卒業試験当日。訓練生達は船に乗り、ミナガルデから遠く離れた大陸最東部にある『テロス密林』に向かっていた。
「うぅ……気持ち悪い……」
「船旅は気分が悪いし、プケプケさんはいないしで、最悪ですぅ……」
得物の『ボーンホルン』を横になったベッドの横にたてかけ、うめき声をあげていたヤツマを、エルネアがゆっくり起こして水を飲ませてやる。その横では同じく『ハンターボウⅠ』を横に置いたベッドの上で『ハンターシリーズ』を脱ぎ、身軽な状態の『フィオドーラ』がヤツマ同様横になり、悪態をつく。彼女はウツシが持ってきたカムラの里の周辺に住むモンスターの情報から、『毒妖鳥』と呼ばれる鳥竜種のモンスター、『プケプケ』に興味を抱いていて、是非とも会ってみたいと思っていたが、今回試験会場となる密林には生息していないと聞いて、落ち込んでいたところに船酔いの追い打ちで大分参っているらしい。
波は小さく落ち着いているものの、両者に限らず、慣れない船の揺れに早々ダウンして、同様に体を横たえたり、窓や甲板の縁から胃の中身を放出する者は後を絶えない。
「ふ、船旅とは、こうも大変なものなのですね……」
「ってより、単純にあたし達がまだ慣れてないだけじゃないっスか?さっき甲板で教官が余裕で仁王立ちしてたの見たし、船員の人達なんて、全然揺れを感じさせないってくらいスタスタ歩きまわってたっスからね」
ヤツマ達ほど酷くはないものの、椅子に座ってテーブルに突っ伏すクリスティアーネの弱音に、『レザーライトシリーズ』を纏い、大型モンスターをも殴り殺せる腰の巨大な
「まぁ船にしろ車にしろ好き嫌いは分かれるだろうが、あまり移動手段に贅沢言ってらんないだろ。観測所の気球も一気に山を飛び越えるといえ、天候次第じゃ満足に上昇も出来んらしいしな」
「ふむ、
少し離れたところで椅子に座っていたディードが動けない面々を見て心配しつつも、拠点となる村や街から狩場への移動手段はどれも一長一短と苦笑すれば、ベッドに座るカツユキもそれに同意する。
後者が語る様に、この世界における長距離の移動手段は、現在彼等が利用している様な船を使った海路もあるが、陸路に関しては専ら温厚な草食モンスター――中でも生息域が広く、トサカが特徴の大型種、『アプトノス』が一般的だが、寒冷地では同じくらいの体躯で、全身を覆う長い体毛と、2本の長い牙が特徴の『ポポ』が使われる他、ドッシリした風貌に反して臆病な鳥竜種、『ガーグァ』を動力に使う地域もある――に曳かせた車か、徒歩が一般とされている。
「とりあえず今は、この船旅が最初で最後の一方通行にならないことを、祈るばかりですね……」
ヤツマやフィオドーラに比べればまだ余裕はありそうだが、同じくベッドで俯せだったナディアが顔を上げて話すように、ハンター自体がそうした業種とあって、この卒業試験は受験者の死亡率がかなり高い。特に自分の実力や撤退のタイミングを見誤り、到底敵わないモンスターに挑んで散る事例は後を絶たず、そうした犠牲を目の当たりにして、デビューを前に折れる訓練生も少なくない。
「そうだな。尤も、そうした軟弱者はそもそもハンターになろうとすること自体が間違いだろうが……」
「せやけどとりあえず、今ははよう着くのを待つしかないわな……」
まだ余裕とあって、ボーンスラッシャーの点検をしていたディノの苛立ち籠った発言に、反応した同期達は一様に例の先輩訓練生を思い浮かべる。結局彼はイボンコの取り消しを無視し、別の訓練生から参加権を奪って乗り込んできた訳だが、船出間もなく「生意気な後輩」「自分に媚びなければ家の権力でハンターとして活動できなくする」と取り巻きを連れて別室にいたアダイト達に突っかかり、血の気が多いドラコが食って掛かろうとするのを、彼やディードが必死に食い止める様に慌てて逃げ帰り、その後揃って船酔いでダウンしたらしい。その一方シンの言う通り、参っているのは彼等に限ったことではないし、到着するまでできることと言えば、ディノの様な装備の手入れくらいか、外の景観を眺めるくらいしかないのも事実であり、そうした意味でも密林への到着を望んでいた。
