大人ピーシェが頑張る話。合同コラボ   作:ほのりん

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【登場人物】
ピーシェ、一誠


初デート

【時刻は午前の10時を回るあたり。一誠は約束の時間に遅れないようにと、早めに約束の場に到着した

公園にある小さな噴水の前、今日は休日という事もあって、周りは子供やカップルがいたるところに見え、にぎやかな声が聞こえてくる。そして、時より聞こえてくる小さな噴水の水の音が今までの疲労を癒やしてくれる】

 

ピーシェ「あ、どうも」

 

【そして、待ち合わせの相手を見つけた。

二十代くらいのその女性は白いワンピースを着ていて、何処か気品がある】

 

【対する一誠は赤い服に白の上着を着ていた。というのも異世界に来る時服なんてこれしか着ていなかった。(洗濯済み)

ピーシェを見つけて、気恥ずかしそうにしながらも返事をする】

 

一誠「ごめん、待たせたな」 

 

ピーシェ「いえ、今来たところですので、大丈夫ですよ」

 

【ゆっくりと立ち上がり、スカートを手で優しく整え、軽く背伸びをする】

 

ピーシェ「さて、初デート。ですね」

 

【そのピーシェの苦笑は少し照れ臭そうで、しかし嬉しさを隠してはいない。少女の頬が少し朱色に染まっている】

 

一誠「そう、だな。エスコート、頑張るよ」

 

【ピーシェにつられ一誠もまた苦笑する。

嬉しそうであり、緊張を隠しきれていないといった様子。

ゆっくりと手を差し出す】

 

ピーシェ「はい、よろしくおねがいします……あー……」

 

【その時、人差し指を唇に当て、何かを考える仕草をする。】

 

ピーシェ「やっぱ、だめ……うん」

 

一誠「…あー…」

 

【何か迷ったように、しかしそれも数瞬のことで。意を決したように、ピーシェの手を取る】

 

一誠「その、俺はこうしたいかなって」

 

【申し訳なさそうにそう言う一誠は、それでも自分の意見と行動を選択した】

 

ピーシェ「ぁ……」

 

【手をつないだ瞬間、ピーシェの小さな声漏れる。少し動揺したような声、しかし何かを決心したようにピーシェはスカートをぎゅっ……と握り、震えた唇で懸命に言葉をつむいだ】

 

ピーシェ「よ……よろしくね……。いっ……せい」

 

【直後、一誠の思考が一瞬だけ静止する。

初めてだった。彼女の自身の名の呼び捨て、そして信頼するような砕けた口調。

彼女はいつも敬語であるが故、とても新鮮なものがあった】

 

ピーシェ「私も……こうしたいから……駄目かな……?」

 

【小さな声で、ピーシェは懸命に聞いてくる】

 

一誠「─勿論。いいんだよ、ピーシェも我儘言ってさ」

 

【止まった思考を動かす。

懸命に、冷静に熱くなりそうな、既に熱くなっているかもしれない頭を回す

甘えてほしい、こういう時くらいは。そう思いながら一誠は微笑む。

そして、そんな彼女を一人占めしたいという支配欲が、芽生えかけた】

 

一誠「行こう、一緒にさ」

 

ピーシェ「はい、ですね」

 

【ピーシェは優しく微笑み、二人でともにあるき出す】

 

───

 

──

 

─商店街─

 

【お祭りというほどではないが、人混みはかなり多く、人の声がバックミュージックのように聞こえて、焼きそば、焼き物の匂いが鼻をくすぐり、色々看板がほそぼそと、しかし強く主張している】

 

ピーシェ「あ、我儘いいなら……2ついいかな?」

 

一誠「二つと言わずって言いたいけど…なんだ?」

 

【折角のピーシェの我儘を出来るだけ叶えてあげたいという想いが一誠を動かす】

 

ピーシェ「まぁ、どちらも似たような話ですが」

 

【ピーシェは何故か一誠の手を離れた】

 

一誠「えっと…?」

 

【離れた手を気にするのではなく、ピーシェの言葉に気が向く。 何だろうか、何かしてしまったのかと思い、一誠は不安げに訊く】

 

一誠「何か、しちゃった…か?」

 

