妖精王としてカレコレの世界に転生した もう一つのカレコレ屋 作:ikkun
sideフィーア
私たちは無事星吐きの説得に成功して病院に着いたところだった。
「すみません。ここに小さな犬と青髪の女の子。あとオレンジ色の髪をした女の子と黒髪の女の子来ませんでしたか?」
私は病院の受付で質問する。
「すみません・・・来ておりませんが・・・」
「くうくう・・・」
「るーるー・・・」
アイポッドたちも元に戻ったくすぐりお化けも心配そうにしています・・・
そうですか・・・
「角や着物を着た女の子なんて異様だから一発で気づくと思うんですけど・・・」
「いや傍から見たら俺たちの方がずっと異様だからな?」
ゲロ―将軍が喋る。
「説得に応じてくれてありがとうございます。」
「お前らも変な生物を飼ってるからな。それに奴が征服を始めようとしたらお前が倒すというから応じただけだ。」
そうしていると
「シディの鼻があるとはいえ面倒な依頼を受けちまったな・・・」
「そういうな、カゲチヨ死に際に会えないなんて不幸だ。」
カゲチヨとシディさんが病院から出て行こうとするところだった!
「あの、二人とも・・・その老人って金太郎って犬飼ってませんでしたか?」
「あ、フィーアなんでそのこと知ってるんだよ!」
やっぱり・・・
私は訳をお爺さんを探しながら二人に話す。
「寄生型異宙人の飼い主?」
「はい、私たち三人とミナヅキちゃんでその異宙人を飼い主と会わせようとしたんです。」
「でその途中で対抗勢力の異宙人の猫と仲良くなったのだな。」
はい!
「星食いや付き添ってる奴らも我らを避けながら動いてるに違いないな・・・」
ゲロ―将軍が話す。
「俺が連絡して星吐きと説得が成立したこととお爺さんが逃げ出したことを話す。」
カゲチヨがスマホを取り出し連絡した。
sideヒサメ
私たちは星吐きを避けるために公園の遊具に隠れた。
「あちこち猫だらけだね・・・」
「紛らわしい・・・」
カンナちゃんとミナヅキちゃんが呟く。
「くそ・・・だから俺は爺さんに会うのなんて嫌だったんだ・・・」
星食いが呟く。
「なんでそんなに嫌なんですか・・・?」
私は涙を流して言う・・・
「アンタが今日まで生きてられたのもその邪魔者のおかげなんだよ。あんたがどう思ってても寂しい生活を支えてくれた友達なんだよ?」
カンナちゃんが続けてくれた。
「クソガキ・・・涙なんか流すんじゃねーよ・・・俺たちはそんな感動できる仲じゃねぇんだよ・・・」
side星食い
「この公園もよく二人で通ったお決まりの散歩コース・・・周りから見れば支え合っていて仲睦まじい光景だったのかもしれねぇ・・・」
まさか誰もくたばれなんぞとののしり合う関係とは夢にも思ってないだろうさ・・・
初めて言った言葉もそうだった・・・
「くたばりやがれ」
それが口癖だった・・・気に食わないことがあるとバーさんにも友人にも俺にも言った。
そのせいなのか周りの人間は次々と死んでいく一人になってもじーさんはくたばらなかった。
「てめーもしつこい野郎だな。いい加減くたばれよ。」
まだ言える奴がいたからだ。
「金太郎よ。バーさんも死に皆死んでいった。あとはてめーだけなんだよ金太郎。
なんで俺が誰も人を寄せ付けず暮らしてるか教えてやろうか。死に顔見られたくねーからだ。今まで沢山の死に顔を見てきたがありゃダメだ、人様に見せられるもんじゃねぇ。俺はそんなしょぼくれた顔見せるなんて御免だよ。」
(てめーが死ねくそじじい)
俺たちは互いにののしり合って生きてきた。
地球征服のためじーさんの死期を待っていた俺は死ねなかったのたうち回ってはいずるように生きてきた。
しかしじーさんも生きた。張り合うように必ず立って俺の前でふてぶてしく笑ってた・・
弱みも見せずによぼよぼの体引きずって散歩に出かけた。足なんてろくに動かないのに張り合って走ったりもした。相手より一日、一分、一秒張り合うように生きた。
sideカンナ
「そういう奴らなんだよ俺達はあのじーさんも俺とたいして変わりゃしねぇんだ。そんなもんに会いたがって喜ぶと思うか?俺を見たらまた意地を張って起き上がってくるに違いないんだ。しつけーじーさんに会いたいなんてこれぽっちも思ってねーんだよ・・・」
そう言っているとミナヅキちゃんが
「・・・意地の張り合いではあなたの負けみたい・・・」
そう言った。
「何?」
「あっちから死期の近い人間の匂いがする・・・」
そう言って指を指した場所にいたのは・・・
「じーさん!?」
星食いはもちろんアーシたちも驚愕していた・・・
「危篤状態だったのに・・・それにあの紐って・・・」
犬のリードだよね・・・?
