妖精王としてカレコレの世界に転生した もう一つのカレコレ屋 作:ikkun
sideカゲチヨ
今日はカンナがおすすめのレストランがあるというので五人でやってきた。
「アーシはもう常連なんだけど味はピカ一だからカゲチヨもきっと気に入るよ!」
カンナがそこまで言うなんて相当だな・・・
俺たちが来たのは昔ながらの雰囲気の洋食店だった・・・
「おお、店の雰囲気が名店の雰囲気を醸し出してるな!」
シディの言う通り店の外観はなかなかいいじゃねぇか・・・
「流石カンナちゃん!」
「まぁ、雰囲気は良くても味が大切ですから。」
ヒサとフィーアも気に入ってるみたいだ。
店内に入ると清潔で客も入っており人気の店のようだった。
するとシェフと思われる人が来た。
「これはこれは、カンナ様。今日は話していたお友達と来てくださったのですね。」
シェフはカンナに挨拶をした。
「うん!今回もよろしくね!あ、この人はシロウさん。この店の店長で料理の腕は最高なんだよ!」
「よろしくお願いします!」
ヒサはもう涎が出てるぞ・・・
「今日は初めてのお客様もおりますが何にしますか?」
シロウさんがカンナに注文を聞く。
「じゃあ、ロニー・ニー・ガードナーで。」
「かしこまりました。」
?
「今の名前はなんだ?」
シディが聞く。
「店長の遊び心でね。その名前の人物にちなんだメニューをだしてるんだよ。」
どんな人物だっけか・・・動画で聞いたことあるような・・・
しばらくするとシロウさんが料理を運んできた。
「お待たせしました。ロニー・ニー・ガードナーでございます。」
その料理はロブスターと牛のステーキ、バニラアイスの添えられたアップルパイだった・・・
「凄い豪勢ですね・・・」
「美味しそう~!」
フィーアとヒサもその料理の豪華さや丁寧な盛り付けに驚いていたが俺にはわかってしまった・・・このメニューの名の意味が・・・
「おい、カンナ、シロウさん・・・これって死刑囚が最後に食べた物だよな・・・!」
俺は二人に尋ねる。
「あ~流石カゲチヨ、もうバレちゃったか!」
「博識でございますね。カゲチヨさま。」
二人とも笑顔で肯定した。
「どういうことだ?」
シディが意味が分からずに尋ねる。
「ロニー・ニー・ガードナーは2010年に銃殺刑が執行された死刑囚なの。罪状は強盗に殺人、裁判中に逃走を図りその過程で自分についていた死刑制度反対派の弁護士を射殺した男だよ。」
カンナが説明する。
「凶悪すぎでしょ・・・」
「しかも銃で弁護士を殺したのにまた銃殺刑を選ぶなんて銃と共に生きた人生ですね・・・」
ヒサとフィーアが戦慄する。
「黙ってたことは謝るからさ!食べてみてよ!味はホントに美味しいからさ!」
「ああ、そうだな・・・食べ物に罪はないからな・・・」
シディの言う通りだな・・・俺たちは意を決してまずはロブスターを食べた。
「ホントにうめぇ・・・」
スモークしてあって香りが引き立ってるな・・・
「モグモグ・・・」
ヒサも無言でかぶりついてる・・・
「気に入っていただけて何よりです。ちなみになぜスモークにしたかというと銃を撃てば硝煙の匂いが立ち込める。その煙をイメージしたものでございます。」
「そ、そうなのか・・・」
「凄いでしょ!これからの料理の参考になるよね!」
シディが苦笑いになるなかカンナがキラキラした顔で答える・・・
「このシロウさんの料理やカンナちゃんの女子力をみるとホントに天才とサイコパスって紙一重って思いますよ・・・」
フィーアの言う通り才能がある奴に限って頭のねじが飛んでるよな・・・
sideヒサメ
数日後私たちはまたあの洋食屋に来ていた。
「いらっしゃいませ。また来ていただいて光栄です。」
まぁ、普通に美味しいし・・・
「今日はこれにしよう!」
カンナちゃんが頼んだのはチキンにポテト、サーモンがのったサラダにエンドウ豆とセロリにオリーブ、そして一切れのケーキ。
「意外と死刑囚も野菜も頼んでるんですね・・・」
確かに肉や魚ばかり食べてそうなイメージがあるな・・・