【ピーシェは一誠の方を向き、スカートを軽く掴んで一礼をしてみせた。その仕草は優雅その物で、白いワンピースがまるで天使のように着飾っている。スカートから見える太腿に、胸元にあるボタンが、普段よりも余計に女性らしい胸を主張してくる】

 

ピーシェ「どうです? 似合ってます?」

 

【再び訪れる思考の停止。

困ったことに、本気で好きになるというのはこういうことのようだった。しかし、答えようと口が勝手に動いたのか】

 

一誠「ああ、その…月並みな言葉だけど、綺麗だ。あ、いや…好き、かな…」

 

【言葉選びが上手くいかない。感情が勝手に動く。

おかしな顔になっていないか不安になる。けれど、それ以上に。

目の前の愛しい存在は、綺麗だった】

 

一誠「はは、俺がちょっと釣り合ってない、かもな」

 

ピーシェ「……そう?」

 

【ピーシェは苦笑を浮かべ、先程手を繋いでいた一誠の手を、両手で包むように掴んだ】

 

ピーシェ「私は……一誠が奴隷でも、私が地に這いつくばっても好きになりますよ」

 

【ピーシェは断言した。まるで好きなことが当たり前かのように、綺麗な目で訴えてくる。どんな存在でも愛する、と】

 

ピーシェ「それとも、私が女神じゃなかったら好きではない?」

 

一誠「そんなこと!」

 

【ハッ、と意識が明瞭になる。

今のまま、言うべきじゃない。だからこそ、少し慎重になる。

心のままに発言してもいいが…本当に二人の時にしたいと一誠は思った】

 

一誠「そんなことない。ピーシェが女神じゃなくても、俺は好きになる。」

 

【包み込んでくれる手に、もう片方の手を重ねる。

重ねて、やはり離したくないと思っている自身に気づいて、安堵した】

 

一誠「ありがとな、ピーシェ。 美人な彼女だからって、少し馬鹿になってた」

 

ピーシェ「……たしかにちょっと馬鹿だね」

 

一誠「うぐ…仰る通りです…」

 

ピーシェ「……うん」

 

【ピーシェはじっと、いつも道理の一誠の服装を見る】

 

ピーシェ「悩んでたのは私だけですか……」

 

一誠「いやその……ごめんな……これしかないんだ…」

 

【申し訳なさそうに、そう言う。

本当ならしっかりと服を揃えて、といきたかったのだが。

しかし自分には服のセンスは皆無だ。自己嫌悪に苛まれそうになっていた】

 

一誠「申し訳ないっす…」 

 

ピーシェ「まっさか。それくらいのほうが可愛げもあるよ」

 

【ピーシェは掴んでる手を引っ張り、目の前の5階はありそうな高いビルを指差した】

 

ピーシェ「私がコーディネートしてあげる。ふふっ覚悟してね」

 

【とても妖気に、そして彼女とは思えないほど悪戯な可愛らしい狐のような瞳で、彼女はほくそ笑んだ】

 

一誠「…はは、お手柔らかに」

 

【笑みを浮かべる彼女につられて笑う。

おもちゃにされるのだろうか。まあ、それもいいかもしれないと一誠は思い、二人は向かうのだった】

 

 

 

──

───

 

 

【ビルの3階、そこは大きな洋服店になっていて、ズボンにジャージ、下着などが至る所に見受けられる】

 

ピーシェ「さて、何から着る? メイド服、ゴスロリ、OL。好きなの選んでいいよ」

 

一誠「(´・ω・)???」

 

【何を言っているんだと思うが、何もおかしくはない】

 

一誠「…ごめん、ちょっと分からない。それどれも女性が着る奴だよな? 俺は男だしコスプレしたい訳じゃないんですけどぉ!! おもちゃってそういうことかよ!?」

 

ピーシェ「ふふっ……ははっ! もちろん冗談。私にそんな趣味は無いって。そのかわいい顔が見たかっただけ」

 

【一誠の頬をピーシェの手が包みこむ。そして、正面には彼女のまるで無邪気な子供のように楽しそうな笑顔が咲いていた】

 

ピーシェ「……5割くらいしかない」

 

一誠「5割はあったんかい。」

 

【冷静にツッコミを入れる。

困った彼女だなぁと思いつつ、それでも好きという感情が強くなっているのだからどうしようもない】

 

