こんにちは岸辺露伴至上主義の生徒よ   作:極丸

2 / 2
思った以上に好評で調子に乗って第二話です。

書いてみるとあまりにも冒頭の再現が鬼畜過ぎたので、筆者が描きたいシーンのみを抜粋して描いていくスタンスで投稿していきます。

ちなみに筆者が知っているよう実の原作は無人島編のみ……にわかで申し訳ない。



ヒロインの本性

 その怒号は屋上全体に響いた。普段の彼女とはかけ離れた印象のそれは()()()()()()の結果だった。

 

 

 

「なるほど、それが君の本性か。君のその承認欲求が普段の本心であり、行動する際の基準。僕が漫画家志望であることが分かった時の『ヒロインにしてもいいよ』はその承認欲求を満たす為の行動だったわけだな」

「!!!!」

 

 

 

 階段を上がって現れた僕に櫛田君は驚いたのか、一瞬ばかり本性が見えた。だけどそれはあくまで一瞬、日ごろから僕の様に人間観察を趣味にした人間でないと気付けないレベルの時間だ。

 

 

 

「…………なんでここに居るのかな?吉田君?」

 

 

 

「隠さなくてもいいぞ。僕が欲しいのはリアリティだ。そういう()()()()が見える演出は、読者も直ぐに分かる。こうすればお前らは喜ぶんだろという考えが明け透けに見えると、読者は一気に離れていくからな。それだから常日頃から理想のヒロインを演じてる君は『ヒロインに採用しない』と言ったんだ」

「…………」

 

 

 

 

 

 思い出すのは入学初日の自己紹介の後、僕が漫画家志望であると皆に告げ、ほとんどの人間は茶化してくる中、彼女だけは違った。

 

 

 

『みんな馬鹿にしちゃ駄目だよ!!吉田君も本気なんだから!!ねぇねぇ吉田君!どんな漫画書いてるのか見せて欲しいな?』

 

 

 

 あの瞬間から僕の中での『櫛田桔梗』に対する興味は消えた。あまりにも『漫画』にはありきたりすぎて、一般人受けを狙いすぎていると感じたからだ。アイツをインタビューする位なら、堀北さんや綾小路君なんかを観察した方がより多く収獲が出来る。

 

 

 

 彼女はあまりにも()()()()()()()

 だからこそ()()()()()()である漫画には到底採用できない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ねぇ、吉田君。吉田君っていろんな人にインタビューしてるんだね。どうしてそんなにインタビューするの?』

『あ、それ俺も気になった。どうして?』

『………………僕一人で出来る想像には限界がある。そうなると人一人分のリアリティしか生み出せず、想像の外側に行けば、それはリアリティのない陳腐なものに成り下がる。それを防ぐためにも、僕はインタビューや人間観察で作品にリアリティを持たせるんだ』

『ふーん……あ、それじゃいつかあたしを漫画のヒロインにしてもいいよ?』

『ちょっと櫛田さん!茶化しちゃダメだって言ってたのに結局茶かすの!?』

『え!?そ、そんな事じゃないよ~~』

『……………………』

 

 

 

 

 

 

 

『あ、吉田君』

『…………なにかな?』

『さっきはゴメンね?別に茶化したわけじゃなくって……』

『安心してくれ。僕はあの程度で怒りを感じたりはしないし、君を僕の漫画のヒロインに採用することは決してないからな』

『え……』

『それじゃ』

『あ、ま、待って……』『櫛田さーん!みんなでカラオケいく事になったんだけど一緒にどお?』

『え?あ、えっと……う、うん!一緒に行くよ!みんなと仲良くなりたいもん!』

 

 

 

 

 

 

「あの時君はわずかに動揺した。そこから確信に変わったよ。君は()()()()だ」

「…………」

 

 ずっと黙り続けている。何も喋らず、冷たい目線で僕を睨んでくる。

 なんだ、こっちの方が魅力的じゃないか。

 ま、普段があれだとどうにも彼女に対しては筆が載らないが。

 

「……気色悪い観察眼してるね」

「漫画家だからな」

 

 ようやく口を開いたと思ったら第一声はそれか。中々にギャップが激しいな。

 

「この事誰かに言ったらレイプされそうになったっていうから」

「いう気はさらさらないな。僕はただの漫画家だ。ジャーナリズム精神なんてものは到底ないし、君がどういった状況になろうが興味はない」

「あっそ、じゃあ遠慮なく出来るわ」

「ん?」

 

 そう言って僕の手を掴んで胸に押し当てた。

 

「……………………」

「さすがに焦った?一応言っとくけどアタシ本気だから。もし言ったらこれを証拠にあんたをムショ送りにしてあげる」

 

 手に収まる豊満な感触。

 柔らかい。

 心臓の鼓動を感じる。

 手首をひねる。

 ブレザーに包まれているが、中々に味わったことのない経験だ。

 

「ん!?」

「なるほど、これが女性の胸の感触……服越しとは言え、実に得難い経験をさせてもらったよ」

「な、なにやってんのあんた!?馬鹿じゃないの!!」

 

 手首をひねった後にすぐさま手が解放される。もう少しばかり味わっておきたかったが仕方がない。

 

「胸を触らせたのは他でもない君だ。冤罪で捕まるくらいならなるべく多くの事を経験しておきたい。ムショ送りされればその体験も得難いかもしれないな……」

「キモ……」

「君の僕に対する評価はどうでもいい。さて、そろそろ勉強会に戻ろうか。いい加減にしないと遅くて他の連中に気付かれる可能性もあるぞ?」

「言われなくても分ってる……」

 

 そう言って僕の触った事を忘れる様に胸元を何回か払い、僕を置いて階段を下り始める。

 

「そうだ……一つ言い忘れた」

「なにかな?」

 

 もう既に『櫛田桔梗』に戻っていた残念だな。

 

「僕としては櫛田桔梗(きみ)よりも『クシダキキョウ(かのじょ)』の方が魅力的だった。それだけ伝えておく」

「……………………どうでもいい」

 

 一瞬だけ『彼女』に戻った気がしたが、その後彼女は一度も振り返らずに去っていった。

 

 

 

 去っていくときの彼女は一体()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

「なるほど、これが二面性の強いキャラの動かし方か……なんだ、十分魅力的じゃないか。相変わらず僕の目は節穴だな」

 

 岸部露伴への道はまだまだ険しいな。

 そう思いながら僕は彼女が帰っていった道を歩く。




 主人公と櫛田桔梗の関係性は『ガチ恋粘着獣』という漫画のあるペアを参考に描きました。
 
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。