妖精王としてカレコレの世界に転生した もう一つのカレコレ屋   作:ikkun

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止まったら死ぬマラソン

sideカゲチヨ

今日の依頼人は羽を生やした男だった。

 

「どうしても叶えて欲しい依頼がある・・・俺をマラソン大会で優勝させてほしい。」

 

なんか深刻そうな顔だな・・・

 

「マラソン大会・・・ですか?」

 

ヒサが確認をとる。

 

「あぁ、ただしただのマラソン大会じゃない命を懸けたデスゲームなんだ。」

 

またこれ系の依頼かよ・・・

 

「ある富豪が主催するデスゲームで怪物に追いかけられ捕まると死ぬ最後まで生き残りつつ一位で主催者の元までたどり着けば優勝ってルールだ。」

 

「なんでこの世界の金持ちはそういうゲームが趣味な人が多いの・・・?」

 

カンナの言う通りだな・・・

 

「なぜそんなゲームに挑戦したいんだ?」

 

シディが聞く

 

「この大会の主催者がおそらく・・・俺を捨てた親父なんだ。」

 

なるほどね・・・

 

「優勝したいのは父親に会うためということですか?」

 

フィーアが聞く

 

「あぁ・・・俺をまだ息子と思っているか。なんで俺を捨てたのか・・・どうか力を貸してくれ!優勝すれば莫大な賞金が手に入る!それは全て君たちに譲る!だからどうか!」

 

依頼人は土下座までしてきた。

 

「カゲチヨ、俺は協力してやりたい。」

 

まぁ、シディはそういうよな・・・

 

「俺らにとっても悪い話じゃないし受けてもいいんじゃね?」

 

俺も受ける意思を言う。

 

「マラソンならアーシの水の力も役に立つかもしれないしね!」

 

「カンナちゃん、給水所はちゃんとあるんじゃない?」

 

ヒサは突っ込んだがカンナの言うことが本当になるとは思わなかった・・・

 

sideヒサメ

大会当日、私たちは腕時計をつけた、依頼人の話ではこのゲームの参加証みたいなものらしい・・・すると知ってる人たちがいた!

 

「あれ?カレコレ屋の皆さんじゃないですか。」

 

「お久しぶりです。」

 

「ん・・・また会えた。」

 

ヤヨイちゃんにハツキさん、ミナヅキちゃんの三人だった!

 

「知り合いですか?」

 

「はい!知り合いのジャーナリストで。」

 

私は依頼人に答える。

 

「どうしてお前らが?」

 

「デスゲームの主催者にゲーム開催の動機や死んでいった人たちをどうしてるのか確かめるためです。」

 

カゲの質問にハツキさんが答える。

 

「せっかくだから協力していかないか?」

 

シディが提案する。

 

「もちろんそのつもり・・・」

 

ミナヅキちゃんが了承したので一緒に行くことにした。

司会者がルールを説明する。

 

「このビルの最上階におります主催者の元へ一番最初にたどり着けば優勝ただ一つ、そして・・」

 

「ぐおうぅぅぅぅ・・・・!」

 

まるでティラノサウルスのような怪物が檻にいた・・・

 

「皆さんにはあの怪物に追われながらゴールしていただきます・・・」

 

「あんな怪物に襲われればひとたまりもないな・・・」

 

「だからこそ賞金が高額なのでしょう。」

 

シディが顔をしかめいったことにハツキさんが返す。

 

そうしてゲームが始まった・・・

 

「はぁっ・・・・はぁっ・・・!」

 

「ぎゃああああ!」

 

必死に走る中次々と犠牲者が出て行った。

 

「なかなか、あの怪物も早いですね・・・」

 

「ああ、そうだな・・・」

 

ヤヨイさんの分析にシディが返す。

 

「はぁ、はぁ・・・」

 

「カゲチヨもうへばったの?」

 

「ゴミ体力・・・」

 

カンナちゃんとミナヅキちゃんが序盤からバテバテのカゲに毒を吐く。

 

「ミナヅキひでぇ!?マラソン大会とか何年ぶりだとおもってんだ!」

 

「いや学校では偶にやってますよね?」

 

「フィーアちゃん、カゲはサボってるよ・・・」

 

こんなところで日ごろのサボり癖が火を噴いたね・・・

 

「一位を目指すとなるとかなりハイペースで走らないといけない・・・!」

 

「まぁ、いざとなれば私が一気に走り抜ければいいだけですよ。」

 

フィーアちゃんが言うが

 

「いえ、ここは給水所で水分補給をしましょう。ただでさえマラソンの基本的なコツである温存を捨てないと優勝できませんからね。ここは補給した方がいいでしょう。」

 

「はい・・・」

 

ハツキさんの言う通りここは補給を・・・その時だった!