一誠「…俺も可愛い彼女の顔を見れたから得かな」

 

ピーシェ「ははっ。さっきからさ、美しいだの、可愛いだの。私より可愛い子はいくらでもいるよ?」

 

【ピーシェは心底不思議そうに首を傾げる。まるで美人や可愛いという言葉を真に受けていない。まるで一種のジョークのように受け流している】 

 

一誠「俺にとって一番の女の子は、ピーシェなんだよ。」

 

【さも当然に、それが自身の事実なんだと伝える。

ジョークと受け取られても構わないが、自分は本気だとは伝えたかった】

 

一誠「じゃなきゃ、あんなこと言わないって…」

 

ピーシェ「……そっか」

 

【その言葉を聞くと、静かにピーシェは微笑んだ】

 

ピーシェ「私達、ちょっと変わってるよね。一日で恋に落ちて、しかも別の世界」

 

【本来ならば交わらない二人、交わってはならない二人だったのだ。それがなんの因果か出会ってしまった。これを運命と呼ばずになんと呼ぶのであろう】

 

一誠「…そうだな」

 

【とても数奇な運命。

けれど現実として今ある光景だった。だからこそ、夢のようで】

 

一誠「でも、そんな恋もあるってことだろ。今の俺達みたいにさ」

 

【それを手放したくないからその手を伸ばして、届いた】

 

ピーシェ「……うん」

 

【小さな手を握り、彼女はその手で一誠の手を優しく握り返した。

まるで何処か落ち着いたように、彼女は小さく吐息を吐いていた】

 

ピーシェ「……やっぱ。君カッコイイよ」

 

一誠「…素直に受け取っとく、ありがとな」

 

【握られると落ち着いて、いつまでもこうしていたくなる】

 

一誠「服、選んでくれるんだろ?」

 

ピーシェ「ええ、勿論」

 

【優しく微笑み、ピーシェは掛かっている服で、一誠が似合いそうな服を探す。

鼻歌交じりに、とても楽しそうだった。

実際、いじめられてた感は否めない。赤いジャージ、黒いジャージ、黄色いジャケット。そこまでは普通だったのだが、突然学校で着る様な制服を持ってきて、その普通が一変した。短パンにサンダル。しまいには紳士服のような、まるで執事が着るような服まで持ってくる有様】

 

ピーシェ「楽しかった」

 

【もしかしたら、彼女はツッコミよりボケのほうが性に合ってるのかもしれない】

 

一誠「そりゃよかった…」

 

【何だかんだで、楽しめもしたのだがグッタリとしてしまう。

ちなみに、この際なので色々と買うことにしたが、今着ると色々と台無しになりそうだから今のままに落ち着いた】

 

一誠「うん、俺も楽しかったし、いいかな…」

 

ピーシェ「ならよかった」

 

【ピーシェは満面の笑みで一誠を見つめた】

 

ピーシェ「そうだ、流石にいじめちゃったし、お礼はするね」

 

一誠「いいんだけどさ、ピーシェが楽しめたんなら。 でも、お礼は貰うわ」

 

ピーシェ「ふふっ。欲望に忠実だね」

 

【そして、彼女は一誠に体をゆっくりと寄り、抱きついた。

むにゅっ………。柔らかく、弾力のあるものが、彼女の早い心臓の鼓動と同時に自身の体に伝わってくる。

その瞬間、無意識に彼女の背中に手を回し、互いに抱きしめ合っていた】

 

「……んっ」

 

【次の瞬間、彼女の唇と自分の唇が互いに触れ合う。優しく、しかし何処か激しい。

彼女のは何度か……唇を甘噛みしてきて、数回唇を舐めたあと。少し後ろに下がった】

 

ピーシェ「こ……これで……いいかな」

 

【彼女の頬はこれでもかというほど朱色に染まっている。おそらくかなり羞恥心を抑えていたのだろう。目を潤ませて、まるで猫の様に上目遣いでこちらを見ている】

 

一誠「──」

 

【ズルい、と思うのは酷いことだろうか。

お礼と言われ、こうなるとは思いもしなかった。

けれど、それは今の彼女を見て全て良しとしてしまうのだ】

 

