フルミナントソードに食らいつくドスジャグラスは、力任せに踏ん張りながら足を進めていき、対面するクリスティアーネをジリジリと徐々に押し下げていく。
「ぐ、ウゥ……巨体に加え、4脚
「援護します!」
そこにドスジャグラスの左側から飛び込むヤクモが、鉄刀【神楽】で切り込み、首筋を切りつける。ダメージ自体は多少鱗が削れた程度だったが、その攻撃で彼女に気づいたのか、右前脚で押し退ける様にフルミナントソードから口を離したドスジャグラスは、軽く後退してから上半身を持ち上げ、咆哮を挙げる。しかしその影でヤツマが、奏でていたソニックビードローを、右後脚に振り下ろす。
「こ、こっちだデカブル!うわぁ!」
こちらに関しては、奮起空しく続けた挑発共々足を払うだけで顔は向けられず終わったが、続けてクリスティアーネの後方からレインがジャギットファイアで通常弾を乱射し、ドスジャグラスの右半身に食い込ませていく。
「私のことも忘れるなよ。ソイツ等ほど返り血は浴びちゃいないが、負けず劣らずの数は
3方4人に攻め立てられ、苛立たし気に再度吼えたドスジャグラスは、次の行動を体勢に合わせたようで、ヤクモに向き直り狙いを定めると、口を開き突撃。しかしヤクモはタイミングを合わせて跳躍し、背中に飛び乗ると、鉄刀【神楽】を振るい、背中に伸びる鬣を何本か切り落としながら降りる。
「ヤクモ様!ご無事で!」
「えぇ、何とか。しかし、予想以上の強敵ですね……」
「さすが群れの長。コイツの、昔対峙したドスランポスやドスファンゴとは比べ物にならんぞ……」
「そうだね。こっちがジャグラス相手の連戦で多少疲弊してるとは言え、4人がかりでここまで決定打が見出せないなんて……」
無事地面へと降りたヤクモに対し、叩き潰さんと右前脚を振り下ろすドスジャグラス。しかし前転し回避する彼女は、改めて痛手らしい負傷のない相手を眺め、これまで経験したことがないような相手と認識し、他の面々も危機感を抱く。
熟練のハンターにしてみれば、ドスジャグラスの様な同族の小型モンスターを率いる中型モンスターは、大した脅威とは言い難いかもしれないが、装備も未熟で、技術や経験にも乏しい彼等にとっては、——今回こそ事前の対策が間に合ったと言え――かつてクリスティアーネがドスフロギィと対峙した時の様に、配下も交えた乱戦になりえたことを考えると、十分厄介と言えるだろう。
「ですが、ここで私たちが退いたとあっては、依頼を送った村落を始め、近隣の皆様に危機が及びうる可能性もあります。あのドスジャグラスは、何としてもこの場で仕留めなくては……」
「気持ちはわかりますが、気負い過ぎて先走っては、危険ですよ」
改めて狩猟達成を意識するクリスティアーネだが、ヤクモが肩に手を置き注意を促すと、踏み出そうとした足を留め、駆け付けたレインとヤツマと共に、改めて対峙する。
「アイツにも言ったが、私達のことも忘れるなよ。お前1人突っ走ったところで、アイツの相手はしきれまいさ」
「君達程はダメージを与えられないけど、また気を引いてくれれば、その間に演奏で支援するから!」
「レイン様、ヤツマ様……はい!引き続き、協力お願いします!」
そして再度口を開けて突進してくるドスジャグラスに対し、クリスティアーネがとったのは、フルミナントソードを押し出しての防御ではなく、横薙ぎでのカウンター。運悪く食らいついてしまった拍子に牙が複数本折れ、口元を切られたドスジャグラスは、激痛に身を悶え暴れようとするが、しっかりと踏み締めたクリスティアーネはそのまま押し付け、固定する様に前進し、その隙に横転して無防備に晒された腹部をヤクモが太刀の奥義、、『気刃斬り』で切り裂いていき、レインもジャギットファイアの連射機能をフルに発し、貫通弾で各所に穴を開けていく。
「これでもまだ……倒れないなんて……」
「いや……これで、トドメだぁ!」
それでもなお抵抗し、起き上がらんとするドスジャグラスだったが、演奏を終え加勢したヤツマのスイングを脳天に叩き込まれ、痙攣した腕がダラリと垂れると、遂に動かなくなった。
「や、やりました!ドスジャグラス、討伐達成です……!」
「お疲れ様でした!予期せぬ強敵でしたが、無事に勝てましたね!」
「す、すごいや……こんな大物を、ぼくたちが倒したなんて!」
「よくやった。これで我々も、堂々ハンターを名乗れるな。さて、素材になりそうな箇所を剥ぎ取るとするか」
死闘を制し、見事ドスジャグラスを仕留めた4人。その喜びを嚙み締めながら、迎えが来るまでに遺体から剥ぎ取りを済ませたのだった。