ルナ、ズェピア
~昼食を食べ終え、のんびりとした時間を過ごしている中~
ズェピア「ルナ君、この後暇かな?」
ルナ「はい、暇ですけど…どうかしました?」
ズェピア「カメラの性能を試すついでに、街へ繰り出すのは如何かな、と」
ルナ「そういえばまだ試し撮りしかしてなかった……はいっ、一緒に街へ行きましょうかっ」
【誘われて喜びつつワクワクしている】
ズェピア「ふふ、色々な景色を撮ろう。ここでの日々を切り取るのは、きっと有意義だろう」
【喜ぶルナに、嬉しげに微笑む】
ルナ「はいっ。ではささっとお出かけする準備をしてきますね!」
【跳ねるように部屋へ戻る】
ズェピア「うむ、待っているよ…ふむ、ここまで胸踊るとは。かくいう私もなのだが…」
ルナ「ふんふんふ~ん♪」
月光剣『とてもご機嫌ですね、マスター』
ルナ「そりゃズェピアさんからのお誘いで、一緒にお出かけだもん。嬉しいし楽しみだよ。……っと、これくらいでいいよね」
【用意が終わって部屋を出る】
ルナ「おまたせしましたっ!」
ズェピア「ふふ、余程楽しみなようだね? 私も楽しみだよ」
ルナ「ズェピアさんとのお出かけですからね。楽しみになるのも当然です。では行きましょう。まずはどちらへ行きますか?」
ズェピア「ふむ…服でも見に行くかな?
ただ歩くのもいいが…せっかく可愛いのだから、色々と見るのはどうだろうか。」
ルナ「可愛い…服がですか? 確かにこの国にも可愛い服はたくさんありそうですね」
ズェピア「ハハハ、確かに服にも可愛いものはあるがね。着飾る本人が可愛いからこそ、それが際立つのだよ、ルナ君」
ルナ「確かに着る人が可愛い人だったらどんな可愛い服も合いそうですね」
ズェピア「…ふむ、私は『ルナ君が』可愛いと言っているのだが」
ルナ「…ほぇ? 私が、ですか? そ、そんなことないですよ! 私は全然可愛くないです!」
【そうは言うが照れている】
ズェピア「いやいや、君は自分の魅力に気が付いていないにも程がある。いいかね? 君は確かに優しいが、自分を疎かにしている部分がある。特に、髪や肌には気を遣わないと荒れていく一方だよ?
服に関しても、様々なコーデが似合う筈だ。そういうことを覚えていくことで魅力を引き上げていくのが淑女だし、ルナ君のせっかくの美貌を捨てているようでとても勿体無いと思うのだが…」
ルナ「そ、そうでしょうか……自分を疎かとか、美貌を捨てているとかは思ってなかったのですが……で、ではそう言うのであれば、ズェピアさんが私をコーディネートしてみてください。それで似合っていたらその…これからはもう少し意識してみることにします」
ズェピア「任せたまえ、新しい道を私が示して見せよう。というわけで…ここだ」
服屋に着くと、女性もののファッションが多く、男性が入るのを躊躇うような店。
ルナ「ほぇ……女性ものが多い服屋は入ったことがないのでなんだか自分が場違いな気がしてしちゃいますね……」
【ズェピアの後をとことことついて行く】
ズェピア「むしろ私が場違いなのだがね。アドバイスしておくとするなら、堂々としていなさい。 …ふむ…いやこれではない。もう少しこう…軽い方がいいな」
【ルナをチラリと見つつ服を見ていく】
ズェピア「……ふむ…これかな」
【白のワンピースを手に取り、ルナに見せる】
ルナ「可愛いワンピースですが……さ、さすがにそんな可愛いのは私には似合わないような……」
ズェピア「似合う。だから試着してみるといい。初めての物に戸惑うのは分かるが、思い切って着るといい」
ルナ「ぜ、ズェピアさんがそこまで言うなら……ちょっと待っててくださいね」
【そう言って試着室に行く】
ズェピア「うむ。……せっかくだし、これもいいな」
【行った後に、また選び始める】
ルナ「だ、だいじょうぶかな…ちゃんと着れてるかな……?」
【鏡で何度もチェックして、覚悟を決めて試着室を出る】
ルナ「あ、あの……ど、どうでしょうか……? か、可愛くなってますか?」
