フローラ王女様によって示唆されました。これは嬉しい偶然!
「それではっ!最終戦、開始いぃっ!」
-ごわあぁぁぁ・・・ん-
ついに戦いの銅鑼が鳴らされた。ダイとオグマはすかさず後方に弾け飛んで距離を取る、
ダイが剣をすらぁっ!と引き抜いたと同時に、オグマはナタルコンを真っすぐにダイに向けて
照準を合わせる!
『
ナタルコンの詠唱と共にX字の真空波が撃ち出され、リングに砂煙を残してダイに
突っ込んでいく。先手を打ったのはオグマとナタルコンの方だ!
「アバン流刀殺法、海波斬!」
ダイが剣を横薙ぎに一戦すると、そこから飛び出した衝撃波がバギクロスに接触、
その瞬間にバギクロスは粉々に四散してダイの周囲に着弾する。一方海破斬の衝撃波は
そのままリング外の結界に激突して、バァン!と派手な音を立てる・・・なら、オグマは?
「ガルアァァァッ!」
上だ!高々とジャンプして衝撃波を飛び越していた。ダイの実力を心得ているオグマと
ナタルコンにとって、たかがバギクロスであの勇者をどうこうできるとは思っていない、
あくまで牽制の攻撃から流れるように次の一撃を加えんとする。
-ガコォン!-
開いていたナタルコンの鞘が再び閉じ、そこにオグマが光の闘気を流し込んで、鞘の上から
「
ダイは左手の紋章の力を開放させると、なんとその打ち下ろしの一刀を素手で受け止めに行く。
-バッチイィィン-
光の闘気と竜闘気を撒き散らしながら激突する鞘と掌、さすがに衝撃と痛みに顔を歪める
ダイだが、それでもあの熊人の強烈な打ち下ろしを片手で受け止めるその力量に会場が
おおっ!と沸き立つ。
「剣ならともかく、鞘の一撃でどうこうできると・・・思ってるのか!」
空いた右手でダイの剣を目の前のオグマに向け、一閃しようとしたダイだが・・・
「カアァァァッ!」
オグマは反り返ると同時に咆哮を上げ、彼が被っているヘルメットから光の頭槌を生み出すと、
それをすかさずダイに打ち込む、ダイも反射的に剣で受け止めるが、今度は連携と闘気の集中の
差からダイの方が後方に弾かれる。
「どっ、どたまかなづち!?」
思わず変顔で叫ぶポップ。あの頭にあるのは闘気ながらその形状はまんまあの面白武器そのものだ、
ダイもまた、自分たちが一笑に伏したその頭槌の意外性にこそ不覚を取ったともいえる、
彼が父から継承した”戦いの遺伝子”のどこにも、あの武器の対応方法など刻まれて
いなかったのだから。
-ガッチィィィン!-
オグマとナタルコンは止まらない、すかさず鞘を開いてナタルコンの刃を出すと、今度は
その刃に暗黒闘気を継ぎ足して2mほどもある黒闘気の剣を生み出す。ダイに突進して
突きを入れに行く。
『闘魔真空斬!』
「紋章閃!」
ダイもさるもの、左手の竜の紋章から闘気弾を撃ち出して、ナタルコンの暗黒刃をバチィン!
と弾き飛ばすと、返す刀でダイの剣に闘気を込めて一閃する。
「空烈斬っ!!!」
暗黒闘気を打ち破るダイの空の技がナタルコンに迫る。が、オグマはギリギリの所で
再びナタルコンを鞘に納め、そのまま光の闘気で剣全体をコーティングして空烈斬を受け、
弾かれながらもいなしに成功する。
が、今度はダイが止まらない。体制の乱れた二人に突進すると、剣を逆手に持ち替えて
力を、速度を、そして闘気を最強のダイの剣に乗せる!
「アバン、ストラーッシュっ!!!」
-ドカァッ!バッチィィィ・・・ン!-
迎撃に来たオグマの光の頭槌を粉砕し、その先にあるナタルコンを鞘の上から叩き飛ばす。
これはさすがに勝負あった・・・か?
