どんなに世間を知らなくて、身の程を知らないで、格上のあいてにも殺されるまで気づけないような妖怪も、その妖怪だけは近づいてはいけないと、親、友人(友妖?)、知り合い、あるときは他人まで注意してくるという妖怪が存在した。
その妖怪は人間ではなく妖怪を食べるらしいと。
妖怪は人間を食べるというのは妖怪の間では普通。人間が普通にとる食事となんら変わらないものである。しかしその妖怪は同族である妖怪を食べるというのだ。この話を耳にした(といってもほぼ全員知っているのだが)ごく少数の妖怪は、妖怪を食べてみたという。しかしその食べられたほうの妖力が自分の中で暴走を起こし死んでしまったり、この世のものとは思えない味がしてすぐに吐き出してしまったりと、同族である妖怪を食べてまともであった者はいなかった。
しかし大半の妖怪はこの話は妖怪が慢心しないように作られたもの、つまり嘘だったと捉える者達だった。親や絶対の信頼をおく者から聞かされたりしたものはその伝説を信じ、気を付けるように生きていく者達とで別れたのであった。
しかしそんな伝説の妖怪と会うことなんてそうそうないとみんなわかっているので、信じる者達と信じない者達で争いなどが起こることはなかった。
だがあることをきっかけにその伝説が本当だったと知ることになるが、それはまだ先のことである。
本人は妖怪の中で伝説になっていることなんて知らず、のんきに1日1日過ごしていた。
この妖怪には寿命など気にしたことはない。なぜなら妖怪を食べればその食べた妖怪が残り生きるはずだった時間だけ本人の寿命に上書きされるからだ。妖怪の寿命は1匹1匹でものすごく長いのであるので、主食がその妖怪であるのでもう寿命なんて数えれないほどあるのだ。しかも妖怪の妖力ごと体内に吸収しているので妖力の量は信じられない量になっている。こんな量の妖力を出していればほかの妖怪なんて近づくだけで死んでしまい。みんな妖力を感じ取り逃げて行ってしまう。主食が妖怪であるためにそれはいただけないのだ。よって妖力は隠せるだけ隠している。すこし出てしまっているのだが、そこらへんにいるような妖怪は気づかないくらい微弱な量である。大妖怪となれば感じ取ることができるのだが、ちょっと工夫をしてあり、それだけしか量のない最弱妖怪と思われるわけである。本当の実力をこの状態から知ることができるのは大妖怪の中の大妖怪ということになる。
「今日は久しぶりに森から出てみるかぁ?」
そう言い残し、妖力が漏れていないことを確認して森を出て行った。
「おいおい…なんだこれ?」
目の前には30mはあるようなビルが何棟も建っていた。まるでそこだけ現代からもってきたような感じである。まぁそんなことは本人にはわかるはずがないのだが。
「ちょっと森の中で過ごしてただけでこれかよ…いったい中になにがあるのやら」
というわけで入ることにした。最近はまったくおもしろいこともなく、妖怪を適当に食べる→寝るの繰り返しだったので、こんなものが目の前にあるということで本人は発言はいたっておとなしいが、内心ではもう大はしゃぎである。
でっかい入口みたいのを見つけて入ろうとしたのだが、門番みたいのが2人ずっと立って見張っている。
「妖怪…じゃないのか…食う気はしねぇな…」
そして少しあの生き物について考えて答えにたどり着く。
「あー、よく妖怪が食ってる人間ってやつか。初めてみたなぁ。人間がこのすげーのをつくったってことか?人間すげー!妖怪のとこにいてもつまらねーし、しばらくは人間のとこですごしてみるかな?」
というわけでどうやってあの門番の目を欺いてあの中に入ろうか、と考えた結果、超高速で門を通ることにした。
「そうと決まれば行きますか。」
~移動中~
「こんなもんかな。」
門に入った瞬間に、『ジリリリリリリ!』と音がすごい音で鳴り始めたのでとりあえず人がいないような場所に行って隠れることにした。でも門が見える場所にいる。十分遠いが。
「なんかみんないなくなっちゃったな。門にも人間いっぱい来たし。」
門の周りにたくさん人が集まってなんか話しているようなので妖力で聴覚を強化、門の人たちの声が聞こえるようにする。
「お前ら門番はなんのためにいるのかわかってるのか?警報がなったのになにも見
えなかったとはどういうことなんだ?サボってたのか?おい?」
偉そうなこといってんなこいつ。
「サボってなんていないです!ちゃんと見ていましたって!なあ!?」
「そうですよ!私たちはちゃんと見ていましたよ!」
これは門番かな。
「ハッ!どうだかな。××さんどうしますか?」
あれ?なんだ?聞き取れないというか…言葉かあれ?
