申し訳ない。
「あんた、いつからそこにいたの?」
「ついさっきの、お前さんが暇だーと嘆いてる所だ。」
「ふーん、で?どうやってここまで入ってこれたの?」
「かぐや姫の家と聞いて、会ってみたいな~と思ってたらここまできていた。」
こんな感じでかぐや姫と赤流の会話が続く。
「そんなことあるわけないじゃない。私の家には門番がいるはずよ。そのせいで私も好きに外に出られないんだから。」
「あれ?そんなに力を持ってるのに?」
「どういう事よ?」
「姫、あんたがそこらへんの人間なんかより十分強いってことはバレバレだ。力が隠しきれてないよ、下手くそ。」
「はぁ!?私の力の隠し方が下手?なにを根拠にそんなことを…」
「なんだこれ?霊力か?妖力っぽくもあるけど………あぁ、あんた不死か。」
その言葉にかぐやは驚いたようで赤流の方に目を向ける。
「…あなたはさっきから何を言ってるのか私にはさっぱりわからないわ。」
「大丈夫だって、誰にもバラさないし、というか話すような相手がいないし。」
「アンタ友達とかいないの?」
赤流は少し間を置いて話す。
「信じるかどうかは別としてだが、一応いるね。だがずいぶん昔に月に行ってしまってね、別れる時にまた会おうと約束してあるから、また会えると思うよ。
いや、思うじゃなくて必ず会う、かな。」
もちろん永琳のことだ。
だがしかし俺の友達は月に行きました。と言ったところで信じてくれるような奴がいるわけもないので、そんなような質問をされた場合、いつもなら適当にごまかしておく、だがかぐや姫は人間じゃなくておそらくだが不死なので、いつか証明してやろうとか思っている。
「その話本当?」
かぐやが聞き返してくる。
「あぁ、本当だとも。お前は不死だろうからいつか本当だということを証明してやろう。」
「その必要はないわ。」
「…はぁ?なんで?」
「あなたの友達って永琳のことなのね。」
「はぃ?」
なぜこいつが永琳を知っているんだ?というか驚きが隠せない。
だってこれは誰でも驚くって。
誰も信じてくれないような話を一部して、そいつが全部知ってたなんてさ。
「え、なんで?永琳?なんで?」
「ちょっと落ち着きなさいよ。私が永琳を知っている理由でしょ?簡単なことよ、私は月から来たの。」
「何のために?」
「永琳に私が不死になれる薬を作ってもらったの。」
「だからお前は不死っぽい力をもっていたわけだ。」
「でも月ではそれはやっていけないことで、本当なら死刑なんだけど、私って不死になったじゃない?だから地球に送られたの。ちっこい姿で。」
「死刑?じゃあ永琳は?永琳はどうなった?」
赤流はかぐやの返答次第では、月を滅ぼしに行けるような殺意を込めて質問する。
かぐやがそんな赤流の殺意に耐えられるはずもなく、気を失ってしまった。
「あーやってしまった、どうしよ。」
赤流、生涯の初焦り。
結局赤流は永琳なら大丈夫!と自分に暗示をかけるようにしてかぐやを寝かせ、帰っていった。
「ただいま。」
「おーおかえりー」
妹紅が出迎えてくれる。
「今日はどうだった?」
「別に、いつもどうりだよ、変わったようなことはなかった。」
「なんだぁ今日もかぁ。赤流の妖怪の話面白いのにー」
「だからって妖怪を見てみようとか絶対に思うんじゃないぞ。お前みたいな子供なんて妖怪にすぐ食べられてしまうんだから。」
「わかってるって。赤流の話だけで私は十分だよ。」
うーんいい子すぎるだろう妹紅よ。
そうして赤流は妹紅の頭を撫でる。
「ご飯は食べたか?」
「まだ食べてない。」
「じゃあいまから一緒に作るか。」
「うん!」
というわけで妹紅を一緒に料理を作って食べました。
ちょっと危ないところとかもあったけども、十分上手に出来ていた。
次の日の夜
「おい姫。」
「ひゃああ!!」
輝夜が驚いてこっちに振り返る。
「急に来ないでよ!」
「呼んだだけじゃないか…」
「それでも急に来られるとびっくりするのよ。そういえば私気が付いたら寝ていたんだけど
何か知らない?」
「知らないです。」
「そう?ならいいわ、別になにもなかったし…」
そういえば昨日からモヤモヤしていたことを聞いておこう。
「お前死刑未遂になったじゃないか、永琳はどうした?」
「永琳なら無事よ。なんてったって月の頭脳と呼ばれてるくらいだからね。永琳を殺してしまえば、月はもう発展することなんてないでしょう。永琳はそれくらいすごいのよ?」
確かに…神様とも結構対等っぽかったし…
「なのにあんたみたいな妖怪と友達だったなんてね。」
「俺みたいなってどういうこと?」
「永琳から散々聞かされていたのよ、あなたのことを。」
「なんて?」
「とっても強くて、とっても優しい妖怪だって。」
「やめろよ恥ずかしい。」
「でも今のアナタは力がまったくないじゃないの。」
永琳…一番肝心なこと伝えるの忘れてる…
「いや…俺は力を隠してるだけなんだけど…」
「えぇ?隠してるったって全部隠せるわけないじゃない。」
「そりゃあそうだ。俺だって全部隠してるわけじゃない。少しくらい漏れているさ。だが、その少しをお前が感じ取れないくらい微量っていうだけだ。」
「へぇ?ちょっと見せてみなさいよ。」
「わがままなお姫様だ………このままだと門番とかにバレちゃうから俺の妖力を少しお前に流し込むわ。」
「そんなことできるの?」
「まーな、手借りるぞ。」
そう言って輝夜の手を掴む。
「じゃ、流すけど準備はいいかい?」
「全部流し込む勢いできなさい!」
この姫はちょっと危ないな
「少しで我慢しろ。」
といった直後に輝夜に妖力をちょっと(赤流基準)くらい流し込む。
バタン!!!
