんの意図は?
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