「えっ!?」
ダイが背後から抱き抱えられて思わず声を上げる、勝負あったとかとんでもなかった。
オグマは最初から光の頭槌とナタルコンを捨て石にして身を躱し、必殺技を放ったダイの背後に
回り込んでいたのだ。よし、ナタルコンの指示通り!
「ガルアァッ!!」
気合一閃、オグマはダイを高々とぶん投げると、すかさず飛んで戻って来たナタルコンを
キャッチして上にいるダイにかざす。3度鞘を開いたナタルコンが暗黒闘気に真空呪文を
乗せて撃ち出す!
『
ある意味オグマとナタルコンの真骨頂のひとつが出た攻防となった。いかにダイの剣が強力で、
ダイの魂のに呼応する”生きた剣”といっても、ナタルコンのように意志と思考を持ち、
刃単体で自在に動く事は出来ないのだ。
かたやオグマとナタルコンはそれぞれが意思を持ち、お互いが別々に動く事すら出来る。
ダイは今、いわば2対1の戦いを強いられていると言っていい。
-ガリュゥゥゥゥ・・・ン-
「ぐっ!」
ダイはバギクロスの2発重ねを剣で受け止め、それでも押されて上に上にと舞い上がっていく。
かつて魔界の戦士ケプラスの竜闘気を突破し、獣王クロコダインの
必殺の呪文!
それでも勇者の剣と心を折ることは出来なかった。ダイはその衝撃をいなさずに
受け止め続けると、ついに渾身の一刀でバギ・クルス・クロスを粉々に砕いて見せた。
(強い・・・)
地面に降りながらダイはそう心でごちた。力そのものはこっちが上だが、彼らの
練度の見事さは想像を絶するレベルといっていい。加えて彼らは
食い下がるための戦いを仕掛けているのだから尚更厄介だ。油断と真逆の心で相対されるのは
何より心を削られる。
「あれをしのぐか・・・恐るべし勇者!」
『底が知れぬな、しかもまだ本気ではあるまいぞ!ゆめゆめ侮るなよオグマ!』
オグマ達に油断は無い。ここまでも凄まじい実力を発揮しているダイだが、それでもまだ
自分たちを倒すべく全ての力を注いでいるようには感じられない。自分たちと違い、
試合はしているが死闘をしているレベルには達していないのだ、あの勇者は。
「見たか・・・ヒュンケル、あれがオグマとナタルコンだ。」
静まり返る会場の中、クロコダインが隣で呆然としているヒュンケルに声をかける。
「どういう・・・存在なんだ、あいつらは!」
思わず吐き出すヒュンケル。確かにあの熊人と魔剣の実力は相当だが、それにもまして
驚愕すべきは彼らが光と暗黒の闘気を交互に使い、しかも高め合ってどんどん強くなって
いっている事だ。
それはヒュンケルがかつて経験した自らの中での光と闇の葛藤、それにより強力な
光の闘気を身に纏うことが出来た過去の自分を、別々の存在が再現して見せていると言っていい。
「そうだな・・・いわばお前とミストバーンがタッグを組んで戦っている、とでも言おうか。」
その言葉にごくりと唾を飲む一同、その恐ろしさとありえなさに背筋に冷たい物が走る。
「今はまだダイ君が優勢ですが・・・この先は分かりませんよ。」
そう語るアバンにポップが頷く。ダイの双竜紋に宿る
無限に生み出せるわけでは無い、戦い続ければあのザムザ戦のようにいつかは燃料切れを
起こすのだ。
比して相手の熊人と魔剣は、お互いがお互いの力を増幅させて、戦う程に力を増している。
いわば無限に湧き出る闘気を相手にしているといっていい、勿論彼らの力量に見合うレベルを
超えると、彼ら自身にそのツケはいくだろうが。
ダイの力が尽きるか、オグマ達の力がキャパを超えて自滅するか、どちらが先に来る・・・?