ズェピア「やはり思った通りだ。
うむ、似合っている…可愛いよ、ルナ君」
【頷いてから撫でながら褒める】
ルナ「にゃふ……えへへ。ズェピアさんが私に似合う服を選んでくれたからですよ」
【心地よさに目を細めつつも微笑む】
ズェピア「嬉しいことを言ってくれる。…そうだ、こういうのを写真に収めるのはどうかな?」
ルナ「す、少し気恥ずかしいですけど、そうしましょうか。ちょっと店員さんに撮影していいか聞いてきますね」
【店員に聞いたルナは、快く許可を貰った。むしろ店員が写真を二枚にして分けて欲しいと言ってきたくらいだ】
【それに照れつつもOKし、カメラを取りだす】
ルナ「ズェピアさん、このタイプのカメラだと自分で撮れないのでお願いしても良いですか……?」
ズェピア「ああ、任せたまえ。
では、撮るよ…はい、笑って?」
【カメラを構えて、少し離れる】
ルナ「は、はいっ」
【笑おうとするが緊張して上手く表情が作れていない】
ズェピア「ふむ……ところでルナ君、今日の夕飯はオムライスにしようかと思うのだが」
ルナ「え、ほんとですかっ!? やったっ!」
【つい想像して嬉しくなり、それがそのまま表情へと表れる】
【パシャリ、とカメラから音がして、写真が出てくる。これを二回】
ズェピア「うむ、いい表情だね」
ルナ「はっ!? ま、まさか今の撮るためだけの言葉だったんですか!? じゃ、じゃあ今日の夕食は……」
ズェピア「しっかりとオムライスだとも。嘘はつかないよ、安心したまえ。
それと…どうかな、この写真は?」
【ルナに二枚の内いい方の写真を選別して渡す】
ルナ「ほぇ…これが私、ですか? じ、実はプリクラみたいに瞬時に加工したりしてるんじゃ……」
【どこまでも自分の可愛さを疑う】
ズェピア「そういった機能は付けてないな。君自身の可愛さだよ」
【どこまでもルナの可愛さを肯定する。
写真を受け取った店員もうんうんと頷いている】
ルナ「そ、そうですか……そっか、私、笑ったらこんな表情してるんだ……」
【写真を見て小さくも嬉しそうな声でつぶやく】
ズェピア「ふふ、一つ良いことを知れたねルナ君。己を知るのにも、役に立つ代物だろう? 服はどうする? 買おうか?」
ルナ「ズェピアさんがこのカメラをくれて、こうして服を選んでくれたおかげですけどね。服は…どうしよう……気に入ったけど手持ちが……なくはないけど、次いつもらえるか分からないし……けどここで買い逃すのも……うぅ」
ズェピア「では私が買おうか。
その手持ちは持っておきなさい」
ルナ「えぇっ!? さ、さすがにダメですよ! 二つも貰っているのに、これ以上なんて……それだったら自分で買いますっ!」
ズェピア「ふむ、ならばこうしようか。君と私、両方が出す、というのは?」
ルナ「ぅ…ま、まあそれなら……」
【しぶしぶと頷く】
ズェピア「君がしたいように、私もそうしたいんだ。私を助けると思って、ね?」
ルナ「…分かりました。では9…いえ、半分ずつでいいですか?」
【本当は9:1って言おうとしたけどズェピアの気持ちを汲むためにもその割合にする】
ズェピア「譲歩感謝するよ。
うん、半々でいこう。では、元の服装に着替えてくるといい」
【言おうとしたことに苦笑する】
ルナ「はい。ではちょっと行ってきます」
【そう言って試着室に戻って元の服に着替えて、先ほどまで着ていたワンピースを持って出てくる】
【そうして、二人で出しあって買ったワンピースは丁寧に包装されて渡された】
ルナ「…えへへ……ありがとうございます。私に似合う素敵な服を選んでくださり」
【嬉しそうに言う】
ズェピア「喜んで貰えて私も嬉しいよ。
それ自体が私への報酬だ」
【穏やかに微笑む】
ルナ「なんだかそう言われると照れますね……それで、次はどこへ行きましょう……?」
【キョロキョロと何か行きたいと思うような場所がないか探す】
ズェピア「ふむ…本屋はどうかな?
