あとP2当時の攻略本見て採取ポイント調べてましたが、意外と虫網ポイントが少なかった・・・
クリスティアーネ達と同じく東に回ったカツユキ、アダイト、ディノ、レノの4人は、坂ではなく崖を横の段差から登り、北上して早々に眼前の光景に足を止める。彼等の前に立ち塞がる様に居座りながら、のんびり体を揺らしているのは、『一角竜』と呼ばれる飛竜、『モノブロス』の頭蓋骨を宿にする生態で知られる、『盾蟹』の異名通りの白い縞の入った赤く大きな鋏が特徴の甲殻種モンスター、『ダイミョウザザミ』。リズミカルにドスドスと地面に突き立てる鋏の先を見ると、褐色の大きな後脚と羽、角の生えた暗緑色の頭と体が特徴の甲虫種モンスター、『カンタロス』を仕留めていたようで、器用に各所を解体しては、口へと運んでいく。
更にその後ろでは、青い背殻や体毛のアオアシラが、手にしたハチの巣に頭を突っ込んでは、中のハチミツやハチノコを貪っている。
「なんか、すげぇ現場に迷い込んじまったな」
「うむ、まさか縄張り争いが過熱するこの時期に、種の異なる2体のモンスターが互いを気にせず、1つのエリアで背を向けあって食事を共にするとは……いや、種が違うからこそ、か……」
カツユキの語る通り、2体の大型モンスターが、互いを気にすることなく背を預けて食事をする、ある種異様な光景に圧され、思わず引きも進みも出来ずにいた。この1年で実力をつけたと自負すれど、さすがに今の装備で両者を、それも1度に相手して勝てると思い上がるほど己惚れてはおらず、撤退なり素通りなりしたいところだが、獲物に体を揺らすほどご機嫌なダイミョウザザミも、息継ぎのため顔を出したかと思えば、また頭をハチの巣に潜り込ませるアオアシラも、気付いているかのように時折彼等へと目を向けてくる。
それを抜きにしても両者共にかなり大柄で、歴戦の猛者と思わせる様なオーラは、明らかにまず自分たち新人が目にするような存在ではないことを、圧で分からせてくるような錯覚さえ感じさせる。
「ギルドめ、種類だけで判断したな?こんな奴等、ヒッカケでも試験にいていいモンスターじゃないだろ……」
「幸いなのは、どちらも己が腹を満たすことに夢中なことか……」
本来なら一定の成果に裏打ちされた実力者――通称『上位ハンター』でなければ相手にならないモンスターが2体もいるとあって、それを「ダイミョウザザミとアオアシラだから」と見逃したギルドの観測員の不手際に思わず顔を歪めるディノだが、レノが言う通り、どちらも彼等を意識こそすれど、自分達との実力差を認識しているかの様に動じない。おそらく余計な手出しをしなければ、わざわざ食事を止めてまで襲う必要もないと判断しているのだろう。
「正直言うと屈辱的だが、その気になりゃ、どっちも容易く俺達をあのカンタロスと同じ状態にできるコイツ等に敵意がないってのは、救いだろうな」
「珍しく同感だ。次の獲物にならないうちに、さっさと逃げよう」
普段は他者――主にドラコとぶつかることも多いディノとそれを宥めるアダイトだが、今回ばかりはどちらも彼等の機嫌がいい内にお暇させていただく方にまとまった。それを見計らい、このパーティーにおいて守りの要を担うカツユキが話しかける。
「話は決まったな。問題は、このまま引き返すか、横を通るか……」
「安全を優先するなら前者だが、後者の方が、他のパーティーと鉢合わせしにくいだろう。2人共、どうする?」
レノの懸念通り、15パーティーがベースキャンプを除く10ヶ所のエリアを巡ってモンスターを探す現状、ここが無理となれば、このままベースキャンプの隣に戻るよりは、北上して海岸に出るか、その手前で洞窟に潜った方が他のパーティーと遭遇し、獲物を奪い合う可能性は低い。