一誠「いや……駄目だな」

 

【もう一度、味わいたい。 独占欲が強くなり、気付けばもう一度抱き締めて唇を奪っていた。自分の物なのだという証明をするように、いつまでもこうしていたいという欲望が自身に渦巻く】

 

「んっ……んむっ……!」

 

【突然のことに驚いた表情を見せる彼女だったが、すぐに瞳に力が無くなり、とろけきった様な瞳で一誠に身を委ねた。

お礼、恥ずかしい。そんなことはもう彼女の頭からはなくなっていた。もっとしてほしい、まだこのままに……。そんな願望、再度唇を合わせてしまったことにより、自身の欲に歯止めが聞かなくなっていた】

 

「はっ…ん…」

 

【欲望と願望がない交ぜになったそれをぶつけていく。もっとしたい。もっと、もっとと歯止めを外していく。

目の前の愛しい存在を、自分に染め上げたい。

互いの時間を埋めるようなソレはいつまでも続かせたくなって

 

──ふと、制止するような声を聞いて、意識を戻す】

 

一誠「─っ、悪い…!」

 

【一気に羞恥心が込み上げて、それでも離そうとはならず、より強く、壊さないように抱き締める。顔を見られるのは、恥ずかしかった】 

 

ピーシェ「こ、こっちこそごめん……」

 

【顔が朱色に染まっている彼女。しかし、何処かその潤んだ瞳は……「足りない」と、上目遣いで訴えているような印象を受ける】

 

ピーシェ「えっと……続きは……また……ね?」

 

一誠「そう、だな……」

 

【続き、と想像して振り払う。

…あの時聞こえた声は、ピーシェには聞こえていなかった。つまり、そう言うことなのだろう】

 

一誠「デートの続き、だよな…あ、そうだ。腹減ったよな! 昼食べよう!」

 

【誤魔化すように、そう告げる。

多分、黙っていたらまた同じことを繰り返して…止まれなくなる】

 

ピーシェ「だ、だねっ! だねだねっ! だねだっ!」

 

一誠「フシギダネ! よ、よーし! あーそこでいっか! うん!」

 

【店名も何も見てないけど、ここは空気を切り替えたかったので何でもよかった。

多分、そこでは静かに食べて綺麗さっぱりデートを再開するだろう…】

 

 

 

─店内─

 

【料理の香りが鼻をくすぐり、木造の店内が目を癒やしてくれる、良い風貌だ。

ピーシェと一誠は、足早に席に座った】

 

ピーシェ「さささ…さ、さて!! 選びますか!」

 

【明らかに先程の事で動揺しているのがわかる】

 

一誠「そ、そうだなぁ! 喉乾いた、乾かない? とりあえず何か注文しちゃおう! うん!」

 

【何か食べたり飲めば落ち着く筈、そう思って提案する】

 

ピーシェ「生!」

 

一誠「酒ぇ!?」

 

ピーシェ「じょ、冗談だよ……」

 

【そんなやり取りをして、二人は注文した。(※流石に酒は注文してません)】

 

───

 

──

 

「「……」」

 

【気まずさが原因か…、二人は飲み物を飲むだけで喋らない。

先程は二人して欲に任せてキスをしてしまった。その羞恥心が今、まるで毒のようにこみ上げてくる】

 

「「あの……」」

 

【それでも空気を変えるべきと思ってはいるが、同時に話し出そうとして、結局静かになる。】

 

一誠「その…改めて、お礼を言っとこうと思って。服選び、ありがとな。」

 

【それでもと、話を切り出す。

せっかくのデートが気まずさで終わるのは避けたかった】

 

ピーシェ「い、いえ……別に……」

 

【ピーシェは両手で自身のスカートをぎゅっ……と握り、頬を朱色に染めていた。その表情は今までに見たことがないほど赤くなっている】

 

ピーシェ「そ、その……こちらこそすいません……付き合ってもらっちゃって……」

 

一誠「い、いや、いいんだ。

俺としては、ピーシェが楽しんでくれたら…それが俺の楽しみになるっていうか……」

 

【羞恥心が多くを占めている今でも、ピーシェの笑顔は思い出せる。それが一誠の喜びになってるのは間違いなかった】

 

ピーシェ「あ、ありが……と」

 