ちょうどそこにあるよ」
【本屋を見て、そこに行かないかと誘う】
ルナ「本屋ですか…いいですね。何かよさげなのが見つかるといいな~」
【期待しながらズェピアと共に本屋に入る】
【本屋はどこか古さを感じさせ、新しめの本から古い本まで並んでいる。
静かな雰囲気であり、騒ぐことはマナー違反であると伝えているようだった】
ズェピア「ふむ、当たりかな」
ルナ「そのようですね……ん? これは……」
【目に留まり手に取ったのは料理の写真が表紙の本で、ぱらぱらとめくるといくつもの料理のレシピが載っていた】
ズェピア「それは…料理のレシピ本かな。ルナ君も料理に興味があるのかな?」
【ルナの読んでいる本を少し覗いて尋ねる】
ルナ「興味というか…私はあまりどのような料理があるのか知りませんから。そういう意味では興味がありますね。それに、その…こういうのでどんな料理があるのか分かったら、ズェピアさんとイリゼにリクエストできる種類も多くなるかなぁって」
ズェピア「おや、リクエストとはありがたい。その時は腕によりをかけて作るよ。…しかし、やはり私とは少し違う作り方の料理もある、か」
ルナ「そうなんですか? なら同じ料理でもどれが違えばどう味や食感が変化するのか、試してみたいですね……うん、これ買っちゃいましょう」
ズェピア「いいのかね? 料理ならば私やイリゼ君が幾らでも教えるというのに」
ルナ「だとしても、やっぱりそれぞれで自分流にアレンジしていると思いますから。こういう基礎となるレシピを持っておくのもいいかなと。でもそれはそれとして、ズェピアさん流の作り方も教えてくださいね」
ズェピア「…そうだね、しっかりと教えよう。特に、スイーツを自分で作れたら楽しいものだよ。君たちが心から美味しそうに食べてくれるから、私も張り切ってしまう」
ルナ「ズェピアさんが作る料理やスイーツは味はもちろんですけど、心も籠っていてとっても美味しいですから、そういう表情になるのは当然です。そしてだからこそ、自分でも作れるようになって、誰かに美味しく食べてもらって、今のズェピアさんの喜びを私も感じたいです」
ズェピア「作る側の喜び、か。
きっと、君の料理は心のこもった素晴らしい物に違いない。
その時は、是非食べさせて貰いたいものだ」
ルナ「ではいっぱい練習して、いつか食べさせてあげますね」
【嬉しそうに、そしてその時を想像して優しい笑みを浮かべる】
ズェピア「ああ、その時は心から堪能させて貰おう」
【そのときがいつになるか分からないが、それでもその時を想像し頭を撫でる】
ルナ「今から楽しみですね。…っと、他にも何かないか見ていきましょうか」
ズェピア「そうだね。面白い小説などあればいいが…」
【レシピ本だけでなく他にも何冊か買い、本屋を出る】
ルナ「ふふっ、これをどう旅に役立てられるかなぁ」
【楽しそうにしている】
ズェピア「本の知識を元に、成長する…うむ、かつての私を思い出すよ」
ルナ「ズェピアさんは本をいっぱい読んでたんですか?」
ズェピア「それはもう。
知識は活用すれば術となる。なので私は多くの知識を得るために読み耽った。
料理もそこからだったかな」
ルナ「なるほど、ズェピアさんの料理の始まりは本からだったんですね……(…そういえばカメラは試したけど、マントはまだだったっけ。魔力を流す……こう?)」
ズェピア「そう、つまりは知識とは全ての始まりだ。何かを知ることという遠回りこそが一番の近道であり…」
【色々と語っている様子】
ルナ(私から見たらちゃんと消えてるみたい。ショーウィンドにも映ってない……ふふっ、ちょっといたずらを……何しよう? …そうだ)
【後ろからそーっと近づいて抱き着こうとする】
ズェピア「──さて、悪戯はそこまでだよルナ君」
【後ろを振り返って、見えているかのようにそっと抱き上げる】
ルナ「わわっ…あはは…バレちゃった」
【マントへ流す魔力を止め、透明化が解ける。そこにはちょっと残念そうだが楽しそうな表情をしているルナがいた】