輝夜が倒れる。
「またかよ…」
今日もまた輝夜を寝かせて帰っていった。
そうして陰陽師としてお仕事をしながら妹紅と一緒に住み、時には輝夜とも会いながら2,3ヶ月経った頃…
「ただいまー」
「赤流ー!!!」
妹紅が普通じゃないような涙を流しながら俺に抱きついてきた。
「なにがあった?」
「父上が…父上が…」
まさか妹紅の父が帰ってきたのか?それならばなぜ妹紅は泣いているのか。
無視されたりしたくらいじゃ妹紅はこんなに泣かないだろう。
とりあえず見に行ってこなければ…
そうして俺が居間へと泣いている妹紅と一緒に言って目に入ったのは
いつもの通りの居間の風景ともう一つ
首を吊って死んでいる妹紅の父である藤原不比等の姿がそこにはあった。
「父上は、死ぬ前に私にずっと誤っていたんだ…家庭を崩壊させてごめんと、ずっと私についてきてくれたのにそれを裏切るようなことをしてきてごめんと…」
「それで妹紅はどうしたんだ?」
「全部許すからこれから一緒に生きていこうって…ずっと一緒にいようって…」
なぜ不比等が自殺したか理由が全くわからない。
もし俺がもっと早く帰ってきていればこんなことにはならなかったかもしれないのに…
「畜生ッ!なんで…なんでだッ!」
「赤流のせいじゃないさ…」
妹紅が赤流に背中から抱きつく。
そうして一瞬のような何時間が過ぎて行き、妹紅と赤流は不比等の墓を作ることにした。
墓を作っている間、妹紅はずっと泣いていた。
その日はお互い、何も話すことはなかった。
そうして次の日
赤流は輝夜のところへ来ていた。
「輝夜ー」
「おーぅ今日はどしたの?」
「ちょっと質問があるんだけど。」
「何?」
「昨日、貴族が誰か来なかったか?」
「来たわよ。ちょっとあれは大変だったけど。」
「詳しく聞いていいかな?」
「別にいいわよ、というか今度赤流がきたら話そうと思っていたの。
昨日来た貴族は藤原不比等っていう名前の貴族ね、その貴族が私と結婚するために蓬莱の玉の枝を取ってきてっていうお題を出したの。
そうしたら昨日持ってきたのよ、嘘ってのはわかってたんだけど、ちょっと関心するふりとかしていたのね、そうしたらそこに蓬莱の玉の枝作らせたという職人達が不比等っていう貴族に代金を要求し始めたのよ。
『蓬莱の玉の枝』を作った代金をよこせってね。
その時は笑いをこらえるのが大変だったわ。
その場で笑うなんて失礼なことはしなかったけどね?」
「その不比等なんだが、昨日家に帰ってくるなり、娘に謝って自殺して死んだって言ったらそれは笑い話として成立するかな。」
「…どういうこと?」
赤流は不比等の依頼で妹紅とここ数年間一緒に住んでいたことを話して、昨日の出来事を輝夜に伝えた。
「私にどうしろって言うの?あのまま結婚しろって言いたいの?」
「そうじゃない、俺は仕方ないことだとは思っているが、妹紅がこのままだとお前を一生恨むことになってしまうだろう?」
「別に私は不老不死だから、人間の一生なんて怖くはないわ。」
「俺は妹紅に一生人を恨んだままの人生なんて送って欲しくないんだ。
だから妹紅が信じなくたっていい。本当のことを面と向かって話してやってくれ。」
「その妹紅って子が信じなければ意味ないじゃない。」
「なにいってんだ、俺は陰陽師だぞ?お前が月に帰るのに立ち会えばいいのさ。」
「だとしたら私が月に帰らなければいけなくなるじゃない!私は月に帰りたくないわ!」
「それも問題ない。妹紅には悪いが輝夜は月に行ったと嘘をつく。」
「…わかったわ。だけど赤流はそれでいいの?」
「問題ないさ。じゃあ明日にでもここに妹紅を連れてくる。」
「待ってるわ。」
そうして次の日に妹紅と輝夜で話をさせた。
妹紅はやっぱり信じてはいなかったが、予定通りに俺が月に帰るときに見届けるということでしぶしぶ了承した。
妹紅も一緒に月に行くところを見ると言っていたが、危険であることを俺が必死に説明していると妹紅から折れた。
これで一旦解決だ、問題は本番にうまくいくかどうかだけ。
非想天則を最近またやり始めました。