高く
そんな僻地だが、依頼を出した付近の領主曰く、領内の寂れた山で少し前に土砂崩れが生じ、埋蔵していた水晶の鉱脈が露呈したらしい。
早速採掘に、と思った矢先、どこからか嗅ぎ付けたゲリョス達が集まりだし、我が物にせんと縄張り争いを繰り広げたため、このままでは安全に採掘できないとあって、たまらず依頼を出したとのこと。「1体でも多くのゲリョスを仕留めしてほしい」と記された領主の願望は、ゲリョス装備製造のために、少しでも多くの素材を欲するとあって、クリスティアーネとしても、都合がよかった。
「ここがジォ・テラードか、大分霧が濃いな……」
「無作為に進めば、気づかないままバッタリゲリョスに鉢合わせ……なんてこともありそうだ。一応支給品にもあると言え、ゲリョスの数が多いことを考えると、あまり解毒薬は無駄遣いできるほど余裕はないだろうよ」
周囲を眺め、同じ湿地帯でも近隣のクルプティオス湿地帯と大きく異なる気候を実感するアダイトに対し、故郷の寒村では見られない濃霧に顔をしかめるドラコは、得物のデュアルトマホークを手にし、支給品を取り出す間に、早くもまとわりついた露に気づき、振るい払う。その横ではカグヤが、クリスティアーネの背負うバルバロイブレイドと、自身のザンシュトウ【雛】を見比べている。
「イャンクックはこの装備作るのに幾らか狩ってはきたし、必要な素材も残ってたと思うけど、アタシもバルバロイブレイド作っといた方がよかったかなぁ……」
「確かに有利に働くとは思いますが、そちらのザンシュトウ【雛】も切れ味が優秀な装備ですから、一概にどちらが有効かは判断しがたいものと思いますよ。最終的には、使い手の腕に委ねられるものですし……」
「それもそっか。よし、帰ったらアタシもゲリョスの素材で、新しい装備作ってもらお!」
「帰ってからのこと考えるのもいいが、まずはその素材集めるために、ゲリョス狩ることに集中しとけよ。何度か組んだ際に思ったが、お前すぐ熱くなって突っ走るから、余計なダメージ受け過ぎなんだからな。材料集める手間考えりゃ、回復薬だってタダじゃないんだし、少しは攻撃浴びないよう立ち回れって」
「そうですね。できる範囲で万全の準備は整えましたが、常に最悪を警戒して、気を張らなくては……」
クリスティアーネの言葉を聞き、早くも達成後に意識を切り替えるカグヤに、ウツシの故郷、カムラの里にある『獲らぬブンブジナの皮算用』の言葉と共に、彼女に度々振り回されてきたことを思い出して呆れながら注意するアダイトが並んだことで、全員の準備が完了したことを確認したドラコが、出陣前の声掛けを担う。
「それもそうだな。クリスがフルフルに挑みたい様に、俺もゴシャハギに挑みたいが、そのためにここでくたばる訳にいかんからな。今はゲリョス狩ることだけ考えてこうぜ!」