「まぁ、世界にはベジタリアンの人や健康志向の人もいるからね。」
カンナちゃんが言う。
「こちらはブルーノ・ハウプトマン、1963年に電気椅子の刑に処された人物です。
罪状は誘拐殺人、ガソリンスタンドの支払いを身代金として入れた金証券で行おうとして逮捕されました。誘拐されたのが著名人の息子ということでかなり注目を集めたようですよ。」
やっぱり食欲が少し萎えるけど・・・私たちはチキンを食べた。
「か、辛ぇ・・・舌が痺れるぞこれ・・・」
「アーシはこのメニューが一番好きなんだ!」
辛さに苦戦するカゲとは対照的に笑顔で食べるカンナちゃん、やっぱり辛党だなぁ・・・
「うぅ・・・電気椅子の電流をモチーフにしてますよね・・・この辛さ・・・」
甘党のフィーアちゃんはそう言って撃沈した・・・
「はい、カンナさんのようにハマる人にはハマるんですよ。」
やっぱりこの人の料理はおいしいけど一味違いすぎる・・・
sideフィーア
ヒサメちゃんとカンナちゃん、そして私はミキとノリコを連れてまた来た。
「ここが死刑囚のラストミールのメニューを再現してる店か・・・」
「面白そうだけど怖いね・・・」
ノリコとミキがそう言いますが他のメニューも気になりますしね・・・
「まぁ、これなんて小腹がすいたときにはいいよ!」
カンナちゃんが注文してくれたのはドイツ料理のシュニッツェルとフライドポテトというシンプルな食事でした・・・
「なんか意外だな・・・」
「うん・・・もっと豪華だと思ってたよ・・・」
二人がそう言いますが・・・
「ペーター・キュルテン、この人が死刑にされたのは1931年だったから十分豪華な食事だよ。中には土やオリーブ一個だけっていう死刑囚もいたしね。」
変わりものすぎませんか?殺人犯って・・・
「罪状は少女ばかりを狙った強姦殺人でついたあだ名はデュッセルドルフの吸血鬼。逮捕された後、ペーターは80もの罪を自白してるんだよ。」
カンナちゃんはまた笑顔で話す。
「カゲチヨとは違って凄い吸血鬼だな・・・」
まぁ、カゲチヨは女子を人気のない場所に誘いだすことさえできないでしょうしね・・・
「処刑方はギロチンだったんだよ。あーあ、本物の吸血鬼だったら生き残れたのに・・・」
「なんで残念そうなの・・・」
ミキの言う通りやっぱりいかれてますね・・・
私たちはシュニッツェルを口にすると豚肉のジューシーな肉汁があふれてきた。
「すごいな!この肉といい焼き方といい最高だな!」
「やっぱり癖になるよ~!」
食いしん坊二人は一瞬で虜になりました。
「吸血鬼にギロチンとくれば肉の鮮度は重要でしょ?それこそ血が滴り落ちるくらいでないとね・・・」
「カンナちゃんの知り合いって皆こうなの・・・?」
やっぱりサイコパスはサイコパスや変人を引き寄せるということですね・・・
sideカンナ
「こんにちは!今日は一人で食べに来たんだ!」
「新規のお客様を連れてきていただいてありがとうございます。カゲチヨ様の友達キモ5と呼ばれる方たちやあのミキさまとノリコ様もすっかり常連です。」
いやいや、この店には長く営業してほしいからね・・・
「今日は新メニューがございますのでそちらにしますか?」
「はい、それにします。」
そうして運ばれてきたのはフライドシュリンプ、ケンタッキーフライドチキン、フライドポテト、450グラムのイチゴだった。
「おお!ジョン・ウェイン・ゲイシーの食事を再現なんて思い切ったね!」
「ええ、彼はケンタッキーの店舗を三店舗経営していてその中の最高のレシピの再現に手間取りましたが調味料を注射することでより味のしみた再現ができたのです。」
やっぱりシロウの料理はいつでも美味しいよね。
「シロウさんは最後の晩餐、例え死刑にならなくてもいつか死ぬなら何が食べたい?」
「私ですか・・・まだ決めかねますね。カンナさんは?」
「ん~人もいいだろうし、あえて普通に目玉焼きとお味噌汁とか!」
「くく・・・夢が広がりますね・・・」
だからこうして先人たちの最後の食事を学んでるんだよね!