1体目のゲリョスを仕留め、剥ぎ取りを終えた一行は、改めて気を引き締めると共に、隣接するエリア10へと踏み入る。そこには今しがた倒したものより、一回りは大きそうなゲリョスがすでに事切れており、早々と嗅ぎ付けたのか、周囲にはガミザミが何匹か群がり始めている。
「うわっ、ゲリョスが死んでる……!?」
「どうやら、グラビモスにやられたみたいだな。熱線に驚いて、勢い削がれて逃げたさっきの若手2体と違って、変に粘ったせいで怒りを買ったんだろ」
まさか自分達以外のハンターが来たのかとカグヤは驚くが、ガミザミを避け表皮を眺めていたアダイトは、死因であろう抉る様な焼け跡に貫かれた右の首元と、激しく焼け爛れ、地に付した際に残った熱で乾いた泥が付着した顔の左半分から、グラビモスに敗れ、果てたと推測する。
「ってことは、あのグラビモス洞窟から出てきたのか……」
「さすがにあの体躯で潜るのは無理があったでしょうから、入りきらずに諦めて出たところに遭遇したようですね。そして、別の鉱脈を探して立ち去った、と……」
戦闘で聞き耳を立てる余裕はなかったと言え、洞窟内の鉱石を貪っていたと思っていたグラビモスが、予想と違う行動をしていたとあって、遭遇を危惧するドラコに対し、泥濘に残る足跡を確認していたクリスティアーネは、進行方向にあるエリア西側の外壁部分が激しく崩落しているのを眺め、幸いにもグラビモスがここを後にしたと考える。
「ってことは、後は周りを気にしながら残りのゲリョスを何体か倒して帰ればいいってことだよね?ならとりあえず、この死体からも少しもらって、他のゲリョス探しに行こ」
一応想定外の脅威は去ったとあってか、カグヤは言うが早く比較的損傷が少ない背面や翼膜部分の皮膚や、その奥にある骨を集めていき、アダイトも手柄とは言い難い場面に、どうするか悩むように顔をしかめるも、剥ぎ取りを終え、ナイフを収めたカグヤに続き、ドラコとクリスティアーネも便乗する。
「まぁ、さすがにあんまり繰り返すと、ギルドに注意や没収されるだろうけど、今回は棚ぼたってことで失敬してくか」
「コイツの討伐はグラビモスのおかげだろうが、依頼受けたのは俺達だしな。カグヤの言う通り、もう何体かゲリョスを狩っとけば、それに免じてお咎めされんだろ」
「労せず成果を得ることに後ろめたさはあるかもしれませんが、生物としては間違ってませんし、今の私達は、少しでも成果を示すために装備を強化や新調しなくてはなりませんから、このゲリョスに感謝して、素材をいただきましょう」