キャンプの西側から、沿岸にそって北上した先のエリア5にて、クリスティアーネは何らかの頭らしきボロボロに崩れた骨を見つけた。
「グラビモス……ではなさそうですが、おそらくショウグンギザミが、宿にしていたのでしょうか……」
宿をほぼモノブロスの頭骨に依存するダイミョウザザミに比べ、ショウグンギザミはグラビモスにあまり依存せず、比較的宿を選ばない。実際かつて火山で見かけた際は大きな巻貝の殻を背負っていたし、背負えるなら状態も考慮しないとばかりに、元が何か判別できない様なグラビモス以外の頭骨が宿だった事例も多々確認されている。
恐らくこの残骸もそうで、状態なりサイズなりに限界を感じ、脱ぎ捨てたのだろうと推測したクリスティアーネは、隣接エリアの6から東側の洞窟に曲がり、横断していくルートを決め、北上していく。
「理由はどうあれ、宿を換えたのなら、無闇に暴れるよりは、落ち着いて慣らすために洞窟内で身を潜めているでしょうね」
いくら有り合わせを見つけ次第使う選択肢の広さがあると言え、さすがに新調間もない宿をダメにするのは不本意だろう、と考えていた矢先、洞窟から漂う血の匂いに顔をしかめ、ホットドリンクを口にして入った先で見たのは、あちこちにできた裂傷から血を流し、倒れ伏すブルファンゴ達の無惨な姿。どうやら運悪くショウグンギザミと鉢合わせてしまい、機嫌を損ねて切り刻まれてしまったのだろう。
こうなるとある程度消耗して漁夫の利を狙える半面、最悪興奮収まらず気が立ったところを相手せねばならざるを得ないとあって、緊迫の表情と共にフルミナントソードの柄に手を伸ばす。
次のエリア9には引き続きコンガの死体以外特にモンスターの姿こそなかったが、更に奥のエリア3から、激しい地鳴りや
覚悟を決めたクリスティアーネが踏み込んだ先で目にしたのは、喉を割かれ、こちらを向いて倒れ伏したブルファンゴ。そして両手を掲げ、押し潰そうとしたところで同様に喉をやられ、仰向けに倒れ込んだババコンガと、仕留めた両者の血で、青い甲殻を紅く染めた、宿のないショウグンギザミ。
「宿がない……?度重なる戦闘で再度破壊されたか、あるいは換える余裕自体がなかったのか……少なくとも、宿がない分戦いやすくはありそうですね。用意される前に仕留めなくては!」
相次ぐ無法者の相手を終えた矢先に、更なる敵と対峙するとあってか、苛立たし気な様子で口元を泡立たせ、両腕を持ち上げて鋭利な鎌爪を誇示するショウグンギザミ。しかしクリスティアーネは怯むことなくフルミナントソードを掲げると、その重さを全く感じさせない速さで駆け出し、正面から挑んでいく。
ただ(大分早いが特にディアブロス相手するってなると)そろそろキツいだろうし、そろそろこっちも換え時かな・・・