「こういうときのために門番につく者たちには内緒で超小型防犯カメラをつけてあるわ。それを確認しましょう。」
「さすが××さん!さっそく確認しましょう!」
やっぱあの部分だけよくわからん。気になる。
みんなカメラの映像を見始めて静かになった。そしてしばらくたったあとに銀髪のみんなからさんづけで呼ばれている人が
「なにも映ってなかったわ。たぶん警報の誤作動じゃないかしら。でも誤作動なんて初めてね…」
「命拾いしたな門番共。まぁ引き続き門番頑張ってくれたまえ。まったく…無駄足だったわ。」
そう言い残し、門に集まっていた大勢の人は帰っていく。門番も不機嫌そうな顔をしながら引き続き門番として門の前に歩いていく。
そして銀髪の女の人はというと
「こんなところでなにをしているのかしら?侵入者さん?」
聞くことに集中しすぎて近づいてくるのに気付かなかった。そしてバレタ。
「やだなぁ侵入者なんて、いま家に帰るとこですよ。ちょっと考えことをしていて
周りが見えていなかっただけですって」
「あら、周りが見えていないなら侵入者と聞いて驚くのが普通だと思うのだけど?」
そういやそうだ。バカだな俺。だがこいつもバカという願いを込めて!!
「そうですよね、普通侵入者と聞いて驚きますよね…って侵入者だって~!?」
「なにやってるの?」
バカじゃなかった。恥ずかしい。
「あー忘れて忘れて。」
「あなたここになにしにきたの?」
「観光?なんかちょっと森の中ですごしてただけでなんもなかったとこにすげーのできてるから見に来た。そんだけ。というかよく侵入者だってわかったね?」
「妖力が漏れてるわよ。まぁ少ししか漏れてないんだけどね、私もちょっと探らないとわからなかったわ。大妖怪さん?」
おっとそこまでわかるのか。人ってもんは見かけによらないね。
「まー危害は与えないんで、適当に見たら帰るから、ここは見逃してくれないかな?」
「駄目よ」
「なんでじゃ」
「あなたはこれから私と一緒に住むこと」
なにいってんだこの女
「なにいってんだこの女」
「どうせすぐ帰るわけじゃないんでしょ?泊まる場所を提供してあげるから、ちょっと実験させてくれない?っていうこと。悪い条件じゃないでしょ?」
悪くはないけど…
「なんで急にそんなこと?」
「妖怪ってじっくり実験したことなかったのよ。だからこの一生に一度あるかないかの機会がチャンスだと思って。」
「あーそういうことね。まぁいっか。悪くないし、逆にこっちが超お得じゃんか」
「ちゃんとどんな実験でも逃げないでね?」
「まぁ何事もなくこの場を終わらせられるってことと、泊まる場所も提供してくれんなら願ったり叶ったりだよ。逃げたりはしないさ。」
そして銀髪の女の子はニヤリと少し笑い
「録音したからね?逃げちゃだめよ?自分で逃げないって言ったんだからね?」
なんかやばそうな感じがしてきたんですがそれは…
「さすがに死んじゃうようなのは無理だよ?」
「そんなもったいないことしないわよ」
もったいないって…
「とりあえず私の家に行きましょう。そういえば名前を聞いてなかったわね。わたしは八意××。呼びにくかったら永琳でいいわ。あなたは?」
「あー俺名前ないや。永琳の好きに呼んでくれていいよ。」
「名前がないのはこれから不便でしょう…というか名前がないってどういう生活してきたのよ。」
「食べて寝るだけの生活。」
「そう。じゃあ私があなたの名前を付けてあげるわ。」
うーんと永琳は手を顎につけて考え始めて、俺のほうを少し見つめると
「黒い髪に赤い目…ねぇ…」
そうつぶやき少しすると永琳が
「決めたわ。あなたの名前は『赤流(せきる)』よ。目が赤くて、あなたの黒い髪が長くて風が吹いたら流れていたように見えたから、という理由で決めたけど…どう?」
「別になんでもいいさ。赤流ね?じゃあ俺はこれからそう名乗って生きていくよ」
「よかった、いやだとか言われたらどうしようかと思ったわ。」
「そんなこと言うわけないだろ。せっかく永琳が決めてくれたんだから。」
「?それってどういう…」
「別に深い意味はないさ。永琳は優しいからな、見ず知らずの俺にここまでしてくれるんだから。俺は感謝してるし、優しい奴だな。と思っただけ。」
「そっ…そう。それとこんなところでずっと話してるのもあれだし早く私の家に行きましょ!」
というと永琳は俺に背を向けて歩いて行ったので俺はそれについていく。
誰かと話すなんていつ振りだろうな。
最低でも1週間に2話以上投稿できるよう頑張る!