ズェピア「ふふ、しっかりと使えているようでよかった」
【ゆっくりと下ろしてから悪戯をしようとしたルナにしてやったりといった風に楽しそうな表情をする】
ルナ「残念、ズェピアさんの驚く顔が見たかったのにな~」
【ちょっと拗ねているように言うが、その顔は楽しそうな感情しか映していなかった】
ズェピア「ふふ、もう少し趣向を凝らして再挑戦すればもしかしたらなるかもしれないね」
【渡した甲斐があったと喜ぶ】
ルナ「趣向を凝らす……姿を消して洗い終わった食器を棚に片付けていくとか……?」
【本人は真面目に考えているつもり】
ズェピア「ポルターガイストを装う、と。なるほど、それもいいが何かを食べている時に後ろからつついて振り向かせた後にそれをひょいと食べてしまうのもありだね」
【一緒に考えるのに付き合ってしまう】
ルナ「それだと食べられない悲しさがありますから、もっと別の……気付いたら目の前にお菓子が置いてあるとか……?」
ズェピア「君らしい優しさだね。
そういう使われ方ならば…本当に渡してよかった」
ルナ「ズェピアさんがくれたものですから、悪い事には使えませんし、使いたくありません。なるべくお互い幸せになれる使い方をしたいですね」
【そう愛おしいものを見る目でマントを見て、優しく触れる】
ズェピア「君がどう使おうと自由だ。
君の助けとなれるなら、それが私の幸せだよ」
【そっと髪に触れて、どこまでもルナの無事と平穏を祈る】
ルナ「ズェピアさんがそう想ってくれるから、その想いが込められた証があるから。それがあるだけでも私は幸せな気分になれますよ」
ズェピア「…ハハ、なんだ、もう互いに幸せなんじゃないか。君は私の想いを受け取って幸せで、私は君が私の想いを使って幸せで。君という子は、どこまでも私を人にしてくれる」
ルナ「ふふっ、お互い幸せにいられるのなら、それはとっても良い事なんですよね」
ズェピア「そう、それは素晴らしい。
…おっとしんみりとしてしまったね。
どうも歳を取るといけないな」
ルナ「見た目は若くてそう言うほど年を取っているようには見えませんけどね」
【少し苦笑い】
ズェピア「吸血鬼、だからね」
【片目を閉じて、ふふ、と笑う】
ズェピア「さて、では帰ろうか」
【手を差し出す】
ルナ「…はい、そうですね」
【もう終わりなことに寂しく思い表情に出てしまうが、すぐに期待をするような目で手を取り微笑む】
ルナ「言った通り、夕食はオムライスにしてくださいね」
ズェピア「当然、君が喜ぶ程美味しいものを約束しよう」
【そうして二人は手を繋いで家へと帰る。その姿は親子のようでもあり、気の知れた友人のようでもあった】
【夜中。なかなか眠れなかったルナは着替え、静かに外へ出て行った】
【ズェピアは、誰かが外へ出ていった気配を感じ、それがルナの物だと分かった時にどうしたのだろうと思い、少し焦る気持ちを抑えて静かに追いかけることにした】
ルナ「……やっぱり、部屋から見るよりも外で見る方が広く見える」
【そうつぶやくルナは昼間に買った白いワンピースに身を包み、空を見上げながらくるりと回る。月明かりを浴びて輝いているような髪がふわりと揺れた】
ズェピア「…ルナ君?」
【追い付いた彼は静かにルナの名を呼びながらゆっくりと近寄る】
ルナ「ズェピアさん…? こんばんは」
【声に気付き、振り返り……彼の姿を見た途端その顔に笑みを浮かべた。昼間に見せていた明るい笑みではなく、静かな笑みを】
ズェピア「…ああ、こんばんは」
【雰囲気の違いを感じ取って、父親を感じさせるそれでなく、紳士然とした態度で微笑む】
ルナ「…ふふっ、つい着ちゃいました」
【そう言い白いワンピースを見せるように、その場でゆっくりと回る。髪とワンピースがふわりと揺れた】
ズェピア「とても綺麗だ。月に照らされて、とても」
【月に誘われるように、ルナの前までやって来た彼はそっと髪を撫でた】
ルナ「…ありがとうございます。…ところでズェピアさんはどうして外に?」
