妖精王としてカレコレの世界に転生した もう一つのカレコレ屋 作:ikkun
sideカゲチヨ
俺たちは最近幽霊が出ると噂の神社を調査してほしいと依頼を受けて夜にやってきていた。
「な、なんで私たちに依頼が来たんだろう・・・」
ヒサが震えながら言う。
「夜な夜な女性の声が聞こえるから近隣の人が不気味に思って依頼してきたんだよ!ワクワクするよね!」
「噂だと低いうめき声らしいな・・・」
カンナとシディの言う通りだ。
「昼間に周辺の人に聞き込みをしたら境内には白装束の女の人もいたらしいですよ。」
「ひぃ!?」
フィーアの報告にヒサは怯えた声をあげる。
「や、やっぱりボティスさんも連れてこない?私カレコレ屋に戻るよ!」
いやいやいや・・・
「ヒサ、ビビりすぎだろ・・・それにボティスなら下らんって一笑すると思うぜ?」
「ヒサメ大丈夫だ。俺たちが守るからな。」
「うぅ・・・」
俺とシディがヒサを落ち着かせる。
「しかし墓場で幽霊が出たのは聞いたことがあるが神社で現れるものなのか?」
シディの言う通りまぁ、確かに神社って神聖なものだしイメージわかないよな・・・
俺もそう思っていると
「そんなことないよ?ここはお岩さんを祀る稲荷神社だからね。」
カンナがそういう。
「なんか聞いたことありますね・・・」
「なんだったけ・・・」
フィーアとヒサが首を傾げる。
「皆知らないの?お岩さんといえば四谷怪談で登場する幽霊で皿屋敷、牡丹灯篭とセットになってる有名な日本三大怪談の一つだよ。三つとも江戸時代に語られて特にお岩さんの登場する四谷怪談は、最恐と言われ今でも祟りがあるらしいよ。」
「どんな話なんですか?」
カンナの説明にフィーアが質問する。
「時は江戸時代の元禄のころにいたお岩さんという女性の悲しき愛と怨念の話だよ・・・」
「元禄とはいつだ?」
シディが質問する。
「確か1688年から1704年ころだよね…300年も祟りがあるなんて相当だね・・・」
ヒサが震えながら答える。
そしてカンナは語りだした・・・
sideカンナ
「舞台は江戸の四谷、下級役人を務める田宮家の家の娘にお岩という女性がいたの・・・お岩は大きな腫物がある醜い顔をしていたせいでお婿さんが現れなかったみたい。」
「けっ!時代をさかのぼっても結局顔ってことかよ!お岩が悲しむ姿が目に浮かぶぜ!」
「カゲもキモイって言われてるもんね。」
「ううっ・・・さっそく感情移入しそうだぜ・・・」
カゲチヨとヒサメちゃんが感情移入するなかアーシは続ける。
「結局伊右衛門という男が金と出世目当てで婿になるけどお岩の容姿を知らずに結婚してしまうの。しばらくは我慢してたんだけど時が経つとお岩をぞんざいに扱い始める・・・」
「今度は金と地位目当てですか・・・ムカつきますね・・!」
フィーアちゃんが怒りながら言う。
「そういうガチクズってどこの時代にもいるよな・・・」
カゲチヨの言う通りそれが悲劇につながっていくの・・・
「そんなある日、伊右衛門は伊藤喜兵衛の妾お花と出会って結婚したいと考える、そこで伊右衛門は喜兵衛と組んでお岩から離婚を持ち掛けるように仕向けた。そうしてお岩は御家人の奉公に行くことになる、いつか伊右衛門が迎えに来てくれると信じて・・・」
「健気だな・・・喜兵衛たちは許されないな・・・」
シディ、その通りだよ・・・
「しばらくは伊右衛門はお花と結婚して幸せな日々を送ってた。お岩は伊右衛門を何年も待ってたんだけど茂助という男から真実を聞かされた、お岩は般若のような顔で許せないと言いどこかへ走り去ってしまうのそしてお岩がいなくなった後伊右衛門はお岩の声を聞くようになる・・・それ以来伊右衛門の子供やお花が亡くなっていくの・・・」
「ええっ!?」
ヒサメちゃんが震える。
