Re:ゼロから始まる弾かれた王様の異世界生活   作:アーロニーロ

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 いまいち口調が合ってるのかが曖昧で困ってます。


繰り返しってウザいわ

「あ?」

 

 目の前に先ほど見たのでは?とデジャヴを感じるほど似た光景が目の前に広がる。いや待て、さっきのは白昼夢、なのか?いや、ありえない。林檎もどきを食った感覚も路地裏で大中小トリオにカツアゲされて逆にカツアゲしてやったことも覚えている。あんなリアルな白昼夢があってたまるかと思いつつも、先ほどと全く同じ光景が目の前に広がっている。

 

 全身を毛で覆われた猫の顔をした女性が、人間の女性と普通に会話をしている点もフル甲冑の騎士が道の端であくびをしている点も人間の子供と、垂れた犬耳を持つ亜人が追いかけっこをしている点も四足歩行の大きなトカゲが引く幌つき馬車が大量に、そしてひっきりなしに往来している点も

 

 全て全く同じ光景だった。混乱と不快感に支配された頭を振って、深呼吸をひとつ。そして、確信する。

 

「時間の逆行、なのか?」

 

 時間の逆行。それは全世界の人間が一度は夢見たことだった。ああ、すればよかった。こうすれば正解だったのでは?など、根幹に「やり直したい』と願った者たちがこぞって目指した事象そのもの。かく言う俺も何度もやり直せるならやり直したいと願い続けた身だった。だが、それはさて置き。

 

「気持ち悪ぃなさっきの」

 

 あの、全てが巻き戻っていくあの感じ。

 目の前で平然と歩く町の人々からはそのような素振りは全くといって良いほど感じられないことから、「自分だけが」逆行時の意識が残っているような疎外感。はっきり言ってウザい。そして何より。

 

「何だったんだ、あの獣は」

 

 六神クラスの怪物がいきなり現れるなんて想定もしていなかった。しかも都市のど真ん中に。別に倒せないってほどじゃあない。仮にも六神の一角であるイフリートを従えていた身であるため『死に覚え』ながら戦えば勝てない相手じゃないことはわかりきっているのだ。だが、

 

「面倒くせぇ……面倒くさすぎる」

 

 割りに合ってない。金を貰えるわけでもないのにあの六神クラスの怪物を相手どったとしても何の得もない。でも、生き延びるには最悪アレと戦うしか、

 

 何のために?

 

「ッ!」

 

 不意に頭に疑問が浮かぶ。

 

 守りたい者も守れず、復讐も果たせず、運命に抗ってなお運命の道化であり続けた俺が今更なんのために生き続けるのだ?

 

 それとも、自身だけのうのうと生き続けるとでも?

 

 ああ、何と滑稽なのだろう

 

 哀れで惨めなアーデン・■■■・■■■■

 

 ただただ一人の踏み台にしかなれなかった道化師

 

 褒められないし見向きもされない、善行が悉く悪行とかす、闇の王様。

 

「ッるせぇんだよッ」

 

 憎悪が侮蔑が憐憫が憤怒が孤独が恐怖が憂鬱が悲観がおおよそ負の感情と言えるものが全てこもったような声が俺を俺自身を責め立てる。小声で怒鳴り散らすという少し器用な真似をしながら頭を抱える。すると、視線の端に『ジャージを着た黒髪の少年』が人混みに紛れて何処かへと向かっていった。その光景に疑問を覚えた。ここまで予定調和のごとく知った通りの未来を迎えたというのに何故あの少年だけ、違う行動をとるのは流石に妙だ。そう思い俺は頭を振るうと少年の後を追った。

 

 頭に響いた声から逃げるように。

 

 

「なんだよ、少年。案外やるじゃないか」

 

 ジャージ姿の少年を探して路地の角を曲がった先に見えたのは、

 

 チンピラと思しき大中小の男性3人。その男達が待ち構えるどころか、既にぶっ倒れている光景があった。

 

「三対一って大変なんだけどなぁ。もしかして結構戦い慣れてる?いやでも、歩き方は一般人のそれだったし。んー、よくわかんないなぁ」

 

 あーでもないこーでもないと思考を巡らしていると。

 

「ぐっ」

 

「いってぇ。おい、しっかりしろッ」

 

「わ、悪りぃ」

 

「おやぁ?」

 

 三人揃って目を覚ました。その様子を見てふと絡まれるのではと思った俺はすぐにその場を離れようとする。しかし、

 