一誠「ピーシェは楽しかったか?」

 

【楽しかったのだろうか、と今更ながら気になった。たまにピーシェが合わせてくれる時があるので、心配のようなものが込み上げる】

 

ピーシェ「……さあね」

 

【ピーシェは近づいてくる。ゆっくりと……一誠の瞳をどこか優しく、微笑みの瞳で見続けてくる。距離はどんどん近づいていき、気づくと吐息がかかるほど近くなっていた】

 

ピーシェ「ふふ……当ててみて? 楽しかったかどうか」

 

【…また同じように、とはならなかった。

これは答えてあげないといけない。

ひねくれた、しかし可愛い彼女に自分なりに答えなくてはならない】

 

一誠「楽しかったと、俺は思うよ。

いや、今も俺は楽しい。それに…こうしてる間も、好きだって気持ちが強くなるっていうか。」

 

【言葉が纏まらない自身の頭の悪さに悪態をつきたくなる】

 

一誠「…ピーシェの笑顔が、綺麗だったからさ。楽しかったと、思う。」

 

ピーシェ「……そっか」

 

一誠「俺はピーシェも楽しかった…そう思うよ。」

 

ピーシェ「……さて。わざわざ店に入ったんだから。なにか頼もうか」

 

【結局、二人はお冷を飲んでいるだけで何も注文をしていない】

 

一誠「あ、そういえばそうだった。何頼むか…」

 

【お冷を飲み続けるのも店に悪いので、ここはメニューを見て悩むことにする】

 

一誠「この店…こういうのもあるんだな」

 

【ふと、目に止まったのはカップルドリンク、というものだった。

そういう客が多いのだろうか】

 

ピーシェ「……? ああ、これですか。結構この変じゃ有名なメニューですよ。まぁ、この国にはその…。少々、白い花、的な方が多いので……実際に男女カップルが頼むことは珍しいんじゃないですかね?」 

 

一誠「なるほどなぁ…有名なのか。」

 

【色々見てから、またページを戻す。

…少し、勇気がいるけどここは聞いてみよう】

 

一誠「頼んでみないか、これ」

 

ピーシェ「……ぇ」

 

【ピーシェはその言葉に硬直する】

 

一誠「あーいや、ピーシェがそういうの嫌ならいいんだ。ただ…思い出になったらいいな、と思ってさ…」

 

【硬直してるピーシェに嫌ならいいと伝える。

飲みたい、という気持ちはあるが自身の感情だけで決めるのは良くない…と思う】

 

ピーシェ「あー……、いや。一誠がそれでいいなら……頼もうか」

 

【少し頬を朱色に染めながら、そう呟いた】

 

一誠「…ありがとな、ピーシェ」

 

【恥ずかしいのにそれでも了承してくれたピーシェに感謝の念は尽きない。

そういう自分もまた顔が少し熱い。

そうして、店員にカップルドリンクを注文した。

 数分後、店員が大きめのコップ一つに、赤いストローがハートマークのように巻かれている】

 

ピーシェ「うっわぁ……、初めて頼んだ……。はっず……」 

 

一誠「改めて実物を見るとこれは…はずい…い、いや! 頼んだ俺が臆してる場合じゃねえ…」

 

【周りの視線が気になり出す。

というか、見られていないよな? とチラリと見るが…見られてはいない事を確認。

意を決して、ストローを咥える】

 

ピーシェ「で、では……。失礼して……」

 

【ピーシェも息を呑み、目をぎゅっとつぶりながらストローを咥える。鼻が当たるほど、近距離で見えるその姿はどこか愛らしく、愛おしい】

 

???「? あれ、ピーシェじゃない? なにやってんの?」

 

ピーシェ「っっ?!?!」

 

【しかし、突然誰か女性声で、少女は離れてしまった】

 

ピーシェ「な、なんだ……あいえふか……」

 

【…残念と思ったけれど、それはそれとして現実を見よう。

女性声の方へ意識と顔を向ける。

ピーシェの知り合いだろうし、少しの緊張が走る】

 

一誠「ピーシェ、知り合い…というか、友達か?」

 

ピーシェ「え、ええ、友達……。というより腐れ縁?」

 

アイエフ「なによその言い方。私はそいつの……そうね、幼馴染よ」

 

