作者が見た強めの幻覚、あるいはウマ娘短編集   作:海月くらげ

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私の仕事は、人を笑わせる、ことだからっ…!


ギャグ:マグマ料理とウマ娘

 今日は素晴らしい日だとスペシャルウィークは思った。

 

 太陽は皆を優しく照らし、小鳥は歌い花は咲き乱れ、エアグルーヴのやる気が下がる。心なしか周りでトレーニングしている他のウマ娘たちもいつもよりも調子が上がっているようにも見え、それに引っ張られるようにスペシャルウィークもやる気をあげていた。

 

 一通りトレーニングを終え時計を見て見れば、長針と短針は共に12を指していた。調子も良く、いつもより少し多めに体を動かしたスペシャルウィークはそれはもうお腹ペコペコのペコであった。そういえば今日は食堂で特別なスパゲティが出ると張り紙がしてあった、そして張り紙には数量限定とも書かれていた。こうしてはいられない、急がなくては!とスペシャルウィークは素早く静かに周囲に気を使いながら走り出す。

 

 食堂にたどり着いたスペシャルウィーク、特別メニューと書かれたメニューに在庫切れの文字がないことに安心したのもつかの間小さな違和感に襲われた。スパゲティを注文している者が極端に少ないのだ。いや、スパゲティを食べている者はいる、しかしそれはいつも食堂で出されているものであり、特別なスパゲティとは感じられないのだ。少し注文するのが怖くなったスペシャルウィークだがここトレセン学園で出される料理は全て美味しいということを理解している自信があったので意を決して注文することにした。

 

「すみません!マグマスパゲティお願いします!」

 

「!」

 

「っ!!」

 

 瞬間、緊張が走った。

 

 厨房にではなく、テーブルの方からであるが。

 ある者は何かを堪えるように耳を塞ぎうつむき、ある者は顔を真っ赤にして伏せる。今までわいわいと賑わっていた食堂は異様な空気に包まれていた。当然スペシャルウィークは困惑する、もしかしたら自分が頼んだのは何かとんでもないモノなのではないか。例えばエルちゃんが好きな激辛料理とか、人より食べる量が多いウマ娘でも食べきれないようなとんでもない量の料理とか。マグマという名前から前者の可能性が高いが、おそらく経験者であろう他の娘に聞こうにもこの空気感が聞くのを躊躇わせ、聞けずにいた。

 

 

「お待たせしました」

 若干後悔し始めてきた頃、マグマスパゲティが出てきた。

 恐る恐る見てみるとどうだろうか、見た目はいたって普通のナポリタンである。まだ口に入れていないため判断はできないが、匂いからは辛い匂いはせず、むしろナポリタン特有のシンプルなビジュアルに大きな肉団子と野菜の入った非常に美味しそうなパスタだ。ひとまず席に着こう、そう思い手に取ろうとすると。

 

待ってください!

 

 一人の男性の声が止めた。

 厨房の方に目を向ければそこにはタンクトップ姿のマッチョメン。厨房に立ってて何も言われないため食堂のスタッフなのではあろうと察しはつくがそれにしても出で立ちが奇妙すぎる。

 

「そのままだったら普通のスパゲティ。皆さん、粉チーズを用意してください

 

 ミュージック!スタート!」

 

 スペシャルウィークは困惑した。どこからか流れてくる渋いロックに合わせて粉チーズを持ったマッチョがボディビルのようにポージングするのだ。なんだか面白くなって少しにやけてきた。

 

「デン デン Its my

 

 ヤアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!

 

 

 

 

 

 

 

 粉チーズは一個丸ごと勢いよくかけられた。

 

 スペシャルウィークは盛大に笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




マグマ:仲間内でマグマというあだ名がつけられている一般トレセン学園厨房スタッフ。豪快かつ繊細な料理が得意で栄養管理にも秀でている。趣味は筋トレ。

スペシャルウィーク:しばらくスパゲティを食べるときにあの光景が浮かんできて思い出し笑いするようになってしまった。

マグマ式スパゲティ:その見た目から一瞬あっけにとられてしまうが、粉チーズと相性バッチリに作られているのでとてもおいしく、栄養もきちんと考えられている。もっと食事を楽しんでもらえるようにとあのパフォーマンスをしたが、頼んでくれる人は減った。楽しんでもらうという目的はバッチリ達成している。

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