ベースキャンプに帰還した4人は、入手したゲリョスの素材を、ポーチからベースキャンプに備え付けのアイテムボックスに移し替えると、代わりに回復薬や解毒薬を補充する。
「とりあえず、もう何体かゲリョス仕留めるとして、何体いくつもりだ?」
「そうですね……さすがにそろそろ皆様も疲れましたでしょうし、後1体捕獲だけしたら、戻ってもよさそうですね」
事前に焼いて、持ち込んでいたこんがり肉に食らいつくドラコの質問に対し、砥石でバルバロイブレイドの刃を手入れしていたクリスティアーネは、すでに十分ゲリョスの素材が集まったとあって、これ以上はいいと判断し、最後に1体だけ捕獲して帰還することを告げる。
通常の討伐と違い、捕獲は剥ぎ取りこそできないものの、タイミングの見極めや生け捕り自体の難しさの分、ギルドからの報酬に箔がつくため、今回のように、複数の同種モンスターを相手する際は、希少な素材目当てに1体を捕獲する場合も多い。
「え~もう帰るのぉ?アタシはもう少し狩っててもいいんだけど……」
「そこはしょうがねぇだろ。回復薬なり解毒薬なり結構消耗したし、今回はクリスの手伝いってことで組んだんだからな」
「う、それ指摘されると痛いなぁ……」
それに対しカグヤは、まだ狩り足りないと腕を振ってアピールするが、アダイトからアイテムの残りや、今回の目的を指摘される。そこにこんがり肉を食べ終えたドラコも混ざり、クリスティアーネの決定を後押しする。
「っても、素材は十分たまったんだし、何かしら装備作ったり、売って生活費の足しにする分には問題ないだろ?」
「そうですね。最後の捕獲は自己満足ですので、このまま帰ってもいいですが……」
事実ギルドからの報酬次第な部分もあるが、少なくともイーオスシリーズの時の様に足りなくはならないだろう量は確保できている。
「あーわかったわかった。じゃあ、最後の1体仕留めに行こうか」
結局折れたカグヤが急かす形で休息を終えた4人は、荷物の確認だけ済ませ、再度狩場へと進んでいく。
しばらくして4人は、再度エリア4で遭遇したゲリョスと対峙する。
「ここなら落とし穴も設置できるので、都合がいいですね」
「だな。ある程度戦ったら、罠と麻酔玉、準備しとけよ」
シビレ罠が効かないゲリョスは落とし穴にはめなければならないが、設置場所を選ばないシビレ罠と違い、落とし穴はある程度地盤がしっかりしてないと、設置しても発動した拍子に崩れてしまう。そして沼知はそうした設置できないぬかるんだ地面のエリアが多く、ゲリョスが来て落とし穴を設置できるエリアは、ここか隣のエリア9くらいしかない。
やがてそれまで対峙した同族の様にトサカを砕かれたゲリョスは、怒りに任せ目の周りを光らせながら暴れ回るが、しばらくすると、突如4人に背を向け、足を引きずる様に離れていく。
「大分弱ったぞ!今がチャンスだ!」
「了解です!準備できました!」
アダイトの発言を聞き、クリスティアーネはとっさに逃げるゲリョス足元を潜り抜けて落とし穴を設置すると、飛んで逃げる余裕のなかったゲリョスは、目の前でできた落とし穴に自ら入る形ではまり、もがく。しかしそれもクリスティアーネが手にした『捕獲用麻酔玉』を顔に当てられると、それまで暴れていたのがウソのように、眠息を立てて動かなくなる。
「やったぁ!ゲリョス捕獲!」
「これでゲリョス狩猟も完了だな。お疲れ」
「はい、皆様もご協力ありがとうございます」
こうして討伐4、死体あさり1に加え、捕獲分も含めると、計6体のゲリョスから素材を得ることができた4人は、その活躍に驚かれながらも称賛され、報酬も十分に得たとあって、クリスティアーネに限らず武器や防具にゲリョスの素材を使い、新たな装備でさらに活躍を広めていくのだった。