それはダイも痛感していた。この戦いは長引かせては駄目だ、余力のあるうちに
決めなければ、と意を決すると、ダイの剣を高々と天にかざして魔法を詠唱する!
「ライデイィィィン!!」
-カカカァッ!-
雷雲を呼び、雷を落として己の剣に宿す。
(俺は・・・己惚れていたんだ!これが試合だから、彼らには彼らの都合があるから・・・ゴメちゃんを
諦めさせれば・・・そんな考えで勝てる相手じゃない!)
ダイはようやくこの戦いを”死闘”と認めた。だからこそ自らの最強の技で勝負を挑む。
-スウゥゥゥ・・・カシャァン!-
そのまま剣を鞘に納めるダイ。魔法剣を最大に高める鞘の力を使って放つ、先生と父さんの
魂を込めた俺の最強剣を!
「ギガストラッシュ!!」
レオナが、ポップが、マァムが一斉に叫ぶ。かの超魔生物ハドラーをその執念ごとねじ伏せ、
真・大魔王バーンにすら手傷を負わせた必殺の一撃を、ついに決意したのか!
『あの鞘、
「なるほど・・・ギガデインに昇華している最中か。なら!」
ダイの剣の鞘の力を見抜くナタルコンに、オグマは魔界で経験した戦いを思い出して
次の行動を決める。かつて相対した精霊、ライデインやギガデインの使い手”轟きのニカ”との
戦いで経験した、ロズテナー達に教わった戦いの法則。
-電撃を使うという事は、電撃を恐れているという事じゃよ、若いの-
つまり、
オグマはすかさずタスキの魔法カプセルを抜き出すと、ヘルメットの魔法石に吸わせて
その呪文を開放する。
「
オグマは高々と舞い上がると、そのままダイが呼んだ雷雲の中に突っ込んでいった。
観客も。十傑の面々も「何だ?」といぶかしがる中、リヴィアス達魔界勢はその行為に
あーあ、おいおい、とあきれ顔で見上げる、オグマらしいわ、と。
ひゅうぅぅぅ・・・どんっ!
地面に落ちて来たのは、全身の毛をチリチリに焦がしたオグマと、その鞘に納めたナタルコンの
刀身全てを覆う雷のプラズマだった。
「悪いな、少し電撃を分けて貰ったぞ。」
ふらつきながらもダイに対してそう言うオグマ。彼は自ら雷雲に突っ込んで、金属である
ナタルコンとその鞘に電撃を纏わせて来た、いわばセルフライデインを刀に浴びせて来たのだ。
体中ススまみれで縮れ毛になったオグマを見て、ダイはなんとも複雑な表情をする。
後先を考えないというか、行動に迷いが無いと言おうか・・・この
なんなんだ、という感情が湧き上がる。
-カシャアァァァン!-
ダイの剣の封印が外れる、その中でギガデインが完成した合図だ。
すらっ!と抜いた剣の刃には、まるで太陽のように膨れ上がった電撃呪文が渦巻いていた。
-ガッチイィィィン!-
4度、鞘を開放するナタルコン。その鞘は縦に割れ、先端がナタルコンの刃先と並んで
三又の刃となっているが、その上下の鞘の先端が帯電して激しくプラスマを飛ばす。
かつて精霊ニカを仕留めた
中心の刃は暗黒闘気と真空の刃をぶわぁっ!と突き出す。
そして使い手のオグマが、光の闘気を最大限に燃やすと、それがナタルコンの刃を避けて
鞘にのみ伝わっていく、ロン・ベルクの改良により、ついに同時に光と暗黒の闘気を
十全の使用を可能にしたその光魔剣が牙を剥く。
暗黒闘気、真空呪文、雷撃呪文・・・そして使い手オグマの光の闘気!
かたや最強のオリハルコンの剣、父から受け継いだ最強の雷撃、そして自らの竜闘気!
「『
「ギガ・ストラアァァァァーーーッシュ!!!」
両者の最強の一刀が、リング中央で激突する。
それでは皆様、よいお年を~。