【一瞬その心地よさに目を細め、すぐに元の顔に戻って訊く】
ズェピア「君が出ていく気配がして、何事かと思っただけだ。何もなくてよかったがね」
ルナ「あぁ…心配させちゃいましたか、すみません。少し眠れなくて窓から夜空を見ていたんですけど、もっと広く見たいなって思って……」
【そう言い空を見上げる。夜空には半月が浮かんでいた】
ズェピア「半月か…眠れないのなら、体でも動かすのはどうかな」
【月を見上げてから、ルナを見る。
自身の月はここにあるという事は、秘密にしながら】
ルナ「…何をしましょうか」
【夜空から彼に視線を移す。何をするとしても、彼と共にしたいと思いながら】
ズェピア「…せっかくの半月だ。
つまり、半分を誰かが埋めねばなるまい? 私でいいのなら…共に踊るというのは如何かな」
ルナ「私から埋めてほしいとお願いしたいくらいです。…ただ私は踊りを知りませんから、よければ教えていただけますか?」
ズェピア「うむ、任せたまえ。
では…お手を拝借、お嬢さん?」
【そっとルナの手を取り、一礼。
紳士服とマントが合わさってとても似合う様であった】
ルナ「…では、よろしくお願いします…でいいのかな」
【片手でワンピースの裾を摘み、お辞儀をする。テレビで見たのを見様見真似でやるが、ぎこちなく粗さが見える動作になっていた】
ズェピア「私に足を合わせて。
恐れず、足を出して」
【手を取って、身体を支えるために背に手を回し、ゆっくりと後ろへ足を下げる】
ルナ「は、はい……」
【言われた通りに足をそっと出す】
ズェピア「そう、その調子。
そのままゆっくりと回る」
【円を描くようにルナと共に歩きながら回る】
ルナ「こう……?」
【合わせるようにステップを踏み、ついていく】
ズェピア「不安がらないでいい。
君の動きは正しい。…さて、私を信じて、身体を離し、戻っておいで」
【ルナの身体を手を繋ぐ部分を残してそっと離し、引っ張って抱き寄せる。】
ルナ「…はい」
【彼のことなら信じられる。そう思いぎこちなくとも流れる動作に身体を合わせる】
ズェピア「私が軸になる、故に飛ぶようなステップを」
【敢えてヒントだけを与えてルナの動きに合わせようとする。自由にしてみて】
ルナ「と、飛ぶ……? こ、こうかな」
【迷いながらその場でジャンプしてみる】
ズェピア「ふふ、少し違うが、可愛らしい。いいよ、そういうのでもいい」
【ルナの可愛らしいジャンプを姫抱きにして笑いかける】
ルナ「あぅ……」
【恥ずかしさと照れで顔に少し赤みが増すが、ズェピアの笑みを見て釣られるように小さく笑みを浮かべる】
ズェピア「大丈夫、初めてならば仕方無いさ。さ、下ろすよ?」
【そっと下ろす】
ルナ「はい……」
【下ろされ、ゆっくりと地に足を着き、ズェピアの方を向き微笑む。このひとときが楽しいものだと表情で語っていた】
ズェピア「いい顔だ。
では、再開といこう。もう少しゆっくりとやってみようか」
【彼もまた、ルナとのひとときが大切な物であると表情と目で伝える。それは同時に寂しげにも見えた】
ルナ「…はい」
【その表情と目で伝わってきた感情に喜びを感じながらもそれではしゃぐことはせず、ゆっくりとこのひとときを味わうように踊る。教えられ徐々にぎこちなさが取れていく様は、まるで夜という暗さがより月を輝かせているようにも見える】
それから二人はしばらく踊った。
月夜の下で、安らかな光を浴びながら。ぎこちなさが無くなった少女は先導する男が動きの例を見せた後に試させて、それが意図せずして舞踏の形と成っていった。二人にあるのは楽しさ、喜び…しかし明るさだけではないだろう。
そうして、月夜の舞踏会は終わりを告げる。
ズェピア「…ふふ、楽しかったかい?」
【手を離し、礼をした後、ルナに聞く】
ルナ「…はい。とっても楽しかったです……」
【倣うようにお辞儀をする。終わってしまったことへの寂しさはなかった。その代わりあったのは幸せの余韻で、ルナは朗らかな笑みを浮かべる】