「喜兵衛の家の人たちも不幸に見舞われたので伊右衛門は稲荷神社に参拝に行く・・・しかし現れたのは幽霊となったお岩だったの!そして家の断絶を宣言しその通りになるという話なの・・・」
「凄い執念ですね・・・」
フィーアちゃんも戦慄しながら言った。
「やはり悪いことはできんということだな・・・」
シディの言う通りだね。
「歌舞伎にもなってたんだけど事故が相次いだことから祟りが原因と言われていて今でも参拝するの。」
「今でも怨念が残ってるのかよ・・・すげぇな・・・」
カゲチヨの言う通りそれがこの怪談が最恐と言われるゆえんだよ・・・
sideフィーア
そうして境内に着いたんですけど・・・
「白装束の女はいないね・・・」
ヒサメちゃんは言いますけど・・・
「おい、ヒサ能力使ってないよな・・・?なんかあたりが寒いんだけど・・・」
カゲチヨが震えながら言います。
「使ってないよ・・・?」
「まさか出るのかな?」
許さない・・・許さない・・・
「女の人の声が聞こえるぞ・・・」
シディさん・・・それってまさか・・・
「許さなああああああい!」
叫び声と共に現れたのは顔にできもののある提灯の化け物でした!
「あれがもしかしてお岩さん!?」
「人としての原型なさすぎだろ!」
ヒサメちゃんとカゲチヨが恐怖しながら言うけどまさに怨念がひしひしと伝わってきますね・・・
「葛飾北斎が絵に残してたみたいだけどまさにそのままだね!」
カンナちゃん!目をキラキラさせて言わないでください!
「とりあえず落ち着け!俺たちはお前をはめた奴らの縁者でもねぇよ!」
カゲチヨは血液操作を使ってお岩さんをきつめに拘束しますが・・・
「邪魔だあああああ!」
「マジかよ!?」
お岩さんはあっさりと吹き飛ばします!
「幽霊って火とか効くのかな?」
「笑顔で言うところが怖いよ・・・」
カンナちゃんは興味津々の顔で炎を・・・ヒサメちゃんは電気で攻撃するけど・・・
「ああああああ!」
全く聞いてない・・・
「万事休すですね・・・」
私が諦めたその時・・・
「辛かったのだな・・・・」
なんとシディさんがお岩さんに向かって歩み始めた!
「お前は家族からも恋人からも愛されなかったんだ・・・お前が憎しみの感情を持つのは当然のことだ。」
「そう・・・私は憎かった・・・」
「俺がいくらでも話を聞こう・・・お前が憎しみをぶつけたかった人はもういないがそれくらいなら俺にもできる・・・俺たちはカレコレ屋だ。困っている人がいたら助けたいんだ・・・」
シディさん・・・
「そうですね。男の恨み節ならいくらでも聞きますよ。」
「そうだよ!お岩さんは悪くないよ!」
「まぁ、俺達赤の他人なんだし感情ぶつけても罰は当たんねーよ。」
「アーシもお岩さんに似合うファッション考えてあげる!」
私たちもお岩さんに語り掛けます。
「うぅ・・・私はただあの人に愛されたかった・・・!迎えに来て欲しかった・・・話聞いてくれるの・・・?」
「「「「「はい!」」」」」
そうして私たちは朝まで話をして・・・
「ありがとう・・・こんなに誰かと話したのは初めて・・・心穏やかに行けそう・・・」
そう言って消えていった・・・
「あーねみぃ・・・」
カゲチヨは眠たさでぼやくけど・・・
「一番真摯に聞いてたのカゲだよね!」
「う、うるせーな!ヒサだってお岩に江戸時代の料理のこととか聞いてただろ!?」
ヒサメちゃんとカゲチヨはまた軽口を言い合う。
「アーシのファッションセンスはどうだった?」
「驚きましたよ・・・まさかお岩さんが眼帯美少女になるとは・・・」
ホントにカンナちゃんのファッションセンスは無敵ですね・・・
「今回は悲しい事件から始まってしまったが俺達がお岩さんの無念を少しでも和らげられたのが一番の報酬だな!」
シディさんにはホントに叶いませんね・・・