一誠「幼馴染かぁ…あ、初めまして。

兵藤一誠っていいます。ねぷ姉……ネプテューヌの弟やってます。

ピーシェとは、お付き合いさせてもらってます」

 

【今言っておいてなんだけど幼馴染ってくらいなんだから敬語なのは変じゃないか? もう少し親しみやすくすべきだったのでは…いやでも、ピーシェの親しい間柄なんだから、こうするのが普通なんじゃ…と考えるも今更だった】 

 

アイエフ「……は? お付き合い?」

 

ピーシェ「あ、えっと……まぁ……その、うん」

 

アイエフ「う。うそ。あんたが? あの男のおの字もなかったあんたがねぇ……へぇ…」

 

【最初は驚いた表情を見せたアイエフだったが、すぐに状況を理解し、ニヤニヤし始めた】

 

一誠「…もしかして、要らんこと言ってしまったパターンか…」

 

【テンパっていたとはいえ、ピーシェからしたら隠したい事だったかもしれない。

というか、そのニヤニヤはやめてほしい。何というかすっげぇ恥ずかしい、と一誠もまた顔が赤くなる】

 

一誠「あーその、ごめんなピーシェ…」

 

ピーシェ「あ……、うん、別に……」

 

アイエフ「へえ……。よくおとせたわね、この子を」

 

一誠「…おとせたんじゃなくて、先に俺がおちたというか…そんで告ったというか…」 

 

アイエフ「ふ──ん、まっ。デートを遮って悪かったわね? ごゆっくり」

 

【そう言い残し、アイエフはその場を去った】

 

ピーシェ「………まぁ、のもうか」

 

一誠「…そうだな」

 

【乗りきった、というのだろうか…? 

ストローを咥えて、飲み物を飲んでみる。…美味い】

 

ピーシェ「さ、さて……、そろそろお店…でますか」

 

一誠「そう、だな。まさかピーシェの幼馴染に出くわすとは思わなかったけど…」

 

ピーシェ「そ、そうだね……ま、まぁ。いい気分転換になったんじゃないかな?」

 

一誠「…だな。時間もそれなりに経ってるし…いやぁ時の流れって不思議だな!」 

 

ピーシェ「だね。2週間くらいたったね」

 

一誠「メタい、メタいよ…合ってるけど! 中の人しか分からない奴だよそれは!」 

 

ピーシェ「ふふ、ごめんごめん」 

 

一誠「突然のメタ発言に流石のイッセーさんもツッコんじまったよ…」 

 

ピーシェ「さて、そろそろ戻りま……」

 

【ピーシェがそう言った次の瞬間。

突如、ピーシェのポケットから音楽が流れる】

 

ピーシェ「ん?」 

 

一誠「ん、電話か?」 

 

ピーシェ「うん、ちょっとまってね」 

 

一誠「おう、分かった」 

 

ピーシェ「はい、私です。はい……はい……、ドラゴンが暴れてる……ですか、了解しました。今行きます」

 

【ピーシェは電話を切り、一誠に向かって手を合わせた】

 

ピーシェ「ごめん、ちょっと急用で来ちゃった。さきに帰ってて」

 

【…少し聞こえたけど、そういう危険なのを一人行かせるのは、男じゃない。そう思った一誠はピーシェに真剣な顔になって】

 

一誠「…ドラゴンが暴れてるのか。

なら、手伝うぜ。」 

 

ピーシェ「気持ちはありがたいけど、別にいいよ。一人で片付くから」

 

一誠「…分かった、じゃあ俺のワガママだ! 心配性な俺を助けると思ってくれ!」 

 

ピーシェ「うーん……だめかな。そんな理由で好きな人を連れてけないよ」 

 

一誠「俺だって、好きな人を一人で行かせたくねぇ! 万が一だって嫌なんだよ。駄目だって言われても、無理矢理ついてくぞ」

 

ピーシェ「……はぁ。折れてくれそうにないね…」

 

一誠「男の子の意地ってやつだ。折れるわけにはいかないな」

 

ピーシェ「はぁ、わかったわかつた。邪魔したら許さないよ?」

 

一誠「ああ…ありがとな。」 

 

ピーシェ「……べつに」 

 

一誠「ドラゴンが暴れてるんだろ? 