「オイ、オッサン」

 

 呼び止められた。声の質的に中くらいの奴かなぁと思いながら振り返ると既に三人揃って戦闘体制をとっていた。

 

「おやおや、寝ぼけてまだ夢と現実の区別がついてなかったりするのかな?」

 

「口には気をつけろよオッサン。俺たちはただでさえ虫の居所が悪りぃんだからなぁ」

 

「何をするかわかんねぇぞ?」

 

「まあ、金目のモンを置いていくんだったら話は別だけどなあ」

 

 大中小揃って自虐心に満ちた目を此方に向けて来る。

 

「オ、オイオイ、冗談、だよなぁ。そ、そんなに物騒なモンこっちに向けんなよ。だ、大体、金目のモンって言ったってそんなモンねぇよ。だ、だから、見逃してくれよぉ〜なぁ?」

 

「なら珍しい着物でも履物でもなんでもいーんだよ。路地裏で大ネズミの餌になれ」

 

 みっともなく命乞いをする俺に向かって今にも舌なめずりしそうな悪人面で一人はナイフともう一人は鉈を持って追い詰めるようになぶるように、此方へ向かってゆく。鉈を持った方が嬲るためか峰のほうに切り替えて殴りつける。

 

 小さめの男が地面と並行しながら飛んでいった。そして、10メートル近くと飛んでいき向かいの建物に激突して初めて止まった。

 

「「は?」」

 

「あー、辛ぇ辛ぇ。雑魚相手にいいように言われるなんてなんて辛いんだろなぁ」

 

「え?は?え⁉︎」

 

「いや、お、お前!さっきまで命乞いしてたじゃねぇか!?」

 

「ふりに決まってんだろ。現実を受け止めな。そういやよ、お前ら機嫌が悪いんだったよなぁ」

 

「「ヒィッ!」」

 

「オイオイ、何を怯えてんだよ。俺もさぁ、とあることを思い出したせいでめちゃくちゃ機嫌が悪かったんだよ。だから、さっきまでお前らと全く同じ気分なんだよ、今は、ね?」

 

 後ずさる、ようやくになってこのチンピラ三人組は彼我の実力差を理解したのだ。どう足掻いても埋め切れない差を。

 

「待っ

 

 ゴッッッッ!

 

 ナイフをチラつかせていた方が何か言おうとしていたが二の句を告げることなく踵落としを決められて鈍い音と共に沈んだ。

 

 残った一番の大男が恥も外聞も捨てて地面に膝をついて命乞いをし始めた。

 

「ヒィッ!! ゆ、許してくれ! 出来心だったんだぁ!!」

 

「今の台詞が一般的に俺がお前たちに追いはぎされて、辱められた後でも通用するなら許してあげるんだが、そうじゃねぇよな? 一歩間違ったら逆の立場になってたんだからなぁ。しかも、俺命乞いまでしてたし。当然覚えてるよなぁ?」

 

「お、覚えてる!怒るのもごもっともだ! な、何なら俺たちの金を持っていっていい!」

 

「オイオイ、履き違えるなよ坊や。今俺が欲しいのは金でもなく謝罪でもなくてごく単純に誠意だってことなんだよ」

 

「わ、わかった!も、もう金輪際こんな事はしねえ!全うな働き口を手に入れる! 二人にも絶対いい聞かせるから! 頼むっ!何だったらアンタの言うことを聞いたっていい!」

 

「へぇ」

 

 思考を巡らせる。そして、

 

「いいぜ」

 

「そ、そうか。ありがてぇ!それじゃあ、俺た、ち、は……」

 

 大きめの男の周りに無数の『剣』がまるで閉じ込めるように旋回していた。

 

「なんでもしていいんだったよなぁ」

 

「へ、見逃して、くれるんじゃあ……」

 

 本来であればアーデンは見逃していた。無駄なことであると、面倒であると断じてその場を後にしていた。しかし、今の彼は機嫌が頗る悪かった。度重なる理解不能な事態、事実を突きつけられたが故の苛立ちそれが度重なっていった。トドメに喧嘩を売り挙げ句の果てに脅してきた頭の悪いチンピラの登場である。瞬く間にアーデンのストレスゲージは振り切れた。

 

「安心しろ。お前も、お前のツレも殺しはしない」

 

「へ?」

 

「ただ」

 

「た、ただ?」

 

