ようやっと不埒者達を片付け、弱点を隠す宿を見に着け落ち着いたと思った矢先の不意打ちに、激しく体を振り回し抵抗するショウグンギザミ。怒り心頭とばかりに折り畳まれた鎌爪を伸ばし、周囲の草木を切り裂きながら、弱点に刺さったフルミナントソードごとクリスティアーネの巨躯を宙に浮かせ、やがて一際大きく体をよじった拍子に、その遠心力で遂にフルミナントソードを抜き飛ばす。
「グブブ……ップゥ!さすがに頭骨の隙間から突き刺すのは、横着が過ぎましたか……不用意に怒りを買っただけのようですね……」
泥の上をゴロゴロと転がりながらも、フルミナントソードを手放すことなく握り続け、体を起こすより早く咄嗟に地面へと突き立て、追い打ちとばかりに跳躍したショウグンギザミの振り下ろす鎌を防ぐクリスティアーネ。そこから止まない鎌の刺突を耐えながら、何とか腕力に任せて引き上げる様に体を起こすと、不安定な体制ながらもかち上げる様にフルミナントソードを振るい、甲殻の表面だけと言え見事に中心を捉えた一撃が口に届く前よりも早く、直感的に回避を選択したショウグンギザミは、大きく後方に跳躍する。
「これは後で念入りな整備が必要ですね。ですが今はまず、あのショウグンギザミを仕留めなくては……」
柄に近い基盤部分こそ致命的な損害はないが、側面を覆い、刃部分に電気を提供すると共に、外部への放出を抑えるフルフルの皮はあちこちが切り裂かれ、時折そこから青白い発光が漏れ出る。絶縁性質を持つゲリョスの皮由来の装備を纏っているおかげで感電の心配は薄そうだが、それも同様に切り裂かれ得ることを考えると、悠長なことを考えている余裕はなさそうだ。
そう考える間にも、ショウグンギザミは
ちなみに様々なものを背負うショウグンギザミだが、グラビモスの頭殻の場合のみこの攻撃を使用するのは、他のヤドではこうもうまく放水できず、宿の中を汚してしまうからと推測されており、実際貝殻などを背負った場合には、この攻撃ができる場面でも、ポタポタと水滴を垂らす程度に留める姿が度々目にされている。
話をクリスティアーネ達の戦闘に戻すと、損傷した面をショウグンギザミの脚に押し付け、裂けたフルフルの皮から無理矢理放電させることでダメージを与えたクリスティアーネは、脚をもつれさせバランスを崩したところにフルミナントソードを振り下ろし、ショウグンギザミの脳天を粉砕し、遂に仕留めることに成功した。