「ところで、皆は何を狩るつもり?アタシはやっぱり、無理しない程度の大物ってことで、イャンクックかな」
そこに視線を窓の外から仲間達に移して割り込むのは、『ボーンスラッシャー』に『レザーライトシリーズ』を装備した『カグヤ』。かつて故郷ユクモ村の付近に現れた古龍、『アマツマガツチ』を倒した先輩ハンターに憧れており、それを目標に追い付き追い越さんとしてる彼女は、自身の装備の貧弱さや、経験の乏しさを自覚しながらも、新人が頑張れば何とかできそうな相手と判断して、標的にイャンクックを挙げる。
「イャンクックですか。確か、ヤクライ様に薦められたバルバロイブレイドは、イャンクックから採れる素材を使いますし、私も狙ってはいますが、運が良ければ、程度の認識ですね」
「プケプケさんがいないなら、何か適当にぃ~……」
それを聞いて、かつてヤクライにアドバイスがてら挙げられた対フルフル用武器、バルバロイブレイド製作のために必要な
「何を、っても、別に選んだからって相手できる訳でもねぇからなぁ……」
「ですが、やはり力量以前に装備や経験を考慮するなら、ドスファンゴやドスランポスが無難なところでしょうね。逆にガノトトスやラギアクルスのいる危険性がある水辺での戦闘や採取は、途中で襲われない様注意が必要かと」
一方彼女の問いに、正論を交えつつ律儀に答えるのは、レノ同様太刀の『骨』を背負い、『レザーライトシリーズ』を纏った『アカシ・カイト』と、金属製の太刀『鉄刀』を背負い、同じく『レザーライトシリーズ』を纏った『
「確かここ最近あの付近で目撃されてるのは、ドスランポス、ドスファンゴ、ババコンガ、アオアシラ、ダイミョウザザミ、イャンクック、ゲリョス、イャンガルルガ、ガノトトス、リオレイアだったっけ?」
「そうだな。さすがにナルガクルガやジンオウガみたいな、試験どころじゃないようなモンスターは出ないだろ」
「むしろ事前にそうしたモンスターが発見されれば、試験開始まで間に合わせるよう他のハンターに狩猟依頼が通達されるはずだ。今からその1歩を踏み出さんとする我々が、その相手をする先輩等のことを気にしたところで、どうこう決まるようなことではなかろう」
それを強引に締めたのは、威力を重視したヘビィボウガンとは逆に、取り回しを重視したライトボウガンの『ハンターライフルI』を背負った『ハンターシリーズ』の『レイン・ファインドール』。彼女が言う様に、テリルが挙げたモンスターのうち、受験者が相手することを想定されているのは専ら『ドスランポス』か『ドスファンゴ』で、辛うじて無茶をしてもイャンクックがギリギリと認識されている。残り――特に『水竜』の異名を持ち、水中を主な生息地とする『ガノトトス』や、『雌火竜』の通称で広く知られ、同種の雄に当たる『火竜』こと『リオレウス』共々飛竜の代表格とされる『リオレイア』、出現が珍しく、あまり遭遇しないイャンガルルガは、あくまで『自身が叶わない存在を見極め、どう対処するか』を判断するための存在とされており、とるべき選択肢としては逃げ一択だけ。むしろかつてイャンガルルガを仕留めたヤクライは、判断と能力が異常だったから為し得たのであって、並の受験者では対峙した瞬間
そしてビオが挙げた『
「まぁまぁ。何を狩るにしても、まずは合格を目指しながら、警戒を怠らないようにしましょう。複数のモンスターと同時に対峙する可能性だってありますし。それよりそろそろ着きそうですよ」
そこに全身を覆う金属鎧の『アロイシリーズ』を纏い、『アイアンソード』を背負った『ゴウ』が宥めに入る。彼の言う通り、繁殖期の現在は縄張りや繁殖相手を巡ったり、普段以上に食う食われるの様なモンスター同士の争いが各地で多発しており、まだ率いる群れや縄張りを持たなず、戦闘経験も少ない若いモンスターや、争いに敗れた老齢のモンスターのように、遭遇したモンスターが相手しやすい場合もある一方、それに巻き込まれる危険も大きく上がる。そして窓の外に目を向ければ、白い砂浜と、その先に鬱蒼と広がる密林が見えてきた。
「全員船酔いは落ち着いたな?それではルールを説明する!」