ズェピア「そうか…それはよかった。
教えはしたが、これを伸ばすかは君次第だ。そして……」
【ルナの笑みに、安堵したように表情がより柔らかくなるが…途中で何かを言い淀む】
ルナ「……大丈夫ですよ。きっと私達に流れる時間はまだ沢山あると思いますから……再び出会えないとは限らない。そうは、思いませんか?」
【察し、優しく、そして安心させるような笑みを向ける】
ズェピア「…そう、だな。
その時、また会えたのなら…私は、君とまた踊りたい。この、月夜の下で…また」
【ルナの笑みに釣られ、笑う。それはきっと察して貰えたことへの喜びではなく、また会えるかもしれない期待による笑み】
ルナ「私も、あなたと踊りたい。世界が私達を隔てたとしても、再び出会うことができたのなら、そのときは……そのときは、もう少し上手に踊れるようになった私と踊ってくださいね。たくさん練習しますから」
【一度言葉を飲み込み、言いかけた言葉とは違う言葉を口にする。飲み込んだ言葉を口にする日は、きっと今宵ではないから】
ズェピア「ああ、その時は…きっと、君の旅がより色彩に溢れていることを祈るよ。そして、君の旅が穏やかに終わっていることも願おう。 その為に、あの二つに託したのだから」 【願いと想いを込めて良い、そっとルナを抱き締める】
ルナ「…本当に心強くて……優しくて、あたたかい……」
【そのあたたかさをより感じようと、そして自分の体温が伝わればいいなと思い、ルナもまたその背に手を回し、ぎゅっと抱きしめる】
ズェピア「…おかしいな、包んでいるのは私なのに…何故、こうも……ああ、あたたかいな…」
【声が震え、一筋の涙がルナへと落ちる】
ルナ「っ…、…本当に、大好きなぬくもりです……」
【涙に気付き、彼の顔を見上げ、そっと頬へ片手を伸ばし涙を拭う。そして静かに幸せな笑みを浮かべる。その目から雫を零さないように】
ズェピア「私は…私は、君を…!」
【ぎゅっとルナを抱き締め、そのまま静かに涙を流す】
ルナ「っ……大好きだから……大好きなら、会いたいと願えば、大丈夫だから……!」
【抱きしめられ、抱きしめ返して……その目からようやく雫が零れる。口にした言葉は彼に言っているようで、同時に自分に言い聞かせているようであった】
ズェピア「ルナ…私も…っ…いつか、また会おう…! 絶対に会いに行く! だから…今だけはっ…泣かせてくれ…!」
ルナ「……泣いても、いいですから……その涙は、あなたが人である証……心を持つ優しい存在だからこそ流せる、あたたかい涙ですから……!」
~暫し二人で抱き合い、泣いた後~
ズェピア「……すまない、離れたくないと思うのは我儘だろうか」
ルナ「いえ…ワガママじゃないです。私も、離れたくありませんから」
ズェピア「ありがとう…私は、弱いな…」
ルナ「…人は常に強くあり続けるなんてできませんから。こうして力を抜けば、疲れる前に休めますし……それに、弱みを見せてくれる相手が私で、嬉しいな、なんて……」
ズェピア「…君は、私を人にし続けてくれる……」
【そう言った後、彼はルナを抱いて部屋へと転移する。ここまで弱みを見せる彼は、ルナにだけだった】
ルナ「…あなたが人であり続けたいと望むなら…私があなたを人であり続けさせられるのなら、私はあなたの傍にいます。…いさせてください。別れの日が訪れるまで、そして再び出会えた後も……」
ズェピア「私も…別れまで君に寄り添っていたい。そして…その日が訪れた後も、君を助けになれる…喜びばかりを、君はくれる」
【ベッドに入っても、彼はルナを抱き締め続ける。温もりを常に離したくないという、彼の怯えの混じった抱擁だった】
ルナ「…別れた後も、あなたが私を想い続けてくれる。そう信じられるから、私はあなたと悲しみを分かち合い、幸せを分かち合える。そう…しあえるあいだはずっと……そばに……いますか、ら……」
【あたたかさに包まれ、体を横にしたことでうつらうつらと、そして言葉を最後まで言うと、寝てしまった】