急がないとな。」

 

【…まあ、止めた自分が悪いんだけども、と少し反省する】

 

 

 

━━━

 

━━

 

【ちょうど街の中、そこに現れていたのは一匹の黒いドラゴンだった。鋭い眼光を尖らせ、こちらを睨みつけている】

 

ピーシェ「さて……あいつか」

 

一誠「ドライグ、やるぞ。」

 

ドライグ『はっ、不様を晒すなよ非才。』

 

一誠「はいはい。」

 

【黒いドラゴン。

鋭い眼光ではあるが、こちらはより恐ろしい相手と戦ってきたんだ。

神器を出し、構える】

 

一誠「っし…イッセーさんやってやんぞ!」

 

ピーシェ「非才て……」

 

【ピーシェは思わず苦笑いを浮かべる】

 

ピーシェ「……ふっ。こう思うと、付き合って初の共同作業ってやつかな? これは」

 

一誠「確かにな…なら、二人仲良く決めちゃいますかァ!」

 

『Boost!』

 

一誠「せっかくのデートをきちんとめでたしで終わらせるためにもな」

 

ドライグ『ふん、おい相棒。油断するなよ、奴とてドラゴンだ。…まあ、二人仲良くやるといい』

 

一誠「余計なお世話だっつーの!?」

 

ピーシェ「……そうだねっ!」

 

【ピーシェは微笑んだ。目の前に強敵がいるにも関わらず、少女の隣にいる……自身の彼氏に向けて……。優雅に……そして無邪気に……】

 

 

 

━━━

 

━━

 

 

 

【ある店の屋根の下、二人は突然雨が降ってきたので雨宿りしていた】

 

ピーシェ「……やりすぎじゃね? いや、乗った私も悪いけどさ……、この世界のパワーバランス考えて赤龍帝様ぁ!! そっちとは違うんだよ?!」

 

【言うまでもなく強すぎた。敵でなく『味方が』。正直オーバーキルも良いところだった】

 

一誠「いやぁ…ハハハ…結果オーライってことで…」

 

【やりすぎた…ノリに乗ったとはいえ禁手までしたのは明らかなオーバーキル。

これは間違いなく自分の不手際だった】 

 

一誠「ま、まあ…何もされずにやれたから…ヨシッ!」

 

ドライグ『よくあるか戯け。

街中だったんだぞ? いつものノリで砲弾撃ってみろ?』

 

一誠「…はい、反省します…」

 

【ドライグはそれっきり奥に引っ込んでしまった。

気遣いなのか、叱られろと言ってるのか…】

 

一誠「正直、ドラゴンっていうからヤバイと思ってた…」

 

ピーシェ「いやいや、一誠レベルにやばいやつはここにはいないよ……」

 

一誠「ごめん…ドラゴンってワードに敏感になってんなぁ…反省反省…」

 

ピーシェ「敏感になりすぎ。それだけであんなに強引に私についてきて……こどもかよ……、あ、子供か」

 

一誠「そーだよ子供だよ。

彼女を危険に晒すのが怖くなって強引についてきましたよ~……」

 

ピーシェ「そうだった。ごめんね、子供の彼氏さん」 

 

一誠「ぐぬぬ……はぁ…悪かった。

無駄に張り切ってたし、意地になってた。ごめん…」

 

ピーシェ「いえ、私そういうところす……。いえ、なんでもないです」

 

【何かを言おうとしたようだが……その前に言葉を止められた】

 

一誠「…まあでも、無事でよかったよ、お互いさ。」

 

【雨が降り止む様子は今のところない。

大雨…というでもない雨か続く】

 

一誠「それに、雨宿りできる場所が近くて助かった」

 

ピーシェ「ええ、本当に……しかし……」

 

【ピーシェは自身の服装、白いワンピースに目をやる】

 

ピーシェ「……せっかくのおしゃれなのに台無しですね」

 

【苦笑いをしているが、髪から滴る水滴はとても魔性の魅力を醸し出しており、雨により体にひっつき、ピーシェの年相応でいて、豊満なボディーラインを先程以上に強調してる。そして…何とは言わないが、透けていて……上下共に黒である】

 

ピーシェ「? どしたの?」

 

