ディアブロス亜種2体の狩猟依頼を、押し付け同然に斡旋されたクリスティアーネが帰宅した翌朝。夜のうちに戻ってきた腕の立つハンターが、依頼を受けて出発してくれていないかと、一縷の希望を抱きながら集会所の門をくぐった彼女に突き付けられたのは、誰の手もつかず残されたままの依頼と、その発令された経緯だった。
「つまり、その密猟者達のせいでディアブロス亜種が別個体の縄張りに立ち入ってしまい、結果生じた争いの巻き添えを依頼先の村落が食らうかもしれないと……」
ことの始まりは、密猟者――実力試験を突破できなかったり、実力を誇大吹聴したりして、最悪命を対価に取り立てられる程ギルドに白い目で睨まれている規約違反ハンターの一団が、ディアブロス亜種の縄張りを通りたい
当然強力極まりない飛竜を相手できる装備も実力もなかった密猟者達は、適当に挑発して縄張りから引き離し、その間通過した
「分かりました。条件を設けた手前、この依頼を受けましょう。ただ、いかなる結果になろうともそこは覚悟してください」
ひとまず先の約束を守り、ディアブロス亜種2体の狩猟へ向かうことを決めるも、やはりいくら期待の新人と持て囃されようと、自分1人には荷が重すぎる。他人任せの希望的観測が過ぎたとはいえ、軽々しく口約束を結んだことを悔いながらも、行くにしてもせめて
「お、おいどうしたんだよクリス。急に呼び出されたと思ったら、妙に疲弊した顔で出てきてさ……」
「あれ、確かこの前フルフル討伐した時に、調子乗って剥ぎ取り過ぎたって怒られてたっスよね。もしかしてそれ関連で、また何かあったんスか?」
「いや、その件に関してはこの前既に下された処罰が終わったはずだから、今更どうこう言われることはないはずだけど……」
真っ先に心配するアダイトに、彼女が気を落とすような事態と言えば、と先日の失態を挙げるレマ。そしてそれは関係ないはず、と謹慎明けの依頼に付き合ったヤツマ。他にもナディアやレイン、アカシと、最初の声掛けを機に、次々同期の面々が駆け寄ってくる。
「じ、実は……」
そうして先程とは別の部屋に移動し、ポツポツとクリスティアーネが語りだした事情を聴くにつれて、仲間達の顔は引きつっていく。
「でぃ、ディアブロス亜種2体とか……随分な大物を相手する羽目になったな……」
「そりゃあそんな話持ちだされたら顔も曇るってもんだわ……」
「それで、問題は誰が同行するかだよな……」
「ならば俺が「アンタは依頼の安請け合いし過ぎでしばらく
そうして話が戻ったところで、
「だったら俺が行こう。ディアブロスなら、ゲリョスよりはコイツも能力を発揮できるだろうしな」
「では私も。砲撃はある程度効き目がありそうですし、さすがに突進を受け止めることはできずとも、流すことでお守りできるかと」
「私も同行させて。依頼を積み重ね、強い装備を作ってきたのは貴女だけじゃない」
続けて名乗りを挙げたのは、引き続きフロストエッジを携え、防具は新たに先日の複数狩猟で得た素材で拵えたゲリョスシリーズを纏ったアダイト。そこに『水獣』と呼ばれる海竜種モンスター、『ロアルドロス』の素材でできたガンランス、『ドロスハープーンI』を背負い、寒冷地に住む鳥竜種の『ドスバギィ』と部下の『バギィ』の素材でできた『バギィシリーズ』に身を固めたナディア、そしてドスジャグラスの素材でできたヘビィボウガン『ジャグラスアサルト』を携え、ガレオスの素材と金属を用いた『ガレオスシリーズ』で固めたエルネアが並ぶ。
「メンバーは決まったか。だが、そのまま見送るほど薄情なつもりはない。皆で今一度対策や戦略を練って、少しでも生還できる確率を上げねばな」
そこに声をかけたディノが持ってきたのは、訓練所時代から世話になってきたモンスター図鑑。ディアブロス亜種の掲載されているページを開くと、受付嬢が出発を急かしに来るまで、かつての様に皆で談話しながら、如何様に立ち回るかで大いに盛り上がったのだった。