 

「おっとー!手が滑って他の水をこぼしちまった~!」

 

他の参加者が妨害をしてきた!

 

「汚いぞ!」

 

依頼人が抗議するけど・・・

 

「怪物に食われてくたばれバカが!馬鹿どもを見ながら飲む水は・・・・ぐはっ!」

 

なんと突然倒れたのだ!

 

「どういうこと!?」

 

私は動揺する。

 

「おそらくランダムで水に毒が入ってたんだろうね・・・先に行った人が何もないことを考えるとそれが妥当だね。」

 

カンナちゃんが推理する。

 

「トラップは怪物以外にもあるのかよ・・・!」

 

「ランダムとはやはり悪趣味ですね・・・」

 

カゲとヤヨイちゃんが答える。

 

「やっぱり全力で走れないようにしてあるってことですか・・・」

 

「水はカンナの能力で出した水を飲む・・・」

 

フィーアちゃんとミナヅキちゃんが対応策を出す。

 

けど、なんか宇宙飛行士が水のんでるみたいになってかっこ悪い感じになった・・・

 

sideフィーア

 

私たちは大広間にたどり着きましたが上に五十万のカウントとゼロのカウントがあり扉が閉じられていました・・・

 

「うわっ!」

 

「危ない!」

 

「ここで一気に参加者を間引きしようってはらか!?」

 

カゲチヨの言う通り次々と犠牲になる参加者たち・・・どうすればこの部屋から・・・

 

「あのゼロだったカウントどんどんと数字が増えていってます・・・どうやら何かを増やせば扉が開けられるみたいですけど・・・」

 

ヤヨイちゃんが考えをめぐらす。

 

かち・・・かち・・・

 

「うぬ?」

 

「!!」

 

「どうしたの?シディ、ミナヅキちゃん!」

 

カンナちゃんが二人に聞く。

 

「何か音が聞こえるな・・・」

 

「床下から・・・」

 

二人の言う通り何か音がなっている!

 

「どうやら歩くたびに音がなっている。」

 

「ということは合計歩数五十万で開くのか!」

 

ハツキさんが二人の言うことを元に確証を得る。

 

「だとしたらまずいですね・・・参加者が減れば歩数が溜まるのが遅くなります・・・」

 

「こういうときは私たちの出番・・・」

 

ミナヅキちゃんの言う通りですね!

 

「ふっ!」

 

まずは紋章をあたりに散らせて領域にする!

 

「はぁっ!」

 

ストックした加速と合わせて倍になった力の蹴りを怪物にくらわせる!

 

「ぐぉおおおお・・・!」

 

「ん・・・!」

 

ミナヅキちゃんがフェンリルのパワーで刀を頭に叩き付けて怪物を地面にたたきつける!

 

「はぁっ!」

 

ヒサメちゃんが氷で拘束している間に扉が開きました!

 

sideカンナ

 

次のトラップは分かれ道だった・・・

 

「とりあえず私とヒサメさん、カゲチヨさん、カンナさんで一つの扉をもう一つは依頼人を守りながら残りの扉をお願いします。」

 

ヤヨイさんの指示に従いアーシたちは進んだ。

 

すると出口の前に鍵があった・・・

 

「あの鍵で出口をカゲればいいってことかな?」

 

ヒサメちゃんがそう言って調べようと私たちが入り口から離れると・・・

 

しゃっ!

 

鉄格子が出てきて出口に行けなくなった!

 

「入口の床にスイッチかなんかがあるな・・・!」

 

「じゃあ鍵をとるには・・・」

 

カゲとヒサメちゃんが言うと

 

「私とカゲチヨさんで押すので二人はかぎを取ってください!」

 

ヤヨイさんが言う。

 

アーシたちはかぎを取ったんだけど・・・・

 

「これでも柵が下りるんだ・・・」

 

どうすれば・・・そのとき怪物が迫ってきた!

