来年こそもう少しましな生活ができるようにしたい・・・
エリア1に現れたゲリョスから逃げてエリア2に戻ったクリスティアーネ達は、そこから隣接した往復路を通ってエリア5にまわり、そこからベースキャンプ前に聳え立つ崖の上に着く。
「何とかここまで来れたッスけど、やっぱここから降りるって考えるのは、思わず肝が冷えてくるッスねぇ~……」
「まあ、まだいるよその班がどれだけいるかはわからんが、ソイツ等や他のモンスターとかち合うよりは、こっから下の砂浜に飛び降りた方が、ずっと安全だろ。俺がさっき会ったリオレイアや、あそこにいたゲリョスが、先回りや移動先に来てるかもって考えりゃ、さっさと帰れるに越したことはねぇよ」
この先で広がる絶景についつい怯えるレマに対し、まさに回り道で通ったエリア5でリオレイアに襲われかけたドラコ。シンとクリスティアーネも口にこそ出さないが、後者に同意して飛び降りる準備をしていると、先程ナディア達に鬼人薬を贈ってからも地面を漁り続けていた山菜爺さんが4人に気付く。
「おや、ハンターさん達か。こっちに来たということは、試験は終わったのかね?」
「おぉ、せやで爺さん。自慢やないけど、イャンクックにババコンガと、結構な戦果やねん」
言葉に反し、誇らしげなシンが、イャンクックから剥ぎ取った『巨大なクチバシ』をポーチから取り出し、山菜爺さんに見せる。
「ははぁ、そりゃあすごいのぉ。試験で早々に2体のモンスターと対峙するとは、さぞ大変じゃったろうに……そうじゃ、
モンスターのこない安全地帯と言え、常にフィールドで活動している分その脅威は充分認識しているようで、思わず遠い目をしていた山菜爺さんだったが、ふと正気に戻ったように意識を切り替えると、籠から回復薬を取り出し、配っていく。
「ちと質は低いが、すぐ飲むなら、あそこのハチの巣からハチミツを採りゃ、調合で質を上げれようて。戦闘後に手間をかけさすのは申し訳ないが、そこは勘弁しとくれ」
「お、すまんの」
「あ、ありがとうございます……」
「まぁ、手持ちの応急薬や回復薬も使い切っちゃったし、貰えるだけ感謝ッスよ」
「だな。リオレイアやゲリョスにだって遭ったんだ、それを考えりゃ毒を浴びずに逃げきれただけ、運がいいってもんだ」
それぞれ礼と共に別れを告げ、折角なのでと言われた通り、付近のハチの巣からハチミツを採取してから、崖を飛び降りる形でベースキャンプに帰還した。
「うぉ!まさかこっち戻るのにあの崖飛び降りる奴がいるとは思わなかったぞ」
その着地音に驚き、駆け付けたのは、ババコンガを仕留めて戻り、同じく帰還していた同期達と談話をしていたアカシ。彼に続き他の面々も何事かと見にくる中、イボンコが最前に立って迎える。
「よく戻った……と言いたいところだが、メンバーが開始前の班分けと変わっていることについて説明貰おうか」
既にドラコが元居た班はリオレイアに襲われ、半分が犠牲になったことを唯一生き残って逃げかえった先輩から聞いていたイボンコは、まず彼が他の面々を率いていた例の先輩の代わりにいる件を問い詰める。
「それに関しては、私から説明を。彼はエリア2でイャンクックを共に倒した後、偶々襲ってきたババコンガの攻撃に巻き込まれ、エリア外に転落しました。その後眠り生肉で眠らせ、撤退しようとしたところにこちらを訪れたドラコ様と合流し、そのまま倒しました。証拠たる素材は、こちらに」
それに対し1歩前に出て事情を説明したクリスティアーネは、イャンクックから剥ぎ取った『怪鳥の甲殻』や火炎袋と共に、同じくババコンガから剥ぎ取った『桃毛獣の毛』や『桃毛獣の牙』を取り出し、残りの面々も、それぞれが剥ぎ取った鱗や毛、骨等の素材を見せる。
「……なるほど、奴の安否は警備、救助担当のハンターに任せるとして、戦果に嘘がないのは確かの様だな。よかろう、お前達4人も合格だ」
「っしゃあ!やったで!」
「無事ハンターデビューッスー!」
イボンコの合格判定に歓喜するシンとレマ。そんな2人を見て「やれやれ」と首を振るドラコも、安堵したような笑みを浮かべながらクリスティアーネに感謝を伝える。
「ハハ、相変わらず賑やかだなアイツ等。ま、おかげで俺も達成できたぜ。ありがとよ」
「いえ、お互い無事合格できて何よりです。ところで、他の皆様はもう皆戻られましたか?」
そして先に戻っていた仲間達に目を向けると、代表してウツシが報告を入れる。
「いや、君達であと1班だ。まだアダイト達だけ戻ってない」