「ここは素直に下がって、教官に報告がてら、ベースキャンプ経由で沿岸側に出よう。幾らダイミョウザザミやアオアシラでも、こんなのが居座ってたら危険すぎるし、放置する訳にもいかないだろ……」
「うむ、やはりそれが1番であろうな。事情を知らぬ他のパーティーが手を出して自滅する分には仕方ないかもしれぬが、このままでは、余計に被害を拡大させかねぬ。最低でも追い払うか、このエリアを封鎖してもらうかしてもらわねば」
「当然だ。ヤクライさんも言ってたが、わざわざ
アダイトの決断を聞いてカツユキとディノも賛同し、無言で同意したレノも合わせてそのまま食事を続ける2体から眼を離さずに後退。合否判断のためベースキャンプで待機していたイボンコに事情を伝えると、落第者の救出や遺品の回収のため待機していたシゲマサ達へと伝えられるも、彼等が駆け付けた時には、すでにどちらも食事を終えており、姿を見ると同時に撤収していった。
「え、出番これだけ?」
「出番はともかく、エリア外に行ってくれたならこっちとしては大助かりだ。一応引き続き警戒しておけ?また変なモンスターが入ってきたり、犠牲が出るかもしれんからな」
一方ヤツマ、ベレッタ、エルネア、カエデの4人は、北の沿岸部の向かいにある小島で採取に勤しんでいた。それぞれ後方支援が主な狩猟笛、飛び道具の弓とヘビィボウガン、手数重視の双剣と
「うーん、色々捕まえたけど、光蟲は採れないなぁ……」
「どうですか?こっちは石ころ、集めましたけど、ネンチャク草は見つかりません……」
光蟲を求めて虫網を振るうヤツマだが、薬剤の原料となる『にが虫』や、名前通り釣り餌に使われる『釣りバッタ』、美しい甲殻から収集家に人気な『ロイヤルカブト』は採れるものの、肝心の光蟲は思う様に見つからない。
同様にベレッタも素材玉の材料を集めていたが、ネンチャク草が足りず、石ころばかりが余っていた。
ちなみにエルネアは採取を邪魔する小型モンスター――ダイミョウザザミの幼体『ヤオザミ』や桃色の体毛と色とりどりの頭頂部の毛が特徴な牙獣種『コンガ』をアイアンアサルトⅠで撃ち抜いたり、周囲を飛び交う巨大な虫『ランゴスタ』に毒弾で肉体を飛散させないようにして始末しており、カエデもツインダガーを振るいそれに協力する傍らキノコを採取していたが、双剣は激しい動きでスタミナを消耗しやすいためか早くも空腹を感じてきたようで、火元の折りたたみコンロと、そこから伸びる2本の支柱が一体化した『肉焼きセット』を取り出すと、シン同様道中でブルファンゴから剥ぎ取った生肉をセットし、ハンドルでゆっくりと回しながら焼いている。
「よしっ!上手に焼けました……!」
そして焼き上がった『こんがり肉』を勢いよく立ち上がりながら掲げると、そのまま白い目で見てくるエルネアやベレッタを気にすることなくガツガツと
なお2人の視線がキツいのは、単純にいつ大型モンスターが現れ戦闘になるかわからない中、悠長に肉を焼いていたことに関してであり、決して肉を独占していたことでない。
場面をクリスティアーネ達に戻すと、先手を仕掛けたのはイャンクック。慣性に引っ張られ、土煙と共に多少後退しながら着地すると、身体を縦に伸ばしながら前に傾け、口から鳴き声と共に火炎液と呼ばれる発火性の液体を吐き捨てる様に放つ。
「ぐおっ!あっつ!」
「シン様!お気をつけて!側面に回って翼膜を狙いましょう!レマ様も火炎液に注意して、足を狙って動きを止めてください!」
「了解っス!っても動き止めるんだったら、爆弾でも爆発させればいいんじゃないっスか!?小タル爆弾だったら持ってるっスよ!」
「それはまた後でお願いします!今はまだ隙を狙って攻撃していきましょう!」
「わ、わかったっス!」
