最強の俺より異世界が最強 ~魔物は強すぎるけど魔王を倒してハッピーエンド目指そう~ 作:いしいさくたろう
界人の活動した権能に触発されたのだろうか。権能が花開くための条件など知らないが、とにかく俺は権能を入手するチャンスに恵まれた。
「【精霊】の権能、か?」
「その通りだよ」
俺の言葉を聞いた、【精霊】の権能をの授与者が認める。その魔力は、どこか既視感があった。
「……既視感があるな」
「ボクは時空の精霊、クロノスだ」
その魔力は、俺が普段呼び出している時空の精霊クロノスの魔力と全く同じだ。時空の神クロノスとも近い性質をしている。
「普通は試練を課されるらしいが、どうなんだ?」
「キミのことはこれまでずっと見てきてよく知ってるよ。この様子なら、権能を渡しても問題なさそうだね」
クロノスは俺の方に手を翳し、権能を渡してくる。同時に、【精霊】の権能についての情報が湧き出してくる。
「なんだこの、ぶっ壊れ……」
「【精霊】の権能の能力は、魔力を消費して扱う技の消費魔力をすべてなくす、というものだよ。ほかにもいろいろあるけどね」
いろいろ、とはいうものの、いろいろで収まるほどの能力ではない。精霊から好かれる体質になったり、権能としては弱いが、一般の持つ能力と考えるには強すぎる。
「じゃあ、元の世界に戻すね。たまにはボクも呼び出してよね」
「ああ、わかった」
そうして、俺が身構えると、周囲の景色が白一色からぼろぼろの部屋へと切り替わる。そういえば、アリアの部屋をぶち壊しながら戦っていた。
視界の端に男の攻撃が入ると、俺はひらりとステップを踏んで攻撃を躱し、【時間】の権能と【精霊】の権能を併用し、消費なしで男の時間を止める。
「お前ら、行くぞ!」
俺が時間を止めた隙に、界人と良助が2人で協力して封印術を使う。どうやら大人数で放つ儀式魔術に近い術のようだ。
大きな魔術が2人の手の平から放たれ、2つの封印術が合流して男を封じる。
「終わったか」
男は水晶のような欠片の中に封じられ意識を失う。そののちにはその水晶がどんどん小さくなり、片手サイズになって界人の手に収まった。
「うん、僕たちの勝利だ」
界人が答える。
アリアの部屋は荒れに荒れているが、致命傷を負った人は1人もいない。完全勝利といえるだろう。
「俺は次は神都の方を見に行く」
そういって、俺は急いで部屋を出て神都へ向かった。
そこには多くの魔王軍がいたが、神国の騎士や兵士もかなりの数がいて、そこの心配はしなくてよかった。奥の方で騒ぎになっているのが見えた俺がそちらへ向かってみた。
その先にいたのは、リドラさんと、大きな魔力を持った、おそらく魔王軍の男だった。