「なんで分からねぇんだよ・・・じーさん。俺はもうお前のそんな姿・・・」
星食いが歩みよる・・・
「そうだね・・・涙なんていらなかったしさよならもいらないね・・・」
ヒサメちゃんが言う。
「ただくたばれって言ってきて・・・」
ミナヅキちゃんもそう言って送り出した。
「そう・・・隣でくたばるのがアンタたちが見せてもいいと思える最高の死に際なんだから・・・」
そうしていると
「見つけたぞ!」
「ここにいたのかよ!しかも散歩してんのか!?」
「星食い貴様・・・」
シディ、カゲチヨ、星吐き!
「大丈夫ですよ!星吐きの説得は成功しました!」
フィーアちゃんお手柄だよ!
「金太郎・・・お前もいよいよ終わりか・・・情けない野郎だ・・・俺はまだぴんぴんしてるぜ。散歩もできなくなっちゃ人間終わりだよ・・・くたばっちまいな。」
しかし星食いも負けずにリードを引っ張る!
「なめんじゃねぇぇ!くそじじい!」
「俺はまだやれる・・・老いぼれには負けねぇ・・・」
「無理しちゃいけねーよ。知ってるんだぜ死にかけなのは・・・」
「そりゃてめーもだろうが!」
「本当にしぶてぇ野郎だ…」
side星食い
頼むから・・・本当に・・・
ー回想ー
「くたばりやがれ」
「お爺さんなんてこというんですか!その子難産で天涯孤独になったていうのに!」
ばあさんがそういう。
「ひでーもんか。こいつを残して死んだ奴らがよっぽどヒデ―よ。残される奴らの方がよっぽど辛ぇのさ・・・こいつが死ぬ時まで生きてる自信が俺にはねぇ。こいつを一人残して死んでしまうよりも死んだ方がよっぽど良かったかもしんねーと言ってるんだ。」
「私がいるじゃないさ。」
「俺がお前より先に死ぬわけねーだろ。」
「私の方が十若いんですよ。」
爺さんが続けて言った。
「なぁおい、俺はじーさんだ。親にも兄弟にもなれねぇがダチ公にはなれる。ダチ公はいいぞ誰でもなれるからな。誰にも咎められない。だから俺は一つの掟を設けてるんだ。」
「相手より先に死なねーことさ。あちこちで友達こさえておっ死んで大勢を泣かせるマネは嫌いだ。だから一人になるまで生き残って一人で泣く。死に顔全部見届けて一人で死ぬ。俺が泣いてもダチ公は泣かせない。それが掟だ。」
「安心しろ、お前はもう一人になることになって泣くこともねぇ・・・お前が死んだら俺が泣いてやる。だから安心してくたばれ。」
ー回想終了ー
もういいって言ってんだ・・・もう十分なんだ。
・・・もうやめてくれ。頼むからさっさとくたばってくれ。
見たくねーんだよ・・・無理して苦しんでる姿なんて。
会いにいかなけりゃ楽に死んでくれると思ってたのになんで出てきて苦しみにやってきた・・・
「俺が先に死ねば安心して死ぬってか?」
でももうできそうにねーんだ・・・俺にもやきが回ってきたぜ・・・
「大魔王よりもお前のダチ公になりたくなったんだからな・・・」
だからアンタを泣かせたらダメなんだよ・・・
俺は走る!
くたばってくれ!クソジジイィィィ!
そうして走り終えると爺さんは倒れていた・・・
や・・・ったぜ・・・
「き、金太郎・・・俺の勝ちだぜ。テメェはダチ公泣かせたからな・・・ありがとよ・・・ダチ・・・」
sideヒサメ
「うぅ・・・ぐすん・・・」
二人が死んだあとゲロ―将軍が泣いていた・・・
「星食いが死んで悲しいんですか?」
私が聞くと
「そ、そんなわけあるか!やっと因縁の相手が死んでこの身体からおさらばだからな!」
素直じゃないなぁ・・・
その後お爺さんと金太郎の遺体を家族に渡した・・・
そして葬儀の後私たち五人はあの公園に花を供えたのでした・・・