モンスターハンター~剛腕巨躯の狩人令嬢~   作:ゲオザーグ

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()毒霧を払う者

 徐々に弱らせる毒を浴びせるスタイルからか、鳥竜種の中ではと但し書きはつけど、攻撃性は消極的な方に位置するフロギィだが、いかんせん毒を浴びせねば話にならないとあってか、クリスティアーネ達を追ってわざわざ狭い細道へと進んだのが運の尽き。

 

「やああぁっ!」

 

 先陣から順に、反転したクリスティアーネが力任せに振るうバスターソードの刃や衝撃に巻き上げられては、周囲の壁や地面に叩き付けられて動かなくなり、運よく立ち上がることができそうな者も、体勢を直す前にテリルとビオが的確に仕留めていく。

 そして不利を悟り、残る周囲のフロギィを連れて引き返そうとするドスフロギィに対し、それまで最後衛から空中のフロギィを落下前に射抜き仕留めていたベレッタが、放物線を計算し放った拡散矢で退路を封じ、逃亡を阻止する。

 

「さすがに分が悪いって察したみたいだが、よくやったぞベレッタ」

 

「これくらいなら、お任せください……それより早く、奴を仕留めましょう!」

 

「了解です!引き続き前衛はお任せを!これ以上、皆様に負傷はさせません……!」

 

 最早破れかぶれとばかりに、残ったフロギィ達を先程同様咆哮で呼び寄せ、一斉噴射の体勢に入ったドスフロギィに対し、あえてその懐に潜り込んだクリスティアーネは、バスターソードの刃を立て、団扇(うちわ)の要領で大きく横なぎに振るう。

 

「これで……終わり、です!」

 

その風圧で毒霧ブレスを散らし、動きを封じたところに、追い打ちとばかりに刃先が地面に着くほど体を反らして溜めた力を解き放ち、地響きと土煙を巻き起こすほどの溜め斬りを浴びたドスフロギィは、左の毒袋がパックリと袈裟懸けに切り裂かれ、血と毒液がダラダラと垂れ流しとなる。

 それでもなお毒霧ブレスを吐かんとするかの如く、ふらつく足で踏ん張りながら口を開けるが、片方だけでも武器たる毒袋の傷は、そのまま致命傷となったようで、喉奥から口先へと流れ出る血液と共に『ゲヒュッゲヒュ……』とかすかにうめき声をあげ、ドサリと倒れ込む。

 

「よっし!ドスフロギィ討伐完了!」

 

「喜んでるとこ悪いが、まだもう1体とその群れが残ってるんだ。コイツらの剥ぎ取りしたら、そっちも行くぞ」

 

「ウゲ、思わず達成感で一瞬忘れてたけど、そうだったっけ……」

 

「……ですが、ひとまずこうして衝突していた群れの片方を討てた訳ですから、今は僅かでも休憩して、彼らの素材を剥ぎ取ると共に、その勝利を喜びましょう」

 

「そうですね。むこうも数は多そうですが、それくらいしてから挑む余裕は、あるはずかと……」

 

「ハァ、わかったよ。今日はこんくらいにしといてやるが、あんま気を抜くなよ……」

 

 直後、討ち漏らしの反撃や他モンスターの襲来を警戒していたところに、一足早く勝利の歓声を上げるテリルがビオに注意されるも、警戒を解くと共にクリスティアーネが同意し、ベレッタもその肩を持ったことで、ビオもそれ以上とやかく口出しするのを控え、剥ぎ取りナイフを手にすると、手近なフロギィの死体に刃を突き立て、鱗や皮、骨や牙を集めていく。

 

 

 

 

 

 

 剥ぎ取りを終えた一同が、荷物整理のためベースキャンプへと戻ったところ、玄関口たるエリア1では、今さっきフロギィ達と繰り広げてきた激闘など、露知らずとばかりに、アプトノスやズワロポスが、相変わらず悠々と過ごしていた。

 

「そういやそろそろ手持ちの肉がなくなりそうだっけな。何体か仕留めて、肉頂いとくか」

 

「だね~。携帯食料も食べ飽きてきたし、そのままキャンプで焼いちゃおうよ」

 

「え?お、お二人とも……?」

 

 そんな草食モンスター達の姿を見て、台所事情を思い出したビオとテリルが、武器を構えて向かう姿に困惑するクリスティアーネ。そして2人が川辺でくつろいでいた1体のズワロポスに狙いを定め、仕留めていく姿に、「あ、ああああぁ……」とかすれた声を上げて呆然とした姿に、ベレッタが尋ねる。

 

「やっぱり、攻撃してこないモンスターを討伐するのは、苦手なままですか?」

 

「そうですね。こんな奇麗事が通らないとは、わかってはいるつもりですが、どうしても罪悪感が……」

 

 フロギィやブルファンゴの様な、こちらの姿を見るなり攻撃して来るモンスターに対しては、自衛も込みで躊躇なく戦闘態勢に入れるクリスティアーネだが、アプトノスのような敵意を向けず、攻撃されても逃げに徹するようなモンスターに対しては、訓練生の頃からどうしても武器を向けることに躊躇してしまっていた。

 

「気持ちはわかりますが、都合よくブルファンゴやリノプロスがいるとも限りませんし、あんな風に、とは言いませんが、ハンターとして、避けては通れないと思いますよ……」

 

「おーい、ボーッとしてないで早く戻ろうよー!」

 

「さ、行きましょ」

 

 そして息絶えたズワロポスから肉や皮、それから抽出される『垂皮油』を集め終わったテリルに呼びかけられ、立ち直りきらないながらも、先を行くベレッタに続いて合流すると、ビオに剥ぎ取りを勧められ、行為を無碍にするわけにもいかないとあって、残った肉や骨をいただき、ベースキャンプへと戻った。




()最後の価値観的な描写に関してですが、決してビオとテリルを蛮族扱いした訳じゃないです(むしろクリスティアーネが「いいこちゃん」過ぎた感じ)
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