 

「二人とも!鍵を一旦戻してくれ!ヤヨイ協力して拘束だ!」

 

「はい!」

 

カゲは血液の、ヤヨイさんは狐火の縄で怪物を一気に拘束怪物にウイッチを押させることでしのいだ。

 

そして全員無事に合流した。

 

「皆さん無事でしたか。」

 

ハツキさんが穏やかな笑みで迎えてくれる。

 

「檻の罠に苦戦したけどね・・・」

 

あれ?依頼人さんの話が本当なら怪物が来てないそっちはどうやって・・・

 

「まぁ、檻はシディさんとミナヅキちゃんがあっさりぶっ壊しましたけどね・・・」

 

フィーアがげんなりしながらこたえる。

 

「究極の脳筋だね・・・」

 

「んなのありかよ!」

 

「はははは・・・」

 

「さすが二人ですね・・・」

 

ヒサメちゃんの言う通りだよ・・・

 

sideカゲチヨ

 

こうして最上階にたどり着いたが・・・

 

「あれが主催者なのか・・・?」

 

シディが驚く、それもそうだ。長い廊下の先に寝たきりの老人がいたのだから。

 

「病にむしばまれて生い先短い身でな。悪いがこのままで話させてもらおう。早く私の元に来るがいい・・・」

 

その時だった!」

 

「随分老けたな・・・復讐するためにここまできた。覚悟しろ!」

 

チッ・・・はめられたってわけかよ・・・

 

「死んで詫びっぐっ!」

 

突然依頼人が倒れた!

 

「ぐわああああ!」

 

そして男は廊下のトラップに掛かり死んだ・・・」

 

「ここにもトラップが・・・」

 

「最後まで抜け目がありませんね・・・」

 

ヒサとヤヨイの言う通りだぜ全く・・・

 

「お前たちはどうするんだ?」

 

「ぐるるるううう・・・」

 

遠くから声がする・・・拘束を解かれたのかよ・・・

 

 

「私とヒサメちゃんなら一気に駆け抜けられますけど・・・」

 

「いままでの仕掛けと言いさっきのことも含めてトラップの仕組みを看破しなきゃいけそうにないね・・・」

 

フィーアとカンナの言う通りだな・・・俺は今までのことを思い出す・・・

あの歩数の罠・・・鍵のトラップ・・・なるほど読めたぜ!

 

「皆、ゆっくり歩いて向かうぞ。」

 

俺は皆に提案した。

 

「カゲチヨさん何か考えが?」

 

「分からないけど信じる・・・」

 

よし、了承は得られたし・・・俺たちはゆっくりと歩くが・・・

 

「あたらないようになってるな・・・」

 

「一体どういうことなんだ?」

 

シディが聞くがそれはこのじじいに聞いてみた方がよさそうだ・・・

 

「腕時計に毒が仕込まれていたということはわかったけど・・・」

 

「そうか!誰かを蹴落としたり騙したら毒を注入されるということですか!」

 

カンナとヤヨイの答えで正解だろうな・・・

 

「その通りだ・・・君たちなら私を終わらせてくれる存在にふさわしい・・」

 

「終わらせる?」

 

ヒサが首を傾げる。

 

老人は誰であろうとだまして巨万の富を手に入れた。誰も信用できなくなったが誰かに看取って欲しいというのが人間というものだからこのゲームで清い人間を選別し看取らせるために罠を用意したのだ・・・

 

「そんな身勝手な理由でこんなゲームを・・・」

 

「さあ、君たちの手で私を終わらせておくれ、遺産を賞金としてくれてやる・・・」

 

まぁ、いい奴なら同情して殺すんだろうけどなぁ・・・

 

「嫌だね。」

 

「な、なぜだ・・・」

 

俺はクズだからなぁ・・・

 

「多くの人間を犠牲にしておいて自分だけ楽になろうってか?悪いが世の中そんな甘くねーぜ。」

 

「それに本当に悪いと思っているなら自分の手でその呼吸器を外すのが一番いいんじゃない?」

 

「私たちはただあなたがどうしてこんなことをしたのかききにきただけ、あとは貴方に関与はしませんから。」

 

カンナとヤヨイがそう言った。

 

「行こうぜ。」

 

俺がそういうと皆ついてきた。どうやら同じみたいだな・・・

 

「待て!すでに根回しもすんでいる罪に問われることはない!遊んで暮らせる金が手に入る!一人にしないでくれ・・・死を待つのは嫌なんだあああ!」

 

俺たちはビルを出てそれを眺めていた・・・

 

「設備は全て破壊してきた。」

 

「デスゲームで死んだ人たちの遺体も可能な限り病院に送りました。」

 

シディとハツキが答える。これで遺族も前に進めるといいんだがな・・・

 

「騙し続けた先に残ったのは後悔と死への恐怖だけですか・・・」

 

「みじめというかなんというかよくわからない人でしたね・・・」

 

フィーアとヤヨイは答える。

 

「あのビルはまさに自分がなしてきたことの象徴だね・・・」

 

「立派だけど空っぽなお墓だね・・・」

 

 

 

カンナとヒサも言う

 

「あの男にはお似合いだろ・・・」

 

 

俺はそう言って夕日に向かって歩き出した・・・

 

 

 

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