一誠「い、いや……あー…」

 

【鎧を纏っていた事もあって自身の服装自体はさほど濡れていない…

白の上着を脱いで、ピーシェに渡す】

 

一誠「…何も言わずに、着てくれ…」 

 

ピーシェ「?」

 

【ピーシェは言われたとおり、何も言わず渡された白の上着を羽織る。しかしそのサイズはあっておらず、袖からは手が出ていない。その見た目は幼く見え、まるで小動物のように目を光らせ、何も言わず、首を傾げている。さっきとは別の意味で破壊力がある】

 

一誠「うぐ…」

 

【眼福と言うべきなのか…? 

というか、自分のスタイルを分かっていないのか…? 抱き締めたくなるが抑えろ、抑えるんだ。となんとか自分を律していく】

 

一誠「…よしっ、思った通り可愛いな!」

 

【自分は何言ってるんだ、馬鹿なのか? 

サムズアップしながら笑顔でそう言う】

 

ピーシェ「?????」

 

一誠「何でもない…いや、何でもなくはないんだけど………その…透けてたんで……」

 

【結局、これ以上の混乱は良くないと思って言った。何で俺まで恥ずかしいんだ…と一誠は顔を赤くした】

 

ピーシェ「……っ?! そ、そういうことか……なんかごめん」

 

一誠「いや…いいんだ。」

 

【気まずくなる。

駄目だ、ここは意識を切り替えるべきだ。もう最初の失態は犯さない】

 

一誠「いやーにしても雨宿り出来たはいいけど、ここ何処だろなー!」

 

ピーシェ「確か私の記憶が正しければここは宿泊施設だったはずだよ」

 

【流石にここの女神だ。よくこの場、この国をわかっている】

 

ピーシェ「まぁ、わたしも来たのは初めてですが」

 

宿主「おや、イエローハート様ではありませんか。こんにちは」

 

【すると、中には二十代くらいの女性がいた】

 

ピーシェ「あ、はい。こんにちは、経営はどうです?」

 

宿主「はい、おかげさまで順調でございます。どうです? ご利用しますか?」

 

ピーシェ「あー……そうですね。どうしようか」

 

一誠「取り合えず、雨が止むまで居ようぜ。それに、髪とか乾かさないと風邪引くだろ?」

 

【初デートで風邪を引いた、なんてことがあったら申し訳が立たない。

ここは戦闘もあったことだし休む方がいいよな】

 

ピーシェ「だね。では、お言葉に甘えさせていただきます」

 

宿主「わかりました。それにしても……ふふっ」

 

ピーシェ「? なにか?」

 

宿主「いえ、別に。ただピーシェ様も、こういう場所に、男の子とくる年頃なんだなと」

 

ピーシェ「……こういう場所?」

 

【何故であろう、とてつもなく二人は嫌な予感がした】

 

一誠「……こういう場所…?」

 

【え、何? 怪しいお店なのか…? と勘ぐるもピーシェが知らないわけもないと思い、いっそ訊いてみることにした】 

 

一誠「あの、ここ、どういう施設で…?」

 

宿主「おや、壁がピンクの宿……、わかりませんか?」

 

ピーシェ「あ……あー……」

 

【察した。いや察してしまった。この宿が、そういう店であることを。しかし、疲れて火照った身体に雨に濡れている服、そして少し薄暗くなっている空。正直ムードとしては完璧である】

 

ピーシェ「あ……ぅ……えと……あっ! 雨やんできたねっ! 頑張って走って帰ろうか!」

 

【そこまでの勇気は、ピーシェにはなかったようだ。顔を真っ赤にし、大声で叫ぶ。

ピーシェの慌てぶり、店主の表情、店の様子。

…それを見た一誠は流石に合点が行った。

そして、一気に色々と込み上げてくるが、一つだけ分かっていることがある】

 

一誠「お、おう! そうだな!」

 

【互いにそういう勇気はまだない、ということだ】

 

一誠「あーなんか元気出てきたな! よし、そうだな二人で走ろう! 帰ろう!」

 

【そして、走って帰った二人が揃って風邪を引いたのは言うまでもない。今日の出来事は、まだ二人には早い領域だったようだ。

少なくとも………今はまだ──】

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