ようやく上陸できた面々が調子を取り戻したのを確認したイボンコは、ベースキャンプの設営された海岸部分に、今回の卒業試験に参加する60人を並べ、その前に陣取ると、木製の小箱と布袋を用意し、袋から赤い魚の柄が描かれたプレートを取り出す。
「今回のパーティーは、このプレートで決める。それぞれ赤、黄、青の3色で、虫、魚、草、キノコ、鉱石の描かれたプレートが、各色各柄4枚ずつの計60枚ある。1人ずつプレートを引き、同じ色と柄の訓練生でパーティーを組む様に。では、登録番号順に1人ずつ引いていけ!」
説明を終えると共に、残る袋の中身と共に取り出したプレートを小箱に投じ、軽く回してよくかき混ぜてから引かせ、パーティーを決めていく。引いたプレートとメンバーは、以下の通り。
・青い虫
ナディア
イスミ
ディード
フィオドーラ
「よろしくお願いしますね、皆さん」
「大剣が2人に、ランスと弓ねぇ。ま、バランスとしてはいいんじゃないかい?」
「そうだな。まぁ、男女比は大分偏ったが……」
「そこは気にしない方がいいんじゃないですか?」
・赤の鉱石
カツユキ
アダイト
ディノ
レノ
「この組み合わせなら、防御は某に任せてもらおう」
「頼むぜカツユキ。俺もサポートする」
「ならば攻撃は、俺達が主体だな」
「恥ずかしながら、この中では俺だけガードができん武器だが、その分奮闘しよう」
・黄色の魚
ヤツマ
ベレッタ
エルネア
カエデ
「よ、よろしくね……」
「大丈夫。攻撃される前に仕留める」
「誰も脱落することなく、合格しましょう……」
「私がモンスターの注意を引く。その隙に皆で攻撃を」
・青い鉱石
ウツシ
アカシ
ゴウ
八雲
「太刀が2人に大剣と双剣……随分攻撃的な組み合わせになったな。とりあえずリーチの長い皆には、モンスターの注意を引いてほしい。懐に潜り込めれば、手数で活躍して見せよう」
「っし!任せな!」
「
「サポートはしますが、あまり無理だけはしないでくださいね?」
・赤い草
カグヤ
ビオ
テリル
レイン
「なかなかバランス取れてるんじゃない?」
「そうだな、盾役がカグヤだけってのは少し不安だが」
「そこはもう、火力で押し切っちゃおうよ」
「支援は任せろ。事前に弾は揃えておいたからな」
そして
「よりによってコイツとかいな……」
「完全にハズレ引いたっスね……」
「他が気心知れてる分、逆に完全アウェーどころか敵地なドラコ様に比べれば私達はまだマシかと……」
「コソコソしゃべるな!全く、何でコイツ等と組む羽目に……」
他の同期達が上手いこと内輪で決まる中、シン、レマ、クリスティアーネの3人は、例の絡んできた先輩――黄色のキノコを引いてその取り巻きと組む羽目になったドラコ曰く、「コネ野郎」と合わせて赤い虫のプレートを引いてしまい、お荷物を背負わされる羽目になってしまう。
「目標は当然リオレイアだ!お前等後輩なんだから僕に従って動け!」
「とりあえず道中採取しながら、出会った小型モンスターを掃討して、大型モンスターに関しては様子見してから、の流れでいいでしょうか?」
「それでええで。さっきも話しとったが、ドスファンゴとかドスランポスでも片付けて、さっさと終わらせよか」
「それがいいっスね。試験中のお守りはゴメンっス」
「おい無視するな!」
他パーティーに関しては抽選ソフトで決めましたが、1度メモ代わりでここに載せてたらパソコンがイカレて消し飛んでやり直しました(ただやり直す前からイスミ&ディードは一緒だった辺り、両者の仲はまさかここから?とか思ってしまったり)
当然メインはクリスティアーネ達のパーティーですが、例え首絞めることになっても他のパーティーにも視点向けていきます。
名前:フィオドーラ
年齢(現時点):11歳
性別:女性
武器(現時点):ハンターボウⅠ(弓)
防具(現時点):ハンターシリーズ
ひがつちさん作の投稿キャラ。地主の貴族の家に生まれた世間知らずで純朴なお嬢様だったが、プケプケに遭遇してからその狩猟に没頭し、「プケプケ来るよ」の一言だけでカムラの里に駆け付けるほど“キモ可愛さ”に魅了された(ただし各所にゲスト出演した際は訓練所時代から没頭してるように書かれているため、本作ではまたもウツシのせい状態になってしまった)。出身地や家系に共通点があった以上にゾラ・マグダラオスの件で将来的にクリスティアーネを新大陸に送りたいと思ったのがきっかけで出番を願った。ネタバレをすると終結後に宴の席でゾラ・マグダラオスの話を聞いて、彼女が帰還する際同行を懇願し、捕獲作戦に参加する流れ。
