飛行能力を持つ大型の鳥竜種において、ゲリョスは代表種のイャンクックや、より好戦的で戦闘能力も高いイャンガルルガと比べても、骨太で肉付きのいい部類に当たる。
その体格に反し、臆病な気質なのも有名だが、人間も小さな虫に大騒ぎしながら、必死になって叩き潰そうと躍起になるようなものか、ハンターを見かけても早々逃げ出すのは稀で、大抵は驚きこそすれど、体格差をいいことに襲い掛かってくることが多い。
ましてや出会い頭に尻尾を切られたとあって、足元のクリスティアーネ達に怒り心頭なゲリョスの頭に、逃走の選択はないようだが、習性に従うかの如く的外れな方向に毒液を吐き散らしながら駆け出したかと思えば、急停止から方向転換しては、再度毒を撒き散らしながらのダッシュを繰り返す。
「興奮して暴れ回ってやがる、こりゃ追いついて攻撃するのも一苦労だな……」
「ひとまず無理に追う必要もないだろうから、落ち着いてこっちに向かってくるまで、走りたいだけ走らせておこう」
縦横無尽に駆け巡るゲリョスを見て、呆れた様子のドラコに対し、アダイトが腰を落とし、盾を構えて待ちの姿勢をとると、走り続けたゲリョスが落ち着いた様子で足を止め、向き直った。しかし興奮状態は継続しているようで、引き続き目の周りを明滅させながら、翼を広げた不格好な姿で、4人目掛けて駆け寄ってくる。
「よし、こっちを認識した!来るんならこれで……!」
「カグヤ様!?いったい何を……!」
ドタドタと走ってくるゲリョスを前に、他の3人が左右へと逃げる中、1人その場に残り、ザンシュトウ【雛】を振り掲げるカグヤ。その姿を見たクリスティアーネは驚きの声を挙げるも、まさにゲリョスの武骨な嘴が迫る瞬間、溜めた力を解放して振り下ろし、ゲリョスの頭を泥に沈めると共に、トサカを粉砕する。
「す、すげぇ……あいつタイミング見計らって決めやがった……」
「アダイト、ボケっとしてる場合じゃねぇぞ!まだゲリョスは生きてるんだ、このまま一気に決める!」
「オッケー!まだまだ行くよぉ!」
「了解です!」
向かってくる
それに応え、攻撃の手を緩めずザンシュトウ【雛】で無防備な首を斬りつけるカグヤにクリスティアーネも続き、バタバタと激しく上下する右翼にバルバロイブレイドを振るい、切り裂いていく。そして復帰したアダイトも交えゲリョスを攻撃して行くと、泥中から顔を引っ張り出し、再度怒りのまま毒液を吐き散らしていくが、大分ダメージを稼いだためか、先程に比べ動きに勢いがなく、ある程度遠ざけると背を向け、足を引きずって逃げようとする。
「足を引きずりだしました!あと少しです!」
「あぁそうだな、まずは足を止める!」
「トドメは任せた!死にマネに注意しろよ!」
瀕死の合図に逃がすまいとすれ違い様に脚を切りつけ、転倒させたドラコとアダイトに続き、クリスティアーネとカグヤが喉笛に交差する一閃を決め、遂に倒れ伏すゲリョス。擬死かどうかを確認するため、少し間をおいて手近な石などを投げつけてみるが、一切反応がない。
「やったー!ゲリョスを仕留めたー!」
「ありがとうございます!皆様の協力のおかげです!」
「狩猟対象は複数体だが、まずは1体目だな。この調子で……とはいかずとも、もう2、3体は狩っておきたいところだ」
「そうだな、それくらい狩れば、俺達も便乗してゲリョスの装備が作れるかもしれないし」
「あっ、それもいいね!ならそのためにも、さっさと剥ぎ取りして次の準備しよ!」
ドラコの発言にアダイトとカグヤが便乗する姿に、クリスティアーネは一足早くゲリョスの骸に突き立てていたナイフを止め、微笑ましく見守っていた。
関係ない私事ですが、今月からバイト始めました
制作意欲は相変わらずですが、今まで無駄にしてきた時間を少しは有意義に過ごせそうです