 顔を上げる。すると、三人組の中でも大きめの男は声にならない叫び声を挙げた。

 

「二度と泣いたり笑ったりできなくなるだけだからなぁ!!!」

 

 踏み込みが舗装された地面を砕く。男はそれは尋常ならない速度を出す前ぶりであり自身が死にかける前兆であることを理解した瞬間、意識を手放した。

 

 

「臆病すぎやしないかねぇ?」

 

 泡を吐きながら失禁した男を見ながらぽつりと呟く。正直な話、踵落としを決めた段階で頭が冷えた俺は最後は冗談のつもりで演技していた、はずだったのだが……。

 

「失禁までされちゃあ、流石に申し訳ないなぁ」

 

 そう言いながら気絶した男の懐から金銭を盗んでいるあたりアーデンからあまり罪悪感を感じることができなかった。すると、

 

「――そこまでよ、悪党」

 

 忌々しい、誰か(ノクティス)を思い出させる声が路地裏に響いた。その声に反応して後ろを振り返るそこには少女が立っていた。

 

 美しい少女だった。

 腰まで届く長い銀色の髪をひとつにまとめ、理知的な瞳が射抜くようにこちらを見据える。柔らかな面差しには美しさと幼さが同居し、どことなく感じさせる高貴さが危うげな魅力すら生み出していた。

 身長は百六十センチほど。紺色を基調とした服装は華美な装飾などなく、シンプルさが逆にその存在感を際立たせる。ゆいいつ目立つのは、彼女の羽織っている白いコートに入った『鷹に近い鳥』の紋章を象った刺繍か。その荘厳さすら、少女の美しさの添え物にすぎないと思わせるには十分だった。しかし、

 

(好みっていうには若すぎるなぁ)

 

 内心馬鹿なことを考えていると少女は言葉を続けた。

 

「それ以上の狼藉は見過ごせないわ。――そこまでよ」

 

 そして、その段階で彼女に敵意を向けられていることに気づいた。

 

「あー、言っとくがこりゃあ、立派な正当防衛だからな?」

 

「?何を言ってるの?私が言ってるのは私から盗った物を返して欲しいって話なのだけど……」

 

「は?」

 

「お願い。あれは大切なものなの。あれ以外のものなら諦めもつくけど、あれだけは絶対にダメ。――今なら、命まで取ろうとは思わないわ」

 

 懇願の気配すら漂わせていた言葉の最後、そこだけが明確に怒りをはらんでいた。

 少女の視線は鋭く、差し伸べるように向けられた掌は何も掴んでいない。

 しかし、そこに言葉にし難い何かが集まり始めるのを理解した。

 

「……話が食い違ってるなぁ」

 

「え?」

 

「俺はてっきりコイツらをのしたことを言ってんのかと思ってたんだが」

 

「そのことは後で聞くとして。それ以上に重要なの、お願い答えて」

 

 意外と薄情な奴だなぁ、と思いながら冷静に対処する。

 

「取り敢えず俺の答えはひとつだけ『知りません』だ。助けになれずに申し訳ないな」

 

「嘘じゃ、ないみたい。ええ…じゃあどこにいるの?」

 

 そう言うと少女は困ったように俯く。だが、

 

「それはそれとして、見逃せる状況じゃないのよ」

 

 顔を上げると同時にこちらに掌を向けた少女――その掌から、飛礫が俺めがけて放たれた。球速はメジャー級で、コースはバリバリのビーンボール。常人では構えていても運良ければ反応出来るかもしれないと言うほどの攻撃は、

 

「おっと」

 

「え」

 

 いとも容易く掴まれて終わった。

 

「オイオイ、いきなり何すんのよ」

 

 キャッチした飛礫を見ながら、文句を言う。てっきり、見逃すものかと思っていたが、やはり見逃せないお人好しであったようだと内心ボヤく。すると、

 

「じゃあ、次はもっと」

 

 そう言うと空中に10をゆうに越えるほどの氷柱が漂っていた。って、オイオイ。

 

「そりゃあ、洒落になってないんじゃないの、お嬢さん?」

 

「大丈夫。先端を丸くしてあるから。それに私擦り傷とか切り傷くらいの怪我なら直せるの」

 

 そう言うと同時に明らかに先ほど以上の速度で氷柱が飛翔した。




作者は感想乞食なので批評でも良いのでガンガン感想を頂けたら幸いです。
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