名前:レマ・トール
年齢(現時点):15歳
性別:女性
武器(現時点):ウォーハンマーI(ハンマー)
防具(現時点):レザーライトシリーズ
Megaponさん作の投稿キャラ。砕けた敬語が特徴で、可憐な容姿に反した怪力の持ち主。実はシン共々割と早い段階から今回のパーティー編成とそこからの展開を考えていて、是非とも登場させたかった。
名前:カグヤ
年齢(現時点):17歳
性別:女性
武器(現時点):ボーンスラッシャー(大剣)
防具(現時点):レザーライトシリーズ
未確認蛇行物体さん作の投稿キャラ。ユクモ村出身で、アマツマガツチを討伐した伝説の先輩を目標にしている。パーティー編成記入の際ウツシが余ってしまい、使い捨てでモブ先輩と組ませるのもどうかと思い追加したメンバーの1人。『特別編 追憶の百竜夜行』本編では翔蟲を使いこなして見せたが、今回は未登場なのでスタイリッシュアタックは自力でやってもらうことになってもうまくこなして見せそう。
名前:アカシ・カイト
年齢(現時点):16歳
性別:男性
武器(現時点):骨(太刀)
防具(現時点):レザーライトシリーズ
魚介(改)さん作の投稿キャラ。『特別編 追憶の百竜夜行』本編では資金難で狩猟笛の『禍つ琵琶』(貰い物)を使用していたが、本来は太刀使いなため、今回は骨を装備している。そのためか演奏よりも打撃を重視するあまり、旋律を切らすこともままある今後出番がある時は太刀で活躍させたいところ。
名前:水蓧八雲(みなしのやくも)
年齢(現時点):16歳
性別:女性
武器(現時点):鉄刀(太刀)
防具(現時点):レザーライトシリーズ
奇稲田姫さん作の投稿キャラ。気刃斬りにの高火力斬撃を最大の武器とする礼儀正しいハンター。時には前線でメイン火力、時には1歩引いて閃光玉や罠で援護もしくは広域化を使用したバフや回復でサポートヒーラー的な立ち位置等パーティに合わせて色々な役回りをこなせる。『特別編 追憶の百竜夜行』本編ではレマとアカシの仲を茶化す軽い様子がメインだったが、今回は両者の仲がそこまで発展してないことや、そうしたことを揶揄うまでの仲でないということで、少し硬めのキャラにした。
名前:テリル
性別:女性
武器(現時点):鉄刀(太刀)
防具(現時点):バトルシリーズ
X2愛好家さん作の投稿キャラ。『特別編 追憶の百竜夜行』本編ではすでに故人だが、別作品では逆に後述のビオが犠牲になった世界の彼女が投稿されている。恥ずかしながら当初彼女の存在を忘れており、『特別編 追憶の百竜夜行』本編に合わせて29人としてしまっていた。
名前:ビオ
年齢(現時点):20歳
性別:男性
武器(現時点):アイアンハンマー(ハンマー)
防具(現時点):ハンターシリーズ
X2愛好家さん作の投稿キャラで、『恐れよ、暴れる竜を。狩れ、友の為に。』の主人公。テリルを食い殺したイビルジョーへの復讐に駆られてこそいるが、『特別編 追憶の百竜夜行』本編で駆け付けた様に、それ以外を捨てるまでは捕らわれていない様子。
名前:レイン・ファインドール
年齢(現時点):22歳
性別:女性
武器(現時点):ハンターライフルI(ライトボウガン)
防具(現時点):ハンターシリーズ
ヒロアキ141さん作の投稿キャラ。キャラは某オペレーターをイメージしているが、未プレイのため再現できているかと聞かれるとぶっちゃけ自信はない。
名前:ゴウ
年齢(現時点):18歳
性別:男性
武器(現時点):アイアンソード(大剣)
防具(現時点):アロイシリーズ
Kio∞さん作の投稿キャラ。大剣を軽々と振り回す剛腕の持ち主ながら、礼儀正しい好青年でもある新人ハンター。応募時点では最低限のテンプレしか記載されておらず、『特別編 追憶の百竜夜行』本編で肉付けされた感じだが、出演許可をもらった際に追加情報ももらったので、それを活かしたい。