着弾と共に火柱が上がり、咄嗟にバスターソードを盾に防ぐシンにクリスティアーネが指示を飛ばすと、それを聞いたレマが持ち込んでいた『小タル爆弾』の使用を提案する。イャンクックは耳が大きい分音に敏感で、爆発等の大きな音を聞くと暫く失神して、動きを止めてしまう。そこだけ見ると十分攻撃チャンスのようにも思えるが、意識が戻ると興奮して一際暴れ出すため、一歩間違えると却って危険を招く。
不確定要素――正直に言ってしまえば
「よくもやってくれたな……食らえ!」
そこに風圧から解放された先輩も参加し、鱗の少ない喉に突き刺した鉄刀を腹にかけて走らせる。傷自体は浅かったものの、踏んだり蹴ったりとばかりに集中攻撃を浴びたイャンクックは、その都度『ギュワァア!』や『クェウゥ!』と悲鳴のように鳴き声を挙げていたが、鉄刀の傷で遂に大きく翼を広げて『ギュワアァ!ゴッファゴッファ!』と吼えだし、その場で足踏みするように跳ねる。
「やっべ!怒り出したっス!」
「突進に轢かれない様、正面から離れてください!引き続き警戒を!」
「言われんでも、ってこっちくんな!」
警告直後自身に向かってきたイャンクックの突進を、右に逃げて回避するシン。そのまま通り過ぎて滑り込んだイャンクックは立ち上がると、頭を振り回しながら火炎液を乱れ撃ちし、更に今度はレマ目掛けて走り寄ると、体を捻らせ噛みつこうとするが、「させないっス!」と反撃の振り上げを喉元に食らい、『キュオワァ!』と叫んで大きく仰け反る。
「くそぉ、イャンクック風情がしぶとく暴れやがって……!」
「偉そうなこと言うとる場合か!口より手ぇ動かせ!」
再度火炎液の乱れ撃ちで牽制するイャンクックに近づけず、悪態をつく先輩に我慢が限界を超えたシンが怒声を浴びせ、自らそれを体現せんとばかりに落ち着いたイャンクックが次の行動に移る前に懐へと潜り込むと、得物の形状を活かし、翼目掛けて刃先を突き立て、翼膜に穴を開ける。
痛みに悲鳴のような鳴き声を挙げるイャンクックは最早満身創痍で飛ぶこともままならなず、彼等に背を向けて足を引き摺る様に逃げて行こうとするが、そうは許さんとばかりに彼等の猛攻が襲う。
「今ですレマ様!小タル爆弾で動きを封じてください!」
「任せるっス!」
クリスティアーネの合図に合わせ、レマが用意していた小タル爆弾を投げつける。イャンクックの背中に当たった小タル爆弾の爆発は、ダメージこそ僅かだが、炸裂音に驚いたイャンクックは『キュオーー!』と甲高い声を挙げながら背筋を伸ばすように動きを止め、失神しクラクラと頭を揺らす。そしてそこに最後のチャンスとばかりにクリスティアーネとシンの溜め斬りに、レマの溜め攻撃に先輩の振り下ろしが決まり、『クェアー……』と弱々しい断末魔の咆哮と共に地に伏せ、動かなくなる。
「や、やったっスね……」
「ほんまやな。どっかの誰かさんのせいで早々エラい目に
「な、なんだよ、勝てたんだからいいだろ!?」
初の大型モンスター討伐を成し遂げ、緊張感が解けて思わずその場でへたり込むレマに、戦犯とでもいうべき先輩を睨み、抗議の声を無視するシン。そして付着した血を払い落とし、バスターソードを背負って早くも腰から剥ぎ取り用のナイフを抜き、イャンクックの死体に突き立てたクリスティアーネが両者に声をかける。
「とりあえずは剥ぎ取ってしまいましょう。口論はその後でもできますから」
「おっと、それもそうやな。早よ剥ぎ取らんと」
「あっぶね、呆けて忘れかけてたっス」
そうしてイャンクックの死体を解体し、ある程度落ち着きを取り戻しかけた矢先、地響きと共に新たなモンスターが現れた。4人が振り向いた先にいたのは、コンガ達の親玉で、特徴的な色とりどりの頭頂部の毛を角の様に固め、長い爪と一際大きな体躯をした『ババコンガ』。大きく両手を上げ、突き出た腹を揺らしながら放屁して威嚇する。